ショボい人生のやり直し?!絶対に消えたくないので真逆の人生でポイント貯める

亀野内アンディ

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第一章

佐藤とシュクルの枯れた共通点

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 今日は一人でプッキーちゃんに乗っている。相変わらず速度はゆっくりだ。

この乗馬の授業はそれぞれのレベルが違うので見ているだけでも面白い。馬を巧みに動かして障害を飛び越える練習をしている子もいれば、謎のステップを踏ませている子もいる。
平和だな~今頃実家の方は雪で外に出れなくなっている頃だろう。同じ国だが全く気候が違う。今私が住んでいる郊外の畑は青々とした葉野菜が一面に広がっているのにな。


「なぁカイザー聞いたか?最近海の方にお化けが出るらしいぞ!」

「お化け?どんな?」

「詳しくは知らねぇが叫び声を聞いた野郎がいるんだとよ!夜な夜な洞窟の中から這い出てくるらしいぞ?」

「うぇ~怖いな」

お化けかぁ。理性がないモノは嫌だな。この世界には電力がないから夜になると真っ暗になる。オイルランプはあるがそれほど明るくはならないので、むしろ怖い想像力を掻き立てる。

「カイザーお前はお化けなんて怖いのかよ?すげぇ可愛いな。じゃあ放課後俺達で見に行こうぜ!どうせ何もいねぇけどよ。大丈夫か?」

「ええ、行きましょう。正直洞窟なんて高湿度で暗くて虫が多いですから恐怖ですよ。⋯⋯ジェロームさん達は平気なんですか?」

海辺の洞窟なんてカマドウマとかフナ虫がいるに違いない。奴らの足とか節目とかを想像するだけで恐ろしい。突然コウモリが飛び出たらどうしょう?あいつらの飛翔って動きが奇怪で先が読めないからGの飛行並みに怖い⋯⋯

「俺らは怖くねぇよ。むしろ洞窟に浮浪者が住みついてるんじゃねかとは思うがな」

「あぁ確かにな!安酒で酒盛りでもしてんじゃね?」

そう言われればそうかもしれないが⋯⋯


今回の捜査の徹底的な証拠や瞬間はまだ捉えていないんだよな。お化け洞窟はこの件とは無関係だと思うが、たまには噂を調査するのもいいだろう。ギルド長が前に言っていた。時に噂は侮れないと。



「大丈夫だ。可愛い子は俺達が守るからな?怖かったら、手、手を繋いでもいいんだぞ?本当にいいんだぞ?」

「⋯⋯そうですか。所で先輩達、授業はどうしたのですか?馬場で遊んでいて大丈夫ですか?」

「「「「⋯⋯」」」」」

私とジェロームさん達は日没後、お化け散策に出かける事になった。




「夕日って時に夜より怖い感じがしません?黄昏時は逢魔が時⋯⋯」

お化けがいるとされる海の洞窟へ向っている。アテナ港から海岸線に沿って続く道は想像していたよりも広く馬車も通れる広さがあるが、辺り一面を照らす燃える様な夕日が怖い。パラレルワールドに行っちゃったらどうしょう?その時はポイント鬼ゲットだな。

「そうか?俺なんかはむしろワクワクするけどな。勉強終わって夜は何すっかな?って想像したりしてよ」

「そう言われればそうですね。帰宅途中の道中でふと漂って来た匂いを元に、この家の夕飯何かな?とか考えると楽しいです」



 今向かっている洞窟は昔、漁師達が休憩したり道具を保管したりしていた場所らしい。今はもっと綺麗な休憩保管場所が近くにあり、そちらを皆使っているので今では誰も近寄らなくなって久しいらしい。

静かな夕暮れ時に自分たちが歩く音と、リーンリーン虫の声が響く。

何だろう?さっきまで怖がっていたけど、これって青春じゃないか?放課後に友人達と肝試し。日没時の海岸線を虫の声を聞きながら歩く。横には綺麗なオレンジ色に染まった海⋯⋯後は花火があれば完璧か?好きな人がグループ内にいたらドキドキだろうか。ふと隣を歩く先輩達の顔を眺める。

