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第2章 交易都市トナミカ
トナミカ市内は少し物騒だそうです
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僕たちは馬車に揺られながら交易都市トナミカの町へ近づいたが、門まで約100メートル当たり手前に着くと馬車から降ろされることになった。
「ここが馬車の乗降場所。町から発行されている許可証を持っている荷車や商人であれば、そのまま町に入れるのだけど、そうすると門が詰まってしまうからね。人だけであれば、ここで降ろされて歩いて向かうことになるんだ」
なるほど、僕たちの脇をひっきりなしに、荷台を満載にした大小様々な馬車が門へと向かっている。
町内へと続く道の先には門がそびえているが、エラリアのように周囲全てが厚い城壁に囲まれているわけではなく、入り組んだ水路が天然の障害になりえており、要所要所にしか城壁は見えなかった。その独特な町の雰囲気と解放感はエラリアとは全く異なる異質な物だ。
来るもの全てを拒まない町。そのような印象が町全体の活力の源となっているように僕は感じた。
「さて、身分証さえあれば基本的にはすぐに町中に入れるよ。君たちは、ギルド職員の私がついているから、さらに確認作業は短時間で済むだろうね」
果たして、ウォーレンの言葉通り門まで歩いてきた僕たちは、2、3の質問に回答するだけで問題なく町に入ることができることとなった。
「本当にすんなりと入れましたね。でも、安全面では不安じゃないのですか?」
僕の質問に、ウォーレンはピタリと足を止める。
振り返ったその顔はどこか居心地が悪そうだ。
「痛いところをつくねぇ、その通りだよ。さっきは多様性の町だと格好をつけてはみたものの、実際はゴロツキがすぐに集まったりするのさ」
その言葉に、人族への恐怖感が増したのか、不安げにイスカは僕の服の裾を掴んだ。
「確かに、イスカちやんとフーシェちゃんは美人さんだからね。特にエルフの血が入っていることはゴロツキにとってはいい獲物と思われるかもしれない。しっかりとユズキ君が守ってあげるんだよ」
こう見えて、僕がイスカに譲渡した15レベル分を合わせると、イスカの現在のレベルは39。この数字であれば、フーシェ曰くS級パーティーにいて遜色ないとのこと。
チンピラ程度であれば、今のイスカの敵ではないはずだけど、ドラゴンの時のように高レベルだけで何ともできないような状況が起こりうることを考えれば、注意するに越したことはないだろう。
「分かりました」
僕の答えにウォーレンは力強く頷く。
「だから、この町はエラリアとはギルドの仕事も大きく違ってくるんだ」
「依頼内容が全然違うのですか?」
イスカの質問に、ウォーレンは「見たら分かるよ」と答え、僕たちを先導した。
さて、中に入ってみるとさすがは交易都市、町は活力に満ちていた。
あちらこちらで行商達が露店を開き、そこここで商談が成立している。
「凄い活気⋯⋯」
「ん。美味しい匂いもする」
人波に酔いそうになるイスカと、町に漂う屋台の香りに鼻を引くつかせるフーシェ。
ガヤガヤと聞こえる商談の声は町を駆け巡り、まるで町全体が生き物のようだ。
「おいっ!この品がそんなにするわけないだろう!!」
突然、前方から怒鳴り声が聞こえたかと思うと、ウォーレンはやれやれといった風に首を横に振った。
「はぁ、まぁこんな諍いごとは日常茶飯事です。ですが、良い機会です。近づいてみましょうか」
ウォーレンは、横道もあるのにわざわざ真っすぐに争いの中心に向かって歩いていく。
近づくにつれ、輪を作っていた野次馬の層は厚くなり、やがて先に進むことが困難になった。
「うぅ、行きたくないです」
その気持ちはよく分かる。
僕だって好き好んで問題ごとに首を突っ込むなんてことはしたくなかった。
歩をさらに進めると、程なく争いの現場が僕たちにも見えるようになった。
「オヤジ!なんでこんなにギムの粉が高いんだ!ぼったくっているんだろう?」
