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37、死体

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 グェスタスはメィルエラーヴを連れてひたすらに山岳地帯を進んだ。

 ずっと歩いていくと山岳はやがて山脈に変わっていく。

 その頃になればメィルエラーヴはすっかり落ち着いていた。

「ねえ、どこに行くの?」

 グェスタスの背中でメィルエラーヴが聞く。

「分かりませんよ。土地勘が無いのですから」

 ただ歩くしかできない。

「やっぱりゼスティと一緒の方が良かった」

 メィルエラーヴはそう言いながら王の剣を空に伸ばした。

 空を舞う鳥を貫いて剣が戻る。

「山を歩くだけじゃつまんないもん」

 王の剣で持ってきた鳥の羽毛を毟る。

 そして火の魔法で焼きながら「グェスタスも食べる?」と聞いた。

「私の背中で料理しないでください」

 そう言いつつも焼かれた手羽を貰い、口に運んだ。

 このままどこへ行くのかグェスタスにも分からない。
 だが、何となく向かう方角は決めていた。

 グェスタスの角はこの山脈の先から妙な魔力を感じている。

 この先に何かある。

 そう思った。

 そのグェスタスの感覚は正しい。

 彼が向かっている先には聖都ラトゥユゥがあった。

 グェスタスはラトゥユゥの存在は知らないが、その不思議な気配を角で感じている。

 何日もかけて幾つも連なる山を越えた。

 尾根を越え、沢を抜け、稜線(りょうせん)を進む。

 やがて遠くに険峻(けんしゅん)な山脈が見えた。

 黒雲が覆う山脈。

 その中に聖都ラトゥユゥがある。

 山脈を遠くにした時、メィルエラーヴは嫌な感覚に支配された。

 胸の奥に石が重くのしかかるような感覚。

 目の奥、脳の裏を針でチクチクと刺されるような不快感。

 メィルエラーヴは、その先に向かうべきでは無いと言った。

 あの山脈に向かうのはダメだ。

 本能がそう警鐘を鳴らした。

 メィルエラーヴはグェスタスを制止する。

 しかしグェスタスとしても今さら引き返す事などできなかった。

 また後ろの山々を越えて戻るのか?

 それは現実的じゃない。

「こう見えて、私ももう魔力が限界なのですよ」

 夜間は猛獣や魔物の襲来があった。

 強い眠気。
 全身の疲労は限界である。

 安全な場所で深く眠りたい。

 魔人は人間と違って魔力で活動する。

 しかしグェスタスの角に蓄えられている魔力は底を尽きそうだった。

 魔力欠乏症の初期段階、強い眠気にグェスタスは襲われている。

 安全な人里で住民を皆殺しにし、適当な食べ物でも食べて眠りたい。

「さ、行きますよ」

 グェスタスが歩き出そうとした。

 その時、尾根の下からヒュンと風切り音が鳴る。

 その音にグェスタスが気付いた直後、トンと喉に軽い衝撃が走った。

――なんですか?――

 口がパクパクと動くだけで声が出ない。

「グェスタス……それ……」

――え?――

 喉から何かが出ていた。

――矢――

 喉から矢が出ている。

 左手で矢を掴んだ。

 だが、それ以上のことはできなかった。

 足の力が無くなり、カクンと膝が曲がって体が落ちる。

 体がもんどりうって地面に倒れた。

「グェスタス! グェスタス!」

 グェスタスの背中からメィルエラーヴが離れると彼を見た。

 喉と口から青い血を流すグェスタス。

 口がパクパクと動いているが、その口からは何も声が出ていない。

 メィルエラーヴが必死にグェスタスへ声を掛けた。

「あんたが死んだら私は動けないじゃん! 私にも死ねって言うの!?」

 死んでも良いけど一人で死んでよ!

