神樹のアンバーニオン (2) 逆襲!神霧のガルンシュタエン!

芋多可 石行

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 声 (2)

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「ホラ!やっぱり手からビームじゃん!」
 照臣の手の上でボッと燃え尽きたメモを見てまくし立てる磨瑠香。
「違うよ?マジックだよ~?そんな事なーいもーん!(スットボケ)。うし!宇留くん読めた?」
「うぎー!」
「うん!行けた!これって···」
 スマホには、宇留には見慣れた護ノ森諸店のホームページが表示されていた。
「ちょっと違うんだよね?虫を捕まえてみて?」
「虫?あ!」
 磨瑠香も虫?を探そうと宇留のスマホを覗き込む。よく見るとページ内をオレンジ色のセミのイラストが一匹飛び回っている。
 宇留がセミをタップすると、また違うページに飛んだ。


 がんばれ サニアン ワン


 護ノ森諸店のシークレットページ。
 アンバーニオンへの応援メッセージの寄せ書き風コメント欄のページに宇留は辿り着いた。
「わあ···」
 画面には色紙の上半分中央のような背景に応援メッセージが並び、横にスクロールすると新しいメッセージが回転して登場するといった仕組みだった。

 お陰様で家が壊れませんでした。有難う 御座います。

 仲の悪いお父さんが帰って来るなり、今日の作戦でサニアン ワンに助けて貰った!と自慢気に喜んでいました。その日は家族みんなで無事で良かったと笑っていられました。サンキューであります。

 ひなんでむかえたさびしい夜にユ
 メを見ました。ボクはサニアンワンの
 中でいっしょにたたかっていました。
 ゆうきが出たので、次の日はもう
 こわくなかったです。

 被害の復興をちょっと手伝ってから帰ってくれるヒーローはそう居ません。あなたの心意気には社員一同感服です。

 他······

「ほわぁ!良かったね!」
 磨瑠香は更に宇留のスマホの画面に食い入る。二人の顔は近かったが、お互いに気にすることは無い。
 宇留の横顔。長い睫毛まつげには涙が溜まり、キラキラし始めていた。
 ああ···やばい···
 宇留の感極まった光景に磨瑠香は吸い込まれそうになる。照臣も優しげな表情をそんな二人に向けていた。

「ん!アンチコメ?ん?違うか?」
「「え!」」
 宇留の眉毛が思わずハ?となると共に、照臣が磨瑠香の反対側に回り込んで宇留のスマホを覗き込む。

 夜景の綺麗な港町に巨美女をお姫様抱っこでお持ち帰りとかお前もその年齢としで中々やるナ?これからも頑張れよ?(肉球)

 ↑[新着 返] 叱っておくからね?(笑顔···)

 ヤッホー!この間はありがとう!すっかり元気になりました!(はぁと)

 こんな所があったとわん!またこっちにおいでねん!(はーと)

 あのヒト達ぁ···本当の事だけど書き方ァ!俺、まだ中学生だぞ!

 ゴゴゴ······

 宇留は至近距離の右側と胸元からどうも睨まれているような気がして、どちらにも振り向けなかった。涙が雪に変わりそうで困った宇留が必然的に左の方を向くと、照臣が黙って宇留の左肩をポンと叩いた。
「でね?何で俺がこんな事をしてるかっていうと···」
 照臣は宇留の肩に手を置いたままで続ける。
「あちこちから色々依頼されててね?頼りにしていいよ!俺も琥珀王軍アンバーニオンぐんに参加してもいいかな?」
 ここに来て宇留はようやく照臣が只者では無い事に気付いた。照臣が宇留の肩から外して掲げたままになっていた手、宇留はガシッと文字通り手を組んだ。
「うん!よろしくね!照臣くん!」
ちしも!」
 可憐な声で磨瑠香も宣言し宇留の肩をガシッと掴む。磨瑠香はイイ笑顔だったが、しかしその手にはまだ力が入っていた。

