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世界崩壊の危機
しおりを挟むPさんが小学生の頃、学校内でお笑いブームが起きた時のお話。
「私のクラスにぃ、バカ笑い帝王ってあだ名の男の子が居たんですよ?」
その彼は帝王と呼ばれてはいましたが決して強い子では無く、要はイジラレキャラでした。
普段はおとなしいものの、一旦ツボに入ると大口を開けて大きな声で大爆笑するといったギャップがクラスでウケてしまい、イジメ一歩手前までイジられるという日々を送っていたそうです。
「ある時ですね?隣のクラスに女の子が転校して来ましてね」
その女の子は明るく元気で、バカ笑い帝王くんの男の子とは違う雰囲気で良く大声で笑う子だったそうです。
「その子が来て次の月くらいかな?隣のクラスの男の子がウチのバカ笑い女王とそっちのバカ笑い帝王で勝負しようぜ?みたいな事を提案して来たんですよ」
休み時間も中頃、隣のクラスの子供達に付き添われ、転校生の女の子とバカ笑い帝王くんは対面しました。
ほら!···あれが···こうで···!
取り敢えずバカ笑い帝王くんを笑わせる為、同級生の男の子は彼が一番良くツボるネタをバカ笑い帝王くんに吹き込みました。
バカ笑い帝王くんは女の子の前で緊張気味でしたが、その場の空気を読んで少しぎこちなく大笑いを始めました。
「転校生の子はそれがおかしかったようで?その子もバカ笑いを始めたんですけど···」
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ···」
大笑い同士の合唱が始まって間も無く。
異変が起こりました。
二人はまるでリピート再生する自動音声のように、同じ発音の大笑いの合唱を続けています。声も大きくなり、息継ぎをする様子もありません。
「最初こそみんなウケて笑ってたんですけど、そこにいる全員が目に見えて青ざめ始めたのが分かったんですよ」
やがて彼等の居る教室内が白み始めました。屋内であるにも関わらず、直射日光が当たっているようだったといいます。
続けて机や扉、壁に張ってあるプリントの輪郭が砂嵐のようにぶれて見え始めました。
「多分、そのッ場のッ全員が本能的にヤバいと思ッてたと思いますよ?」
キーーーーン!
シシシシシシシ······
耳鳴りのような音と容器に入った砂を振るような奇妙な音も聞こえて来たそうです。その間も彼等はバカ笑いの合唱を止めません。
「や、やめ······」
もはや白目を剥き、二人の口は大きく縦にあんぐりと開ききっていたそうです。誰かが明らかに異常な状態の二人を止めようとした時でした。
「何をやってるんだ!」
Pさんの担任の先生がやって来て二人を注意しました。ピタリと合唱は止まります。
「?」
「?」
二人は無表情で不思議な顔をしていました。一瞬前まで笑っていたとは思えない落ち着きぶりだったそうです。
「先生は何事も無かったかのように、もうすぐ次の授業だからと転校生の子を隣のクラスに帰しました。私達もお通夜状態で席につきました。そのあとですけどぉ?バカ笑い帝王くんへのイジリが無くなったのは言うまでもありませんねぇ?何でか知らないですけどその女の子もすぐに転校しちゃって······」
少し調べました所、Pさんの学校で起こったこの現象。我々の組織にて過去に対応しておりました。
私は学が良くないもので詳細は不明ですが、当時の担当者曰く、超大爆発かブラックホールの出現があってもおかしくなかったとの見解を頂きました。
因みに彼等は未だに我々の組織の監視下に置かれ、接触が無いよう専従の工作班が活動しているそうです。
相性が良すぎるのも、考え物ですね?
フフ······おっと!失礼。
本日はこの辺りで······
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