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合神!超思重合想!!
地球滅亡警報
成層圏。
ギバドのを包む繭は脈動と変質を繰り返しながら、禍々しい斥力波動のオーラを放っている。
オーラは行き当たりばったりの波 紋を幾重にも生み出し、ギガミネンスアンバーニオンを寄せ付けまいとしていた。
地上、不思山山麓。
牙の獣を前に、琥珀の闘神が雄叫びを上げながら飛び上がった。
[ォォオォォオオオオオッ!!]
頭上に振り上げた強化型慈龍剣の切っ先に、太陽光が集中する。
その一方、牙の獣の身体にはNOI Zの疑似黒宝甲が変化した無数の黒いトゲが突き刺さり、その動きを鈍らせていた。
ゼレクトロンは牙の獣を再び両断すべく、その技を遠慮無く振り下ろした。
「「「ゼレクトロン版!コハクラーッッ(シュ)!!!」」」
藍罠達の怒声一喝、凄まじい速度と威力、目映い琥珀色の閃光の中で一刀両断されてゆく牙の獣。
その刹那、強化型慈龍剣の刀身に触れて弾かれた黒いトゲが、猛烈に振動を開始した。
キョアアアアアアアアア!!
振動は漏れなく全てのトゲを震わせ、牙の獣の苦悶と共に動きと再生を妨害する。
ドッ!ギャイィン!!!
強化型慈龍剣を前方へ掲げ、岩場に着地したゼレクトロン。
その背後で、ついに振動に耐えきれなくなった牙の獣は霧散するように崩壊し、行き場を失った獣の全エネルギーは獣の粒子と反応して粉塵爆発を巻き起こした。
「ッしゃあ!これならもうナオんねぇだろぉ!!?」
「!?」
勝利を確信する藍罠、しかし一方で、NOI Zと一体化している現は上空からの威圧感に気付いた。
「な!?なんだ!!?」
その予感通り、快晴の空が一瞬の銀残しに暗く沈む。
不安を煽る薄手のフィルター、それが発生点を中心にして左右に裂けたように見えた。
青空を割る白い裂け目は、猛烈な勢いでそれぞれの両端を目指し伸びてゆく。
上空のギバドの繭。
モコモコと…ボコボコと…、その両端から滲むように溢れた白い肉塊の洪水。
決して小さくはないギバドの本体。しかしこの凄まじく膨大な質量がギバドの身体のどこから溢れ、どこまで伸びてゆくのか?
先端は既に地球の重力に影響され、曲線さえ描き始めている。
白い肉塊は脱皮したての蝶の羽根のように解れ、やがて帯のようにシュルシュルと延びて綻び始めた。
羽根王の我が儘が始まったのである。
ギバドの羽根はものの数秒で、直径二十三キロメートル程まで延長した。
[始まった!宇留!!]
「くぅっっっ!!」
焦った宇留達は、ギガミネンスアンバーニオンをギバド本体に突撃させようとした。
するとそのタイミングで、ギバドの繭表面に目の光が開いた。
「!?」
バツン!という衝撃音と共に、繭の形状が膨張する。
ギガミネンスアンバーニオンは、それと同時に超高速で飛来した石膏の塊のような物体を防御した。
「っくぁは!…ギバドの羽根!延長が止まりました!」
防御成功の驚きままならぬコティアーシュからの報告。
だが、宇留が真っ先に目を凝らして見た先に居たのは、ギバドの新たなる姿だった。
············!
至近距離で見れば、巨大過ぎる白い壁に両脇を挟まれた生物に見えた。
ギバド本体のシルエットは保ったまま、よりシンプルなデザインに落ち着いた見た目。
相変わらず、紫色の美しい宝石の牙は凶暴さを湛えて食い縛られているが、その佇まいには紳士的な静けさが籠っている。
[何故?何故羽根王の我が儘を停めたの?···まさか?自分で?]
バジークアライズの言う通り、ギバドは度々痙攣する肩口を押さえ込んでいるように見える。
アルオスゴロノ帝国、居城エガルカノルのギバドモニタールーム。
相変わらず不機嫌そうに蟀谷を片手で押さえる巨人、皇帝エグジガンを中心に、科学者達が右往左往している。
「ロードバードを停めよった!折角解放してやったものぉ?」
「しかしコレでヤツがキネイアニマも喰えるというのも実証されましたな?」
「なぁに!ロードバードはまだまだ煽れる。準備しよう」
「時に我が君、ベデヘム4はいかがいたしましょう?」
その声にエグジガンは、更に不機嫌そうな視線で応えた。相変わらず片目の瞼は渋く歪んでいる。
「···何を言っている。ヤツはまだ終わってなどいない。現在も作戦遂行中だ。···しかしギバドめ···余程遊び足りぬらしい···」
エグジガンの言う通り、ギバドの新たなる羽根の根元がギクシャクと歪んで曲がった。
ギャア!ゴォォォォォォォウ!!
