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決別と融和
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~王城 王太子の部屋~
ややひきつり顔の王太子ジークフリートが、側近でもあり親友のオクティビアと対面している。
「ご苦労だったなオクティ。たいそうな活躍だったそうじゃないか。
で、宰相府を辞めたいとはどう言う事かな?」
対してオクティビアは、普段の仏頂面からは考えられないほど晴れやかだ。
「その言葉の通りです。」
「魔法戦士か・・・・。まぁ、その判断は間違いではない。
願い通り騎士団に配属してやるさ、それなりの地位でな。」
「恐れ入ります。殿下。」
「よせ、そう言うのは、オクティ。」
畏まるオクティビアに、ジークは手振りで楽にしろと促した。
「ところで、噂の聖女候補が覚醒したとの事だが、本当にキャシーでは無いのだな?」
「うむ、マリアンヌ嬢で間違い無い。彼女の聖なる魔力は、他の者のそれとは性質そのものが違う。」
幾分崩れたオクティビアは、逆に偉そうに話した。
「しかし、キャシーを天使だと言う者もいるそうだが?」
「彼女は違う。ある意味確かに天使だが・・・。
そう、あくまで普通の人の範疇、特別な力では無い。」
そして、普通の人だからこそ、あの行動は危ういのだ。「またそれが、彼女の可憐な美しさを際立たせているのだがな。」
オクティビアは、後半を口に出していたことに気が付いていない。
「・・・・。」
ジークフリートの顔に怒りのマークが浮き上がっている。
「それで、今回の任務はキャシーに亡者の対策を聞きに行く事だったはずだが、何故アズラーン村に行く事になったのだ?」
「それは、気がついたら村に居たのさ。マリアアンヌ嬢と共にな。
正直、一瞬過ぎて何が起こったか分からなかった。
まぁ、カサンドラ嬢が転移魔法を使った、・・・と言う事だな。」
「な、何?」
「空も飛んでいたぞ。」
「・・・・。」
「どうだ? 彼女をとじ込めておこうなんて気は失せただろう?」
「・・・・。」
「いずれジークにも分かるさ。」
「最後に一つだけ教えて欲しい。
どうすれば、魔法戦士、いや聖騎士と言われる者になれる?」
「私の場合は、”怒り”だったな。 いや、そんな良いものではないな。
”恥”と言った方がしっくりくるかもしれない。」
「恥? 恥とは?」
オクティビアは、手を振ってそれ以上は分からないと示唆した。
「それと、アレンも私と同等かそれ以上の力を持っているぞ。」
「何? あいつも既に聖騎士なのか?」
「そこまでは分からん。本人は魔道士と言っていたがな。
もう、聖騎士とか聖女にこだわらなくても良いんじゃないか?
人には、それぞれの役目がある。」
「私にこのまま王宮で引っ込んでいろと・・・・。」
「そうは言ってないが、友として言えるのはこれだけだ。」
そう言ってオクティビアは退室していった。
最後に振り返ると、さっと拳を振り上げた。
それは、友への激励の意味を込めたものであった。
しかし、一人自室に残されたジークフリートは目を瞑り天を仰いだ。
~~~~
学園門前
クリスティン侯爵家の馬車が到着した。
扉が開き、華麗に令嬢が降り立ち、ピンクの可愛らしい傘を差す。
「我ながら完璧。」
登園中の生徒達が振り向き、振り返り注目する。
少し離れた所に、人の集まりができていたが、その中から人を掻き分け1人の美少女が駆け寄って来る。
「カサンドラ様!」
今日も可愛く元気なマリアだ。
「マリア!」
と私も元気に答えると”パフっ”とハグされる。
これが最近の定番だ。うふふ。マリアってまじ天使。
すると、生徒達からは黄色い声が上がる。
羨ましいだろう?
