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24:趙雲の嫁候補(番外編)
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Q1.吉川英治「三国志」での芙蓉姫は序盤で張飛の旧主・鴻氏の娘芙蓉を名乗り、鴻氏の旧縁だった劉恢のもとで逗留し、後に糜夫人として劉備に嫁ぎますが、創作なので曖昧だったり矛盾している点もあると思われます。そこを史実の糜氏とも絡めて彼女の事情の考察をお願いします。
A1.吉川英治『三国志』に登場する芙蓉姫は、史実の糜夫人と重ねられた創作人物ですが、その設定にはいくつかの矛盾や曖昧さが見られます。ここでは、創作と史実の接点と乖離を整理しながら、彼女の事情を考察してみます。
■芙蓉姫の創作設定と矛盾点
出自:張飛の旧主・鴻氏の娘/鴻氏は史料に乏しく、架空の豪族と推定される
逗留先:劉恢(代州の富豪)の庇護/劉恢は高祖劉邦の子孫とされるが、時代的に別人の可能性あり
改姓:寇氏→鴻氏(祖父の非業の死を避けるため)/寇氏は後漢の名門だが、改姓の根拠は創作的
劉備との関係:若き日の恋人→糜夫人として再登場/糜夫人は糜竺の妹であり、出自が異なる
劉封との関係:芙蓉姫が劉封の生母という説も/史実では劉封は養子であり、母の記録は不明
■史実の糜夫人との接点
- 糜夫人は糜竺・糜芳の妹で、資産家の家系出身。
- 劉備が徐州牧となった際、糜竺が妹を正室として差し出した。
- その後、呂布や曹操に捕らえられた記録があるが、消息は不明。
- 『三国志演義』では長坂坡で阿斗を趙雲に託し、井戸に身を投げるという創作的な最期が描かれる。
■芙蓉姫=糜夫人説の創作的意義
吉川英治は、劉備の人間性を補完するために芙蓉姫を創作したと考えられます。史実では劉備は妻子を何度も捨てて逃げる冷淡な人物とされがちですが、芙蓉姫の存在によって以下のような人間的な深みが加えられます:
- 若き日の恋と別れ → 情のある青年像
- 再会と婚姻 → 運命的な再接続
- 子を残して死別 → 悲劇性と忠義の象徴
このように、芙蓉姫は**劉備の感情面を補完する“物語装置”**として機能しており、糜夫人の史実的曖昧さがその創作を可能にしたとも言えます。
■創作と史実の融合による考察
- 芙蓉姫が寇氏の末裔であるという設定は、名門出身の正室としての格を与える創作的工夫。
- 糜夫人の史実的な不明瞭さ(消息不明、生没年不詳)が、芙蓉姫との統合を可能にした。
- 劉封の母とする説は、劉備の家族構成を再構築する創作的試みであり、諸葛亮による史書改竄説まで含めると、政治的な抹消と再評価というテーマにもつながる。
物語の構造と人物の象徴性に注目する創作者にとって、芙蓉姫=糜夫人説は史実の余白を創作で埋める好例です。もしこの設定を軸に物語を展開するなら、彼女の視点から「劉備の冷淡さ」「諸葛亮の采配」「劉封との関係」などを描くことで、女性の政治的存在感と感情の深みを両立できるかもしれません。
続きを掘り下げるなら、芙蓉姫の“改姓”や“寇氏の没落”を背景にした一章なども面白そうです。どう展開してみましょうか?
