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第一章
佐藤はツイてない日がデフォだ
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「大丈夫そうだな」
先程トーマス先生に見た目がゲームな花の種を食べさせられたが、今の所体調に変化はない。先生に噛みつこうとしていた花の部分をパクリと食べたニーチェも普段通りで安心する。
「全く油断も隙もない」
シュクルは少々呆れながらギルドへ向かう。ノエルとクラリスのクラスはいつの間にか授業が終わっていて既に下校していた。随分とトーマス先生の家に長居をしてしまったみたいだ。
『え~?今日シュクルは魔植物を見に家に来たんでしょ~?だから種食べたいかな~?って思ったんだよ~優しさだよ~』
と、先ほどトーマス先生は言ってのけた。それに――
『ねぇねぇ~もしもだよ?未解決の殺人事件の被害者が魔力持ちだったら、シュクルに食べてもらえば犯人わかる~?』
『うぇー!勘弁して下さい!あ、もうこんな時間だ!よい子の帰宅時間です!先生ありがとうございました。さようなら!』
こんな感じで逃げて来たが⋯⋯
「この能力危険じゃないか?いつか本当にヤバい物や者?を食べさせられるかもしれない⋯⋯」
自身の安全のためにも隠した方がいいだろう。公開するのは魔獣肉から魔力を吸収出来るだけにした方がいいな。それがギフト?としよう。
「ギルドに到着だよニーチェ。ここはこれからよく来る場所だから覚えてね」
確か裏の訓練場に雑草生えてたな。ニーチェに食べてもらえば訓練場も綺麗になって一石二鳥だな。
夕方はいつも討伐や採集を終えた冒険者で賑わうのだが、今日は随分と静かなギルドの扉を押す。
「こんにちは。まずは講座チェックとクエストでも見てみるかな~?」
魔術系の講座があれば是非とも受けたし、自分的にしっくりきた戦斧、ハルバードも鍛えていきたい。
「んー?実践魔術?これは受講できるのかな?でも実践かぁ、基礎を学んだ後に実践な気がする。でも実践と応用の二パターンのみの講座もあり得る。カウンターで聞いてみるかな」
空いている受付へ向かうが今日は本当に人が少ない。
「こんにちは。質問があります。実践魔術の講座は初心者でも受けられますか?」
「こんにちは。シュクルさんお久しぶりですね。ギルド長と一緒だったのでしょう?お疲れ様。えぇと実践魔術ね、大丈夫ですよ、受講者さん達はそれぞれ能力に差があるのが当たり前なので気にせず受講して下さい」
よかった~少しでも魔術の知識や経験を得ないとな。
「そうですか安心しました。受講します。所で今日は随分静かですね?何かありましたか?」
「皆さん西側の森で討伐していますよ。何でも最近家畜を襲うグリフォンが現れたらしくて」
「?!グリフォン?」
「そう。まだ若い個体らしいけど、グリフォンの討伐だから危険度は高いのよね。それなりに経験のある冒険者はみんな参加しているわ。怪我がなければいいけど」
おいおい待ってくれよ。若い個体?まさかあの優しかったカミーユじゃないよな?
カミーユは飛べない私がここに残るのなら自分も残ると言っていた。最終的には飛び立ったけれど、私を心配してあまり遠くへは行っていない可能性はある。
ちなみに私達グリフォンの巣は北側にあった。
「ニーチェ行くよ!」
ニーチェを抱き抱えて町の人とぶつからない速度で西へと向かう。私があまり行かない西の森に近づくにつれ心臓が嫌な音を立てる。もしカミーユだったらどうしょう?もう少し早くギルドへ行っていたら私がグリフォンと会話をして家畜を食べないように交渉できたかもしれない。いや、まだ討伐されたとは決まっていない。大丈夫だ。
森の入口に着いた。
「あ、ギルドで見た事ある人だな聞いてみよう!ふーすみません!グリフォンの討伐をしてるんですか?はぁはぁ」
「おや?君は確かギルド長といる子だね?どうしたの?討伐に参加するつもりだったのかい?」
はあはあ息が整わないがそんな事は些細な事だ。
「討伐は終わりましたか?それともまだですか?はぁはぁ」
「終わったから俺は帰る所だよ。君は少し遅かっ――あぁ行っちゃった⋯⋯」
すでに討伐されただと?遅かったか!でも確認するまでは信じない。カミーユは大丈夫だ。
体に風を纏い速度を上げて森の奥から聞こえる大勢の声や気配の方へと進む。
「あ、おじさん!グリフォンの討伐はどうなってますか?!ふーふー」
ギルド名物の飲んだくれおじさんを見つけた。
「あぁ終わったよ。今解体してる」
「はぁはぁ⋯⋯解体?どこで?」
「あっちの川原だよ?⋯⋯どうした?⋯⋯うぅぅぅ」
解体だと?おいおい待ってくれよ、そんな⋯⋯もう?
