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第一章
佐藤は春の七草を道端で見つけたが食べる勇気はない
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要塞の裏側にはここに務める下働きの人々が出入りしている扉があった。
「多分食糧保管庫は地下だと思うんだよな。この入り口から食料を搬入して、それほど遠くない所に地下に続く階段があるはずだ」
基本的な城の構造はどこも似通っている。シュクルは五感を使い、扉付近の気配を探る。
「よし。今だな」
ゆっくり扉を開け、再度気配を探るが近くには誰もいない。静かに要塞内に侵入し、城内の構造をすぐさま確認する。退路や隠れ場所は必ず初めに確認しなくてはならない。できれば二つ以上。
少し進むと地下に続く階段を発見した。静かに階段を降り、地下室内の気配を探るが誰もいないようだ。
「失礼しますよ⋯⋯え?」
広い地下室の棚は空っぽだった。
「何だ?空の瓶とか中身の無い保存食用の容器しかないぞ?ここは食糧保管庫じゃなかったのか?でもなぁ」
何となく食品が保管されていた匂いもある。棚の下には萎びたジャガイモが落ちていた。最近まで使われていたが、今は使われていないのかもしれない。
「仕方ないな、他に食料が保管されている場所を探さないとな⋯⋯」
シュクルは階段を上り、物陰に隠れつつ他の保管場所を探すが見当たらない。臭覚で食品の匂いを辿り、調理場と思われる場所を見つけたが、中に人がいるので入れない。
少し開いた調理場の扉から中を覗くと、そこは広くはあるが、すべての食品を保管できるとは思えない感じなので、やはりどこかに食品保管庫があるはずだ。
「わからないな⋯⋯これ以上進むとサロンとか応接室だし、上は客室だろうな」
いつもの事だが、ギルド長は何も伝えてくれないので自分で解決するしかないのだ。
さてどうするかな。ギルド長の命令は食料を奪う事だが、食料が無いのにどうすればいいんだ?まさかあの調理場に入ってパクれと?だがそれしかないよな⋯⋯
調理室にいる人間は三人。無効化するのは簡単だが、罪もない料理人に手は出したくない。ならば三人にバレない様に行くのみ。
シュクルは気配を消し、少し開いた扉に体を滑り込ませ、棚の横の死角に隠れる。
三人を観察していると、どうやら雪解けから芽を出し始める山菜を丁寧に洗ったり切ったりしている。
(うーん⋯⋯マジかぁ⋯⋯)
――トコトコ――
(廊下から誰か来たな)
シュクルは扉のそばの棚から、大きいゴミ箱の影に移動した。
「すみません!お客様がお見えになりました!お茶の準備をお願いします!」
「えぇ?わかったが⋯⋯」
どうやらこんな時に客が来たらしい。そりゃ困るわな。だって⋯⋯
「ど、どうします?黒豆炒ったお茶はもう無いですよ」
「⋯⋯参ったな。でも何かに湯をかければ、それはお茶だよな?つくしは茶になるのか?煮出した蕗の薹は?」
止めてくれ。それはイカン。
「お、俺、タンポポの根が南国のお茶みたいになるって聞きました!」
う⋯⋯涙が出そうだ⋯⋯
「だがタンポポはまだ生えてないぞ?根はどこにあるんだ?やはり蕗の薹を煮出して――」
三人が涙ぐましい会議に熱中している間に調理室の棚を調べる。だが悲しいかな?棚の中は調理器具のみだった⋯⋯
「もう白湯を出すしかありませんので――」
~~♪~~♪~~
「あの~こんばんは」
「え、音楽?!君は誰?いつ来たの?!お客様?!」
「通りすがりの者ですが、お茶でお困りの様で⋯⋯これを差し上げます。では素敵なお茶の時間を~」
シュクルはギルド長に渡されたオルゴールを料理人に手渡した。
「え?オルゴールの箱?中は⋯⋯茶葉?」
