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「夜羽の舎弟って、どういう事? あなたたち、中学時代の知り合いか何か?」
埒が明かないので事情を訊ねる私に、二人は顔を見合わせる。
「なあ、どうする?」
「この際だ、彼女にも協力してもらうか」
「あーっ! やめて言わないで、赤井君、火山君!!」
慌てるあまり、二人の名前を言っちゃってるけど、まあそこは予想通りなのでスルーして。
「よっぴ、この二人しつこそうよ? ちゃんと一人で断れんの、あんたが?」
「う……でも、ミトちゃんを巻き込む訳には」
「やっぱりそっち関係なのね、はあ……まあ、いざって時のために炎谷さんに連絡入れておけばいいじゃない。
それに……もうあんたに隠し事されるの、やだし」
そこを突かれると弱い夜羽はくしゃっと顔を歪めると、しぶしぶ彼らに向き合った。
「分かった、話は聞くよ……」
「ヒューッ! さっすが二代目『赤眼のミシェル』!」
赤井君だか火山君だかに囃し立てられ、思いっきり嫌そうな顔をする夜羽。サングラスで別人になってた時は自分からハッタリでそう言ってたのに。
二人に促され、私たちは当初よりも安そうな喫茶店に入った。お客の入りも少ないし、何て言うかボロっちい。前の人が使ったテーブルくらい拭いてよ……
「申し遅れました。俺は夜羽さんの中学時代の舎弟その①、赤井雹と申します」
「同じく、舎弟その②の火山海です。お見知り置きを」
「だ、だから舎弟じゃないってば……」
夜羽が震え声で言い訳するが、どうせサングラスかけてる時に交わした事なら、気にするだけ無駄だ。二人は中学時代に夜羽に起きた出来事を語ってくれた。
△▼△▼△▼△▼
「おうおう、このチビ俺らにぶつかっといて詫びもなしか? てめぇのせいで腕が折れちまったよ」
「こっちは大事な一張羅が汚れちまったなぁ? クリーニング代寄越せよコラ」
チンピラ同然の言いがかりをつけられる夜羽だったが、相手も自分も同じ中三だったりする。この時、夜羽はクラスメートにパシらされている最中だった。購買のパンが売り切れていたため、仕方なく近所のコンビニまで全速力で買いに来ていた。
(た、他校の生徒だ~! 助けて鶴戯~~)
半泣きになりながら、されるがまま財布を抜き取られる。
「お? いっちょ前に彼女持ちかよ……生意気だから呼び出して俺らで楽しもうぜ!」
スマホと学生証などが入ったパスケースも奪われ、中の写真を見られてカッとなる。自分のせいで、大切な人が危機に晒されるなんて……一度は危険だと封印していた力を、見せてやるべきか?
(もしまたあの時みたいな事になったら……だけど、ここでやらなきゃ美酉ちゃんが危ない!)
迷う夜羽を前に、不良たちがゲラゲラ笑いながらスマホを弄る。迷っている時間はなかった。
『坊ちゃん、どうしてもその力を振るうのが怖いのでしたら、あなたのお父上がいつもかけてらした、このサングラスをお使い下さい』
(今からこいつらを叩きのめすのは、僕じゃない。『赤眼のミシェル』だ――)
内ポケットに入れてあったサングラスをかけた瞬間、視界が真っ赤に染まり……
「お、覚えてろよ!」
「俺らの後ろには『虻さん』がついてるんだからな!」
捨て台詞と共に逃げていく、ボコボコになった二人組の姿があった。
荒い息を吐きながら、夜羽は両手を見る。本当に、自分がやったのだろうか? 呆気なく撃退できたため現実味がなかったが……赤いレンズを通して見た世界は、夜羽を縛り付けていたあらゆるものから解放し、信じられないほどの昂揚感を与えてくれたのだった。
埒が明かないので事情を訊ねる私に、二人は顔を見合わせる。
「なあ、どうする?」
「この際だ、彼女にも協力してもらうか」
「あーっ! やめて言わないで、赤井君、火山君!!」
慌てるあまり、二人の名前を言っちゃってるけど、まあそこは予想通りなのでスルーして。
「よっぴ、この二人しつこそうよ? ちゃんと一人で断れんの、あんたが?」
「う……でも、ミトちゃんを巻き込む訳には」
「やっぱりそっち関係なのね、はあ……まあ、いざって時のために炎谷さんに連絡入れておけばいいじゃない。
それに……もうあんたに隠し事されるの、やだし」
そこを突かれると弱い夜羽はくしゃっと顔を歪めると、しぶしぶ彼らに向き合った。
「分かった、話は聞くよ……」
「ヒューッ! さっすが二代目『赤眼のミシェル』!」
赤井君だか火山君だかに囃し立てられ、思いっきり嫌そうな顔をする夜羽。サングラスで別人になってた時は自分からハッタリでそう言ってたのに。
二人に促され、私たちは当初よりも安そうな喫茶店に入った。お客の入りも少ないし、何て言うかボロっちい。前の人が使ったテーブルくらい拭いてよ……
「申し遅れました。俺は夜羽さんの中学時代の舎弟その①、赤井雹と申します」
「同じく、舎弟その②の火山海です。お見知り置きを」
「だ、だから舎弟じゃないってば……」
夜羽が震え声で言い訳するが、どうせサングラスかけてる時に交わした事なら、気にするだけ無駄だ。二人は中学時代に夜羽に起きた出来事を語ってくれた。
△▼△▼△▼△▼
「おうおう、このチビ俺らにぶつかっといて詫びもなしか? てめぇのせいで腕が折れちまったよ」
「こっちは大事な一張羅が汚れちまったなぁ? クリーニング代寄越せよコラ」
チンピラ同然の言いがかりをつけられる夜羽だったが、相手も自分も同じ中三だったりする。この時、夜羽はクラスメートにパシらされている最中だった。購買のパンが売り切れていたため、仕方なく近所のコンビニまで全速力で買いに来ていた。
(た、他校の生徒だ~! 助けて鶴戯~~)
半泣きになりながら、されるがまま財布を抜き取られる。
「お? いっちょ前に彼女持ちかよ……生意気だから呼び出して俺らで楽しもうぜ!」
スマホと学生証などが入ったパスケースも奪われ、中の写真を見られてカッとなる。自分のせいで、大切な人が危機に晒されるなんて……一度は危険だと封印していた力を、見せてやるべきか?
(もしまたあの時みたいな事になったら……だけど、ここでやらなきゃ美酉ちゃんが危ない!)
迷う夜羽を前に、不良たちがゲラゲラ笑いながらスマホを弄る。迷っている時間はなかった。
『坊ちゃん、どうしてもその力を振るうのが怖いのでしたら、あなたのお父上がいつもかけてらした、このサングラスをお使い下さい』
(今からこいつらを叩きのめすのは、僕じゃない。『赤眼のミシェル』だ――)
内ポケットに入れてあったサングラスをかけた瞬間、視界が真っ赤に染まり……
「お、覚えてろよ!」
「俺らの後ろには『虻さん』がついてるんだからな!」
捨て台詞と共に逃げていく、ボコボコになった二人組の姿があった。
荒い息を吐きながら、夜羽は両手を見る。本当に、自分がやったのだろうか? 呆気なく撃退できたため現実味がなかったが……赤いレンズを通して見た世界は、夜羽を縛り付けていたあらゆるものから解放し、信じられないほどの昂揚感を与えてくれたのだった。
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