失われた命は戻らないが少しでも解体の手が止まるように全速力で川原向かう。
川原はすぐそばだった。そこから血と獣の匂いが流れてくるのを嗅いだら意識が飛びそうになったが、気合で意識を留めてそばで解体をしている冒険者に尋ねる。
「⋯⋯すみません、それグリフォンですか?」
「お?あ、ああそうだが⋯⋯君はどうした⋯⋯何故そんなに⋯⋯」
あぁ私は間に合わなかった。本当に討伐されていた。ギルド長と仕事をしていて不在だったならともかく、今日はこの町にいたのに。絶望を感じながら解体途中のグリフォンを見つめる。
「おい!シュクルどうしてここにいる!その魔力を止めてくれ!お前の横のヤツが倒れるぞ!」
「サムスンさん⋯⋯グリフォンが討伐されてしまって⋯⋯」
「そりゃそうだろ!このグリフォンは被害を出し過ぎたんだ!討伐しなきゃ人間が襲われてた!それに襲われた家畜だって財産なんだぞ!財産奪われてどうやってもうすぐ来る冬を越すんだよ!」
「⋯⋯」
そんな事は十分わかっている。でも何故すべてが人間の基準なんだよ。
「お前とグリフォンの関係は聞いたよ。だがこれは仕方がないんだ。だから魔力を抑えろ⋯⋯うぅぅぅ」
「ふー、すみません皆さん興奮しすぎました。せめてそのグリフォンは私に買い取らせて下さい」
色々思う事はあるけれど、どちらが悪いなんて事はない。すでに死んでしまったのならせめて墓を作ってやりたいと思った。
「はぁ~シュクル!マジで頼むぞ?お前の覇気は心臓に悪い。見ろ、みんな力を失って動けないじゃないか。今魔獣に襲われたらお前が全部討伐しろよ」
周りを見れば立っている人は一人もいなかった。ただでさえグリフォンの討伐後だ、疲れていて当然な所に私の無意識だが容赦ない覇気を食らってしまったのだ。みんな死屍累々だ。
「グリフォン見せて下さい」
惨い現状に直視を避けたいがそれは出来ない。せめて最後に兄弟の顔を見てお別れをしたいと思った。解体されてしまった部分も出来れば綺麗に戻してあげたい。
「カミーユ⋯⋯うぅぅぅ」
涙で視界が滲む。この事態は私が飛べなかったせいで起きたんだ。もし私がいなければカミーユは遠くへ行けたのに⋯⋯
「ごめんよカミーユ⋯⋯う⋯⋯うぅぅぅ??」
グリフォンの色が気持ち濃い気がする。カミーユはこんな色だっただろうか?でも大人になったので生え変わったりしたのかも。佐藤には『俺、子供の頃は髪の色結構明るかったんだ~』と言う友人がいた。
「⋯⋯」
だが何だか匂いも違う気がする。でもトーマス先生が言っていた。大人の男はフェロモンという悪臭を纏うらしい。
「⋯⋯?」
グリフォンの顔を恐る恐る見るが、カミーユはこんな顔だっただろうか?もう少しシュっとした感じだったが⋯⋯でも佐藤の同級生は卒業して即イメチェンした。グリフォンも独り立ちと共にイメチェンもありえるのかもしれない
「⋯⋯そんな訳ねぇだろ!!お前誰だよ!!!」
このグリフォンはカミーユではなかった⋯⋯それに気づいた瞬間どっと疲れに襲われて座り込んでしまった。空を見上げると夕焼け色に染まっていた。
「おぉ、よい子は帰宅しなくてはな」
久しぶりの家族団欒だ。お腹が減ったな。今日の夕飯は何かな~?
