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入園の日 後編
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~入園式~
厳かに始まる。
在校生代表(生徒会長)ジークフリート様、新入生代表マリアンナ、来賓代表(卒業生代表)オクティビア・グレイス様の挨拶が続く。
こういうプログラムは前世とあまり変わらない。
日本で作られたゲームの世界だからなのだろう。恙無く終了した。
式が終わるとクラス分けの為の魔力テストが始まる。
ここからはゲーム独自の世界感だ。
魔力の必要性が少ない文官コース以外はこれでクラスが決められる。
完全実力主義だ。
魔力テストと言っても凄く簡単で、魔力を測ることが出来るという水晶に手を当てるだけだ。
生徒が、手を当てるとその魔力に応じて水晶は輝き出す。
魔力の強弱がつまり輝きの強弱になる。
つまり、魔力が弱いと輝きも弱いと言うこと。
2年前のジーク殿下は太陽の様にまぶしく輝いたと言う。
判定は教師達数人が行う。輝きの色も考慮されるが詳細は分からない。
さて、魔力テストは順調に進み、次はマリアの番だ。
ここまで強弱はあれ、特に目立った者は居なかった。
マリアがそっと水晶に手を当てると、眩いばかりに光り出す。
教師達から感嘆の声が漏れる。
さすがはマリア、稀有な神聖属性の上、強力な魔力。眩い黄金色がそれを示している。
間近で見ると、その凄さが良く分かる。
ゲームをプレイしているのと生で見るのとは全然違う。
生徒達もみな感動に似た感覚の中にいる。
私は、心の中で”マリアこそ本物の聖女なのね。”と感じていた。
”貴女は、今、生徒達から聖女候補と認知されたわ、だから、こらから私は貴女を虐めるわ。”
悲しいけれど、胸が痛むけれど、この決意がぶれることはない。
□□□
さあ、次は私の番。
今朝も魔道具の小瓶に魔力を注いで来た。
朝食はしっかり食べたけれど多分大丈夫。
それくらいでは、完全に回復なんてしないわ。
私は、そろりと水晶に手を当てた。
すると、・・・普通に光り出した。
前世で言う照明灯くらいの輝きであった。(平均よりやや低いくらいかしら。)
「ちぇっ、その程度かよ、ガッカリだぜ。」
生徒席で誰かが悪態を付いた。
おりょ。聖騎士候補、騎士団長ランバート!(の若い頃。)
(ごめんね。期待はずれで、でも私の出番はこれで終わり)
そそくさと自席へ戻る。
ランバートは、如何にも”やんちゃ”そうな男の子で、悪態を付かれると良い気はしない。
ランバートは、聖女(プレイヤー)からパートナーとして選ばれれば、ランバートルートに入り勇者と成る。
だから、素質は全能力凄いものを持っている。
けれど、聖女に選ばれず他のルートに入ってしまうと、勇者に成ることはできないのだ。
アレンがランバートを凄い目で睨んでいる。
(計算通りだから気にしなくて良いのに。)
そして、最後の生徒であるアランの番ね。
アランは”見てろ”と言わんばかりにツカツカと歩き出し、おもむろに水晶に手を当てた。
”ピカ”
(会場)~~ シーン ~~
あれ?普通だ。私と大して変わらない。少し強い程度だ。
(アレンに限ってそんなことは絶対にないのに・・・。)
すると、アレンは振り返り、水晶をランバートの方へ掲げる。
「魔力って言うのはな!鍛えればこんな事も出来るんだよ!」
と言うなり水晶はさらに光り輝き出す。
さながら真昼の太陽の様だ!
最早マリアの輝きすら超えている。
”うおおー!”
とアランが怒りにまかせ魔力を水晶に流し込む。
すると、水晶にヒビが入り、割れ目から閃光を放つ・・・。
~~~~ ボン! ~~~~
あっけなく水晶は木っ端微塵となった。
アレンは軽く制服を叩くと自席へ戻って来た。
唖然とする式場内
アレンは、暗に”鍛えれば魔力は調整できる”と言うことを示した。
(だからと言って、私が手を抜いたみたいにならないわよね?)