Q2.芙蓉姫=糜夫人と仮定して、両者の違いや矛盾点に接合性のある経緯を創作してください。なお、明らかになっている情報のどれかは家庭の事情などで偽っている可能性も有りとします。
A2.「芙蓉姫=糜夫人」説の接合創作は、史実と物語の余白を埋めるだけでなく、彼女の内面をも掘り下げる絶好の機会です。以下、矛盾点の整理と、それを接合する創作経緯を提案します↓
■矛盾と接合のポイント
要素/芙蓉姫の設定(吉川英治)/糜夫人の史実/創作的接合案
出自/鴻氏(張飛の旧主の娘)/糜竺・糜芳の妹(徐州豪族)/鴻氏に養子入りした糜氏の娘、身元を偽装
改姓・通称/寇氏→鴻氏→芙蓉/糜夫人(姓のみ)/身の安全や婚姻工作のため改姓・通称変更
婚姻の経緯/劉恢のもとで逗留し劉備と再会 → 惹かれ合う/徐州到任後、糜竺が妹を献上/徐州赴任前に再会→糜竺の後押しで正式婚姻へ
消息・死/荊州逃亡時に命を落とす/趙雲に子(阿斗)を託し自害/芙蓉の最期は史実通り、ただし身分偽装の中で死去
■接合のための創作的経緯
1. 幼少期の背景
- 芙蓉(本名:糜白蓮)は糜氏の娘として生まれるが、一族の政敵との対立や縁戚の粛清を避けるため、幼くして鴻氏の養女となる。
- 公式には「寇氏の孫」→「鴻氏の娘」として登録される(政治的安全対策)。
2. 幽閉と逗留
- 鴻氏が没落したことで、元の一族との縁が薄れ、劉恢によって庇護される。
- この期間中に劉備と出会い、互いに淡い想いを抱くが、政情不安のため離別。
3. 徐州での再会と婚姻
- 糜竺が劉備を徐州牧として迎えた際、「養女」としての白蓮の身分が表に出る。
- 糜竺が妹と明かすことで婚姻が実現、公式記録には「糜夫人」として残る。
4. 芙蓉姫としての通称
- 劉備は私的に彼女を「芙蓉(ふよう)姫」と呼び続け、周囲にも広まった。
- 宮中では「糜夫人」、劉備の周囲では「芙蓉」と二重呼称が定着。
■家庭の事情による偽装の意義
- 鴻氏・寇氏の没落により、実名を使うと政敵の攻撃を受けるリスクがあった。
- 養女・通称・偽装姓により、命を守るための身分隠しが必要だった。
- その偽装が、後に劉紅蓮の出生や立場にまで影響する…というドラマ性も生まれる。
この設定なら、芙蓉姫の“詩的な呼び名”と、糜夫人という“政治的立場”を両立させつつ、彼女が抱えていたアイデンティティのねじれと葛藤を描けます。
もし進めるなら、芙蓉が劉紅蓮に“本当の出自”を語る場面など、次世代に継がれる記憶として描くのも面白そうです。どんな語りで残すか、一緒に考えてみませんか?
----------
【感想】
※「糜白蓮」は私が創作した糜夫人の本名です。「芙蓉」から連想して命名しました。
今回は吉川英治版「三国志」がメインとなるので番外編とさせていただきました。
子供の頃から読んでて「どういう事?」と混乱していた謎が、どうやらふわっとしていた事が判明wそりゃ三国志大戦で甘夫人設定になるよ!!
そう言えばアニメの横光三国志では劉備の妻は教え子でしたよね。(ポジションは甘夫人+糜夫人)あれも歳の差婚だったなー。
A1.吉川英治『三国志』に登場する芙蓉姫は、史実の糜夫人と重ねられた創作人物ですが、その設定にはいくつかの矛盾や曖昧さが見られます。ここでは、創作と史実の接点と乖離を整理しながら、彼女の事情を考察してみます。
■芙蓉姫の創作設定と矛盾点
出自:張飛の旧主・鴻氏の娘/鴻氏は史料に乏しく、架空の豪族と推定される
逗留先:劉恢(代州の富豪)の庇護/劉恢は高祖劉邦の子孫とされるが、時代的に別人の可能性あり
改姓:寇氏→鴻氏(祖父の非業の死を避けるため)/寇氏は後漢の名門だが、改姓の根拠は創作的
劉備との関係:若き日の恋人→糜夫人として再登場/糜夫人は糜竺の妹であり、出自が異なる
劉封との関係:芙蓉姫が劉封の生母という説も/史実では劉封は養子であり、母の記録は不明
■史実の糜夫人との接点
- 糜夫人は糜竺・糜芳の妹で、資産家の家系出身。
- 劉備が徐州牧となった際、糜竺が妹を正室として差し出した。
- その後、呂布や曹操に捕らえられた記録があるが、消息は不明。
- 『三国志演義』では長坂坡で阿斗を趙雲に託し、井戸に身を投げるという創作的な最期が描かれる。
■芙蓉姫=糜夫人説の創作的意義
吉川英治は、劉備の人間性を補完するために芙蓉姫を創作したと考えられます。史実では劉備は妻子を何度も捨てて逃げる冷淡な人物とされがちですが、芙蓉姫の存在によって以下のような人間的な深みが加えられます:
- 若き日の恋と別れ → 情のある青年像
- 再会と婚姻 → 運命的な再接続
- 子を残して死別 → 悲劇性と忠義の象徴
このように、芙蓉姫は**劉備の感情面を補完する“物語装置”**として機能しており、糜夫人の史実的曖昧さがその創作を可能にしたとも言えます。
■創作と史実の融合による考察
- 芙蓉姫が寇氏の末裔であるという設定は、名門出身の正室としての格を与える創作的工夫。
- 糜夫人の史実的な不明瞭さ(消息不明、生没年不詳)が、芙蓉姫との統合を可能にした。
- 劉封の母とする説は、劉備の家族構成を再構築する創作的試みであり、諸葛亮による史書改竄説まで含めると、政治的な抹消と再評価というテーマにもつながる。
物語の構造と人物の象徴性に注目する創作者にとって、芙蓉姫=糜夫人説は史実の余白を創作で埋める好例です。もしこの設定を軸に物語を展開するなら、彼女の視点から「劉備の冷淡さ」「諸葛亮の采配」「劉封との関係」などを描くことで、女性の政治的存在感と感情の深みを両立できるかもしれません。
続きを掘り下げるなら、芙蓉姫の“改姓”や“寇氏の没落”を背景にした一章なども面白そうです。どう展開してみましょうか?
