1 / 1
脳梗塞の新しい治療法
しおりを挟む
「おー、すごいぞ。血栓が溶けていく」
と、市山博士は、助手の大津君に言った。
「すごいですね、みるみる溶けていってますね」
と、助手の大津君は、驚いた顔をして、市山博士に言った。
市山博士と助手の大津君は、国際医科学研究所の光治療研究室の光学実験室で実験をしていた。
2050年、国際医科学研究所で公募された、「脳梗塞の新しい治療法の研究開発」というテーマで、委託研究の契約をしたサンエイ科学研究所の所長の市山博士は、助手の大津君と光学実験室を借りて、基礎実験を経て、脳梗塞の新しい治療法が完成しようとしていた。
基礎実験では、まず、血栓の光学的性質を調べ、血栓が非線形媒質であることを発見した。
そこで、市山博士は、非線形媒質で生じる光混合を利用して、2つの近赤外レーザ光を照射して、光混合を生じさせ、血栓が溶けるとされる532ナノメートルの光を血栓内で生じさせ、血栓を溶かすという画期的な方法を考えついたのである。
2方向から、近赤外レーザ光をシャーレに入れた血栓に照射したところ、血栓が溶けだしたのである。
「うまくいきそうですね」
と大津君は、声を弾ませて、市山博士に言った。
「そうだな、これでよさそうだな」
と市山博士は、笑みを浮かべて大津君に言った。
その日の夕方、サンエイ科学研究所に戻ってきた市山博士と助手の大津君は、コーヒーを飲みながら、その日の実験についての話をした。
「所長、血栓、うまく溶けましたね」
と大津君は、市山博士にコーヒーカップを手にして言った。
市山博士は、
「そうだね、やはり、我々の考えは、間違ってないようだな」
と、やはり、コーヒーカップを手にして、大津君に言った。
「でも、所長は、どうして、あのような方法を思いついたのですか」
と大津君は、コーヒーを一口飲んで、市山博士に聞いた。
「大津君」
と市山博士は、突然真面目な顔になり、言った。
「実は、ぼくは、脳梗塞を、外部から、すなわち、非侵襲で治療できないか考えたんだ」
「なんとか、外部から、人体を透過する近赤外光を利用できないかと思いついた」
「それで、調べたところ、2015年に、日本のある企業が、血栓をレーザ光で溶解する技術を開発したんだ。そのときに用いた光の波長が532ナノメートルで、この波長の光が、ちょうど血栓を溶かす光の波長ということなんだ」
「その企業では、光ファイバーが入ったカテーテルを用いて、血栓を溶かすようなんだ」
「ぼくが考えている外部から、という方法だと、532ナノメートルの波長の光は
人体を透過しないから、外部からは532ナノメートルの光ではだめなんだ」
「そこで、考えたのが、人体を透過する近赤外光なんだ」
「近赤外光で、なんとか532ナノメートルの光を作り出せないか」
「そのためには、非線形媒質で生じる光混合を利用して、2方向からの2種類の近赤外レーザ光を頭部に照射し、血栓のところで532ナノメートルの光に変換できればいいだろうと考えた」
「それで、基礎実験で、血栓の光学的性質を徹底的に調べたんだ」
「その結果、血栓が、非線形媒質であることが分かったんだ」
「それで、うまくいくと思ったんだ」
と市山博士は、大津君に得意げに言った。
「そうでしたか、分かりました」
と大津君は、市山博士に、納得した顔で言った。
市山博士は、
「それで脳梗塞を治療する方法に用いる装置だが」
と言った。
市山博士は、続けて大津君に話した。
「頭部に2方向から2種類の近赤外レーザ光が照射されるように近赤外の面発光レーザを配置するだけでいいんだ」
「そうすると、近赤外レーザ光は、頭の内部に入り、非線形媒質である血栓の個所で、近赤外光の光混合が生じ、532ナノメートルの光が生じ、その光により血栓だけが溶けるということだ」
と市山博士は、説明した。
「外部から、2種類の近赤外レーザ光を照射するだけでいいのですね」
と大津君は、市山博士に感心した顔で言った。
市山博士は、大津君に、言った。
「大津君、仕事だ」
「この脳梗塞を非侵襲で治療するための装置の特許明細書を書いてください」
「そして、特許出願するんだ」
「さっ、はじめよう」
と市山博士は、言い、
「はい、分かりました」
と大津君は、言い、自分の席に戻り、パソコンに向かって、書類の作成を始めた。
こうして、サンエイ科学研究所の夕方のコーヒータイムは、終わりました。
と、市山博士は、助手の大津君に言った。
「すごいですね、みるみる溶けていってますね」
と、助手の大津君は、驚いた顔をして、市山博士に言った。
市山博士と助手の大津君は、国際医科学研究所の光治療研究室の光学実験室で実験をしていた。
2050年、国際医科学研究所で公募された、「脳梗塞の新しい治療法の研究開発」というテーマで、委託研究の契約をしたサンエイ科学研究所の所長の市山博士は、助手の大津君と光学実験室を借りて、基礎実験を経て、脳梗塞の新しい治療法が完成しようとしていた。
