トリチウムで汚染された水を処理する方法

ヤマシヤスヒロ

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トリチウムで汚染された水を処理する方法

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 「ひどいよねー、これ」
 と、山下君は、新聞を見ながら、大津君に言った。 
大津君は、 
「なにが?」
 と山下君に聞いた。
 「トリチウムで汚染された水を、海洋放出するんだって」
「たいへんなことになるよ」
と山下君は、大津君に言った。
「そうか、それは、たいへんなことだよね」
「なんか、いい方法なかったのかなー」
 そんな話をしながら、大津君は、山下君と、大学のカフェテリアでコーヒーを飲んでいた。
 次の日、大津君は、助手として働いているサンエイ科学研究所で、コーヒータイムに所長の市山博士に、昨日の山下君とのトリチウムの汚染水の海洋放出の話をした。
「所長、汚染水の海洋放出をしないでなんとかならないんでしょうか」
と大津君は、市山博士に深刻な顔をして言った。
市山博士は、
「そうだよね、トリチウムの汚染水の海洋放出はまずいよね」
と、やはり、深刻な顔をしながら、大津君に言った。
「大津君」
と市山博士は、なにかひらめいた顔になり、言った。
「トリチウムと重水素で核融合させてヘリウムができるが、中性子が出てしまうので、いやなので、トリチウムと陽子とで、核融合させてヘリウムにすることはできないのだろうか。だいぶ前に常温核融合というのが言われたことがあるが、それ使えないか。」
と市山博士は、大津君に得意げに言った。
「そうですかー、それいいですね、所長」
と大津君は、市山博士に、興味深そうに言った。
市山博士は、
「汚染水のタンクにパラジウムとプラチナの電極を入れ、電流を流すことによって、トリチウムと水素の陽子で常温核融合が起こり、ヘリウムが生成されるという方法は、どうだろう」
と言った。
市山博士は、続けて大津君に話した。
「この方法ならば、トリチウムをすべて取り除くことができる」
と市山博士は、説明した。
「それは、すごいですね」
「それができれば、すばらしいですね」
と大津君は、市山博士に感心した顔で言った。
 市山博士は、大津君に、言った。
「大津君、仕事だ」
「このトリチウムで汚染された水を処理する方法の特許明細書を書いてください」
「そして、特許出願するんだ」
「さっ、はじめよう」
と市山博士は、言い、
「はい、分かりました」
と大津君は、言い、自分の席に戻り、パソコンに向かって、書類の作成を始めた。
 こうして、サンエイ科学研究所のコーヒータイムは、終わりました。

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