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第四章 窮地と平穏
第十八話 優しさ
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王太子がホールに戻ってから数分後、両親とナタリー、そしてナタリーの両親が応接室を訪れた。
王太子が事情を話してくれたらしく、五人はひどく不安げな顔をしていた。あまりにも悲痛な表情を浮かべるものだから、こちらが笑って安心させなければと必死になってしまったほどである。
しかし、心配してくれたのはとても嬉しかった。
ナタリーの両親であるトレス伯爵夫妻は、自分たちもシャーロットの元へ行きたい気持ちはあるが大勢で押し掛けるのもどうかと思い、悶々としていたらしい。
結局こうして訪れたわけだが、やはり早めに退室すると言った。
ナタリーは、シャーロットが子息に詰め寄られた一因は自分にあると自責の念に駆られていたようだった。彼女曰く「私が変に勘繰ってシャーロットを一人にしたからいけなかったのよ」とのこと。
全くそんなことはないと否定したが、すぐには気が収まらないと見えて、しばらく項垂れていた。
そんな彼女を何とか説得し、普段から気にかけてくれてありがとうと告げた辺りでようやく、彼女の表情から悔やみが消えたように思う。
シャーロットの両親に至っては、今にも泣き出しそうな表情を浮かべて娘を抱き締めた。娘が侯爵子息に詰め寄られて震えている、と突然聞かされたら、心配で堪らなくなるのは親として当然とも言える。
ひとまず娘の無事を確認した彼らは、安堵しつつもやはり娘の胸中を案じているようだった。
ただ、王太子と同様に彼らにも責務がある。
王宮パーティーは、フォード伯爵家の現当主夫妻として、国王夫妻や他の領主の方々と情報交換、社会交流をする絶好の機会だ。
今回の王宮パーティーはほぼ全ての貴族が参加していると聞いた。なかなか会うことの出来ない方々と、積もる話もあるだろう。
さらに、多くの人々が集まるパーティーは新たな交流を始める機会でもある。
自身を心配してくれるのは非常に感謝しているが、シャーロットには、両親にこの機会を逃してほしくないという願いもあった。
そこで自身の気持ちをしっかりと話し、今は落ち着いていると伝えた上で、パーティーに戻ってほしいと頼んだのである。
そして両親は、パーティーの終わりにまた様子を見に来ると告げ、応接室を後にしたのだった。
どれくらい時間が経っただろうか。
侍女のフローラと話を弾ませていたシャーロットは、ふと壁掛け時計に目を遣った。思ったよりも時間が過ぎている。
その時、換気のために開けていた窓の外から男性の話し声が聞こえ、シャーロットは思わず身を縮ませた。
あの子息ではない。そう分かっていても、体が勝手に反応してしまった。震え始める手を握り締め、必死に抑える。
「そろそろ、窓を閉めましょうか」
シャーロットの様子を見たフローラは、さっと立ち上がり静かに窓を閉めた。
「ありがとうございます」
彼女の気遣いを悟り、シャーロットはそう答えた。
やはり、恐怖は消え去っていない。羽織のおかげで体は温かいが、彼女は自身の体を抱き締めるように両手を腕に添えた。
閉めた窓の外から、僅かに馬車の音が聞こえてくる。ちらほらと帰る人が出てきたようだ。パーティーは終盤なのだろう。
しかし、ダンスの音楽が耳に入ってくる。まだ完全に終了したわけではないらしい。
今頃、ナタリーはグラント辺境伯子息にアプローチを続けているのだろうか。
パーティーの中盤で話を聞いた時は、かなり好感触を得ている様子だった。親友として、彼女の恋路を応援したい。
トレス伯爵夫妻や自身の両親も、様々な人々との会話を楽しんでいるはずだ。
王太子殿下も、社交に勤しんでいると思われる。
「シャーロット様、お茶をご用意いたしましょうか?」
ぼんやりと会場の様子を想像していると、フローラが口を開いた。
「あ……お願いします」
ちょうど、少し喉が乾いてきた。シャーロットは椅子に座り直し、フローラの淹れてくれたお茶を受け取った。
ほんのりと湯気の立つティーカップを見つめる。透き通った茶の表面に、新緑の瞳が写り込んでいる。しかし、その水面は静まることなく、ゆらゆらと揺れている。
シャーロットはそれによって、自身の手が震えていることを知った。
怯えに見て見ぬふりをして、カップに口を付ける。
唇から温かなお茶が流れ込み、体の芯へと染み渡る。カップの水面は、口を離した後も、やはりゆらゆらと揺れていた。