男どもにマリアを渡したくない気持ちが昂るが、まぁ、後少しだけ、ほんの少しだけ許して欲しい。
マリアが誰かを選ぶまで。
ややひきつり顔の王太子ジークフリートが、側近でもあり親友のオクティビアと対面している。
「ご苦労だったなオクティ。たいそうな活躍だったそうじゃないか。
で、宰相府を辞めたいとはどう言う事かな?」
対してオクティビアは、普段の仏頂面からは考えられないほど晴れやかだ。
「その言葉の通りです。」
「魔法戦士か・・・・。まぁ、その判断は間違いではない。
願い通り騎士団に配属してやるさ、それなりの地位でな。」
「恐れ入ります。殿下。」
「よせ、そう言うのは、オクティ。」
畏まるオクティビアに、ジークは手振りで楽にしろと促した。
「ところで、噂の聖女候補が覚醒したとの事だが、本当にキャシーでは無いのだな?」
「うむ、マリアンヌ嬢で間違い無い。彼女の聖なる魔力は、他の者のそれとは性質そのものが違う。」
幾分崩れたオクティビアは、逆に偉そうに話した。
「しかし、キャシーを天使だと言う者もいるそうだが?」
「彼女は違う。ある意味確かに天使だが・・・。
そう、あくまで普通の人の範疇、特別な力では無い。」
そして、普通の人だからこそ、あの行動は危ういのだ。「またそれが、彼女の可憐な美しさを際立たせているのだがな。」
オクティビアは、後半を口に出していたことに気が付いていない。
「・・・・。」
ジークフリートの顔に怒りのマークが浮き上がっている。
「それで、今回の任務はキャシーに亡者の対策を聞きに行く事だったはずだが、何故アズラーン村に行く事になったのだ?」
「それは、気がついたら村に居たのさ。マリアアンヌ嬢と共にな。
正直、一瞬過ぎて何が起こったか分からなかった。
まぁ、カサンドラ嬢が転移魔法を使った、・・・と言う事だな。」
「な、何?」
「空も飛んでいたぞ。」
「・・・・。」
「どうだ? 彼女をとじ込めておこうなんて気は失せただろう?」
「・・・・。」
「いずれジークにも分かるさ。」
「最後に一つだけ教えて欲しい。
どうすれば、魔法戦士、いや聖騎士と言われる者になれる?」
「私の場合は、”怒り”だったな。 いや、そんな良いものではないな。
”恥”と言った方がしっくりくるかもしれない。」
「恥? 恥とは?」
オクティビアは、手を振ってそれ以上は分からないと示唆した。
「それと、アレンも私と同等かそれ以上の力を持っているぞ。」
「何? あいつも既に聖騎士なのか?」
「そこまでは分からん。本人は魔道士と言っていたがな。
もう、聖騎士とか聖女にこだわらなくても良いんじゃないか?
人には、それぞれの役目がある。」
「私にこのまま王宮で引っ込んでいろと・・・・。」
「そうは言ってないが、友として言えるのはこれだけだ。」
そう言ってオクティビアは退室していった。
最後に振り返ると、さっと拳を振り上げた。
それは、友への激励の意味を込めたものであった。
しかし、一人自室に残されたジークフリートは目を瞑り天を仰いだ。
~~~~
学園門前
クリスティン侯爵家の馬車が到着した。
扉が開き、華麗に令嬢が降り立ち、ピンクの可愛らしい傘を差す。
「我ながら完璧。」
登園中の生徒達が振り向き、振り返り注目する。
少し離れた所に、人の集まりができていたが、その中から人を掻き分け1人の美少女が駆け寄って来る。
「カサンドラ様!」
今日も可愛く元気なマリアだ。
「マリア!」
と私も元気に答えると”パフっ”とハグされる。
これが最近の定番だ。うふふ。マリアってまじ天使。
すると、生徒達からは黄色い声が上がる。
羨ましいだろう?
男どもにマリアを渡したくない気持ちが昂るが、まぁ、後少しだけ、ほんの少しだけ許して欲しい。
マリアが誰かを選ぶまで。
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