「う、うん!改めて···よろしく···!(イタイ···)」





 T都内某所、とあるアパート。
「ごめんな?今日こんなのしかなくて···」
 四畳半の和室で六条 松理まつりは、二人分の白飯と味噌汁とお新香が置かれた小さいテーブルに、豆腐カツの盛り合わせを運んで来た。
「いや、旨そうだよ?」
 テーブルの前に座るエシュタガは微笑んで人間の友人に告げた。
「いただきます···」
 豆腐カツを一口ハムッと口に運んだエシュタガは暫くサクモムしていたが、コップの水を口に含む。
「あれ!不味かった?」
熱いアフィ
 せつなげにニコッと微笑む六条。
「悪くない、これはこれでアリだな?」
 エシュタガの下唇は少し赤かった。
「豆腐カツは、絹越しもいいが木綿がいい、水分を切ってから衣を着せて揚げてやれば、豆腐本来の味が引き立つ」
「ナルホロ!···ホンロラ!アフィ!フフ!」

 食事を終えた二人は特に話す事も無く、黙ってしんみりしていたが、エシュタガは立ち上がり玄関へと向かう。
「ごちそうさん!じゃな?、また···」
「アガト!」
 名を呼ばれたエシュタガは振り返らない。
「俺信じてるからな?最後のメシなんて言うなよ?」
「ああ、通報だけはしといてくれよ?さっきまでココに居ましたって···サラバだ、マツリ!」
 そう言うとエシュタガはそそくさと六条の部屋を出た。

「さすが親友、関心エモの質が違う!」
 震えるブレスレット。エシュタガの鼓膜にガルンの声が響く。
「ご指示とは言え、俺は納得していない!」
 エシュタガはそう言いながらも、ポケットから取り出した懐中時計のようなアクセサリーを睨み付けた。



 その頃、どこかの地方。
 バイキング形式の食堂カウンター席で、ハグスファンはハイボールをかなりのペースで体に流し込んでいた。
「ドコ行ったんだよ~(ビィブァ!)」

 あ!見つけました。

 (!、またオマエか!こんな広域の想文とんでもねぇな?)

 ハグスファンの脳内に再び何者かの想文が着信する。

 私は食らい付いたら離さないんですよ!

 (丁度いい!八つ当たりで俺の愚痴使って頭一杯にしちゃる!)

 いいですね!容量勝負!で?酔っぱらいさん!なんであんな事するんですか?

 (彼女の家に挨拶に行ったんですよ···)

 アレレ?

 (家柄違うからお付き合い無理ですねぇ!とかって!彼女もいんしょ、いんしょーーーー印象論操作!、親の!印象論操作?に誘導されてソゥネ~って)

 ひど!なんなのソレー!今何時代なのー?!
 
 (ソモーでしょ?だからヤンナッチャッて···ケーサツやめて地元かえろかなって思ってた所にエッさンが俺を呼び覚ましに来てくれて···)
 

    ハグスファン!


 (ぅ!陛下ウィトリル!)


 ハグスファンは想文でアルオスゴロノ帝国皇帝、エグジガンに突如名前を呼ばれた。急に席から立ち上がるハグスファンを他の客が奇異の目で見つめる。
 先程までハグスファンと想話していた相手は、まるで掻き消されるようにハグスファンとの会話から退席していた。






 放課後。
 胴着を着た磨瑠香は用事があって、誰も居ない廊下を職員室に向かっていた。
 するといきなり角を曲がって来た体格のいい男子生徒にぶつかりそうになる。
「あわ!と!すいません!」
 磨瑠香はペコリと頭を下げて擦れ違おうとした。
「ん?あんた?」
 大柄の少年が呟く。
「?!」
 少年は高校生を思わせる体格に少し浅黒い肌、夏服を着崩していたが、清潔感のある髪型をしていた。磨瑠香はバスケかサッカー部の先輩だと思った。
「えと、何か?」
 少年は不思議そうに磨瑠香の顔を見ていたが、

 「人違いか?なんでもない」

 と言って廊下の先に歩いて行ってしまった。
「······番長?」
 この人も転校生だろうか?目立つオーラを放ちながらも、今まで見た事が無かった先輩?。
 磨瑠香は既にこの時代では死語になってしまった通り名を持って、その先輩?の印象を結論付けた。
 
 
 

 

 


 

 

 
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