10 / 33
10 僕は異世界人の彼女を受け入れる。
しおりを挟む
「カズマよ……私は帰ってきた!! フフフ……フハハハハハハ!!!」
「せ……世紀末覇者!!」
自室で異世界に向かった際に役に立ちそうな交渉術や駆け引き、そして言葉遣いなどを本で読み漁っていたところに襖が吹っ飛び現れし世紀末覇者……ではなく、マリリン。
読唇術の本も読み漁っており、ここ最近は取得に余念は無い。
「マリちゃん帰ってきたのね!!」
「お帰りマリちゃん!」
「義父様! 義母様! ただいまであります!!」
「お腹空いたでしょう? ご飯食べてく?」
「いただきます!!」
こうして、久々に帰ってきたマリリンと一緒に食卓を囲むことになった。
家にマリリンがいると両親はとても喜ぶ。
実際彼女が異世界に戻っている間は「怪我をしていないだろうか」や「病気をしていないか」等と毎日心配していたのだ。
認めたくないけれど……僕も心配していた。
アレだけ素直なマリリンだと、周りからいい様に使われているのではないだろうか? とか、騙されて影で泣いていないだろうか……など、僕らしくもない。
それでも、笑顔のマリリンが帰ってきてくれたことでホッとしたのも事実で。
「マリちゃんが使っている食器とお箸。カズマが選んだのよ」
「なんと!?」
「何時までも客用じゃダメじゃないかっていってね」
「――カズマ!! ありがとう!!」
「どういたしまして」
素っ気なく返したものの、マリリンはこの上なく嬉しそうで、必死に選んだ甲斐があった。
確かにマリリンに薔薇のような美しさは無い。寧ろ、棘のあるような花は彼女には似合わない。
かといって素朴な花は似合わない。
だから僕は、まるで太陽のような彼女へ大輪のヒマワリの食器を選んだ。
子供っぽくもなく、けれど、純粋に元気で優しい花を。
何時ものように風呂に入り、家族揃ってからマリリンからの異世界での報告を聞くことにした。
どうやら、異世界では砂糖も塩もかなりの金額になり、金貨が溢れかえる状態になったらしい。特に美容に関しては城から使いが来るほどにマリリンのギルドは注目の的だそうだ。
「調味料に関しては、ある程度の大量購入は可能だ。シャンプーやトリートメントもある程度は可能だろうな」
「幸いマリちゃんがオリハルコンを換金してくれたお金で大量に調味料を持って行ってもらったし」
「では、これからも必要なだけオリハルコンでもなんでもこちらで換金しよう! そのお金があれば、私のいる世界でも粗悪な調味料ではなく、せめてギルドがある国の住民が幸せになってくれるかもしれない!」
「いや、それは待った方がいい」
盛り上がる両親とマリリンを止めたのはカズマだった。
「確かに、ある一定の大量購入は可能。けれど、それを一般にまで広げるには、普通の会社員の我が家では悪目立ちすぎる。どこで何が漏れるか解らない」
「それは……そうね」
「だから、商品に価値をつけるんだ。一般市民が食べたいのならマリリンの要るギルドにレストランを作り、そこで食べて貰えばいい。月に一度の贅沢と思えば、多少なりと行けるだろう? それでも調味料が欲しい貴族や商家、王族には値段を吹っ掛けて無理のない範囲で売ればいい。無論……今後も付き合いたい人間によるけどね?」
「確かに希少価値をつけるのは大事だが……」
「化粧品だってなんだって、一般家庭が大量購入を何度も繰り返すのは不自然だ。だからこその希少価値を異世界につけて売る。そして、その販売を手掛けるのは【レディー・マッスル】と言うギルドのみ。そうすることで、他の国々もマリリンをもっと大事にするだろう?」
「カズマ……」
「人間どこでしがらみがあるか解らないんだ。要らないしがらみならば、ここで切ってしまえばいい。良い縁ならば、手に入れればいい。それだけの話だろう?」
そう言って茶を啜るカズマに家族は「なるほど」と口にし、マリリンも少し悩んだのち、口を開いた。
「ならば、それらの責任者はカズマと言う事にしても?」
「それでマリリンが満足するのなら構わないよ。ただ、僕のような子供が悪知恵働く大人にどこまで戦えるかは分からないけどね」
「それなら、秘書として兄の友人であるマイケルをつけよう。二人でタッグを組めばいい」
「ああ、あちらの世界の住人が間に入ってくれるなら助かるかな……。販売戦略を色々話し合いたい相手も欲しかったしね」
「カズマを私の夫と言う事にしても?」
……思いがけない、いや、ある程度覚悟はしていた言葉にマリリンを見つめると、彼女の瞳は不安で揺れているのが分かった。
「……僕の事が好き、意外での理由を聞きたい」
「……それも……そうだな」
何時ものマリリンに似つかわしくない表情だったが、事情を聴かねば納得できない。
情報とは時に武器になるからだ。
苦しい内容であれば、辛い内容であれば、僕にも何かが出来るかもしれない。そう思いマリリンの言葉に耳を傾けた。
簡単に言うならば、マリリン兄妹は、元は公爵家の人間だった。
だが、マリリンの婚約者はマリリンを捨て、今はとある国……マリリンのギルドがある国の王配についている事。