Q2.芙蓉姫=糜夫人と仮定して、両者の違いや矛盾点に接合性のある経緯を創作してください。なお、明らかになっている情報のどれかは家庭の事情などで偽っている可能性も有りとします。
A2.「芙蓉姫=糜夫人」説の接合創作は、史実と物語の余白を埋めるだけでなく、彼女の内面をも掘り下げる絶好の機会です。以下、矛盾点の整理と、それを接合する創作経緯を提案します↓
■矛盾と接合のポイント
要素/芙蓉姫の設定(吉川英治)/糜夫人の史実/創作的接合案
出自/鴻氏(張飛の旧主の娘)/糜竺・糜芳の妹(徐州豪族)/鴻氏に養子入りした糜氏の娘、身元を偽装
改姓・通称/寇氏→鴻氏→芙蓉/糜夫人(姓のみ)/身の安全や婚姻工作のため改姓・通称変更
婚姻の経緯/劉恢のもとで逗留し劉備と再会 → 惹かれ合う/徐州到任後、糜竺が妹を献上/徐州赴任前に再会→糜竺の後押しで正式婚姻へ
消息・死/荊州逃亡時に命を落とす/趙雲に子(阿斗)を託し自害/芙蓉の最期は史実通り、ただし身分偽装の中で死去
■接合のための創作的経緯
1. 幼少期の背景
- 芙蓉(本名:糜白蓮)は糜氏の娘として生まれるが、一族の政敵との対立や縁戚の粛清を避けるため、幼くして鴻氏の養女となる。
- 公式には「寇氏の孫」→「鴻氏の娘」として登録される(政治的安全対策)。
2. 幽閉と逗留
- 鴻氏が没落したことで、元の一族との縁が薄れ、劉恢によって庇護される。
- この期間中に劉備と出会い、互いに淡い想いを抱くが、政情不安のため離別。
3. 徐州での再会と婚姻
- 糜竺が劉備を徐州牧として迎えた際、「養女」としての白蓮の身分が表に出る。
- 糜竺が妹と明かすことで婚姻が実現、公式記録には「糜夫人」として残る。
4. 芙蓉姫としての通称
- 劉備は私的に彼女を「芙蓉(ふよう)姫」と呼び続け、周囲にも広まった。
- 宮中では「糜夫人」、劉備の周囲では「芙蓉」と二重呼称が定着。
■家庭の事情による偽装の意義
- 鴻氏・寇氏の没落により、実名を使うと政敵の攻撃を受けるリスクがあった。
- 養女・通称・偽装姓により、命を守るための身分隠しが必要だった。
- その偽装が、後に劉紅蓮の出生や立場にまで影響する…というドラマ性も生まれる。
この設定なら、芙蓉姫の“詩的な呼び名”と、糜夫人という“政治的立場”を両立させつつ、彼女が抱えていたアイデンティティのねじれと葛藤を描けます。
もし進めるなら、芙蓉が劉紅蓮に“本当の出自”を語る場面など、次世代に継がれる記憶として描くのも面白そうです。どんな語りで残すか、一緒に考えてみませんか?
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【感想】
※「糜白蓮」は私が創作した糜夫人の本名です。「芙蓉」から連想して命名しました。
今回は吉川英治版「三国志」がメインとなるので番外編とさせていただきました。
子供の頃から読んでて「どういう事?」と混乱していた謎が、どうやらふわっとしていた事が判明wそりゃ三国志大戦で甘夫人設定になるよ!!
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