止まって──そう思うほど、抑えが効かなくなっていく。シャーロットは、深呼吸を繰り返した。
その時、扉をノックする乾いた音が室内に響く。フローラが扉を開ける気配がし、入ってきた人物は言った。
「やっぱり、大丈夫ではなさそうだね」
やや不安の混じる声色である。彼はコツコツと靴音を響かせ、シャーロットの座る椅子の前で足を止めた。
「殿下……!どうして」
パーティーは。参加者の方々は。国王夫妻には何と言って来たのか──。目を見開きながら、シャーロットはホールに戻ったはずの王太子を見つめた。
「さっき、最後の挨拶をしてきたところなんだ。パーティーはもうお開きだよ」
「そうなんですか」
いつの間にか、遠くで聞こえていたダンスの音楽が鳴り止んでいる。王太子はパーティーの最後まで務めを果たしてくることができたようだ。
「シャーロット嬢、安心してる?」
彼がふいに問いかけ、シャーロットは頷いた。
「私が原因で席を外したままなのは、申し訳なさ過ぎるので」
こういうところはシャーロットの美点であると思うが、今回ばかりは自分本意で考えても良さそうなものだけどな、と王太子は苦笑いした。
この三か月接して分かってきたこと、それはシャーロットが周りを第一に考える傾向にあるということだ。
もちろん、他者を思いやることは大切だ。それを当たり前のようにできる彼女は素晴らしいし、尊敬できる。
しかし、他者を気にするあまり、彼女は常に自分のことを後回しにしているように思う。今回だってそうだ。
パーティーに戻ってほしいと言われた時、本当はその場に残りたかった。彼女の震えは収まっていなかったし、彼女のことが心配だったからだ。
しかし、王太子という立場上こういう時に自由な行動ができないことは分かっていた。そして、彼女がそれを理解してあの台詞を言ったということも。
貴族としてのシャーロットの対応は、何一つ間違っていない。非常事態の時にも冷静に状況を判断できるというのは、立派な長所である。
ただ、震えを隠して気丈に振る舞う彼女の側にいたいと思ったのも、彼女の頼る相手が自分だったならと思ったのも事実だ。
ホールに戻ってからパーティー終了までの時間の、何と長かったことか。両親に事情を話し、少しばかり早めに切り上げたことは、現時点では秘密にしておこう。今は、彼女を労るのが先だ。
「心配だった。……ほら、手」
王太子はシャーロットの手元に目を遣った。透明な肌の上に、長い睫毛の影が落ちた。
「震えてる」
「これ、は」
シャーロットは両手を揃えて、無意識の震えを抑えた。そんな彼女に、王太子は静かに口を開く。
「……怖かったよね」
そっと寄り添うような言葉だ。シャーロットの視界は、次第ににじんでいった。
「頑張ったね」
「っ……」
新緑の瞳の縁に溜まった水膜から、一筋の雫が頬を伝う。止める術はなかった。シャーロットは涙に濡れた瞳で、やや苦しそうな表情を浮かべる王太子を見上げていた。
彼はそっと、ハンカチを差し出した。礼を言って受け取るシャーロット。
溢れた涙を拭くその姿を見て、王太子の手が上がり──シャーロットに触れる前に、その手はゆっくりと下ろされた。
震える彼女を安心させたいという己の願望は、今の彼女にとっては恐怖を助長させてしまうものなのかもしれない。
いくら突き飛ばす衝動が湧かない相手とはいえ、シャーロットにとって自分は男だ。その点はあの子息と変わらない。彼女が恐れることは、絶対にしたくなかった。
シャーロットが落ち着いた頃、王太子は口を開いた。
「癖、出さなかったね」
ロールズ子息に手首を掴まれていたシャーロット。終いには肩まで掴まれていたが、彼女は決して彼を突き飛ばすことはしなかった。おそらく相当我慢していたのだろう、と彼は思った。
「そうですね。殿下の特訓のおかげで、何とか耐えられました」
本当に感謝しています、とシャーロットは答えた。
「シャーロット嬢が頑張っているからこそ、俺も応援できたんだよ」
王太子は微笑む。そして、しばらくの後にふと口を開いた。
「あの時は、思いっきり突き飛ばしても良かったんじゃない?」
シャーロットは顔を上げ、彼を見た。冗談にも見えるが、本気にも見える。そんな彼に苦笑しつつ、シャーロットは頷いた。
「最後の方は、私もそう思いました。結局、震えてしまってできませんでしたけど」
悪戯っ子のように目を細めつつ腕を組む王太子は、視線を落とした彼女を少し不安げに見つめた。涙に濡れた瞳をどうにか変えたくて、彼は言った。
「今度からは突き飛ばす練習も追加しようか。実験台は俺で」
シャーロットは練習の様子を頭に思い浮かべてしまい、ふっと笑いがこぼれた。
