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矛の先
しおりを挟む三螺旋市、重翼隊基地。
裂断を駆り、アンバーニオンと共に未確認航行物体と戦った鈴蘭は、当日と翌日の夕方まで検査入院した。
上からの休暇の勧めを辞退して、医務課から異常なしの検査結果を聞き、資料館に顔を出して音出やスタッフにシフトの礼を言い、昼前にようやく部隊に復帰した。
隊長室で、先の一戦の資料に目を通しながら鈴蘭は八野に尋ねた。
「隊長、私本当に無傷で飛びましたか?」
「うん。黒にもそんな記録なかったな」
「剣、伸びませんでした?」
「それなんだがなぁ?」
八野は応接席の下座に座る鈴蘭の正面の席に座った。
「バックアップが落ちてる最中の目視や、映像では確認出来なかった。しかし明らかに伸びてる形跡があるんだよな?」
資料には裂断の斬撃を受け、ゲルナイドが体液を吹き出す瞬間の写真が載っていた。
「明らかにキズ深いよな?でもブレードは体表スレスレなんだ。これは自然現象か何かって事で分析待ちにしたから」
八野は少し沈黙して鈴蘭に聞いた。
「不思議な事は別として、明日の訓練、本当にやってみるつもりか?」
「······はい!」
「実はさ!ウチラももしかしてと思ってたンだよ。追佐和もちょっとアレ?って思ってたんじゃないの?」
八野は冷やかすように資料を持ったまま一瞬鈴蘭を指差した。
「フフフの···ふ?」
「なんだよ?一丁前に、でさ、世も山なンだけど······」
八野は違う資料を出して鈴蘭に見せた。
「太陽由来1なんだけどさ」
リサーチャーがどさくさ紛れにちゃっかり記録していたアンバーニオンのデータだった。
推定頭部頂体高、58、9メートル
推定最大重量、589トン
推定最小重量、105トン
「······?」
シャレが効かなすぎて二人共にリアクションのタイミングを失ってしまったようで、琥珀だけに?という言葉は出て来なかった。
昼食前の重翼隊オフィスでは、午後から明日の訓練についてのブリーフィング、の連絡が伝えられた。それに関連した雑談の中で八野は隊員達になにか質問責めされたが、それは八野の手腕ですぐにクールダウンされた。
鈴蘭は整備班に挨拶ついでに、裂断の様子を見に来た。
正面に回り込み、体の正中線を合わせて向かい合い観想する。
ドッグの中は青空を乱反射したブルーの空気が外から満ちて、鈴蘭と裂断に寄り添っていた。
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