身長180cmを超える大男が、露天に店を構えた初老の男性を睨みつけている。
対する睨みつけられた方の男は、渋い顔をしながらため息をついた。
「はぁ、そもそも仕入れ値が高くなっているんだ。これ以上はまかることはできん」
そう言うと男は手にしていたキセルを一つ吸い込む。
大男はその態度にさらに腹が立ったのか、男性に詰め寄るとその肩に荒っぽく掴みかかった。
「じじい!なめた態度取りやがって!」
男性もいきなり掴みかかられるとは思わなかったのだろう。
キセルを落とすと、倒れないように手をついた。
「危ない!」
イスカが思わず声をあげた瞬間──
「おっ、またやっているのかい」
若い溌溂はつらつとした女性の声が聞こえた。
その声は人だかりをかき分けるようにやってくると、騒ぎの中心である大男と男性の前に姿を露わにした。
そこには、先頭に先ほどの声の主であるであろう女性。後ろには、彼女の仲間なのか2名の青年が控えている。
その姿を見た大男は、顔を曇らせやや乱暴に掴んでいた男性の肩を放した。
「チッ、面倒な奴らが来やがった」
悪態をつきながら、大男は女性達に向き直る。
「クソッ、何でもねえょ」
そう言い捨て、その場を去ろうとする大男の眼前に回り込むように女性が立ちはだかる。
「ん~。私には、アンタが露店のじいさんに肩を掴みかかっているように見えたんだけどなぁ」
あからさまに挑発を含んだ抑揚で女性は、大男に食って掛かる。
大男に対峙する女性は、身長160cm程度。その身長差から、女性は大男を見上げるような形になる。
服装は、うーん。悩ましい限りだよね。
上下プレート状のアーマーに覆われてはいるが、下半身は動きやすさを追求したのか、太ももを覆うようにアーマーは装備されているが、それ以外は露出しており所謂ビキニアーマーのような形だ。
その腰には1本の、およそ女性が振り回すとは思えない大剣が握られている。
「トナミカじゃ、商売の文句は『仲裁所』を通すことになっているよねぇ。それを違反するってんなら、一晩くらい牢に入ってもらわないといけないんだけど」
ニヤニヤ笑う女性の言葉を聞いて、男の顔色は悪くなる。
「うっ、うっせぇ!」
思わず逃げるために駆け出した男だったが、大男が動き出すとほぼ同時に女性が動いた。
およそアーマーの重さを感じさせない俊敏な動きで駆け出すと、即座に大男の進路を塞ぐ。
男は、女性を突き飛ばそうとタックルを仕掛けたが、逆に女性は大男の突進を正面から受け止めた。
圧倒的な体格差から、女性が吹き飛ばされるかと思ったが、どうやらその予想は見事に外れたらしい。
「いってぇ!!」
見れば、大男の両手は女性にガッツリと握られ、搾り上げられるように外側に捻られていた。
振りほどこうとする大男の力をいなしながら、女性は素早く背後に回り込むと、今度は犯人逮捕よろしく、地面に組み伏せると腕をガッチリとその細腕でロックしてしまった。
「がはっ!」
痛がる男を見下ろしながら、女性は仲間の男性に声をかける。
「よし、じゃあこいつは牢に連れていくってことで。2人とも頼んだよ~」
女性がそう告げると、仲間の2人は手際よく離れる女性と入れ替わるように大男の両手に縄を縛ると、男を立ち上がらせた。
その鮮やかな手並みにより、周囲の野次馬から感嘆の声が上がった。
「やぁ、エレナ。いつも通り鮮やかな手並みだね」
大男が連れ去られていく背中を見送りながら、ウォーレンが女性に近づいていく。
女性の方もウォーレンを見つけると、嬉しそうに目を丸くした。
「おおっ!ウォーレンのおっちゃん!戻ってたんだ!」
そう言うとウォーレンがエレナと呼んだ女性は、アーマーをガシャガシャと打ち鳴らしながら近づいてきた。
エレナは、ウォーレンの後ろに立つ僕たち三人に気づくと歩みを緩める。
「あれ、おっちゃん!その子達は知り合い?」
「はぁ、おっちゃん呼びはやめてほしいんだけど──。あぁ、彼らはエラリアの冒険者達だよ。えっと、パーティー名は……」
まさか、ここでもパーティー名を求めらられるなんて!