だがゆっくりと立ち上がった瞬間、肩に重い手が添えられた。
「お~い?ちょっと待て?シュクルのせいで解体が終わらないぞ?もうすぐ日が暮れる。どうすんだ~?魔獣が出るぞ?」
「ひぃ!怖いよぅ!よい子は夜の森にいてはいけないんです!」
「大丈夫だ。ここによい子はいねぇ。悪い子は罰としてグリフォンをすべてギルドへ運びなさい。あそこに小さなリヤカーあるからな」
私は罰としてリヤカーで討伐された謎のグリフォンを運ばされた。三往復もだ。なんてついていない一日だろう⋯⋯
先程トーマス先生に見た目がゲームな花の種を食べさせられたが、今の所体調に変化はない。先生に噛みつこうとしていた花の部分をパクリと食べたニーチェも普段通りで安心する。
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「ギルドに到着だよニーチェ。ここはこれからよく来る場所だから覚えてね」
確か裏の訓練場に雑草生えてたな。ニーチェに食べてもらえば訓練場も綺麗になって一石二鳥だな。
夕方はいつも討伐や採集を終えた冒険者で賑わうのだが、今日は随分と静かなギルドの扉を押す。
「こんにちは。まずは講座チェックとクエストでも見てみるかな~?」
魔術系の講座があれば是非とも受けたし、自分的にしっくりきた戦斧、ハルバードも鍛えていきたい。
「んー?実践魔術?これは受講できるのかな?でも実践かぁ、基礎を学んだ後に実践な気がする。でも実践と応用の二パターンのみの講座もあり得る。カウンターで聞いてみるかな」
空いている受付へ向かうが今日は本当に人が少ない。
「こんにちは。質問があります。実践魔術の講座は初心者でも受けられますか?」
「こんにちは。シュクルさんお久しぶりですね。ギルド長と一緒だったのでしょう?お疲れ様。えぇと実践魔術ね、大丈夫ですよ、受講者さん達はそれぞれ能力に差があるのが当たり前なので気にせず受講して下さい」
よかった~少しでも魔術の知識や経験を得ないとな。
「そうですか安心しました。受講します。所で今日は随分静かですね?何かありましたか?」
「皆さん西側の森で討伐していますよ。何でも最近家畜を襲うグリフォンが現れたらしくて」
「?!グリフォン?」
「そう。まだ若い個体らしいけど、グリフォンの討伐だから危険度は高いのよね。それなりに経験のある冒険者はみんな参加しているわ。怪我がなければいいけど」
おいおい待ってくれよ。若い個体?まさかあの優しかったカミーユじゃないよな?
カミーユは飛べない私がここに残るのなら自分も残ると言っていた。最終的には飛び立ったけれど、私を心配してあまり遠くへは行っていない可能性はある。
ちなみに私達グリフォンの巣は北側にあった。
「ニーチェ行くよ!」
ニーチェを抱き抱えて町の人とぶつからない速度で西へと向かう。私があまり行かない西の森に近づくにつれ心臓が嫌な音を立てる。もしカミーユだったらどうしょう?もう少し早くギルドへ行っていたら私がグリフォンと会話をして家畜を食べないように交渉できたかもしれない。いや、まだ討伐されたとは決まっていない。大丈夫だ。
森の入口に着いた。
「あ、ギルドで見た事ある人だな聞いてみよう!ふーすみません!グリフォンの討伐をしてるんですか?はぁはぁ」
「おや?君は確かギルド長といる子だね?どうしたの?討伐に参加するつもりだったのかい?」
はあはあ息が整わないがそんな事は些細な事だ。
「討伐は終わりましたか?それともまだですか?はぁはぁ」
「終わったから俺は帰る所だよ。君は少し遅かっ――あぁ行っちゃった⋯⋯」
すでに討伐されただと?遅かったか!でも確認するまでは信じない。カミーユは大丈夫だ。
体に風を纏い速度を上げて森の奥から聞こえる大勢の声や気配の方へと進む。
「あ、おじさん!グリフォンの討伐はどうなってますか?!ふーふー」
ギルド名物の飲んだくれおじさんを見つけた。
「あぁ終わったよ。今解体してる」
「はぁはぁ⋯⋯解体?どこで?」
「あっちの川原だよ?⋯⋯どうした?⋯⋯うぅぅぅ」
解体だと?おいおい待ってくれよ、そんな⋯⋯もう?
