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第一章
佐藤は妊婦に席を譲りたいが声を掛ける勇気がない
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「ハハッハハハ!!タコって知能が高いのよね~カイザーはタコにナメられたのよ~!」
「ロバに引き続きまたですか?!」
そんなまさか⋯⋯タコに遊ばれるなど佐藤としてもシュクルとしても恥ずかしいじゃないかぁ!私の何がいけないのだ!?EQが低そうとか?⋯⋯ありえそうだ。
実に稀なタコにナメられ経験を手に入れたからいいか。
「さてシュクル~この国に数人いる獣王の中で私達が一番テクノポリス皇国に近い位置にいるのよ~」
「はぁ、まさか⋯⋯」
「ご名答!テクノポリス皇国に行きま~す!シュクルが見つけた書類と手紙があったでしょ?それについて調べに行くわよ~」
まさか海外にまで諜報活動に行く事になるとは⋯⋯
「⋯⋯騎士養成校での学生生活はもう終わりですか?」
せっかく慣れてきたのにな。まだ冬は終わっていないけどアテナの町での諜報活動も終わったし、仕方がないか。少し寂しいが。
「これから冬休みじゃない~問題ないわ~カイザーは冬休みのバカンスをテクノポリス皇国で過ごす予定なのよ」
「冬休みですか!ここは暖かくて過ごしやすいから冬休みはないのかと思っていましたよ」
その替わりに夏は暑すぎて夏休みが長めなのかと思った。 北のパックの町とは正反対に。
「さすがに年末年始は国中の学校すべて休みよ~ふふふ楽しみね~テクノポリス皇国!」
「はい!」
学校を辞めなくていいと言われたら、一気に初めての海外行きが楽しみになって来た。
乾燥した空気に特産品である石鹸の柔らかな香り、白い壁に青い屋根がとても綺麗なテクノポリス皇国の港町アンジェ。雲一つない青い空をカモメが自由に飛び回る。
「ちょっとシュクル、ヘロヘロじゃないの~大丈夫~?」
「ぁぁぁああ陸地って素晴らしい。人間は地上の生き物です」
「あなたも私の獣人よ~」
始めての船旅は始めこそ順調だった。想像していたより揺れないし、甲板にも出られて潮風を堪能していたのだが、この緩やかな揺れが徐々に体を蝕み始めた。軽いめまいに始めは気のせいだと思ったが、気分の悪さが徐々に悪化し、ものの見事に生きた屍にトランスフォームした。止まらぬ吐き気に意識が異次元に飛びそうな中で、ふとあの日の事を思い出した。
『ねーちゃん実家に遊びに来たの?妊娠したって聞いたけど、瘦せた?』
『五キロ痩せた。悪阻で死ぬかと思ったぞ』
『え?妊婦が痩せて大丈夫なの?悪阻って気の持ちようだって聞いたけど?』
『だからお前は結婚出来ないんだよ。ある日突然船酔いみたいな症状が出て、それがどんどん酷くなって病院にすらたどり着く体力がなくなってから妊娠に気づいた。お前の言った気の持ちようとは何だ?』
『⋯⋯わかんない。船酔いも想像つかない』
『永遠に終わりが見えない二日酔いだと思え。職場じゃこの忙しい時に妊娠だなんて計画性が無いだの、俺の奥さんは元気に臨月まで仕事したぞ?だの言われ、挙句には妊娠したのはあなたの選択でしょ?周りに迷惑かけないで!なんて嫌味を言われた。少子化が進む訳だ』
『⋯⋯世知辛い世の中だね。でも社員がすべて悪いとも思えないんじゃん?そんなゆとりのない人事をする会社のせいか?いや、会社も経営が厳しいか。じゃあ政治?国?資本主義?どこが悪いんだ?』
『もう末期癌みたいなもんかもな。発がんの原因は食事?酒?タバコ?運動不足?ストレス?そんな感じでわからんよ』