ローム大洞窟で、ケンにパーティー名を求められて以降気にしていなかったが、やはりパーティー名は必要なのか。
背中にぶわっと冷や汗が噴き出すのを感じてしまう。
「ん。考え中、そのうち最高の名前ができる」
いや、フーシェ!それ助けてくれるようで、僕を崖に突き出しているだけだからね?
そんな僕の心情などお構いなしに、フーシェは通常運転だ。
対するエレナは、僕の顔をジロジロと見たあと、イスカとフーシェを見てニカッと笑った。
「ふぅん。こんな可愛い女の子2人連れてるから、どんなやつかと思ったけど兄さん。悪い人じゃなさそうだね」
初対面なのにズカズカとした物言いに僕は面食らってしまう。
「あぁ、紹介が遅れたね。彼女はこのトナミカでB級パーティー『蒼天の灯台』のリーダー。エレナというんだ」
ウォーレンの紹介にエレナはニコニコとした表情でイスカとフーシェに笑いかける。
「やっほー。これでも、この町ではそれなりに有名なんだよ。私たちの町、気に入ってくれた?」
「ユズキ君達、これがここトナミカギルドの特徴なんだ」
そう言うと、今は人ごみに紛れ見えなくなってしまった、連れ去られた男の方角を見やった。
「ここは、あまりモンスターが来ない土地柄でね。ギルドの依頼は、主に非合法組織や犯罪者集団の取り締まり及び討伐。ギルドに依頼が貼られていない、こんな風に突発的な事件でも、自警団のような権限も与えられていて、暴力沙汰やいざこざを取り締まって報告すれば冒険者も報酬がもらえるんだ」
なるほど、冒険者が治安維持の一端を担っているのか。
都市警備を担うことのあるエラリアとは、また違った仕組みではあるけど実力者である冒険者達が治安維持をしているのは抑止効果になるよね。
え、でもそれって──
「てことは、ここのギルドの依頼って。対人戦が多いとかですか」
嫌な予感がする。
そんな表情の僕たちを見て察したのか、エレナが笑いながら笑顔で告げるのだ。
「この町にいるなら、いっぱい捕まえて、いっぱい牢にぶちこんでいこうね!」
その言葉に、自分たちはかなり物騒な所に来てしまったのではと背筋が寒くなる思いをするのだった。
「ここが馬車の乗降場所。町から発行されている許可証を持っている荷車や商人であれば、そのまま町に入れるのだけど、そうすると門が詰まってしまうからね。人だけであれば、ここで降ろされて歩いて向かうことになるんだ」
なるほど、僕たちの脇をひっきりなしに、荷台を満載にした大小様々な馬車が門へと向かっている。
町内へと続く道の先には門がそびえているが、エラリアのように周囲全てが厚い城壁に囲まれているわけではなく、入り組んだ水路が天然の障害になりえており、要所要所にしか城壁は見えなかった。その独特な町の雰囲気と解放感はエラリアとは全く異なる異質な物だ。
来るもの全てを拒まない町。そのような印象が町全体の活力の源となっているように僕は感じた。
「さて、身分証さえあれば基本的にはすぐに町中に入れるよ。君たちは、ギルド職員の私がついているから、さらに確認作業は短時間で済むだろうね」
果たして、ウォーレンの言葉通り門まで歩いてきた僕たちは、2、3の質問に回答するだけで問題なく町に入ることができることとなった。
「本当にすんなりと入れましたね。でも、安全面では不安じゃないのですか?」
僕の質問に、ウォーレンはピタリと足を止める。
振り返ったその顔はどこか居心地が悪そうだ。
「痛いところをつくねぇ、その通りだよ。さっきは多様性の町だと格好をつけてはみたものの、実際はゴロツキがすぐに集まったりするのさ」
その言葉に、人族への恐怖感が増したのか、不安げにイスカは僕の服の裾を掴んだ。
「確かに、イスカちやんとフーシェちゃんは美人さんだからね。特にエルフの血が入っていることはゴロツキにとってはいい獲物と思われるかもしれない。しっかりとユズキ君が守ってあげるんだよ」
こう見えて、僕がイスカに譲渡した15レベル分を合わせると、イスカの現在のレベルは39。この数字であれば、フーシェ曰くS級パーティーにいて遜色ないとのこと。