咆哮と共に、一瞬にしてギバドの頭上に跳ね上がる翼。
片羽根の延長はそれぞれ、約13キロメートル。ギガミネンスアンバーニオンの操珀全員が、ただその羽根が打撃の為に振り下ろされるものとばかり思った。
[そ!そんなん!!?]
キングロルトノクに響くオドデウスの驚嘆。
次の瞬間、ギバドの羽根の合間に金色のエネルギーソードが発生した。
総延長、五十キロメートルものエネルギーソードがギガミネンスアンバーニオンに迫る。
バジークアライズは戦慄した。オドデウスにも予測出来ない程の神速思い付き。
羽根王の我が儘のコストを戦闘用に惜しみ無く転換する事で、自身のシステムをも大幅に強化する柔軟性。
しかしその戦慄は、宇留の勇猛によって掻き消される。
「あの剣!地上に届くかも!受け止めます!皆さん!お願いしまぁぁす!!」
「!おお!」「任せてくれ!」
「「「「っうおおおおおお!」」」」
サゴン、百題に続いて全員が気合いを入れる。
ギガミネンスアンバーニオンの両肩の琥珀柱が継ぎ目で展開、やや延長し、まずはエネルギーソードの責め口を先端で押さえる。空かさずバリアフィールド状のグローブでくるまれた両腕も、真剣白羽取りの要領で刀身を押さえた。だがそれでも威力は減衰しない。ついにはクイーンズオウレスの羽根までもが腕のように延長して受け止め、飛行用の推力を全開にしてようやく、エネルギーソードのが振るわれるのを阻止出来た。
その身、刀身と化す思いの丈。
コンバインドロード超想剣。
その光景は地上からも見えていた。
高空で急激に膨張した異様な物体。そして太陽光さえ暗く霞む恐るべき閃光の嵐。そしてその禍況に挑み防いでいる琥珀色の光。
ユーラティスの甲板に着陸したロウズレオウは、肩に担いだリズチルドを閃光に向けた。
操珀の共上はいつになく真剣な表情で、最終局面省本部とのホットラインを開く。
「···こちら共上、現状において高レベル終結現象を確認、権限において、地球滅亡警報における緊急対応を指令します···」
···だが共上が見ていたのはギバドでもギガミネンスアンバーニオンでも無い。
彼らの上でいつも通り輝く、最強に熱く輝く真夏の太陽だった。
過度に暴力的な熱と光、衝撃と圧力。そして全力。
今、世界を滅ぼす力が一点に集められ、ギガミネンスアンバーニオンを断ち斬ろうとしている。
だが宇留は、宇留達は諦めない。
宝甲が軋みたくさんのヒビが全身に入っても、指先が溶けて削れて潰れても······諦めるというカードを捨てたからこそ、この琥珀の王か神、ギガミネンスアンバーニオンという景色に至れたのだから。そんな傲慢さえ、正しく味方にして魅せるのが今の自分に出来る事···。
そんな宇留を、ヒメナは胸元の琥珀の中から見上げていた。
場違いな考えは百も承知、アンバーニオンに乗った当初は戸惑っていた少年が成長し、仲間達のリーダーとして勇猛に燃えているのが誇らしかった。
何故ならば、全く負ける気がしないのだ。
思いの丈が渦巻いているのは、ギガミネンスアンバーニオンのクルーたちも同じである。
全員の覚悟がピークに達しようとした時、宇留の意識に一通の想文がキラリと閃く。
「!?···マ、マネージャー?···?、···き、9番目の···ギガミネンスピリッツ?···神、木刀?」
······!、ガゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォッッッッッッ!!
宇留の呟きに反応したギガミネンスアンバーニオンは、何かを喚ぶように天空を見上げ激しく咆哮した。
太陽の表面。
ムスアウ アーカイブはいつも居座っている神椚の枝の上に立ち、足下の黒い枯れ枝をゲシッと蹴った。
ゲシンッッ!!!!!
その衝撃を切っ掛けに、枯れ枝の表面を一瞬伝う虹色の葉脈模様。
そして、長さ二百メートル程の枯れ枝はムスアウ アーカイブの足下でボキンと折れて空中に浮かぶと、あっという間に地球の方向に向かって飛び去って行った。
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