そして、国からの依頼で危険な仕事や汚い仕事をしても、金の支払いが一切ない事。
更に言えば、今なお彼氏のできぬマリリンを城に呼び出しての、まるで公開処刑のような嫌がらせ。
これだけでギルティな訳だが――余りにも表情が抜け落ちたカズマにマリリンは目を見開き息を呑んだ。
「取り敢えず、調べてきて欲しかった依頼に関しては完璧だよマリリン。本当にありがとう」
「……あ、ああ。役に立てて良かったよ」
「これだけの金額があった場合、そっちで生活する分には苦労はしなさそうだし、出来る事ならお金を預ける場所があったり、僕もマリリンのように異世界に行ったら空間魔法が使えたらいいんだけどね」
「なら、今度一緒に異世界にいってみるかい?」
「そうだね。この際、僕も腹を決めてマリリンの夫として異世界で振る舞ってみようと思う」
思わぬ言葉だったのだろう。と言うか、頼んでおきながら驚く方が僕の方が傷つくんだけどとは思ったが、カズマはマリリンの柔らかい髪を撫でて微笑んだ。
「僕も手に入れられるスキルって興味があるからね。マリリンを助けられるスキルが貰えればいいけれど、何も貰えなかったら悲しいな」
「大丈夫だ。あちらの世界では必ず何かしらのスキルを手に入れることが出来るはずだからな」
「出来れば血を見ないようなスキルが欲しいと切に願うよ」
こうして、今度の大型連休に異世界に一度行ってみることにした。
その際には幾つかの足りなくなってきていると言う調味料系や美容関係の物も持っていこう。
後は……マリリンの兄であるジャックさんと、今後お世話になるであろうマイケルさんへの贈り物も用意しないといけないなと思いながら、スッカリ冷たくなったお茶を喉に流し込んだ。
「せ……世紀末覇者!!」
自室で異世界に向かった際に役に立ちそうな交渉術や駆け引き、そして言葉遣いなどを本で読み漁っていたところに襖が吹っ飛び現れし世紀末覇者……ではなく、マリリン。
読唇術の本も読み漁っており、ここ最近は取得に余念は無い。
「マリちゃん帰ってきたのね!!」
「お帰りマリちゃん!」
「義父様! 義母様! ただいまであります!!」
「お腹空いたでしょう? ご飯食べてく?」
「いただきます!!」
こうして、久々に帰ってきたマリリンと一緒に食卓を囲むことになった。
家にマリリンがいると両親はとても喜ぶ。
実際彼女が異世界に戻っている間は「怪我をしていないだろうか」や「病気をしていないか」等と毎日心配していたのだ。
認めたくないけれど……僕も心配していた。
アレだけ素直なマリリンだと、周りからいい様に使われているのではないだろうか? とか、騙されて影で泣いていないだろうか……など、僕らしくもない。
それでも、笑顔のマリリンが帰ってきてくれたことでホッとしたのも事実で。
「マリちゃんが使っている食器とお箸。カズマが選んだのよ」
「なんと!?」
「何時までも客用じゃダメじゃないかっていってね」
「――カズマ!! ありがとう!!」
「どういたしまして」
素っ気なく返したものの、マリリンはこの上なく嬉しそうで、必死に選んだ甲斐があった。
確かにマリリンに薔薇のような美しさは無い。寧ろ、棘のあるような花は彼女には似合わない。
かといって素朴な花は似合わない。
だから僕は、まるで太陽のような彼女へ大輪のヒマワリの食器を選んだ。
子供っぽくもなく、けれど、純粋に元気で優しい花を。
何時ものように風呂に入り、家族揃ってからマリリンからの異世界での報告を聞くことにした。
どうやら、異世界では砂糖も塩もかなりの金額になり、金貨が溢れかえる状態になったらしい。特に美容に関しては城から使いが来るほどにマリリンのギルドは注目の的だそうだ。
「調味料に関しては、ある程度の大量購入は可能だ。シャンプーやトリートメントもある程度は可能だろうな」
「幸いマリちゃんがオリハルコンを換金してくれたお金で大量に調味料を持って行ってもらったし」
「では、これからも必要なだけオリハルコンでもなんでもこちらで換金しよう! そのお金があれば、私のいる世界でも粗悪な調味料ではなく、せめてギルドがある国の住民が幸せになってくれるかもしれない!」
「いや、それは待った方がいい」
盛り上がる両親とマリリンを止めたのはカズマだった。
「確かに、ある一定の大量購入は可能。けれど、それを一般にまで広げるには、普通の会社員の我が家では悪目立ちすぎる。どこで何が漏れるか解らない」
「それは……そうね」
「だから、商品に価値をつけるんだ。一般市民が食べたいのならマリリンの要るギルドにレストランを作り、そこで食べて貰えばいい。月に一度の贅沢と思えば、多少なりと行けるだろう? それでも調味料が欲しい貴族や商家、王族には値段を吹っ掛けて無理のない範囲で売ればいい。無論……今後も付き合いたい人間によるけどね?」
「確かに希少価値をつけるのは大事だが……」