失われた命は戻らないが少しでも解体の手が止まるように全速力で川原向かう。
川原はすぐそばだった。そこから血と獣の匂いが流れてくるのを嗅いだら意識が飛びそうになったが、気合で意識を留めてそばで解体をしている冒険者に尋ねる。
「⋯⋯すみません、それグリフォンですか?」
「お?あ、ああそうだが⋯⋯君はどうした⋯⋯何故そんなに⋯⋯」
あぁ私は間に合わなかった。本当に討伐されていた。ギルド長と仕事をしていて不在だったならともかく、今日はこの町にいたのに。絶望を感じながら解体途中のグリフォンを見つめる。
「おい!シュクルどうしてここにいる!その魔力を止めてくれ!お前の横のヤツが倒れるぞ!」
「サムスンさん⋯⋯グリフォンが討伐されてしまって⋯⋯」
「そりゃそうだろ!このグリフォンは被害を出し過ぎたんだ!討伐しなきゃ人間が襲われてた!それに襲われた家畜だって財産なんだぞ!財産奪われてどうやってもうすぐ来る冬を越すんだよ!」
「⋯⋯」
そんな事は十分わかっている。でも何故すべてが人間の基準なんだよ。
「お前とグリフォンの関係は聞いたよ。だがこれは仕方がないんだ。だから魔力を抑えろ⋯⋯うぅぅぅ」
「ふー、すみません皆さん興奮しすぎました。せめてそのグリフォンは私に買い取らせて下さい」
色々思う事はあるけれど、どちらが悪いなんて事はない。すでに死んでしまったのならせめて墓を作ってやりたいと思った。
「はぁ~シュクル!マジで頼むぞ?お前の覇気は心臓に悪い。見ろ、みんな力を失って動けないじゃないか。今魔獣に襲われたらお前が全部討伐しろよ」
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涙で視界が滲む。この事態は私が飛べなかったせいで起きたんだ。もし私がいなければカミーユは遠くへ行けたのに⋯⋯
「ごめんよカミーユ⋯⋯う⋯⋯うぅぅぅ??」
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「⋯⋯」
だが何だか匂いも違う気がする。でもトーマス先生が言っていた。大人の男はフェロモンという悪臭を纏うらしい。
「⋯⋯?」
グリフォンの顔を恐る恐る見るが、カミーユはこんな顔だっただろうか?もう少しシュっとした感じだったが⋯⋯でも佐藤の同級生は卒業して即イメチェンした。グリフォンも独り立ちと共にイメチェンもありえるのかもしれない
「⋯⋯そんな訳ねぇだろ!!お前誰だよ!!!」
このグリフォンはカミーユではなかった⋯⋯それに気づいた瞬間どっと疲れに襲われて座り込んでしまった。空を見上げると夕焼け色に染まっていた。
「おぉ、よい子は帰宅しなくてはな」
久しぶりの家族団欒だ。お腹が減ったな。今日の夕飯は何かな~?
だがゆっくりと立ち上がった瞬間、肩に重い手が添えられた。
「お~い?ちょっと待て?シュクルのせいで解体が終わらないぞ?もうすぐ日が暮れる。どうすんだ~?魔獣が出るぞ?」
「ひぃ!怖いよぅ!よい子は夜の森にいてはいけないんです!」
「大丈夫だ。ここによい子はいねぇ。悪い子は罰としてグリフォンをすべてギルドへ運びなさい。あそこに小さなリヤカーあるからな」
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