ハの国史 「いきなり国家を救えと言わましても! 転生先はまさかの内乱真っ只中!? 俺に何ができるってんですか!」

癸から甲

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第五話「決戦へ」

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 和平提案拒否演説後、俺たちは決戦に向けて全ての準備を始めた。

 中破した〈あぎょう〉を修理し艦首側に六門、艦尾側に六門、合計十二門の大口径砲を積み、大破した〈うんぎょう〉は内部区画の再設計に加え甲板や航空管制室も改装が施された。

 俺はミコトと昼夜を問わず戦闘訓練を始め続けた。その日々は過酷だったが、俺は確実に成果を上げていった

 数か月後、ソファに腰を下ろし空間推進機のフライトマニュアルをスマホで読んでいるとミコトが近づき話を切り出す。

ミコト
「ドミトリーがハ人民共和国の代表のゾンガと和平交渉の場を設けたという情報が入ったわ」

 その声には微かな緊張と冷静な分析が入り混じっている。

ミコト
「それに加えて自ら艦隊を率いてに向けて出航したという話もあるの」

 ミコトは視線を俺に向け問いかけるように続けた。

ミコト
「ユウ、あなたはこの意図をどう思う?」

 俺はミコトの疑問に対し自分の考えを率直に伝える。

ユウ
「以前の演説では耳触りの良い言葉で真の目的を巧妙に隠しながら穏やかな口調で交渉に臨む姿勢を見せていた。しかし実際には圧倒的な海軍力を背後にちらつかせ強引に要求を押し通すつもりであることは明白だ。これは典型的な棍棒外交だな。ドミトリーとゾンガの和平交渉で何が決まるのかは分からない。しかし、かつてミコトに提示された和平条件と同様の内容を、ドミトリーがゾンガにも突きつける可能性が高い。もしゾンガがその条件を受け入れればハ人民共和国の存続が認められ、ドミトリーとゾンガの間で何らかの取り決めが結ばれることになるだろう」

 俺はひと呼吸置いて言葉を続ける。

ユウ
「だが俺たちにとって重要なのはドミトリーが交渉に艦隊を伴っているという事実だ。
これこそが奴を叩く絶好の機会だと思う。このタイミングで敵艦隊を殲滅するべきだ」

 ミコトは俺の目を真っ直ぐに見つめ覚悟を秘めた表情で静かに言葉を紡ぐ。

ミコト
「そうね、この機を逃せば次はいつ掴めるか分からない。私たちが勝つため準備を万全にしたのはこの好機のためだとおもうわ。」

 俺とミコトの意見は完全に一致している。ハの国の未来を賭けた戦いがこれほど早く訪れるとは思いもしなかった。だが、この運命を受け入れる覚悟はすでに俺の中で固まっていた。

 そして出航の日が訪れる。

 俺は〈うんぎょう〉に乗り込む前にミコトに決意を述べる。

ユウ
「これでやるしかないな」

 俺とは別に〈あぎょう〉に乗り込むミコトが頷き静かに言葉を発する。

ミコト
「ええ、必ず勝ちましょう」

 〈うんぎょう〉の甲板から前方の水平線を見据える。俺の目の前では〈あぎょう〉がハの国の軍旗をたなびかせながら決戦の地へ向けて静かに進んでいく。
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