 そう訴えるメィルエラーヴの耳はガサガサと雑草を踏み締める足音を聞く。

 足音は尾根の下から登ってきていた。

 メィルエラーヴが尾根の下を見る。

 そこには全身を重装な鎧で固めた騎士達が上がっていた。

「角無し!」

 メィルエラーヴは地面に王の剣を置いている。

 その剣を取ろうと手を飛ばした時、槌がメィルエラーヴの眼前へと飛んできた。

「ぎゃ!」

 槌がメィルエラーヴの顔面にめり込んだ。

 衝撃に体が後ろへ倒れ、頭が地面に叩きつけられる。

「ガ! ヒュー!」

 顔が凹んでいる。

 口が変形して呼吸が上手くできない。

――息……できな。顔、形を変える要領で戻して……いや、敵、敵を倒さなきゃ――

 色々な考えが頭をよぎるも纏まらない。

 そんなメィルエラーヴの元に何人もの騎士が立った。

 剣を、斧を、槌を構える。

「何か言い残す事は?」

 そう聞かれたメィルエラーヴは潰れた顔でニヤリと笑った。

「死ね」

 その言葉の後、武器が彼女へ振るわれる。

「なんだこの手応えは?」

「まるで軟泥を叩いてるようだ」

 何度も何度も武器を振り下ろし、突き刺し、とうとうメィルエラーヴは動かなくなった。

「聖女様。これで良いのですか?」

 騎士が振り向くと、輿に乗ったスラリと背の高い女性がやって来る。

 彼女はメィルエラーヴを見た。

 原型を留めていない肉塊である。
 ソレが人の形をしていた事すら、誰も分からないだろう。

 女性は真っ直ぐと伸びる美しい金色の髪を手で払った。

「ええ。神のお告げ通りでございます」

 そう答えた。

「邪悪な存在はこれで消えた。後は『ラトゥユゥから逃げた先代聖女を始末する』だけでございます」

 彼女はフェーレンの後任。
 五代目聖女ルルエルだ。

 聖女は皆、神から使命を預言として帯びて聖女となる。

 この五代目聖女が受けた預言は幾つかあった。

 メィルエラーヴを殺す事は預言の一つである。

 だが、ルルエルの受けた最大の預言は、

――魔人を皆殺しにしろ――

 というものであった。

 そのような預言が四代目聖女であるフェーレンの知る事となると、彼女はそのような事は許されないと異を唱えたのだ。

 五代目聖女はフェーレンを神に背いた邪教の徒として処刑しようとした。

 しかし聖都にはフェーレンの事をいたく心酔する者が多く、そのような者たちの手引きでフェーレンは聖都を脱してしまったのである。

 五代目聖女に従う聖騎士達も、あるいは胸の奥でフェーレンに好意を抱いている者もいるようだ。

 それが五代目聖女には不愉快たまらない。

 自分こそ敬虔な光聖教の教徒であり、神に背くフェーレンを聖女と仰ぐなど許せなかった。

 とはいえ、今はまだ人心の掌握に励まねばならない。

 少なくとも、人に似た化け物の居場所を探り当てて見事に討伐したため、聖女として少しは尊敬されたようだ。

「聖女様。この剣はいかがしますか?」

 人に似た化け物の持っていた黒い剣。

 預言では剣について特に何も言われなかった。
 だが、五代目聖女はその剣をは一目見て「普通では無い」と感じた。

「こちらへ」

「は!」

 聖騎士から黒い剣を受け取ると、聖女はその剣から強い力を感じる。

 思わずニヤけかけた。

 口元を手で覆い、ニヤけた口元を隠す。

 強力な剣。

 何らかの非凡な力が宿った剣。

 この剣があれば、自分の聖女としての地位は安泰になるだろう。

 そのような確信を抱いたのだ。

「この剣は私が管理いたしましょう」

 そう言うと聖女はハイデロベルグに向かうよう命じた。

「は!」

 数名の聖騎士が聖女の乗る輿を持ち上げる。

 そして、聖騎士達を連れて聖女はハイデロブルグの方面へと向かった。

 足音が遠ざかる。

――

 カナカナと虫の音が鳴り、木々の葉が静かに擦れる音が響いた。

 グェスタスのまぶたが静かに開く。

 眼がゆっくりと横を見た。

 ぐちゃぐちゃのメィルエラーヴ。

 もはや肉塊と呼ぶにふさわしい姿。

――無様な姿ですね――

 口をパクパクと動かしてそう呼びかけた。

 メィルエラーヴから返事は無い。

 グェスタスも声が出ない。

 喉を貫かれて呼吸もできない。

 意識は朦朧としていた。

 朦朧とする意識の中、グェスタスの角はメィルエラーヴの魔力を感じている。

 彼女はこのような姿になってまで、まだ生きているのだ。

――私はどうせ死にます。あなたも、このままだと死ぬでしょう――

 左手を地面の上で滑らせて、メィルエラーヴの体へと持っていく。

 そして、肉塊の中へと手を入れた。

――あなたの為に何かをするのは私のプライドが許せません。だから、これはあくまで私の為です――

 ぐちゃぐちゃとメィルエラーヴの肉を掻き分けて、魔力の出処を探す。

 そして、握り拳ほどの大きさをした何らかの肉の塊を取り出した。

 メィルエラーヴの……いや、邪神の核であろうか?

