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堕ちたドルイド と 堕ちた射手
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今、名前の挙がったドロモカとは【八英女】の一人で『神盾のドロモカ』という異名を持つほどの防御のエキスパートだ。古今東西のあらゆる防衛術に長け、勇者パーティの守備の要として活躍したときいている。
そしてドロマーと同じくリリカムジカに生を受けた竜族であり、ドロマーとは古からの魔法契約で繋がっている存在だと、父が言っていた事をメロディアは覚えていた。
実際の姉妹ではないが、その契約により魂同士が繋がり血よりも濃い関係で二人は信頼し合っていたと聞いている。伝承でもドロマーとドロモカは二つで一つとして描かれる事が多い。
にも関わらず、この場にドロモカの姿はない。そしてドロマーの涙。
嫌な想像をしてしまう方が自然だ。
「ど、どうしたというのだ? まさかドロモカの身に何かあったのか?」
「ううぅ…」
ドロマーはえずきながらミリーの胸に飛び込んだ。ただただ抱き締めて優しく頭を撫でている。この時ばかりは誰もドロマーをからかわず一生懸命に慰めていた。
そしてファリカが理由を教えてくれた。
「それがですね…魔界を脱出して離散するとき、ドロモカさんの方から言い出したんです。『別々に行動がしたい』と」
「あ、あのドロモカがドロマーにそんな事を言ったのか!?」
と、かつてのパーティでの様子をよく知るレイディアントは目を見開いて驚いた。その衝撃はパーティとして時を同じくしていた者にしか伝わらないだろう。現にメロディアはいまひとつ、それがどれ程の事なのか掴めていない。
「ええ。何かお考えがあったのかもしれませんが、ドロモカさんはそそくさと行ってしまったので真相は分かりません」
「あの時、顔面蒼白だったもんな。ま、自分の分身ったって過言じゃないドロモカがいなくなったんだから無理もねえけど」
「ううぅ…ドロモカぁ。どうして…」
ドロマーは相変わらず涙を流している。どうにかドロマーを慰めて落ち着かせないと。
メロディアは彼女の頭に優しく手を置いた。
「大丈夫ですよ。【八英女】が全員で僕を狙っている事には変わりないんでしょう? なら僕と一緒にいれば必ずドロモカさんにも会えるはずです」
「メロディア君…」
か細い声を出しながらドロマーはメロディアの顔を見た。
わざと隙を見せたのに、エロい事を何もしてこなかったので「あ、これマジな奴だ」とメロディアは思っていた。
すると陰鬱な気分を払拭するようにミリーが溌剌とした声で言った。
「よっしゃ! じゃあドロマーを慰めるのと情報収集も兼ねて酒場に繰り出すか」
「え?」
「いいですね! ティパンニは美味しいお酒が多いはずですし」
「ちょっと!?」
情報収集はいいにしても酒場に行って酒なんて飲んだらソルカナとラーダを捕まえるどころの話じゃない。あとお前ら全員、ほぼ無一文だろ。
そんな心配をするメロディアの肩にレイディアントが手を置いた。見れば「何も言うな」と顔に書いてあった。
「メロディア、諦めろ。こうなったらコイツらは止まらん。かつての旅でもそうだった。誰かが落ち込んだり、精神的に参ってしまったらこうして酒場にいって気分を変えていた。長く、そして過酷な旅だったからな」
「…」
そう言われるとメロディアは弱い。かつての勇者パーティのルーティンだというのなら多少の事は目をつぶりたいという思いがどうしても出てくる。
が、この時にメロディアは四人の事を止めるべきだった。
情報収集とドロマーの慰安という大義名分を得て、飲みに飲みまくった四人は使い物にならないほどに泥酔してしまったのである。
そしてドロマーと同じくリリカムジカに生を受けた竜族であり、ドロマーとは古からの魔法契約で繋がっている存在だと、父が言っていた事をメロディアは覚えていた。
実際の姉妹ではないが、その契約により魂同士が繋がり血よりも濃い関係で二人は信頼し合っていたと聞いている。伝承でもドロマーとドロモカは二つで一つとして描かれる事が多い。
にも関わらず、この場にドロモカの姿はない。そしてドロマーの涙。
嫌な想像をしてしまう方が自然だ。
「ど、どうしたというのだ? まさかドロモカの身に何かあったのか?」
「ううぅ…」
ドロマーはえずきながらミリーの胸に飛び込んだ。ただただ抱き締めて優しく頭を撫でている。この時ばかりは誰もドロマーをからかわず一生懸命に慰めていた。
そしてファリカが理由を教えてくれた。
「それがですね…魔界を脱出して離散するとき、ドロモカさんの方から言い出したんです。『別々に行動がしたい』と」
「あ、あのドロモカがドロマーにそんな事を言ったのか!?」
と、かつてのパーティでの様子をよく知るレイディアントは目を見開いて驚いた。その衝撃はパーティとして時を同じくしていた者にしか伝わらないだろう。現にメロディアはいまひとつ、それがどれ程の事なのか掴めていない。
「ええ。何かお考えがあったのかもしれませんが、ドロモカさんはそそくさと行ってしまったので真相は分かりません」
「あの時、顔面蒼白だったもんな。ま、自分の分身ったって過言じゃないドロモカがいなくなったんだから無理もねえけど」
「ううぅ…ドロモカぁ。どうして…」
ドロマーは相変わらず涙を流している。どうにかドロマーを慰めて落ち着かせないと。
メロディアは彼女の頭に優しく手を置いた。
「大丈夫ですよ。【八英女】が全員で僕を狙っている事には変わりないんでしょう? なら僕と一緒にいれば必ずドロモカさんにも会えるはずです」
「メロディア君…」
か細い声を出しながらドロマーはメロディアの顔を見た。
わざと隙を見せたのに、エロい事を何もしてこなかったので「あ、これマジな奴だ」とメロディアは思っていた。
すると陰鬱な気分を払拭するようにミリーが溌剌とした声で言った。
「よっしゃ! じゃあドロマーを慰めるのと情報収集も兼ねて酒場に繰り出すか」
「え?」
「いいですね! ティパンニは美味しいお酒が多いはずですし」
「ちょっと!?」
情報収集はいいにしても酒場に行って酒なんて飲んだらソルカナとラーダを捕まえるどころの話じゃない。あとお前ら全員、ほぼ無一文だろ。
そんな心配をするメロディアの肩にレイディアントが手を置いた。見れば「何も言うな」と顔に書いてあった。
「メロディア、諦めろ。こうなったらコイツらは止まらん。かつての旅でもそうだった。誰かが落ち込んだり、精神的に参ってしまったらこうして酒場にいって気分を変えていた。長く、そして過酷な旅だったからな」
「…」
そう言われるとメロディアは弱い。かつての勇者パーティのルーティンだというのなら多少の事は目をつぶりたいという思いがどうしても出てくる。
が、この時にメロディアは四人の事を止めるべきだった。
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