情けない少年の英雄譚

耳ふく 耳

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一章

田舎の少年4

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 よし、今日は試験の本番だ。頑張るぞ。
 ラブルは勇んで玄関を開けた。
 快晴。雲の1つもない爽やかな青空が広がっていた。
 気持ちの良い朝だ。こんな日は何か良いことがある気がする。
 ラブルの気持ちは空同様に晴れやかだった。

 学校へ着くと、すでに試験を受ける生徒たちが揃っていた。
 その中にもう試験に合格をしているバルトの姿はなかった。

 「やぁ、ラブル。調子はどうだい」

 生徒の中で1番大きなクランプが話しかけた。
 クランプとの雑談していると、オーリンが扉を開け入ってきた。

 「いよいよ、試験だ。皆、用意をして稽古場へ行くように」

 それだけ言うとオーリンは足早で教室を後にした。

 いよいよか。頑張らなくては。
 そんな声がボソボソと教室内から聞こえた。
 皆一同揃って不安な顔をしていた。
 ラブルも期待と不安を胸に、試験会場となる稽古場へとやってきた。

 試験本番。

 「よし、順番にやるぞ。 まずは、クランプからだ」

 木刀を持って構えるクランプ。足の運びも滑らかだ。
 みんな練習してきているんだな。
 ラブルは感心していた。

 クランプから順番に各生徒の試験が終わり、最後のラブルの番になった。

 「よし、ラブル。はじめ」

 オーリンが合図をするとラブルは木刀を構えた。
 僕も合格し進学するんだ。ラブルの気持ちに力が入る。
 その情景をオーリンはジッと見つめていた。

 「よし、終わりだ。では、教室で結果を発表する。まとめてくるので先に言って待っているように」

 オーリンは稽古場を後にした。
 生徒達は、どうだった?ダメかも等、お互い自己採点をしながら教室へ向かった。

 教室へ戻るとオーリンが来るまでの間、生徒たちは雑談に花を咲かせていた。
 先ほどの自己採点を発表し、お互いの傷を嘗めあって不安を解消してる。
 ラブルも自身の不安が薄れていき、きっと合格するだろうと思っていた。

 オーリンが教室へ入ってきた。
 手には合格者の名前が書かれた白い紙を持っている。
 オーリンは、教壇に立ちながら言った。

 「これから合格者を発表する」

 これからいよいよ合格発表だ、ラブルは緊張していた。
 自分も合格し町の学校へ行くんだ。
 ラブルは、祈るように手を合わせた。

 「クランプ、マイク、グランデ、ラケル……以上だ。」

 ラブルの名前は呼ばれなかった。
 なぜ。一生懸命真面目に練習し試験に臨んだはず。
 合わせた手のひらからジワリと汗がにじんだ。

 「今発表した合格者と先に合格しているバルト、イーサンは、日を改めて進学の手続きがあるので来校するように」

 解散の合図をし、皆が教室から出て行った。
 ラブルは、自分の名前が呼ばれなかったショックで、その場から動けないでいた。
 この世の終わりだ。そんな雰囲気を纏ったラブルは、自分の目にある机の角を眺めていた。
 見かねた、オーリンがラブルのそばへ近づき、申し訳なさそうに声をかけた。

 「ラブルよ……残念だったな。 私としても合格をあげたかったが、君の実力では合格をあげることが出来ないのだよ」

 ラブルは、ただ茫然とオーリンの話を聞いていた。

 「君は剣技はダメだったが、他の才能があるだろう。 皆より先に社会へ出てそれを探すといい」

 もちろん他の才能があるなんて補償などない。
 しかし、オーリンなりの励ましだったのであろう、ラブルはコクンと頷き教室を後にした。
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