 とにかく、メィルエラーヴの魔力はその肉の塊に宿っている。

――あなたと私は、根本的に違う思想でした。だから、相容れないのですが……事ここに至っては仕方ありません――

 グェスタスはメィルエラーヴの核を口に突っ込んだ。

 すると、核から菌糸のように無数細かな触手が伸びて、グェスタスの喉から脳へ、肺へ、心臓へと侵入したのである。

――メィルエラーヴ。あなたの殺戮を私は楽しみにしていますよ――

 グェスタスは脳を触手に支配され、意識を失った。

 ビクンビクンと手足が痙攣している。

 皮膚の下を触手が這い回った。

 体がぐにぐにと波打ち、変化していく。

 やがて、そのような動きが収まった。

 しばらくの静寂。

 白い目の死体だけが残っているように見える。

 しかし、その体がビクンと大きく跳ね上がった。

 弾かれたように上半身が起き上がり、大きく見開かれた目は空をみる。

 温かい……。

 太陽。

 これが……太陽……。

 その感慨の直後、息苦しさを覚えた。

 喉に矢が刺さっている事に気づく。

 喉の矢を掴み、思い切り引いた。

 鏃の返しが喉の肉を絡めて引き裂く。

「ゴボ! ゴホ!」

 青い血を吐き出した。

 ゴホゴホと咳き込んで喉に溜まった血を吐き出す。

 喉の傷は既に癒えていた。

「生きている……?」

 そう呟く。

 その声は男でも、女でもある。
 また大人にも子供にも聞こえた。

 自分の手を見て、体を見る。

「グェスタス……?」

 そっと胸に手を置くと、ドクドクと心臓が脈打っていた。

 体は太陽の熱と風の涼やかさを感じている。

 湿気った腐葉土の匂い。

 口に拡がる銅の味。

「この感覚……久しぶりです……」

 彼女はメィルエラーヴだ。

 メィルエラーヴの核は死に絶えようとしたグェスタスの体を内側から侵略し、その体を掠めとったのである。

 しかして、その体はもうグェスタスのものでは無かった。

 胸の膨らみや腰のくびれ。
 メィルエラーヴがもしもそのまま成長したならきっとそうなっていただろう体付きである。

 メィルエラーヴは地面に拡がる青い血を一瞥する。

 すると血の水分だけが浮かび上がり、空中に水鏡を作った。

 その顔を見る。

 グェスタスは顔の半分が隠れる長い髪だったがメィルエラーヴもそのような髪型だ。

「鬱陶しいですね」

 前髪を分ける。

 グェスタスはよくこんな髪で生活できたものだと思いながら顔を見る。

 大人のメィルエラーヴといった顔つきがそこにあった。

 メィルエラーヴはムフフと笑う。

 実は密かに大人な女性に憧れていた。

 自分は一生、そのような姿と無縁だと思っていたのだ。

 しかし、ここには大人の自分がいる。

「グェスタスもなかなか良い仕事をしますね」

 ふと口を指で抑えた。

 なんだか変な口調だ。

 妙に丁寧な言い方。
 あたかもグェスタスのようでは無いか。

 死してなお、あなたは私の邪魔をするのですか?
 ああ、もう! こんな言い方、私じゃないでしょう!!

 メィルエラーヴだが、メィルエラーヴではない。
 脳みそはグェスタスのものだから、きっと変なところでグェスタスは残っているのだろう。

 生前から鞘が合わないと思ったが、死んでもなお鼻持ちならない男だとメィルエラーヴは思いながら立ち上がった。

「まあいいでしょう。とにかく私は私のやるべきことをなすだけです――」

 そこでメィルエラーヴは自分の剣が無いことに気付く。

「私の剣!」

 自分を襲った連中に取られたのだと分かった。

「いや、慌てるな。……感じます」

 グェスタスの角は王の剣の魔力を感じる。

 どうやらグェスタスが生まれつき持っていた体の能力にメィルエラーヴの邪神の能力が合わさって、周囲の魔力を敏感に感じ取れるようだ。

 王の剣の魔力はここから南西。

 どうやら山脈を抜けて平原の方へと向かっているようだ。

「泥棒め。許しません!」

 メィルエラーヴはそう固く誓い、駆け出した。
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