20 / 52
遊び撃つ
しおりを挟む見事に青空を反射する真っ青な湖面。
小波に乱反射した無数の太陽光が、その上を向かい合って高速で飛び抜けて行く二体の巨人達をすぐ側で追う。
巨大な湖の畔と思しき遥か向こうには、純白の山脈が霞んで見えてはいるものの、対峙する二体はいつまで経ってもそこまで辿り着く事は無い。
「イツオ······」
アンバーニオンを駆る宇留は、自機を睨んで飛ぶ黒い機体を操る親友の名を慮るように呼ぶ。
「宇留······」
黒いアンバーニオンとでも言うべきそっくりな機体を操る五雄も、同じく親友の名を呼んだ。
見つめ合う青と青、せめぎ合おうとする姿と姿。そんな合わせ鏡の違和感を拭うかのように戦いが始まる······
ロボット対戦ゲーム、テラギガメカイザーは、自機キャラクターのデザインを詳細に編集する事が出来るゲームである。
宇留とそのゲームで対戦する五雄の自宅自室にグワァン!ゴワキィン!ドゥオシャア!と、新世代ハードここにアリな立体感のある効果音が響く。
画面の前には宇留と五雄、少し離れた入口の付近に現が正座で座り、しっかりと敷き直されたベッドの上には胴着を着た磨瑠香が座って画面に見入っている。
正直、三プラス一人の奇妙な緊張感と相まって、五雄は心中複雑だった。
(俺の部屋に来た初女子が、特に親しくも無い胴着を着たランニングおサボりさんで、まるで当たり前のようにベッドに腰かけて·····なんで月井度まで···)
「···で、このア···!···サニアンワン再現した人って一日でエディットしちゃったんだっけ?動画見たよ俺?前より細かくなってる」
宇留は画面上で五雄のブラックアンバーニオン?(2Pカラー)と戦いながら言った。
「え!ああ!そ···だね?レシピ公開されてたけど、入力多すぎてめんどいから俺、トゥゲザトップさん所から直でパスコピーさせてもらっちゃった♪うおお!」
画面ではアンバーニオン同士が剣でつばぜり合いになり、この時は五雄が押し勝った。
「ぉおお!」
親友同士の白熱バトルに感嘆の声を上げる磨瑠香。そしてゲーム内で宇留側の女性サポーターがアナウンスする。
「軍曹!チャージ完了!いつでも打てます!」
(···ですってよ?軍曹)
ヒメナの唐突な冗談の想文に思わず宇留は笑いを堪えた。服の中で宇留の喉の奥と、胸中が揺れた事を感じたヒメナもそれを察した。
「うぉ!強!上手いな宇留!」
磨瑠香と現も全員にバレないようにと、密かに笑いを堪える。結局全員微妙に集中力が乱れる。
(も~なんかメタっぽすぎるよ~?)
結局この戦いは、弱攻撃の連撃とステップ、最強攻撃のキャンセルを活用した宇留の勝利に終わった。
「うわぁあああ!」
ブラックアンバーニオン?パイロットの断末魔の叫びが響き渡り、1P勝利!の文字が画面に踊る。
「お前との戦い!熱かったぜ!」
アンバーニオン?のパイロットの口上と共に、右手で何か横に空を斬る動作の後、カメラ目線で拳を握るアンバーニオン?······
「やったーー!」
「くっそーー!宇留!モッカイだ!」
「?」
宇留が気が付くと、現が口を少し開いてコントローラーを一点集中に眺めている。
「アラワルくんもやる?」
「!、ん!···あ!、ぁあ!」
「じゃ!私にもやらして?一本終わったら戻るから!」
「てか藍罠さん、サボってダイジョブなの?」
五雄が磨瑠香に心配そうに聞く。
「ダイジョブ!多分!私はこの勝負の立会人だ!」
磨瑠香はベッドから立ち上がり、宇留と五雄の間に割り込んで座った。
「あ、えっと、俺、黒い方が···」
「おぅ!いいよ!」
五雄からコントローラーを受け取る現。
「じゃ五雄!百連フリスビーってドコ?」
「あ!外の倉庫!んじゃ宇留と見てくっから、二人で遊んでて?」
「あ!七継くん?格闘戦タイプにしていい?」
「え!」
五雄の返答を待つや否や、勝手にパーツを付け替え始める磨瑠香。五雄は一瞬ウヤムニャと躊躇したが「ま、まぁいいや!」と相成った。
ドゥッカイヤン!ドゥッカイヤン!ギャッ!ギョゥワァイン!(グケグケグ···)
パーツの装着と決定音が五雄の耳に虚しく響く。
「よし!勝負だ!月井度くん!行くぞ!アンバーニオン!」
[「よろしくお願いします軍曹!」]
「イヤ!名前、琥珀だからアンバーバーニングオンだよ?なんかサニアンワンじゃ味気無いと思ってさ···」
((((お!惜しい!))))
五雄のネーミングに対して、三プラス一人の感想が一つになった瞬間だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる