召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。

寿明結未(ことぶき・あゆみ)

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第三章 ラスカール王国とダングル王国に光を!!

75 ストレリチア産の直売所作りと銭湯作りを終え、情報収集していると思わぬ事を耳にする。

「ありがとう御座います。それからこれはラスカール王に頼まれている事なのですが」
「陛下に?」
「庶民街に銭湯、大きな風呂場ですね。それを作れと言われておりまして。庶民街の道路に面した場所に空いている土地はありますか? 出来れば広い土地が望ましい」


 そう言うと庶民街の土地の地図を広げ真剣に探し始めたゾナードさん。
 良い物件が見つかると良いが……。


「私からの希望を伝えても?」
「なんでしょう」
「この国の貴族はノスタルミア王国よりは少ないのですが、庶民がとても多いのです。それで出来れば銭湯なるものを二か所に作って頂ければと」
「なるほど。それは可能です。無論土地と場所が広ければですが」
「それでしたら、庶民街は北と西にありますので、北銭湯と西銭湯を作って頂けませんか? あと入るのに如何ほどお金は掛かるのでしょうか」
「なるほど北と西ですね、それは構いませんよ。 料金は銅貨2枚と考えています。これはノスタルミア王国でも同じです」」
「ほおお……それは随分とお安いですな」
「毎日入って貰いたいので…。 銭湯にも従業員が必要なので、料金のやり取りをする番台に一人、掃除要員に男女一人ずつ、この三人を1チームとして6チーム18人を雇いたいです。」
「毎日朝9時~夜9時までの営業で、北と西で3チームずつ、2勤1休のペースで働いて欲しいです。1チームは開店から午後3時位まで、1チームは午後3時位から閉店まで、1チームは休みとなります。」
「あと先程話した番台には計算の出来る50代くらいの女性をお願いします。 勿論銭湯で働く人にも獣人差別のある人は必要ありません。」
「分かりました。人員は用意しましょう」
「お願いします。それで場所ですが見つかりそうですか?」
「ええ、北と西エリアにいい場所がありますので広いですよ」


 こうしてそのエリアも購入する事となり、「信用していますよ」と念押しして支払いまずは市場となる場所を見に行く。
 その頃にはピシエールさんも到着し、一緒に移動となった。
 確かに農業ギルドの前にあるレストランだった場所が軒並み空き家になっていて、俺はそこであちらの世界で良く活用した産直市場をイメージして作り上げていく。
 清潔感のある白い建物で、床や壁は掃除しやすい白で統一、台はこの世界に合わせて丈夫な木材の台を並べるイメージで。
 魚置き場はよくスーパーなどに行くと設置してある冷蔵の魚売り場のようなものを作り、それを想像しながらスキルボードでポチッと押すと、建物が消えて上から上書きするように真新しい建物が建って行く。
 裏にあった家二軒は潰して倉庫にし、何時でも在庫を出せるようにしたのだ。
 無論そこにはストレリチア村との通路を付けたが、何時もの扉ではなく搬送用の扉を付けた。

 中に入るとズラリと並んだ産直の野菜を置くエリアと魚を売るエリア、果物を売るエリアと別れていて、卵売り場は小さめだ。
 というのも、ストレリチア村でも卵を産む魔獣は飼っているのだが、まだ沢山増えている訳ではない為少なくしたのだ。
 だが増えるのも時間の問題だろう。
 そこで敢えて先だって用意したというのもある。

 奥に続く扉は4か所あり、扉を開いて中に入ると大きな倉庫になっている。
 そこは倉庫全体に冷蔵機能がついていて、魚を入れる為の大型冷蔵庫を二個用意するとドンと置いた。
 またイチゴなどの果物用の大型冷蔵庫も二個ドンドンと用意し、ヴァリオンに説明しながら進んでいく。


「冷蔵庫に入っている物が腐らないのは凄いな」
「ああ、俺も最初出した時は驚いたが、中にある食材は時が止まるらしい。外に出せばまた時が進んで痛みやすくなったりはするが。後は段ボールや生ごみと言った物は用意してあるこの産業用ゴミ箱に捨てて行けばいいぞ。魔素になるらしい」
「「「おおおおお……」」」
「ノスタルミア王国ではゴミ出し日が週三回あって国から派遣された魔導士たちが燃やしていましたが、ラスカール王国ではどうなんですか?」
「それは全ての国の法で決まっているので同じですね」
「なるほど」