やはり、彼は優しい。いつの間にか震えはなくなり、笑顔になってリラックスした自分がいる。
彼なりに自身の気を紛らわせてくれているのだろうかと思い、シャーロットは何とも形容し難いくすぐったさを覚えた。
王太子が事情を話してくれたらしく、五人はひどく不安げな顔をしていた。あまりにも悲痛な表情を浮かべるものだから、こちらが笑って安心させなければと必死になってしまったほどである。
しかし、心配してくれたのはとても嬉しかった。
ナタリーの両親であるトレス伯爵夫妻は、自分たちもシャーロットの元へ行きたい気持ちはあるが大勢で押し掛けるのもどうかと思い、悶々としていたらしい。
結局こうして訪れたわけだが、やはり早めに退室すると言った。
ナタリーは、シャーロットが子息に詰め寄られた一因は自分にあると自責の念に駆られていたようだった。彼女曰く「私が変に勘繰ってシャーロットを一人にしたからいけなかったのよ」とのこと。
全くそんなことはないと否定したが、すぐには気が収まらないと見えて、しばらく項垂れていた。
そんな彼女を何とか説得し、普段から気にかけてくれてありがとうと告げた辺りでようやく、彼女の表情から悔やみが消えたように思う。
シャーロットの両親に至っては、今にも泣き出しそうな表情を浮かべて娘を抱き締めた。娘が侯爵子息に詰め寄られて震えている、と突然聞かされたら、心配で堪らなくなるのは親として当然とも言える。
ひとまず娘の無事を確認した彼らは、安堵しつつもやはり娘の胸中を案じているようだった。
ただ、王太子と同様に彼らにも責務がある。
王宮パーティーは、フォード伯爵家の現当主夫妻として、国王夫妻や他の領主の方々と情報交換、社会交流をする絶好の機会だ。
今回の王宮パーティーはほぼ全ての貴族が参加していると聞いた。なかなか会うことの出来ない方々と、積もる話もあるだろう。
さらに、多くの人々が集まるパーティーは新たな交流を始める機会でもある。
自身を心配してくれるのは非常に感謝しているが、シャーロットには、両親にこの機会を逃してほしくないという願いもあった。
そこで自身の気持ちをしっかりと話し、今は落ち着いていると伝えた上で、パーティーに戻ってほしいと頼んだのである。
そして両親は、パーティーの終わりにまた様子を見に来ると告げ、応接室を後にしたのだった。
どれくらい時間が経っただろうか。
侍女のフローラと話を弾ませていたシャーロットは、ふと壁掛け時計に目を遣った。思ったよりも時間が過ぎている。
その時、換気のために開けていた窓の外から男性の話し声が聞こえ、シャーロットは思わず身を縮ませた。
あの子息ではない。そう分かっていても、体が勝手に反応してしまった。震え始める手を握り締め、必死に抑える。
「そろそろ、窓を閉めましょうか」
シャーロットの様子を見たフローラは、さっと立ち上がり静かに窓を閉めた。
「ありがとうございます」
彼女の気遣いを悟り、シャーロットはそう答えた。
やはり、恐怖は消え去っていない。羽織のおかげで体は温かいが、彼女は自身の体を抱き締めるように両手を腕に添えた。
閉めた窓の外から、僅かに馬車の音が聞こえてくる。ちらほらと帰る人が出てきたようだ。パーティーは終盤なのだろう。
しかし、ダンスの音楽が耳に入ってくる。まだ完全に終了したわけではないらしい。
今頃、ナタリーはグラント辺境伯子息にアプローチを続けているのだろうか。
パーティーの中盤で話を聞いた時は、かなり好感触を得ている様子だった。親友として、彼女の恋路を応援したい。
トレス伯爵夫妻や自身の両親も、様々な人々との会話を楽しんでいるはずだ。
王太子殿下も、社交に勤しんでいると思われる。
「シャーロット様、お茶をご用意いたしましょうか?」
ぼんやりと会場の様子を想像していると、フローラが口を開いた。
「あ……お願いします」
ちょうど、少し喉が乾いてきた。シャーロットは椅子に座り直し、フローラの淹れてくれたお茶を受け取った。
ほんのりと湯気の立つティーカップを見つめる。透き通った茶の表面に、新緑の瞳が写り込んでいる。しかし、その水面は静まることなく、ゆらゆらと揺れている。
シャーロットはそれによって、自身の手が震えていることを知った。
怯えに見て見ぬふりをして、カップに口を付ける。
唇から温かなお茶が流れ込み、体の芯へと染み渡る。カップの水面は、口を離した後も、やはりゆらゆらと揺れていた。
止まって──そう思うほど、抑えが効かなくなっていく。シャーロットは、深呼吸を繰り返した。
その時、扉をノックする乾いた音が室内に響く。フローラが扉を開ける気配がし、入ってきた人物は言った。
