切り抜き師の俺、同じクラスに推しのVtuberがいる

星宮 嶺

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第46話 八方ふさがり

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玲愛は喫茶店の窓際の席で、美優紀を待っていた。ドアが開く音に顔を上げると、美優紀が入ってくるのが見えた。

「お待たせ。」美優紀は席に着いた。

「ううん、大丈夫。」玲愛は微笑んで答えた。

美優紀が注文を済ませると、玲愛は話し始めた。「妹から情報を聞いてきたんだけど…」

彼女は妹から聞いた内容を詳しく説明した。湊、もしくは茜という名前の子がカナデを演じていること、その子が今も三重県に住んでいること、中学時代のクラスメイトだったことなど。

「でも、残念ながら切り抜きくんにつながるような情報は何も得られなかったの。」玲愛は少し落胆した様子で言った。

美優紀はじっと玲愛の話を聞いていた。「そっか…。でも、一生懸命調べてくれてありがとう。」

「それで、」玲愛は真剣な表情で続けた。「切り抜きくんのチャンネルを何度も確認したんだけど、ソラとカナデの動画しか上がってないの。これは絶対に何かつながりがあるって思うんだ。」

美優紀は眉をひそめた。「確かに…そうだよね。」

「そうなの。」玲愛は少し焦りを感じながら言った。「でも、妹に探らせようとすると、美優紀のことがバレる可能性があるから、それ以上は動けないでいるの。」

美優紀はため息をついた。「玲愛、本当にありがとう。」彼女は少し躊躇しながら続けた。「前にも言ったけど、バレたらバレたでそういう運命というかタイミングだっただけだよ」

玲愛は驚いた顔で美優紀を見た。「本当に?」

「うん。」美優紀は微笑んだ。「確かに秘密にしてきたし、知られたらすごく恥ずかしいけどね」

「でも、自分が原因でバレるのは気持ち悪いというか…。」玲愛は言葉を選びながら話した。「美優紀が秘密にしてきたのに、自分のミスでバレるのは嫌だな。」

美優紀は玲愛の気持ちを理解しようとしながら、なおも解決策を探ろうとした。「わかるよ。だからこそ、なんとかしたいんだけど…。」

玲愛は少し考え込んだ後、「今のところ、妹に調べてもらうくらいしか手がないんだよね。」

美優紀は頷く。「それ以外だと私が直接、冴木君と話するくらいしかないんだよね」
「そうだよね…。」玲愛は困ったように髪をかき上げた。「美優紀。切り抜き君会う機会はないの?」

美優紀は少し考えてから答えた。「うーん、登校日までないかな。夏休みだし。」

「そっか…。」玲愛はため息をついた。「八方ふさがりだね。」

二人は沈黙に包まれた。玲愛はフォークを手に取り、テーブルの上のケーキを無意識に突っついていた。

「もう、どうしよう。」玲愛は少しイライラした様子で言った。「こんなに気になるのに何もできないなんて。」

そう言いながら、玲愛は大きな一口でケーキを口に運んだ。美優紀は玲愛のやけ食いを見て、思わず苦笑いを浮かべた。

「玲愛、そんなに食べたら太っちゃうよ。」

「もう、知らない。」玲愛は口を膨らませながら、さらにケーキを口に運んだ。「ストレス解消!」

美優紀は玲愛の様子を見て、少し申し訳なさそうな表情を浮かべた。「ごめんね、玲愛。私のことでこんなに心配させちゃって。」

玲愛は口の中のケーキを飲み込んでから答えた。「何言ってるの。友達のためだもん。当たり前だよ。」

美優紀は玲愛の言葉に心を打たれ、微笑んだ。「ありがとう。本当に。」

「でも、」玲愛は真剣な表情に戻った。「このままじゃ気が気じゃないよ。何か策を考えないと。」

美優紀は少し考えてから言った。「そうだね。でも、あまり焦らないほうがいいかも。変に動いて逆に怪しまれたら元も子もないし。」

玲愛は納得したように頷いた。「そうだね。慎重に行動しないとね。」

二人はしばらくの間、さまざまな可能性について話し合った。直接聞くのは難しいこと、SNSを通じて探るのもリスクがあることなど、どの方法にも一長一短があった。

結局、その日は具体的な解決策を見出せないまま、喫茶店を後にすることになった。
「また何か思いついたら連絡するね。」玲愛は美優紀に告げた。

「うん、私も考えてみる。」美優紀は頷いた。

二人は別れ際、お互いを見つめ合った。不安は拭えないものの、友人の存在が大きな支えになっていることを、二人とも感じていた。




【あとがき】
太郎と美優紀が近づいてきました。
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褒める主人公
推しの為にハーレムを目指す主人公
最新デバイスで無双する主人公

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