「お?どうしたカイザー?もう怖いのか?」

「⋯⋯いえ、全くドキドキしません」

ありがちなキラキライケメンにはトキメかないが、おっさんもイカツイい先輩にもドキドキしない。それにセクシーギルド長がパンイチで寝ていても、お腹冷やすなよ!としか思わないし、子供や同年代は可愛いな、くらいにしか思えない。

「もしかしてシュクルは枯れているのか⋯⋯?佐藤の様に⋯⋯」

たった今、シュクルの重大な欠損に気づいた。

「どうしたさっきから変だぞカイザー、本当は怖いんだろ?」

「怖いですね。でも仕方がないです改善方法もわかりませんから」

「そうか?じゃあ、て、て、手を――――」

『ギャァ――――!!ゴぇ――――!!』

「「「「何だ?!」」」」

いきなり私達が向かう先から悲鳴が聞こえた。勿論お化けじゃなくて正真正銘人間の叫び声だ。これは実際に洞窟で何かが起きている。犯罪の可能性も否めない。

「行ってみるか!俺達五人いれば問題ねぇだろ!カイザーは後ろにいろよ!」

私達は走り出す。洞窟まではあと十メートル位だ。だがその時――

「嫌だ――!!虫怖い!!触覚が俺の頬に触れたぁ!!」

何とも情けない叫び声が洞窟の中からこだましてきた。

「⋯⋯虫?事件性はねぇのか?だがとりあえず確認してみっか?」



洞窟の中を覗くと中は暗くてよく見えないが、割と高さもある大きな洞窟だ。

目が暗闇に慣れるまで少々待たなくてはならないのだが、視覚が頼りにならないせいか辺り一面に漂う異臭がより強く感じる。


「う⋯⋯臭い⋯⋯あと中に沢山気配があります」

「おおぉ~カイザーは獣人だからわかるんだな!すげぇ能力!だがよ、ここ何なんだ?」

「おいジェローム、ここ雰囲気ヤバそうじゃね?ヤベェ取引とかしてんじゃねぇだろうな?どうするよ、入る――」

『もう嫌だ――!!私の高貴な香りが臭くなってしまう――!!また噂される――!!』

また洞窟の奥から叫び声が⋯⋯あれ?まさかこの声は!

「私が奥に行きます。先輩はここで待っていてかまいませんよ」

「おいカイザー!!」


臭いので鼻を袖で押さえながら洞窟内を進む。目が暗闇に慣れたので辺りを見回してみると、先日船の岸壁にいた失礼な魔術師がボロイ姿をして立っていた。

「あら?あなた今日は薄毛を隠すフードを被っていないのですね。息子は被りっぱなしでしょうけど。で、ここで何をしてるんですか?」

「?!お、お前は噂話好きのうさぎ獣人!!お前こそ何してるんだここで!」

「この洞窟に夜な夜な叫ぶ化け物がいるらしくて肝試しに来たのですよ。そしたら性病おじさんの住処だったんですね。物凄く汚くて臭いですし、やっぱり噂通りの方ですね。じゃ虫が怖いので帰ります。頑張って下さい、さようなら~」

「ま、待て!まさか友達に俺が洞窟住まいで小汚く虫まみれとか言うんじゃないだろうな?!おい――」

さて、臭いしお腹が空いたからさっさと退散しよう。 今日は魚な気分だな。


「あ、カイザー!進むの早すぎだぞ!知らない所は危ないんだから一人で行ってはダメだぞ!」

「はぁい。お化けじゃなくて、奥に変な臭いおじさんがいました。『ここは俺の家だぞ!』って怒っていましたので帰りましょう」

「うぇ、そうか。じゃ臭えし帰ろうぜ」

こうして肝試しは終わった。
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