ハの国史 「いきなり国家を救えと言わましても! 転生先はまさかの内乱真っ只中!? 俺に何ができるってんですか!」

癸から甲

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第六話「第二次ハの国海戦勃発」

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前書き
 物語が第六話から始まるのは構成上の意図によるものであり投稿ミスではありません。海戦に至るまでの経緯は一話から五話に書かれますのでお楽しみください。

 ハの国東部海域に戦艦〈あぎょう〉と空母〈うんぎょう〉が展開すると間もなくして艦内放送が鳴り響く。

ミコト
「こちら艦長のミコト!全艦に通達する! 敵ドミトリー艦隊、北の水平線の彼方より接近! 右翼に戦艦〈ヴラムシャプー〉、中央に敵艦隊司令官座上艦〈アルタクシアス〉、左翼に戦艦〈コスロブ〉を配置し、梯陣で前進中! 繰り返す! 敵艦隊、梯陣で接近! 全艦、迎撃態勢を整えよ!」

 青空に響く警報が鳴り響き敵艦隊から次々と空間推進機を起動させた敵兵士達が発艦し接近している事を告げる。接敵は目前だ。

ユウ
「まずはこの敵の攻撃を凌ぎ切らなければならないな」

 自分に言い聞かせるようにつぶやき、〈うんぎょう〉から発艦を開始する。

ユウ
「出るぞ!」


【資料1】第二次ハの国海戦図
(国防省戦術研究所所蔵)

 俺は空間推進機を起動し空を舞う。宙に浮かび前進した後、俺は振り返る。その視線の先には、〈あぎょう〉と〈うんぎょう〉が堂々たる威容を誇る。鋼鉄の巨躯を持つ〈あぎょう〉は、大口径十二門の砲塔を備え圧倒的な威圧感を放つ。一方、〈うんぎょう〉は広大な甲板を擁し優美な姿がひときわ目を引く。二隻の艦影はまさにハの国の運命を背負う鉄の城だ。

 俺の目の前に敵兵士二人が俺に向かって突撃してくる。こいつらは雷撃隊を護衛する直掩隊の一部なのだろう。一人はロングソードを振りかざし、もう一人は後方からライフルを構えて狙っている。

 ロングソードを振るう突撃兵が前に立ち、ライフルを持ったもう一人が後方から支援する。この連携は見事だが、俺のステータスは〈戦闘練度S〉〈空中移動適性S〉。ハの国では最強だ。ミコトとの訓練の成果もあり冷静に状況を見極めることができる。

 俺はロングソード兵に向かって一式軍刀を構えた。敵が刃を振りかざした瞬間、鋼がぶつかる衝撃音が響き渡り相手の勢いを削いだ。その隙を突いて斬撃を加える。

 一人を仕留めたが後続のライフル兵がすかさず銃口を俺に向ける。

ミコト
「やらせない!」

 その時ミコトの声が俺の後方から響く。ミコトの三式飛錨銃から放たれたフックショットが敵兵を正確に捕らえ、その鋭いワイヤーがライフル兵を引き寄せる。

 ワイヤーに絡め取られた敵兵は抗う間もなくミコトは軍刀を抜きその首を落とす。

ミコト
「ユウ! 二時の方向! 〈あぎょう〉に向かい魚雷の符を準備している敵が五人!」

 ミコトが俺に情報を伝える。

 俺の視線の先に映ったのは超低空飛行で海面に水しぶきを上げながら〈あぎょう〉へと迫る敵雷撃隊の姿だ。

 俺とミコトはすぐに空間推進器をフル稼働させ敵雷撃隊が展開する方向へと飛び迎撃に現れた敵兵士たちを息を合わせながら次々と斬り倒し道を切り開いていく。

 やがて魚雷の符を使おうとする敵兵の一人に俺は斬撃を加える。その兵士は勢いよく海面に叩きつけられ数度跳ねた後やがて海へと沈んでいく。

 しかし残る四人が符を発動させた。その瞬間、彼らの目の前に魚雷の形をしたエネルギーの塊が出現し下手投げで魚雷を投射する。

 四本の魚雷が白い航跡を描きながら〈あぎょう〉に向かって進んでいく。

 ミコトは魚雷に向かいながら敵兵をすれ違いざまに仕留め、その軍刀で一閃を加える。

 俺も続いて敵兵三人を斬撃で仕留める。

 俺はスキル〈絶対照準〉を発動し、小銃を構えて魚雷を狙う。引き金を引くと弾丸は正確に目標へと向かいそのうち二本を撃ち抜くことに成功する。炸裂した魚雷が巨大な水柱を巻き上げるが残る二本の進行を止めるには至らなかい

〈あぎょう〉は一本の魚雷をかろうじて回避するものの一本が着弾寸前まで迫る。

ミコト
「間に合えぇぇぇ!」

 ミコトは空間推進器の速度を限界まで引き上げ、魚雷に並ぶと斬撃を繰り出す。魚雷は爆発し〈あぎょう〉の船体を衝撃波が激しく揺るがした。

ユウ
「ミコト!」

 俺はミコトの名前を予備爆発の余波の中、俺はミコトの元へ全速力で駆け寄る。

 ミコトの身体は無事だったが、その表情には疲労が色濃く浮かべている。

 俺はミコトを抱きかかえ〈あぎょう〉の甲板で彼女と向き合う。

ミコト
「私は大丈夫。軽傷よ」

 ミコトは静かにそう言った。

ミコト
「……っく……!」

 だが、その直後、彼女の右腕に激痛が走ったのか顔を歪めるも言葉を続ける。

ミコト
「少しでも作戦の成功確率を上げないと…」

ユウ
「〈あぎょう〉の艦長はミコトだろう。それなら無理に前線へ出る必要はないはずだ」

 俺はその強情さに敬意を払いながらも静かに諭す。

ミコト
「でも……ユウが心配だったから……」

 ミコトは空を見上げ、しばし考えた後、敵の攻撃を凌ぎ切ったことを確信したようだ。そして頷き言葉を続ける。

ミコト
「そうね、私、〈あぎょう〉の艦橋へ戻るわ」

ユウ
「例の戦術上手くやってくれよ。」

 俺はミコトに艦隊殲滅のため希望を託す。そしてミコトを抱きかかえたその瞬間

ミコト
「ちょ!歩けるわよ!」

ユウ
「わかってるさ。でも、今は俺にこうさせてくれ」

 ミコトは一瞬俺の胸に顔をうずめたがすぐに腕をほどき、まっすぐ俺の目を見つめて言葉を発する。

ミコト
「こんな姿見られたら兵が動揺するわ。気持ちは受け取る。ありがとうユウ」

俺は小さく頷き言葉を発する。

ユウ
「ミコトの言う通りだな。」

 俺はミコトともに〈あぎょう〉の艦橋へと向かう。
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