チンピラ程度であれば、今のイスカの敵ではないはずだけど、ドラゴンの時のように高レベルだけで何ともできないような状況が起こりうることを考えれば、注意するに越したことはないだろう。
「分かりました」
僕の答えにウォーレンは力強く頷く。
「だから、この町はエラリアとはギルドの仕事も大きく違ってくるんだ」
「依頼内容が全然違うのですか?」
イスカの質問に、ウォーレンは「見たら分かるよ」と答え、僕たちを先導した。
さて、中に入ってみるとさすがは交易都市、町は活力に満ちていた。
あちらこちらで行商達が露店を開き、そこここで商談が成立している。
「凄い活気⋯⋯」
「ん。美味しい匂いもする」
人波に酔いそうになるイスカと、町に漂う屋台の香りに鼻を引くつかせるフーシェ。
ガヤガヤと聞こえる商談の声は町を駆け巡り、まるで町全体が生き物のようだ。
「おいっ!この品がそんなにするわけないだろう!!」
突然、前方から怒鳴り声が聞こえたかと思うと、ウォーレンはやれやれといった風に首を横に振った。
「はぁ、まぁこんな諍いごとは日常茶飯事です。ですが、良い機会です。近づいてみましょうか」
ウォーレンは、横道もあるのにわざわざ真っすぐに争いの中心に向かって歩いていく。
近づくにつれ、輪を作っていた野次馬の層は厚くなり、やがて先に進むことが困難になった。
「うぅ、行きたくないです」
その気持ちはよく分かる。
僕だって好き好んで問題ごとに首を突っ込むなんてことはしたくなかった。
歩をさらに進めると、程なく争いの現場が僕たちにも見えるようになった。
「オヤジ!なんでこんなにギムの粉が高いんだ!ぼったくっているんだろう?」
身長180cmを超える大男が、露天に店を構えた初老の男性を睨みつけている。
対する睨みつけられた方の男は、渋い顔をしながらため息をついた。
「はぁ、そもそも仕入れ値が高くなっているんだ。これ以上はまかることはできん」
そう言うと男は手にしていたキセルを一つ吸い込む。
大男はその態度にさらに腹が立ったのか、男性に詰め寄るとその肩に荒っぽく掴みかかった。
「じじい!なめた態度取りやがって!」
男性もいきなり掴みかかられるとは思わなかったのだろう。
キセルを落とすと、倒れないように手をついた。
「危ない!」
イスカが思わず声をあげた瞬間──
「おっ、またやっているのかい」
若い溌溂はつらつとした女性の声が聞こえた。
その声は人だかりをかき分けるようにやってくると、騒ぎの中心である大男と男性の前に姿を露わにした。
そこには、先頭に先ほどの声の主であるであろう女性。後ろには、彼女の仲間なのか2名の青年が控えている。
その姿を見た大男は、顔を曇らせやや乱暴に掴んでいた男性の肩を放した。
「チッ、面倒な奴らが来やがった」
悪態をつきながら、大男は女性達に向き直る。
「クソッ、何でもねえょ」
そう言い捨て、その場を去ろうとする大男の眼前に回り込むように女性が立ちはだかる。
「ん~。私には、アンタが露店のじいさんに肩を掴みかかっているように見えたんだけどなぁ」
あからさまに挑発を含んだ抑揚で女性は、大男に食って掛かる。
大男に対峙する女性は、身長160cm程度。その身長差から、女性は大男を見上げるような形になる。
服装は、うーん。悩ましい限りだよね。
上下プレート状のアーマーに覆われてはいるが、下半身は動きやすさを追求したのか、太ももを覆うようにアーマーは装備されているが、それ以外は露出しており所謂ビキニアーマーのような形だ。
その腰には1本の、およそ女性が振り回すとは思えない大剣が握られている。
「トナミカじゃ、商売の文句は『仲裁所』を通すことになっているよねぇ。それを違反するってんなら、一晩くらい牢に入ってもらわないといけないんだけど」
ニヤニヤ笑う女性の言葉を聞いて、男の顔色は悪くなる。
「うっ、うっせぇ!」
思わず逃げるために駆け出した男だったが、大男が動き出すとほぼ同時に女性が動いた。
