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異世界人編
殿下の頼み事
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殿下からの呼び出しなど、断れるはずがない。とは言え、今まで目立たず過ごしてきたはずの『リジー』に一体何の用だと言うのだろう。まさかあんな事言って、やっぱりカンニング疑惑が……
――なんて考えていたら、もうクラス委員会が始まっていた。休暇明けは始業式だけなので当然だったが。
(困ったな……アステル様に相談するタイミングが)
キョロキョロと周りを見渡したけれど、気配を消しているのか見当たらない……自分の婚約者なのに。そう言えば休暇中にマスクを新調すると言っていた。前学期では魔法の存在など疑わしいものだったのだが、伯爵領であんな体験をした後では信じざるを得ない。
「在学中のエリザベスの部屋を学園長宅で用意すると通達があってな……特定の生徒を贔屓すべきではないと抗議したんだが、寮の部屋が襲撃に遭った事によるやむを得ない措置だと突っぱねられてしまった」
口惜しそうに言い捨てる殿下だけど、それはそうでしょうよ。むしろベクトルは違えど『エリザベス』もラク様も殿下は特別扱いしてる上に、生徒会主導で生徒たちに強いているんだから。
プクーッと頬を膨らませていると、殿下と目が合ってしまい、慌てて俯く。ううっ、バカみたいな顔してるとこ見られちゃったわ……しかもジュリアンからも刺すような視線が。
「……まあ、今のところは表向き問題になるような行動は取っていないから、学園長には監視役として特別に行動を共にする事を許可した。試験の結果など、かなり疑わしかったがな……教師にも何度も確認して、カンニングを行える状況ではなかった上での七位だという事だ」
えっ、あたし二学年の試験、総合で七位だったの!? す、すごくない? 去年はどう頑張っても十位より上に行けなかったのに、これだけ妨害されて七位って! これもアステル様のおかげね!
「何をニヤけている。真面目に聞いてろ」
「は、はいっ!」
ジュリアンが唸るように低い声で威嚇してきたので、つい勢いよく返事してしまう。一気に注目され、冷や汗をかきながらも座り直すと、咳払いした殿下に引き続きエリザベスの監視を行うように伝えられ、解散となった。
……さて。
「残ってもらって悪かったな」
「いいえっ」
会議室には殿下とあたし、それに何故かラク様だけが残されていた。漂う緊張感に声が震えそうになり、意識して張り上げる。少しでも気を抜くと『エリザベス』に寄ってしまうのだ……あるいはバレたからこその呼び出しなのかしら?
「それで、頼みたい事というのは……言いにくいのだが、ラクと友人になって欲しいのだ」
「は……ラク様と、あたしが……ですか?」
あまりにも予想外の展開に、あたしは目が飛び出そうなくらい驚いた。だってラク様と仲良くしろだなんて、殺害未遂容疑のある『エリザベス』だったら絶対にあり得ないじゃない?
「何だ、不服か?」
「とと、とんでもございませんっ! ただ、あたしはまだ一学年でっ、何故ラク先輩と、その……」
殿下に命令されれば、たかが男爵令嬢としては受けざるを得ないのだけれど、それでも一応、どういうつもりかは聞いておかなければ。後でアステル様とも相談しなくちゃいけないし。
――なんて考えていたら、もうクラス委員会が始まっていた。休暇明けは始業式だけなので当然だったが。
(困ったな……アステル様に相談するタイミングが)
キョロキョロと周りを見渡したけれど、気配を消しているのか見当たらない……自分の婚約者なのに。そう言えば休暇中にマスクを新調すると言っていた。前学期では魔法の存在など疑わしいものだったのだが、伯爵領であんな体験をした後では信じざるを得ない。
「在学中のエリザベスの部屋を学園長宅で用意すると通達があってな……特定の生徒を贔屓すべきではないと抗議したんだが、寮の部屋が襲撃に遭った事によるやむを得ない措置だと突っぱねられてしまった」
口惜しそうに言い捨てる殿下だけど、それはそうでしょうよ。むしろベクトルは違えど『エリザベス』もラク様も殿下は特別扱いしてる上に、生徒会主導で生徒たちに強いているんだから。
プクーッと頬を膨らませていると、殿下と目が合ってしまい、慌てて俯く。ううっ、バカみたいな顔してるとこ見られちゃったわ……しかもジュリアンからも刺すような視線が。
「……まあ、今のところは表向き問題になるような行動は取っていないから、学園長には監視役として特別に行動を共にする事を許可した。試験の結果など、かなり疑わしかったがな……教師にも何度も確認して、カンニングを行える状況ではなかった上での七位だという事だ」
えっ、あたし二学年の試験、総合で七位だったの!? す、すごくない? 去年はどう頑張っても十位より上に行けなかったのに、これだけ妨害されて七位って! これもアステル様のおかげね!
「何をニヤけている。真面目に聞いてろ」
「は、はいっ!」
ジュリアンが唸るように低い声で威嚇してきたので、つい勢いよく返事してしまう。一気に注目され、冷や汗をかきながらも座り直すと、咳払いした殿下に引き続きエリザベスの監視を行うように伝えられ、解散となった。
……さて。
「残ってもらって悪かったな」
「いいえっ」
会議室には殿下とあたし、それに何故かラク様だけが残されていた。漂う緊張感に声が震えそうになり、意識して張り上げる。少しでも気を抜くと『エリザベス』に寄ってしまうのだ……あるいはバレたからこその呼び出しなのかしら?
「それで、頼みたい事というのは……言いにくいのだが、ラクと友人になって欲しいのだ」
「は……ラク様と、あたしが……ですか?」
あまりにも予想外の展開に、あたしは目が飛び出そうなくらい驚いた。だってラク様と仲良くしろだなんて、殺害未遂容疑のある『エリザベス』だったら絶対にあり得ないじゃない?
「何だ、不服か?」
「とと、とんでもございませんっ! ただ、あたしはまだ一学年でっ、何故ラク先輩と、その……」
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