基礎実験では、まず、血栓の光学的性質を調べ、血栓が非線形媒質であることを発見した。
そこで、市山博士は、非線形媒質で生じる光混合を利用して、2つの近赤外レーザ光を照射して、光混合を生じさせ、血栓が溶けるとされる532ナノメートルの光を血栓内で生じさせ、血栓を溶かすという画期的な方法を考えついたのである。
2方向から、近赤外レーザ光をシャーレに入れた血栓に照射したところ、血栓が溶けだしたのである。
「うまくいきそうですね」
と大津君は、声を弾ませて、市山博士に言った。
「そうだな、これでよさそうだな」
と市山博士は、笑みを浮かべて大津君に言った。
その日の夕方、サンエイ科学研究所に戻ってきた市山博士と助手の大津君は、コーヒーを飲みながら、その日の実験についての話をした。
「所長、血栓、うまく溶けましたね」
と大津君は、市山博士にコーヒーカップを手にして言った。
市山博士は、
「そうだね、やはり、我々の考えは、間違ってないようだな」
と、やはり、コーヒーカップを手にして、大津君に言った。
「でも、所長は、どうして、あのような方法を思いついたのですか」
と大津君は、コーヒーを一口飲んで、市山博士に聞いた。
「大津君」
と市山博士は、突然真面目な顔になり、言った。
「実は、ぼくは、脳梗塞を、外部から、すなわち、非侵襲で治療できないか考えたんだ」
「なんとか、外部から、人体を透過する近赤外光を利用できないかと思いついた」
「それで、調べたところ、2015年に、日本のある企業が、血栓をレーザ光で溶解する技術を開発したんだ。そのときに用いた光の波長が532ナノメートルで、この波長の光が、ちょうど血栓を溶かす光の波長ということなんだ」
「その企業では、光ファイバーが入ったカテーテルを用いて、血栓を溶かすようなんだ」
「ぼくが考えている外部から、という方法だと、532ナノメートルの波長の光は
人体を透過しないから、外部からは532ナノメートルの光ではだめなんだ」
「そこで、考えたのが、人体を透過する近赤外光なんだ」
「近赤外光で、なんとか532ナノメートルの光を作り出せないか」
「そのためには、非線形媒質で生じる光混合を利用して、2方向からの2種類の近赤外レーザ光を頭部に照射し、血栓のところで532ナノメートルの光に変換できればいいだろうと考えた」
「それで、基礎実験で、血栓の光学的性質を徹底的に調べたんだ」
「その結果、血栓が、非線形媒質であることが分かったんだ」
「それで、うまくいくと思ったんだ」
と市山博士は、大津君に得意げに言った。
「そうでしたか、分かりました」
と大津君は、市山博士に、納得した顔で言った。
市山博士は、
「それで脳梗塞を治療する方法に用いる装置だが」
と言った。
市山博士は、続けて大津君に話した。
「頭部に2方向から2種類の近赤外レーザ光が照射されるように近赤外の面発光レーザを配置するだけでいいんだ」
「そうすると、近赤外レーザ光は、頭の内部に入り、非線形媒質である血栓の個所で、近赤外光の光混合が生じ、532ナノメートルの光が生じ、その光により血栓だけが溶けるということだ」
と市山博士は、説明した。
「外部から、2種類の近赤外レーザ光を照射するだけでいいのですね」
と大津君は、市山博士に感心した顔で言った。
市山博士は、大津君に、言った。
「大津君、仕事だ」
「この脳梗塞を非侵襲で治療するための装置の特許明細書を書いてください」
「そして、特許出願するんだ」
「さっ、はじめよう」
と市山博士は、言い、
「はい、分かりました」
と大津君は、言い、自分の席に戻り、パソコンに向かって、書類の作成を始めた。
こうして、サンエイ科学研究所の夕方のコーヒータイムは、終わりました。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。
黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。
その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。
王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。
だから、泣かない。縋らない。
私は自分から婚約破棄を願い出る。
選ばれなかった人生を終わらせるために。
そして、私自身の人生を始めるために。
短いお話です。
※第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
義務ですもの。
あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる