ショボい人生のやり直し?!絶対に消えたくないので真逆の人生でポイント貯める

亀野内アンディ

文字の大きさ
43 / 206
第一章

佐藤はツイてない日がデフォだ

しおりを挟む
「大丈夫そうだな」

 先程トーマス先生に見た目がゲームな花の種を食べさせられたが、今の所体調に変化はない。先生に噛みつこうとしていた花の部分をパクリと食べたニーチェも普段通りで安心する。

「全く油断も隙もない」

シュクルは少々呆れながらギルドへ向かう。ノエルとクラリスのクラスはいつの間にか授業が終わっていて既に下校していた。随分とトーマス先生の家に長居をしてしまったみたいだ。

『え~?今日シュクルは魔植物を見に家に来たんでしょ~?だから種食べたいかな~?って思ったんだよ~優しさだよ~』

と、先ほどトーマス先生は言ってのけた。それに――

『ねぇねぇ~もしもだよ?未解決の殺人事件の被害者が魔力持ちだったら、シュクルに食べてもらえば犯人わかる~?』

『うぇー!勘弁して下さい!あ、もうこんな時間だ!よい子の帰宅時間です!先生ありがとうございました。さようなら!』

こんな感じで逃げて来たが⋯⋯

「この能力危険じゃないか?いつか本当にヤバい物や者?を食べさせられるかもしれない⋯⋯」

自身の安全のためにも隠した方がいいだろう。公開するのは魔獣肉から魔力を吸収出来るだけにした方がいいな。それがギフト?としよう。



「ギルドに到着だよニーチェ。ここはこれからよく来る場所だから覚えてね」

確か裏の訓練場に雑草生えてたな。ニーチェに食べてもらえば訓練場も綺麗になって一石二鳥だな。

夕方はいつも討伐や採集を終えた冒険者で賑わうのだが、今日は随分と静かなギルドの扉を押す。

「こんにちは。まずは講座チェックとクエストでも見てみるかな~?」

魔術系の講座があれば是非とも受けたし、自分的にしっくりきた戦斧、ハルバードも鍛えていきたい。

「んー?実践魔術?これは受講できるのかな?でも実践かぁ、基礎を学んだ後に実践な気がする。でも実践と応用の二パターンのみの講座もあり得る。カウンターで聞いてみるかな」


空いている受付へ向かうが今日は本当に人が少ない。

「こんにちは。質問があります。実践魔術の講座は初心者でも受けられますか?」

「こんにちは。シュクルさんお久しぶりですね。ギルド長と一緒だったのでしょう?お疲れ様。えぇと実践魔術ね、大丈夫ですよ、受講者さん達はそれぞれ能力に差があるのが当たり前なので気にせず受講して下さい」

よかった~少しでも魔術の知識や経験を得ないとな。

「そうですか安心しました。受講します。所で今日は随分静かですね?何かありましたか?」

「皆さん西側の森で討伐していますよ。何でも最近家畜を襲うグリフォンが現れたらしくて」

「?!グリフォン?」

「そう。まだ若い個体らしいけど、グリフォンの討伐だから危険度は高いのよね。それなりに経験のある冒険者はみんな参加しているわ。怪我がなければいいけど」

おいおい待ってくれよ。若い個体?まさかあの優しかったカミーユじゃないよな?

カミーユは飛べない私がここに残るのなら自分も残ると言っていた。最終的には飛び立ったけれど、私を心配してあまり遠くへは行っていない可能性はある。

ちなみに私達グリフォンの巣は北側にあった。

「ニーチェ行くよ!」

ニーチェを抱き抱えて町の人とぶつからない速度で西へと向かう。私があまり行かない西の森に近づくにつれ心臓が嫌な音を立てる。もしカミーユだったらどうしょう?もう少し早くギルドへ行っていたら私がグリフォンと会話をして家畜を食べないように交渉できたかもしれない。いや、まだ討伐されたとは決まっていない。大丈夫だ。


森の入口に着いた。

「あ、ギルドで見た事ある人だな聞いてみよう!ふーすみません!グリフォンの討伐をしてるんですか?はぁはぁ」

「おや?君は確かギルド長といる子だね?どうしたの?討伐に参加するつもりだったのかい?」

はあはあ息が整わないがそんな事は些細な事だ。

「討伐は終わりましたか?それともまだですか?はぁはぁ」

「終わったから俺は帰る所だよ。君は少し遅かっ――あぁ行っちゃった⋯⋯」

すでに討伐されただと?遅かったか!でも確認するまでは信じない。カミーユは大丈夫だ。

体に風を纏い速度を上げて森の奥から聞こえる大勢の声や気配の方へと進む。

「あ、おじさん!グリフォンの討伐はどうなってますか?!ふーふー」

ギルド名物の飲んだくれおじさんを見つけた。

「あぁ終わったよ。今解体してる」

「はぁはぁ⋯⋯解体?どこで?」

「あっちの川原だよ?⋯⋯どうした?⋯⋯うぅぅぅ」

解体だと?おいおい待ってくれよ、そんな⋯⋯もう?

失われた命は戻らないが少しでも解体の手が止まるように全速力で川原向かう。


川原はすぐそばだった。そこから血と獣の匂いが流れてくるのを嗅いだら意識が飛びそうになったが、気合で意識を留めてそばで解体をしている冒険者に尋ねる。

「⋯⋯すみません、それグリフォンですか?」

「お?あ、ああそうだが⋯⋯君はどうした⋯⋯何故そんなに⋯⋯」

あぁ私は間に合わなかった。本当に討伐されていた。ギルド長と仕事をしていて不在だったならともかく、今日はこの町にいたのに。絶望を感じながら解体途中のグリフォンを見つめる。


「おい!シュクルどうしてここにいる!その魔力を止めてくれ!お前の横のヤツが倒れるぞ!」

「サムスンさん⋯⋯グリフォンが討伐されてしまって⋯⋯」

「そりゃそうだろ!このグリフォンは被害を出し過ぎたんだ!討伐しなきゃ人間が襲われてた!それに襲われた家畜だって財産なんだぞ!財産奪われてどうやってもうすぐ来る冬を越すんだよ!」

「⋯⋯」

そんな事は十分わかっている。でも何故すべてが人間の基準なんだよ。

「お前とグリフォンの関係は聞いたよ。だがこれは仕方がないんだ。だから魔力を抑えろ⋯⋯うぅぅぅ」

「ふー、すみません皆さん興奮しすぎました。せめてそのグリフォンは私に買い取らせて下さい」

色々思う事はあるけれど、どちらが悪いなんて事はない。すでに死んでしまったのならせめて墓を作ってやりたいと思った。

「はぁ~シュクル!マジで頼むぞ?お前の覇気は心臓に悪い。見ろ、みんな力を失って動けないじゃないか。今魔獣に襲われたらお前が全部討伐しろよ」

周りを見れば立っている人は一人もいなかった。ただでさえグリフォンの討伐後だ、疲れていて当然な所に私の無意識だが容赦ない覇気を食らってしまったのだ。みんな死屍累々だ。

「グリフォン見せて下さい」

惨い現状に直視を避けたいがそれは出来ない。せめて最後に兄弟の顔を見てお別れをしたいと思った。解体されてしまった部分も出来れば綺麗に戻してあげたい。

「カミーユ⋯⋯うぅぅぅ」

涙で視界が滲む。この事態は私が飛べなかったせいで起きたんだ。もし私がいなければカミーユは遠くへ行けたのに⋯⋯

「ごめんよカミーユ⋯⋯う⋯⋯うぅぅぅ??」

グリフォンの色が気持ち濃い気がする。カミーユはこんな色だっただろうか?でも大人になったので生え変わったりしたのかも。佐藤には『俺、子供の頃は髪の色結構明るかったんだ~』と言う友人がいた。

「⋯⋯」

だが何だか匂いも違う気がする。でもトーマス先生が言っていた。大人の男はフェロモンという悪臭を纏うらしい。

「⋯⋯?」

グリフォンの顔を恐る恐る見るが、カミーユはこんな顔だっただろうか?もう少しシュっとした感じだったが⋯⋯でも佐藤の同級生は卒業して即イメチェンした。グリフォンも独り立ちと共にイメチェンもありえるのかもしれない

「⋯⋯そんな訳ねぇだろ!!お前誰だよ!!!」

このグリフォンはカミーユではなかった⋯⋯それに気づいた瞬間どっと疲れに襲われて座り込んでしまった。空を見上げると夕焼け色に染まっていた。

「おぉ、よい子は帰宅しなくてはな」

久しぶりの家族団欒だ。お腹が減ったな。今日の夕飯は何かな~?

だがゆっくりと立ち上がった瞬間、肩に重い手が添えられた。

「お~い?ちょっと待て?シュクルのせいで解体が終わらないぞ?もうすぐ日が暮れる。どうすんだ~?魔獣が出るぞ?」

「ひぃ!怖いよぅ!よい子は夜の森にいてはいけないんです!」

「大丈夫だ。ここによい子はいねぇ。悪い子は罰としてグリフォンをすべてギルドへ運びなさい。あそこに小さなリヤカーあるからな」


私は罰としてリヤカーで討伐された謎のグリフォンを運ばされた。三往復もだ。なんてついていない一日だろう⋯⋯
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない

紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。 完結済み。全19話。 毎日00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

異世界魔物大図鑑 転生したら魔物使いとかいう職業になった俺は、とりあえず魔物を育てながら図鑑的なモノを作る事にしました

おーるぼん
ファンタジー
主人公は俺、43歳独身久保田トシオだ。 人生に疲れて自ら命を絶とうとしていた所、それに失敗(というか妨害された)して異世界に辿り着いた。 最初は夢かと思っていたこの世界だが、どうやらそうではなかったらしい、しかも俺は魔物使いとか言う就いた覚えもない職業になっていた。 おまけにそれが判明したと同時に雑魚魔物使いだと罵倒される始末……随分とふざけた世界である。 だが……ここは現実の世界なんかよりもずっと面白い。 俺はこの世界で仲間たちと共に生きていこうと思う。 これは、そんなしがない中年である俺が四苦八苦しながらもセカンドライフを楽しんでいるだけの物語である。 ……分かっている、『図鑑要素が全くないじゃないか!』と言いたいんだろう? そこは勘弁してほしい、だってこれから俺が作り始めるんだから。 ※他サイト様にも同時掲載しています。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~

Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。 うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。 でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。 上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。 ——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?

異世界で俺の初級魔法が最強でした。無自覚に絶望から救った美女やエルフたちに溺愛されています

仙道
ファンタジー
やり込んでいたゲームの世界に転移した俺、渉。この世界では、俺にとっての「初級魔法」が最高峰の威力だった。しかし、他の冒険者たちが雑魚モンスター1匹に苦労しているのを見て、「みんなわざと弱い魔法を使って戦闘を楽しんでいるんだな」と思い込む。空気を読んだ俺は、手加減をして平凡な冒険者を演じることにした。街で出会った気品ある貴族の娘セリアに猛アタックするも振られ、俺はすっぱりと諦める。 そんな中、歩くたびに大きく揺れる豊満な胸と、吸い付くような肉感的な太ももを持つ冒険者リナと出会う。彼女がモンスターに武器を壊され、冒険者としての誇りを踏みにじられそうになる絶望的な場面に遭遇。俺はつい初級魔法を放ち敵を一掃してしまう。「獲物を横取りしてしまった」と激しく後悔してそっけない態度をとる俺。だが、その態度が逆に「プライドを傷つけない大人の余裕」と誤解され、リナに激しく惚れられてしまう。彼女は柔らかく熱い体をためらいなく俺に押し付け、甘い吐息がかかる距離で猛烈なスキンシップをしてくるようになった。 その後も、俺は手加減を続けながら、絶望の淵にいたセリアや、可憐なエルフのエル、活発なエルフのルミを無自覚に救い出していく。俺は毎回「余計な手出しをしてしまった」と激しく後悔するが、ヒロインたちはそんな俺の強さと優しさにますます惹かれ、激しく溺愛してくる。なぜこんなに好かれるのか全く理解できないまま、俺は柔らかくていい匂いのする女の子たちに囲まれ、この異世界で生きていくことを決める。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!

川井田ナツナ
ファンタジー
俺は慈悲深い人間だ。 だから、魔法の『ま』の字も理解していない住民たちに俺の作った魔法筆を使わせてあげていた。 だが、国の総意は『国家転覆罪で国外追放』だとよ。 馬鹿だとは思っていたが、俺の想像を絶する馬鹿だったとはな……。 俺が居なくなったら、お前ら魔法使えなくて生活困るだろうけど良いってことだよな??

処理中です...