切り抜き師の俺、同じクラスに推しのVtuberがいる

第29話 中間テスト②

中間テストの期間中、冴木陽斗と中村亮太は毎日ファミレスで勉強することに決めた。テストは午前中で終わり、午後は自由に過ごせるため、ファミレスでの勉強はちょうど良い時間の使い方だった。

「陽斗、今日も行くか？」亮太が問いかける。

「もちろん。あの場所、集中できるしね。」陽斗は笑顔で答えた。

二人は放課後、いつものファミレスに向かい、前回と同じ場所に座った。その日、二人は英語の参考書や古文の教科書を広げて勉強していた。陽斗は、美優紀に薦めてもらった参考書を開きながら、勉強に集中していた。しばらくすると、美優紀たち三人がドリンクバーに来て、再び声をかけてくれた。

「冴木君、中村君。今日も勉強してるの？」真由が笑顔で話しかけた。

「うん、毎日ここで勉強してるよ。川崎さんたちも毎日来てるんだね。」陽斗が答えた。

「真由は目を離すとすぐスマホ触るから監視してないとね。」と夏美が笑い、「今日はどの科目を勉強してるの？」と美優紀が尋ねた。

「今日は英語と古文かな。大森さんに教えてもらった参考書、すごく助かってるよ。」陽斗が答えた。

「それはよかった。お互い頑張ろうね。」美優紀が励ましの言葉をかけてくれ、

「そうだね。みんなで頑張ろう！」亮太も笑顔で応えた。

美優紀たちは自分たちの席に戻り、勉強を始めた。陽斗は再び勉強に集中しようとしたが、美優紀の笑顔が頭から離れず、どうしても気になってしまう。

「おい、陽斗。どういうことだよ？」亮太が陽斗を軽く問い詰めた。

「何が？」とぼけた表情での陽斗。

「大森さんに参考書を教えてもらったって言ってたけど、それっていつの話だよ？」亮太が鋭い目つきで尋ねる。

「ああ、それはこの前、書店で偶然会った時のことだよ。英語の参考書を選んでたら、三人で来てたみたいで声をかけてくれて、どれがいいか教えてくれたんだ。」陽斗は詳細を説明した。

「なるほどね。それにしても、お前が大森さんとそんなに話せるなんて。」亮太は少し感心しながら言った。

「いやいや、たまたま話す機会があっただけだよ。でも、大森さんのおかげでいい参考書が見つかって助かった。」陽斗は参考書を見ながら答える。

「そっか。それにしても、あの三人を見ながら勉強できるなんて、このファミレス☆3つだな。」亮太が冗談交じりに言った。

「本当にそうだね。」陽斗も同意しながら、美優紀たちの姿をちらりと見て微笑んだ。

ある日、陽斗と亮太が英語の問題に取り組んでいると、二人がわからない問題に直面した。

「この問題、答え見てもいまいち理解できない。」と陽斗が言うと、

「それなら大森さんに聞いてみたらいいじゃん。ほら、噂をすれば。」と亮太が言うと美優紀が通りかかった。

「この問題難しいみたいで、大森さん教えてあげてくれない？」と亮太が美優紀に尋ねた。

「いいよ。どの問題がわからないの。」と美優紀が陽斗の隣に座る。

「え、えっと…これ、文法の問題でちょっと分からなくて…。」陽斗は困った顔をしながら美優紀に問題を見せた。

美優紀は問題を見て、簡単に説明を始めた。「この場合、動詞の使い方がポイントだよ。ここは過去形を使うべきなんだけど…」

美優紀の説明を聞きながら、陽斗は一生懸命ノートに書き込み、その後理解を深めた。

「ありがとう、大森さん。本当に助かったよ。」陽斗は感謝の気持ちを込めて言った。

「どういたしまして。頑張ってね。」美優紀は微笑んで、自分の席に戻っていった。

その後、数学の問題に取り組んでいると、今度は夏美が通りかかった。

「さっき美優紀に聞いてたみたいだけど、他は大丈夫？」夏美が声をかける。

「いや、全然分からなくて…ここ、どうやって解けばいいの？」亮太が夏美に尋ねた。

夏美は問題を見て、丁寧に解き方を説明し始めた。「この問題はまず方程式を立てるところから始めるといいよ。それから…」

夏美の説明を聞きながら、亮太は何とか理解しようと努力し、その後問題を解くことができた。

「ありがとう、藤田さん。本当に助かったよ。」亮太も感謝の気持ちを込めて言った。

「どういたしまして。頑張ってね。」夏美も微笑んで、自分の席に戻っていった。

何度も助けてもらううちに、陽斗と亮太は少しずつ美優紀たちとの距離が縮まっているように感じていた。そんなある日、真由が言った。

「もう隣のテーブルで勉強すればいいじゃん。そっちの方が効率いいでしょ？」

その提案に陽斗と亮太は驚いたが、美優紀たちも同意し、次の日から隣のテーブルで勉強することにした。

「じゃあ、わからないことがあればいつでも聞いてね。」隣の席で夏美が提案すると、陽斗と亮太は頷いた。

こうして隣同士のテーブルで勉強することになり、わからないことを頼ることで話のきっかけが生まれ、少しずつ自然に話ができるようになってきた。

「このファミレス、☆3つどころじゃないな。」亮太が隣に聞こえないように冗談交じりに言うと、

「うん、勉強も進むし、楽しい時間が過ごせるね。」陽斗も同意し、美優紀たちの姿をちらりと見て微笑んだ。