船酔いの想像以上の辛さを体験し、妊婦にも社会にも優しくしようと思ったシュクルだった。
「これからどこに向かいますか?」
「とりあえず食事よ~羊と豆類を香辛料で蒸したのが美味しいのよ~シュクルはどうする~?」
「うっ⋯⋯港の風でも堪能してきます⋯⋯」
ギルド長とニーチェはレストランに行き、私は海岸沿いにある見晴らしのいいベンチに座っているがまだ船で揺られている感じがする。三半規管はもうダメだ。
「帰りもアレに乗るんだよな⋯⋯帰りたくない⋯⋯」
町に立ち並ぶ白い建物からチリンチリンと風鈴の様な音がたまにする。この町の特産品だろうか。
懐かしい音に癒されて少し気分が良くなってきた気がする。
それじゃあ少し水でも飲むかとバッグに手を入れたら――
「グワー!グワー!」
「な、何だよ?!お前!」
カモメが目の前にいた。空を飛んでいると気づかないが間近で見ると大きいし、目も怖い。くちばしが鋭くて突かれたら体に穴が開きそうだ。
「何が目的だ?私が弱っているのに気付いての先制攻撃か?残念だがバッグに食べ物はないぞ!」
文句を言ってもまだ私を見ている。これは先に目を逸らしたら負けなのではないだろうか。
「⋯⋯お前よく見ると胴体の大きさの割に足が細すぎないか?そこは羽毛もないし冷えるだろ?――あ、どこに行く?」
カモメはバーカ!貧乏人!と、肉体言語で体現するとトコトコ歩いて行ってしまった。
「何なんなのだ最近の生き物は!私に嫌がらせをして楽しんでないか?!」
毒草変態トーマス先生に原因を聞きたい。きっと先生なら瞬時に予測を立てるだろう。
大人げなく動物に対してプンプン怒っていたら気持ち悪さはなくなっていた。私の三半規管は怒りによって回復するのか。
「シュクル行きましょ~まずは魔獣と奴隷を購入しているバストラ薬品のある町まで行くわよ~」
「⋯⋯はい」
テクノポリス皇国での諜報活動は始まってもいないのにヘトヘトだった。
「ロバに引き続きまたですか?!」
そんなまさか⋯⋯タコに遊ばれるなど佐藤としてもシュクルとしても恥ずかしいじゃないかぁ!私の何がいけないのだ!?EQが低そうとか?⋯⋯ありえそうだ。
実に稀なタコにナメられ経験を手に入れたからいいか。
「さてシュクル~この国に数人いる獣王の中で私達が一番テクノポリス皇国に近い位置にいるのよ~」
「はぁ、まさか⋯⋯」
「ご名答!テクノポリス皇国に行きま~す!シュクルが見つけた書類と手紙があったでしょ?それについて調べに行くわよ~」
まさか海外にまで諜報活動に行く事になるとは⋯⋯
「⋯⋯騎士養成校での学生生活はもう終わりですか?」
せっかく慣れてきたのにな。まだ冬は終わっていないけどアテナの町での諜報活動も終わったし、仕方がないか。少し寂しいが。
「これから冬休みじゃない~問題ないわ~カイザーは冬休みのバカンスをテクノポリス皇国で過ごす予定なのよ」
「冬休みですか!ここは暖かくて過ごしやすいから冬休みはないのかと思っていましたよ」
その替わりに夏は暑すぎて夏休みが長めなのかと思った。 北のパックの町とは正反対に。
「さすがに年末年始は国中の学校すべて休みよ~ふふふ楽しみね~テクノポリス皇国!」
「はい!」
学校を辞めなくていいと言われたら、一気に初めての海外行きが楽しみになって来た。
乾燥した空気に特産品である石鹸の柔らかな香り、白い壁に青い屋根がとても綺麗なテクノポリス皇国の港町アンジェ。雲一つない青い空をカモメが自由に飛び回る。
「ちょっとシュクル、ヘロヘロじゃないの~大丈夫~?」
「ぁぁぁああ陸地って素晴らしい。人間は地上の生き物です」