「化粧品だってなんだって、一般家庭が大量購入を何度も繰り返すのは不自然だ。だからこその希少価値を異世界につけて売る。そして、その販売を手掛けるのは【レディー・マッスル】と言うギルドのみ。そうすることで、他の国々もマリリンをもっと大事にするだろう?」
「カズマ……」
「人間どこでしがらみがあるか解らないんだ。要らないしがらみならば、ここで切ってしまえばいい。良い縁ならば、手に入れればいい。それだけの話だろう?」
そう言って茶を啜るカズマに家族は「なるほど」と口にし、マリリンも少し悩んだのち、口を開いた。
「ならば、それらの責任者はカズマと言う事にしても?」
「それでマリリンが満足するのなら構わないよ。ただ、僕のような子供が悪知恵働く大人にどこまで戦えるかは分からないけどね」
「それなら、秘書として兄の友人であるマイケルをつけよう。二人でタッグを組めばいい」
「ああ、あちらの世界の住人が間に入ってくれるなら助かるかな……。販売戦略を色々話し合いたい相手も欲しかったしね」
「カズマを私の夫と言う事にしても?」
……思いがけない、いや、ある程度覚悟はしていた言葉にマリリンを見つめると、彼女の瞳は不安で揺れているのが分かった。
「……僕の事が好き、意外での理由を聞きたい」
「……それも……そうだな」
何時ものマリリンに似つかわしくない表情だったが、事情を聴かねば納得できない。
情報とは時に武器になるからだ。
苦しい内容であれば、辛い内容であれば、僕にも何かが出来るかもしれない。そう思いマリリンの言葉に耳を傾けた。
簡単に言うならば、マリリン兄妹は、元は公爵家の人間だった。
だが、マリリンの婚約者はマリリンを捨て、今はとある国……マリリンのギルドがある国の王配についている事。
そして、国からの依頼で危険な仕事や汚い仕事をしても、金の支払いが一切ない事。
更に言えば、今なお彼氏のできぬマリリンを城に呼び出しての、まるで公開処刑のような嫌がらせ。
これだけでギルティな訳だが――余りにも表情が抜け落ちたカズマにマリリンは目を見開き息を呑んだ。
「取り敢えず、調べてきて欲しかった依頼に関しては完璧だよマリリン。本当にありがとう」
「……あ、ああ。役に立てて良かったよ」
「これだけの金額があった場合、そっちで生活する分には苦労はしなさそうだし、出来る事ならお金を預ける場所があったり、僕もマリリンのように異世界に行ったら空間魔法が使えたらいいんだけどね」
「なら、今度一緒に異世界にいってみるかい?」
「そうだね。この際、僕も腹を決めてマリリンの夫として異世界で振る舞ってみようと思う」
思わぬ言葉だったのだろう。と言うか、頼んでおきながら驚く方が僕の方が傷つくんだけどとは思ったが、カズマはマリリンの柔らかい髪を撫でて微笑んだ。
「僕も手に入れられるスキルって興味があるからね。マリリンを助けられるスキルが貰えればいいけれど、何も貰えなかったら悲しいな」
「大丈夫だ。あちらの世界では必ず何かしらのスキルを手に入れることが出来るはずだからな」
「出来れば血を見ないようなスキルが欲しいと切に願うよ」
こうして、今度の大型連休に異世界に一度行ってみることにした。
その際には幾つかの足りなくなってきていると言う調味料系や美容関係の物も持っていこう。
後は……マリリンの兄であるジャックさんと、今後お世話になるであろうマイケルさんへの贈り物も用意しないといけないなと思いながら、スッカリ冷たくなったお茶を喉に流し込んだ。
21
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
辺境伯の溺愛が重すぎます~追放された薬師見習いは、領主様に囲われています~
深山きらら
恋愛
王都の薬師ギルドで見習いとして働いていたアディは、先輩の陰謀により濡れ衣を着せられ追放される。絶望の中、辺境の森で魔獣に襲われた彼女を救ったのは、「氷の辺境伯」と呼ばれるルーファスだった。彼女の才能を見抜いたルーファスは、アディを専属薬師として雇用する。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています
六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった!
『推しのバッドエンドを阻止したい』
そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。
推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?!
ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱
◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!
皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*)
(外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる