ショボい人生のやり直し?!絶対に消えたくないので真逆の人生でポイント貯める

亀野内アンディ

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第一章

佐藤は犬好きだが、シュクルは狼が怖い

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 川から森に戻り魔獣を狩りながら進む。やはり森ねずみと一角ねずみが多い。

続いて初めて見る猿風の魔獣を仕留める。さすがに猿は食べたくないので地中に埋めたが、猿魔獣は群れだったみたいで四方八方から石やら枝やらを投げられた。やつらは知能が高さうだし統率が取れている感じがして、私が仲間殺しの極悪人と言われている気分になった。何となくもう猿とは戦いたくないと思う。
ものすごく気分が落ちる。 

「はぁ~。だがこういう魔獣こそ私が狩るべきだよな」 

私の給金は税金から払われるのだろうし、危険で嫌な仕事は率先して引き受けようではないか。 

「だからそこにいる狼よ、すまない!さらばだ!あ、ヤバ、外した⋯⋯」 

シュクルの指弾きはピストル並みだが、足のコントロールはショボかった。地球儀を蹴って攻撃してみたら余裕で外した。これはモテスポーツであるサッカーとは真逆な佐藤の人生を表現しているのか。 
意味もなく一本の木を倒してしまった。 

「グルルルルウ(敵か)」 

「え?あ、いや、敵ではないかな?ちょっと魔獣が増えちゃって狩らなきゃいけないと言いますか⋯⋯」 

会話ができる狼魔獣だった。気まずい⋯⋯ 

「グルルルル(狩ると?)」 

「い、いえ、人間の村に来なければ問題ないっす。人がいたら避けてもらえれば⋯⋯」 

「グルル(そうか)」 

狼魔獣は森に消えて行った。言葉を理解するとは、あれは相当知能が高い。 
魔獣も色々だなぁとシュクルは思った。 

「うさぎ獣人の本能として狼が苦手な感じがする。ドキドキした」 

これでは異世界あるある現象な、巨大フェンリルと戯れて仲間になっちゃう~みたいな展開は私には無理だろう。
だがふわふわな大型動物がいなければ異世界好きは納得しないかもしれない。異世界+巨大毛玉、草食系おじさん+獣人ロリは定番だよな? 

いやいや、そこに動物嫌いな人のアイデンティティは保護されているのか?平成初期の頃は脱走した犬に追いかけられている小学生とかいたぞ?追い詰められて滑り台の上に避難して帰れなくなった子もいた。よい子の夕焼けチャイムが鳴っているのにだ。恐ろしい⋯⋯ 

これは完全にトラウマってるだろう? 

でも毛玉嫌いなんて少数派過ぎてアレルギー持ち以外は公言できないわな。これもある意味アニマルハラスメントか。 

「⋯⋯まあいいか」 

一瞬だけ謎の闇に落ちそうになったが、気にするのは止めた。この闇は深そうだった。 

「それにアレよ?大型肉食獣なんて糞尿の処理だけで大変よ?食費がかさむよ?それに草食系おじさん+獣人ロリは異世界の定番だけど、私はそれを一人で体現しているからね?うさ耳転生な草食おじさんよ?お得アルね?パンツは男物だけどね?でも――」 

「ウーウ?(大丈夫?)」 

「?!あれ?」 

何だ?異様なマイナス思考に持って行かれていた感がある。 

「ウーウ(行こう)」 

「そうだな⋯⋯」 

何かがおかしい気がしたが仕事中なのでその場を後にした。 

 

「シュクル~遅かったわね~初日からがんばったのね~」 

「え~?もう酔ってます?」 

日没前にギルドに戻ったのにギルド長はすでに酔っていた。 

「魔獣どうだった~?」 

「報告通り多いですよ。毛皮を売って来ますね」 

今日は愛用の袋二枚がパンパンになった。これはお金になりそうだ。 私に討伐命令を出したのは騎士団だが、この素材は私のだ!騎士団にはやらん。

「いい毛皮ですね。森ねずみに一角ウサギ、それに⋯⋯岩トカゲですか?凄いですね?!討伐されたのですか?!」 

「?あぁ、このトカゲですか?皮が硬かったですよ」 

身は鳥ささみ肉っぽくて美味しかったが。 トカゲは意外とイケる。

この岩トカゲがかなりの高額で買い取ってもらえた。この皮でいい防具が作れるそうだ。また岩場へ狩に行こうかな。
お金をギルドに預け、ギルド長の方に向かおうと思ったらテーブル席にあのトリオがいた。明るい貧弱イケメン三人だったはずが、どうも暗い表情をしている。 

「どうしましたか?元気がないですね?」 

「あ、ああ君か。さっきはありがとう。なんか俺達って冒険者に向いてない気がしてさ⋯⋯」 

あれだけで心が折れたのか? 

「お前達森に行ったのか~?最近多いんだよな。森に行って喧嘩別れしたり、落ち込んで冒険者辞めたりするヤツらがよー」 

隣のテーブル席にいたベテラン冒険者が話に加わってきた。 

「え?どういう事ですか?」 

「よくわかんねぇよ?ただ、仲の良かったベテラン連中がいきなり冒険者辞めたり、温和だったヤツがいきなり森の中でキレたりしたんだよ。明るかったヤツが家から出なくなった事も最近あった⋯⋯すべて森に行ってる奴らばっかよ。まぁ俺の勘違いかもしれねぇけどな?」 

偶然か?でも何か気になる。 

「ウーウ?(大丈夫?)」 

「んあ?ドラゴンか?小せえな、お嬢ちゃんのか?昔はこの辺にもいたんだよな~ドラゴン」 

「へぇ~?何色ですか?四足歩行ですか?二足歩行ですか?」 

それからシュクルはベテラン冒険者と貧弱イケメン三人と楽しい時を過ごした。 
紅一点であったが、あまりの溶け込み具合に誰もシュクルを紅と認識しなかった。 

見た目は可愛くとも魂がおっさんだから⋯⋯⋯⋯ 
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