「あなたも私の獣人よ~」
始めての船旅は始めこそ順調だった。想像していたより揺れないし、甲板にも出られて潮風を堪能していたのだが、この緩やかな揺れが徐々に体を蝕み始めた。軽いめまいに始めは気のせいだと思ったが、気分の悪さが徐々に悪化し、ものの見事に生きた屍にトランスフォームした。止まらぬ吐き気に意識が異次元に飛びそうな中で、ふとあの日の事を思い出した。
『ねーちゃん実家に遊びに来たの?妊娠したって聞いたけど、瘦せた?』
『五キロ痩せた。悪阻で死ぬかと思ったぞ』
『え?妊婦が痩せて大丈夫なの?悪阻って気の持ちようだって聞いたけど?』
『だからお前は結婚出来ないんだよ。ある日突然船酔いみたいな症状が出て、それがどんどん酷くなって病院にすらたどり着く体力がなくなってから妊娠に気づいた。お前の言った気の持ちようとは何だ?』
『⋯⋯わかんない。船酔いも想像つかない』
『永遠に終わりが見えない二日酔いだと思え。職場じゃこの忙しい時に妊娠だなんて計画性が無いだの、俺の奥さんは元気に臨月まで仕事したぞ?だの言われ、挙句には妊娠したのはあなたの選択でしょ?周りに迷惑かけないで!なんて嫌味を言われた。少子化が進む訳だ』
『⋯⋯世知辛い世の中だね。でも社員がすべて悪いとも思えないんじゃん?そんなゆとりのない人事をする会社のせいか?いや、会社も経営が厳しいか。じゃあ政治?国?資本主義?どこが悪いんだ?』
『もう末期癌みたいなもんかもな。発がんの原因は食事?酒?タバコ?運動不足?ストレス?そんな感じでわからんよ』
船酔いの想像以上の辛さを体験し、妊婦にも社会にも優しくしようと思ったシュクルだった。
「これからどこに向かいますか?」
「とりあえず食事よ~羊と豆類を香辛料で蒸したのが美味しいのよ~シュクルはどうする~?」
「うっ⋯⋯港の風でも堪能してきます⋯⋯」
ギルド長とニーチェはレストランに行き、私は海岸沿いにある見晴らしのいいベンチに座っているがまだ船で揺られている感じがする。三半規管はもうダメだ。
「帰りもアレに乗るんだよな⋯⋯帰りたくない⋯⋯」
町に立ち並ぶ白い建物からチリンチリンと風鈴の様な音がたまにする。この町の特産品だろうか。
懐かしい音に癒されて少し気分が良くなってきた気がする。
それじゃあ少し水でも飲むかとバッグに手を入れたら――
「グワー!グワー!」
「な、何だよ?!お前!」
カモメが目の前にいた。空を飛んでいると気づかないが間近で見ると大きいし、目も怖い。くちばしが鋭くて突かれたら体に穴が開きそうだ。
「何が目的だ?私が弱っているのに気付いての先制攻撃か?残念だがバッグに食べ物はないぞ!」
文句を言ってもまだ私を見ている。これは先に目を逸らしたら負けなのではないだろうか。
「⋯⋯お前よく見ると胴体の大きさの割に足が細すぎないか?そこは羽毛もないし冷えるだろ?――あ、どこに行く?」
カモメはバーカ!貧乏人!と、肉体言語で体現するとトコトコ歩いて行ってしまった。
「何なんなのだ最近の生き物は!私に嫌がらせをして楽しんでないか?!」
毒草変態トーマス先生に原因を聞きたい。きっと先生なら瞬時に予測を立てるだろう。
大人げなく動物に対してプンプン怒っていたら気持ち悪さはなくなっていた。私の三半規管は怒りによって回復するのか。
「シュクル行きましょ~まずは魔獣と奴隷を購入しているバストラ薬品のある町まで行くわよ~」
「⋯⋯はい」
テクノポリス皇国での諜報活動は始まってもいないのにヘトヘトだった。
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