ともかく、アレンの凄さが際立ってしまった。
先ほどのマリアの事が霞んでしまった。
私をやじったランバートの魔力も並の下ぐらいだった。
全然魔力は鍛えていないのね。
本当は魔法も凄い力を持っているのに、勿体ないことだ。
ランバートルートに入らなくても、相応の努力をすれば勇者になれるのに。
そんな事を考えると、「ランバート、本当、腹が立つわ!」
厳かに始まる。
在校生代表(生徒会長)ジークフリート様、新入生代表マリアンナ、来賓代表(卒業生代表)オクティビア・グレイス様の挨拶が続く。
こういうプログラムは前世とあまり変わらない。
日本で作られたゲームの世界だからなのだろう。恙無く終了した。
式が終わるとクラス分けの為の魔力テストが始まる。
ここからはゲーム独自の世界感だ。
魔力の必要性が少ない文官コース以外はこれでクラスが決められる。
完全実力主義だ。
魔力テストと言っても凄く簡単で、魔力を測ることが出来るという水晶に手を当てるだけだ。
生徒が、手を当てるとその魔力に応じて水晶は輝き出す。
魔力の強弱がつまり輝きの強弱になる。
つまり、魔力が弱いと輝きも弱いと言うこと。
2年前のジーク殿下は太陽の様にまぶしく輝いたと言う。
判定は教師達数人が行う。輝きの色も考慮されるが詳細は分からない。
さて、魔力テストは順調に進み、次はマリアの番だ。
ここまで強弱はあれ、特に目立った者は居なかった。
マリアがそっと水晶に手を当てると、眩いばかりに光り出す。
教師達から感嘆の声が漏れる。
さすがはマリア、稀有な神聖属性の上、強力な魔力。眩い黄金色がそれを示している。
間近で見ると、その凄さが良く分かる。
ゲームをプレイしているのと生で見るのとは全然違う。
生徒達もみな感動に似た感覚の中にいる。
私は、心の中で”マリアこそ本物の聖女なのね。”と感じていた。
”貴女は、今、生徒達から聖女候補と認知されたわ、だから、こらから私は貴女を虐めるわ。”
悲しいけれど、胸が痛むけれど、この決意がぶれることはない。
□□□
さあ、次は私の番。
今朝も魔道具の小瓶に魔力を注いで来た。
朝食はしっかり食べたけれど多分大丈夫。
それくらいでは、完全に回復なんてしないわ。
私は、そろりと水晶に手を当てた。
すると、・・・普通に光り出した。
前世で言う照明灯くらいの輝きであった。(平均よりやや低いくらいかしら。)
「ちぇっ、その程度かよ、ガッカリだぜ。」
生徒席で誰かが悪態を付いた。
おりょ。聖騎士候補、騎士団長ランバート!(の若い頃。)
(ごめんね。期待はずれで、でも私の出番はこれで終わり)
そそくさと自席へ戻る。
ランバートは、如何にも”やんちゃ”そうな男の子で、悪態を付かれると良い気はしない。
ランバートは、聖女(プレイヤー)からパートナーとして選ばれれば、ランバートルートに入り勇者と成る。
だから、素質は全能力凄いものを持っている。
けれど、聖女に選ばれず他のルートに入ってしまうと、勇者に成ることはできないのだ。
アレンがランバートを凄い目で睨んでいる。
(計算通りだから気にしなくて良いのに。)
そして、最後の生徒であるアランの番ね。
アランは”見てろ”と言わんばかりにツカツカと歩き出し、おもむろに水晶に手を当てた。
”ピカ”
(会場)~~ シーン ~~
あれ?普通だ。私と大して変わらない。少し強い程度だ。
(アレンに限ってそんなことは絶対にないのに・・・。)
すると、アレンは振り返り、水晶をランバートの方へ掲げる。
「魔力って言うのはな!鍛えればこんな事も出来るんだよ!」
と言うなり水晶はさらに光り輝き出す。
さながら真昼の太陽の様だ!
最早マリアの輝きすら超えている。
”うおおー!”
とアランが怒りにまかせ魔力を水晶に流し込む。
すると、水晶にヒビが入り、割れ目から閃光を放つ・・・。
~~~~ ボン! ~~~~
あっけなく水晶は木っ端微塵となった。
アレンは軽く制服を叩くと自席へ戻って来た。
唖然とする式場内
アレンは、暗に”鍛えれば魔力は調整できる”と言うことを示した。
(だからと言って、私が手を抜いたみたいにならないわよね?)
ともかく、アレンの凄さが際立ってしまった。
先ほどのマリアの事が霞んでしまった。
私をやじったランバートの魔力も並の下ぐらいだった。
全然魔力は鍛えていないのね。
本当は魔法も凄い力を持っているのに、勿体ないことだ。
ランバートルートに入らなくても、相応の努力をすれば勇者になれるのに。
そんな事を考えると、「ランバート、本当、腹が立つわ!」
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