およそアーマーの重さを感じさせない俊敏な動きで駆け出すと、即座に大男の進路を塞ぐ。
男は、女性を突き飛ばそうとタックルを仕掛けたが、逆に女性は大男の突進を正面から受け止めた。
圧倒的な体格差から、女性が吹き飛ばされるかと思ったが、どうやらその予想は見事に外れたらしい。
「いってぇ!!」
見れば、大男の両手は女性にガッツリと握られ、搾り上げられるように外側に捻られていた。
振りほどこうとする大男の力をいなしながら、女性は素早く背後に回り込むと、今度は犯人逮捕よろしく、地面に組み伏せると腕をガッチリとその細腕でロックしてしまった。
「がはっ!」
痛がる男を見下ろしながら、女性は仲間の男性に声をかける。
「よし、じゃあこいつは牢に連れていくってことで。2人とも頼んだよ~」
女性がそう告げると、仲間の2人は手際よく離れる女性と入れ替わるように大男の両手に縄を縛ると、男を立ち上がらせた。
その鮮やかな手並みにより、周囲の野次馬から感嘆の声が上がった。
「やぁ、エレナ。いつも通り鮮やかな手並みだね」
大男が連れ去られていく背中を見送りながら、ウォーレンが女性に近づいていく。
女性の方もウォーレンを見つけると、嬉しそうに目を丸くした。
「おおっ!ウォーレンのおっちゃん!戻ってたんだ!」
そう言うとウォーレンがエレナと呼んだ女性は、アーマーをガシャガシャと打ち鳴らしながら近づいてきた。
エレナは、ウォーレンの後ろに立つ僕たち三人に気づくと歩みを緩める。
「あれ、おっちゃん!その子達は知り合い?」
「はぁ、おっちゃん呼びはやめてほしいんだけど──。あぁ、彼らはエラリアの冒険者達だよ。えっと、パーティー名は……」
まさか、ここでもパーティー名を求めらられるなんて!
ローム大洞窟で、ケンにパーティー名を求められて以降気にしていなかったが、やはりパーティー名は必要なのか。
背中にぶわっと冷や汗が噴き出すのを感じてしまう。
「ん。考え中、そのうち最高の名前ができる」
いや、フーシェ!それ助けてくれるようで、僕を崖に突き出しているだけだからね?
そんな僕の心情などお構いなしに、フーシェは通常運転だ。
対するエレナは、僕の顔をジロジロと見たあと、イスカとフーシェを見てニカッと笑った。
「ふぅん。こんな可愛い女の子2人連れてるから、どんなやつかと思ったけど兄さん。悪い人じゃなさそうだね」
初対面なのにズカズカとした物言いに僕は面食らってしまう。
「あぁ、紹介が遅れたね。彼女はこのトナミカでB級パーティー『蒼天の灯台』のリーダー。エレナというんだ」
ウォーレンの紹介にエレナはニコニコとした表情でイスカとフーシェに笑いかける。
「やっほー。これでも、この町ではそれなりに有名なんだよ。私たちの町、気に入ってくれた?」
「ユズキ君達、これがここトナミカギルドの特徴なんだ」
そう言うと、今は人ごみに紛れ見えなくなってしまった、連れ去られた男の方角を見やった。
「ここは、あまりモンスターが来ない土地柄でね。ギルドの依頼は、主に非合法組織や犯罪者集団の取り締まり及び討伐。ギルドに依頼が貼られていない、こんな風に突発的な事件でも、自警団のような権限も与えられていて、暴力沙汰やいざこざを取り締まって報告すれば冒険者も報酬がもらえるんだ」
なるほど、冒険者が治安維持の一端を担っているのか。
都市警備を担うことのあるエラリアとは、また違った仕組みではあるけど実力者である冒険者達が治安維持をしているのは抑止効果になるよね。
え、でもそれって──
「てことは、ここのギルドの依頼って。対人戦が多いとかですか」
嫌な予感がする。
そんな表情の僕たちを見て察したのか、エレナが笑いながら笑顔で告げるのだ。
「この町にいるなら、いっぱい捕まえて、いっぱい牢にぶちこんでいこうね!」
その言葉に、自分たちはかなり物騒な所に来てしまったのではと背筋が寒くなる思いをするのだった。
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