ギルド長はこれを知っていて私にこれを渡したのだろう。オルゴールの曲が楽しいお茶ソングだった。そしてその茶葉は⋯⋯
「多分食糧保管庫は地下だと思うんだよな。この入り口から食料を搬入して、それほど遠くない所に地下に続く階段があるはずだ」
基本的な城の構造はどこも似通っている。シュクルは五感を使い、扉付近の気配を探る。
「よし。今だな」
ゆっくり扉を開け、再度気配を探るが近くには誰もいない。静かに要塞内に侵入し、城内の構造をすぐさま確認する。退路や隠れ場所は必ず初めに確認しなくてはならない。できれば二つ以上。
少し進むと地下に続く階段を発見した。静かに階段を降り、地下室内の気配を探るが誰もいないようだ。
「失礼しますよ⋯⋯え?」
広い地下室の棚は空っぽだった。
「何だ?空の瓶とか中身の無い保存食用の容器しかないぞ?ここは食糧保管庫じゃなかったのか?でもなぁ」
何となく食品が保管されていた匂いもある。棚の下には萎びたジャガイモが落ちていた。最近まで使われていたが、今は使われていないのかもしれない。
「仕方ないな、他に食料が保管されている場所を探さないとな⋯⋯」
シュクルは階段を上り、物陰に隠れつつ他の保管場所を探すが見当たらない。臭覚で食品の匂いを辿り、調理場と思われる場所を見つけたが、中に人がいるので入れない。
少し開いた調理場の扉から中を覗くと、そこは広くはあるが、すべての食品を保管できるとは思えない感じなので、やはりどこかに食品保管庫があるはずだ。
「わからないな⋯⋯これ以上進むとサロンとか応接室だし、上は客室だろうな」
いつもの事だが、ギルド長は何も伝えてくれないので自分で解決するしかないのだ。
さてどうするかな。ギルド長の命令は食料を奪う事だが、食料が無いのにどうすればいいんだ?まさかあの調理場に入ってパクれと?だがそれしかないよな⋯⋯
調理室にいる人間は三人。無効化するのは簡単だが、罪もない料理人に手は出したくない。ならば三人にバレない様に行くのみ。
シュクルは気配を消し、少し開いた扉に体を滑り込ませ、棚の横の死角に隠れる。
三人を観察していると、どうやら雪解けから芽を出し始める山菜を丁寧に洗ったり切ったりしている。
(うーん⋯⋯マジかぁ⋯⋯)
――トコトコ――
(廊下から誰か来たな)
シュクルは扉のそばの棚から、大きいゴミ箱の影に移動した。
「すみません!お客様がお見えになりました!お茶の準備をお願いします!」
「えぇ?わかったが⋯⋯」
どうやらこんな時に客が来たらしい。そりゃ困るわな。だって⋯⋯
「ど、どうします?黒豆炒ったお茶はもう無いですよ」
「⋯⋯参ったな。でも何かに湯をかければ、それはお茶だよな?つくしは茶になるのか?煮出した蕗の薹は?」
止めてくれ。それはイカン。
「お、俺、タンポポの根が南国のお茶みたいになるって聞きました!」
う⋯⋯涙が出そうだ⋯⋯
「だがタンポポはまだ生えてないぞ?根はどこにあるんだ?やはり蕗の薹を煮出して――」
三人が涙ぐましい会議に熱中している間に調理室の棚を調べる。だが悲しいかな?棚の中は調理器具のみだった⋯⋯
「もう白湯を出すしかありませんので――」
~~♪~~♪~~
「あの~こんばんは」
「え、音楽?!君は誰?いつ来たの?!お客様?!」
「通りすがりの者ですが、お茶でお困りの様で⋯⋯これを差し上げます。では素敵なお茶の時間を~」
シュクルはギルド長に渡されたオルゴールを料理人に手渡した。
「え?オルゴールの箱?中は⋯⋯茶葉?」
ギルド長はこれを知っていて私にこれを渡したのだろう。オルゴールの曲が楽しいお茶ソングだった。そしてその茶葉は⋯⋯
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