「やっぱり、大丈夫ではなさそうだね」
やや不安の混じる声色である。彼はコツコツと靴音を響かせ、シャーロットの座る椅子の前で足を止めた。
「殿下……!どうして」
パーティーは。参加者の方々は。国王夫妻には何と言って来たのか──。目を見開きながら、シャーロットはホールに戻ったはずの王太子を見つめた。
「さっき、最後の挨拶をしてきたところなんだ。パーティーはもうお開きだよ」
「そうなんですか」
いつの間にか、遠くで聞こえていたダンスの音楽が鳴り止んでいる。王太子はパーティーの最後まで務めを果たしてくることができたようだ。
「シャーロット嬢、安心してる?」
彼がふいに問いかけ、シャーロットは頷いた。
「私が原因で席を外したままなのは、申し訳なさ過ぎるので」
こういうところはシャーロットの美点であると思うが、今回ばかりは自分本意で考えても良さそうなものだけどな、と王太子は苦笑いした。
この三か月接して分かってきたこと、それはシャーロットが周りを第一に考える傾向にあるということだ。
もちろん、他者を思いやることは大切だ。それを当たり前のようにできる彼女は素晴らしいし、尊敬できる。
しかし、他者を気にするあまり、彼女は常に自分のことを後回しにしているように思う。今回だってそうだ。
パーティーに戻ってほしいと言われた時、本当はその場に残りたかった。彼女の震えは収まっていなかったし、彼女のことが心配だったからだ。
しかし、王太子という立場上こういう時に自由な行動ができないことは分かっていた。そして、彼女がそれを理解してあの台詞を言ったということも。
貴族としてのシャーロットの対応は、何一つ間違っていない。非常事態の時にも冷静に状況を判断できるというのは、立派な長所である。
ただ、震えを隠して気丈に振る舞う彼女の側にいたいと思ったのも、彼女の頼る相手が自分だったならと思ったのも事実だ。
ホールに戻ってからパーティー終了までの時間の、何と長かったことか。両親に事情を話し、少しばかり早めに切り上げたことは、現時点では秘密にしておこう。今は、彼女を労るのが先だ。
「心配だった。……ほら、手」
王太子はシャーロットの手元に目を遣った。透明な肌の上に、長い睫毛の影が落ちた。
「震えてる」
「これ、は」
シャーロットは両手を揃えて、無意識の震えを抑えた。そんな彼女に、王太子は静かに口を開く。
「……怖かったよね」
そっと寄り添うような言葉だ。シャーロットの視界は、次第ににじんでいった。
「頑張ったね」
「っ……」
新緑の瞳の縁に溜まった水膜から、一筋の雫が頬を伝う。止める術はなかった。シャーロットは涙に濡れた瞳で、やや苦しそうな表情を浮かべる王太子を見上げていた。
彼はそっと、ハンカチを差し出した。礼を言って受け取るシャーロット。
溢れた涙を拭くその姿を見て、王太子の手が上がり──シャーロットに触れる前に、その手はゆっくりと下ろされた。
震える彼女を安心させたいという己の願望は、今の彼女にとっては恐怖を助長させてしまうものなのかもしれない。
いくら突き飛ばす衝動が湧かない相手とはいえ、シャーロットにとって自分は男だ。その点はあの子息と変わらない。彼女が恐れることは、絶対にしたくなかった。
シャーロットが落ち着いた頃、王太子は口を開いた。
「癖、出さなかったね」
ロールズ子息に手首を掴まれていたシャーロット。終いには肩まで掴まれていたが、彼女は決して彼を突き飛ばすことはしなかった。おそらく相当我慢していたのだろう、と彼は思った。
「そうですね。殿下の特訓のおかげで、何とか耐えられました」
本当に感謝しています、とシャーロットは答えた。
「シャーロット嬢が頑張っているからこそ、俺も応援できたんだよ」
王太子は微笑む。そして、しばらくの後にふと口を開いた。
「あの時は、思いっきり突き飛ばしても良かったんじゃない?」
シャーロットは顔を上げ、彼を見た。冗談にも見えるが、本気にも見える。そんな彼に苦笑しつつ、シャーロットは頷いた。
「最後の方は、私もそう思いました。結局、震えてしまってできませんでしたけど」
悪戯っ子のように目を細めつつ腕を組む王太子は、視線を落とした彼女を少し不安げに見つめた。涙に濡れた瞳をどうにか変えたくて、彼は言った。
「今度からは突き飛ばす練習も追加しようか。実験台は俺で」
シャーロットは練習の様子を頭に思い浮かべてしまい、ふっと笑いがこぼれた。
やはり、彼は優しい。いつの間にか震えはなくなり、笑顔になってリラックスした自分がいる。
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