 ゴミに関しては問題なさそうだ。
 掃除道具も出入口付近に用意されており、気が付けば掃除も行えるようにした。
 後は必要な荷台や箱を用意し、荷物の搬入も出来やすくすると、後は従業員待ちだ。


「ではここは今から三日後には動かしたいので、二日後にはここに従業員を集めてください。ヴァリオンから説明して貰います」
「畏まりました」
「承ります」
「俺も心配なので一応来ますから。ヴァリオンも困った時用に、このドアの先に事務室があるからソコに魔道具を置いておくから何時でも俺に連絡を。連絡の仕方はディア様に聞けば詳しく教えてくれる」
「畏まりました」


 その後北住民地区と西住民地区に行くと、確かに道路に面した場所で広い土地が売っていた為、そこは俺達が買ったエリアらしい。
 先ずは北からノスタルミア王国にあるのと同じ銭湯を作り、中を確認するとやはり同じ作りだった。
 銭湯はそう捻るものでもないので、此方も従業員を見つけてくれたら稼働するという話になり、西も同じように作った。
 後はゾナードさんの手腕次第だ。


「銭湯の方は我が商業ギルドから職員を派遣します」
「是非お願いします」
「産直の方は急ぎますので、今から帰って準備しても宜しいでしょうか」
「ええ、構いません。また明日の朝10時に商業ギルドに伺いますのでその時に進捗を教え下さい。ピシエールさんもそれでお願いします。ビスコスさんにも一応連絡しておいて下さい。相談があればその時間にと。」
「「畏まりました」」
「では今日はここまでで。 ヴァリオンもストレリチア村に帰ろうか」
「はい」


 こうして魔道具を使って瞬時に移動し、ストレリチア村に帰るとヴァリオンは怯えたのか尻尾が丸まってしまっていたが、「そう言う魔道具を持ってるんだ」と言うとホッとしたようだ。
 その後ディアに連絡用の魔道具の使い方を聞いていたヴァリオンに別れを告げ、ラスカール王国の銭湯二か所に行き、空間収納から入浴剤を取り出して五粒ずつ入れる。
 そうすればノスタルミア王国にある銭湯と同じになる。


「取り敢えず後は明日だな。俺はミスアーナに戻って魔道具屋で通信用の魔導具を買って、それを置いてくるからカナエは先に二人の家に戻っててくれるか?」
「良いわよ。でも送って行って?」
「無論送るとも」


 そう言って肩を抱き寄せ瞬間移動すると、家の中に既に入っていてカナエとキスをしてから別れミスアーナの魔道具店に行き、通信用の魔道具を3つ購入して産直と銭湯に一つずつ置いて俺の今日の仕事は終了。
 二人の家に帰る前にミスアーナの拠点に帰り、今日の進捗を説明し、子供達に今日一日の頑張りを聞いて頭を撫で、置いて行った菊池に「今後も暫く忙しいから頼むぞ」と告げると「了解っす!」と元気に返事をしていた。
 ラスカール王国の産直ではネットスーパーで購入した物は扱わないので上手く動き出したら俺の一先ずの仕事は終了だが、ふと気になってシュウとナノを売っていた奴隷商人の元へと足を運ぶ。
 すると、既にその奴隷商は無くなっていて店も新しい物になっていた。


「なんだ、移転したのか?」
「おー? 兄ちゃんそこの奴隷商に用事でもあったのか? ははははは! 残念だったなぁ。ガキ二人をまんまと生かして売ったって激怒した野郎どもが来てよ。そいつらにめった刺しにされてお陀仏よ」
「ガキ二人……」
「死んで貰わないと困る二人だったらしいのに、金になるかもしれないって欲が出たんだろうよ。ま、運よく二人は買われて今はどこにいるのかも分からない。きな臭い奴らが捜してるって話だが、アンタもここに用がないならサッサと去った方が良いぜ」
「そうか、御忠告ありがとう」


 そう言うと金貨一枚を投げ渡すと「よく解ってるねー」と言って去って行った。
 余り長居するのは良くないという事か。
 思えばこれも貴重な情報だろう。
 その後すぐに瞬間移動を使い二人だけの家に戻ると、靴を脱いで玄関へと向かい、手と顔を洗ってうがいをする。


「ただいま、ちょっと残念な話と気になる話を聞いてきた」
「お帰りなさい。何を聞いてきたの?」
「実は――」


 と、先ほどの元オスカール王国でシュウとナノを買った奴隷商の話をしたのだが――。

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