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第三章 ラスカール王国とダングル王国に光を!!
77 覚悟を決めた先生に付き添うカナエ、そしてまさかの生きていた水野との再会。
「よし、じゃあノスタルミア王国の拠点に帰ろうか」
「いつも通り過ごしていいの?」
「ああ、いつも通りでいい。このことは暫くは四人だけの秘密だ。」
「「はい」」
こうして俺達はノスタルミア王国の拠点に戻り、「産直市場は明日から本番だが軌道に乗れば別の支援も考えている為、暫くまだラスカール王国にいる」と告げると皆頷いていた。
次は孤児院を見て回らねば。
孤児院ならばストレリチアからの『支援』として支給できる物が増える。
もっと動いて国王の目と……敵の目が俺の方を見た時が、動く時だろう。
シュウとナノを狙っているのなら間違いなく俺に目が行くはずだ。
刀は使いたくないが、いざという時は使う事になるだろう。
カナエを守れればいいが……。
「アツシさん、シュウとナノに目が行かないように派手に動くつもりでしょ?」
夕飯を二人の家で食べている時、カナエに痛い所を突かれた。
実際そうしようとしていたし、どうすればカナエを守れるか考えていたからだ。
「カナエ」
「でも事実でしょ?」
「ああ、事実だ。全く、まともに仕事も出来ないな」
「その上で、どうやって私を守ろうと思っているかまでは想像付いたわ」
「すまん。俺と一緒に居れば危険に巻き込まれる可能性はとても高い」
「それでいいわ。足手まといにならないようにはするし、いざという時は魔道具でシューンとね」
「全く豪胆な」
「嫌でも豪胆になりますよ。私だってシュウとナノを守りたい。敵の目をシュウとナノではなく、先ずこっちに向かせたい」
「その為に、まずはラスカール王国で派手に動かないといけない。元オスカール王国とやり合おうってしていた国だ。まだ奴らの目はラスカール王国にある」
「それであれだけ大きい産直市場を作ったのね? 狙いは『ストレリチア村のアツシ』と狙いを定めさせるために」
「それもあるな。ダングル王国は今民が飢えていると聞く。そこに国を逃げ出した獣人を纏めている人間が居て、その上作物も何もかも充実させている俺が居れば、ダングル王国はまず俺に興味を持つ筈だ」
「……危険なのは分かっているわよね?」
「ああ。だがもう止められない」
だからこそカナエをどうしたらいいか迷っていたというのに……。
俺一人狙われるならまだしも、カナエは俺の婚約者だ。
戦うスキルもないカナエが捕まるのは不味い。
「そう怯えなくて大丈夫よ」
「そうか?」
「だって、私も魔道具持ってるもの」
「は?」
「私も売り上げが凄い伸びて、ドンドンスキルポイント入ってきて、転移の腕輪取れる状態なの」
「それは……知らなかったな。何時だ?」
「高級楽器屋でぼろ儲けした時」
「あ――……」
確かに楽器は一つ一つがべらぼうに高い。
そりゃレベルが上がるのも頷ける。
するとカナエはスキルボードを取り出し、ボタンをポチッと押すと掌に指輪が出て来た。
小指に付ける小さなリングだ。
「これが私の転移する為の魔道具」
「俺のとは随分と違うな」
「小指に嵌められるサイズみたい。これならアクセサリーとして見られるし問題は無いと思うわ。女性なら指輪くらいするし」
「確かに」
「ってことで、危なくなったら私は転移で何処にでも逃げられるの。場合によっては私が兵士や仲間を連れてくることも可能になるって事」
「はぁ――……凄く悩んでたんだぞ?」
「知ってる。でも何時も肩を抱いて移動してくれるのが嬉しいから今まで取らなかったの。話す勇気もなくて。これで私も転移は出来るようになったけど、転移はアツシさんだけしか出来ないって思わせておいた方がいいわ。」
「今言ってくれて良かった……もし危険が迫ったらカナエは逃げてくれ」
「ええ、それで助けを呼ぶわ」
「良かった……俺一人で大事なカナエを守れるか不安で押しつぶされそうだった」
「ごめんね?」
「いや、だがホッとした。これで派手に動ける」
そう言って背筋を伸ばして珈琲を飲むと、これからの事を考える。
ラスカール王国の農業ギルドに関しては何とかなった。
ボルドーナ商会があるから塩や砂糖に関する事は一切しなくていいのは有難い。
俺がすべき事は、国民が如何に幸せになれるかの問題だ。
産直市場に銭湯二つ、後一つ手に入れられる何かがあれば問題ないんだが。
それこそ治療院とかな。
薬はそれなりにあるし、あちらの世界の薬は異世界では物凄く効き目が良い。
となると――。そう考えた時に、ラスカール王国の拠点のドアを叩く感覚がした。
「アツシさん?」
「ラスカール王国の拠点のドアをノックする人が居る。ちょっと行ってくるか」
「私も行くわ」
こうして二人でラスカール王国の拠点へと向かい、ノックするドアに声を掛けつつドアを開けた。
するとそこにいたのは――水野だった。
「水野!?」
「やっぱり生きてたのか!」
「先生……カナエ……本当にごめんなさいっ!!」
「こいつが魔物に襲われてる時に助けた冒険者のロゼだ。Aランク冒険者をしている」
「ストレリチアのアツシです。こっちは婚約者のカナエだ。」
「水野は何度も『ノスタルミア王国の首都、ミスアーナにいる先生に謝罪しに行かないと』って言って聞かなかったんだが、たまたま此処がその先生の拠点の一つだと言い出してな」
「そうだったのか……だが水野。お前はノスタルミア王国の拠点には入れないぞ」
「分かってます……私のしたことは絶対許されないもの。でも、死にそうになってやっとわかったわ。私は本当に愚か者だったって」
「……そうか」
「先生、中に入れて上げたら? ここはラスカール王国の拠点でしょ?」
そう声を掛けてきたのは水野を追い出したカナエだった。
その言葉に水野はカナエに只管謝罪し、カナエも溜息を吐いてから「次は無いからね」と言って拠点に入れることが出来た。
ロゼは「話しが終わったらアイテムを使う様に言ってある」と言って帰り、俺達は久しぶりに三人で会話することになった。
あの後水野は王太子たちと帰国途中、トイレに行きたくなり外に出た所で魔物に襲われたらしく、見張りの女性は死んでいたという。
死んだ女性が水野と同じ背格好で髪色も同じだったこと、服は本来はデザインが違ったが魔物にボロボロにされていたことから、王太子たちは水野が死んだと思い込んだらしい。
水野が魔物に対し直ぐに戦う態勢に入った途端、助けてくれたのが先ほどの男性、ロゼだったという。
その後、オスカール王国が終わるその時までロゼたちに助けられて身を潜めて生き延び、何とかノスタルミア王国の俺の元に行って謝罪したいと思っていたらしい。そんな時に俺達がラスカール王国に来て、目立つホテル式の拠点を作り、水野は此処を見つけて絶対俺が関係しているとドアを叩いたらしい。
「お願い先生。私にも罪滅ぼしをさせて。今度こそ真面目に働くわ」
「でも危険よ? それでもいいの?」
「危険って、ストレリチアは狙われているの?」
「これから狙われに行くんだ」
「は?」
「ちょっと訳アリでな」
「それでもいいわ。どうせ死んだかもしれない命だもの。出来る事は何でもする」
「そうか、なら俺が雇おう」
「先生!?」
「丁度治療院を作りたいと思っていた所なんだ。カナエの薬局があれば治療院は作れる」
「あ――なるほど、確かに」
「ストレリチアから出張で暫く治療院を開くという事にするんだ。薬も出すし、水野は回復魔法が使えたな?」
「ええ、得意よ」
「回復魔法を使って怪我人を治したり、病人は難しいだろうから薬を売る」
「なるほどね……。その程度だったら何とかなりそうね。ただ派遣社員って事になるのね」
「ああ、この国は冒険者も多い。治療院があれば随分と違う」
「その為の拠点を作るのね」
「そう言う事。兵舎に近い所に治療院を作る。水野はそこでストレリチアからの出張治療院の先生として働いて貰う」
「良いわ。私の家実は病院だったの。私も看護婦目指してたし色々勉強はしてたわ」
「なら心強いな」
「お医者さんは目指さなかったのね」
「頭が足りなかったのよ」
そう言って膨れる水野にカナエは笑いつつ「憎まれ口をたたくのは変わらないな」と何処か安心したように口にしていた。
「なら水野はこれからどうする? ロゼたちの元に戻って一緒に生活するのか、拠点で生活するのか」
「実は、ロゼたちの家が老朽化していて住む場所を探してるんだけど、此処は貸して貰えないわよね」
「此処は難しいな。だがある意味Aランク冒険者の住んでいる拠点となると、流石に水野に手を出しにくいか」
「安全対策ね」
「全員泊まれるかは分からないが、この場所を貸すことは可能だ。水野を守ってくれると言うのなら月々一人金貨20枚で貸そう」
「ありがたいわ。ロゼに話してくる。直ぐ戻るわ」
そう言うと水野はロゼから貰ったという魔道具を手にし、掌で何かを描くと起動し消えて行った。
その後暫くしてロゼを含む数名の冒険者と水野がやってきて、此処を貸して貰えるという話に飛びつき、是非にと言う事になった。
家賃を安くする代わり、水野の護衛を一人お願いしたい事を言うと、必ず冒険に出た時一人は残るらしく、その人が水野を守る護衛となる事が決まった。
「じゃあ俺は大家さんになるって事だな」
「そうね。度々使わせて貰う事になるけど気にしないでね」
「ああ、元々は君たちの拠点だったのを間借りする形なんだ。気にしない」
「あと、掃除はちゃんとしてね? 汚いのは嫌よ」
「うっす!」
こうして、この拠点はラスカール王国に行く為だけの拠点となり、ロゼさんを含む皆さんに貸すことが決定した。
無論、扉を使えるのは俺とカナエだけだが。
「使い方は水野から聞いてくれ。俺達は自分たちの家に帰る」
「自分達のってまさか」
「夫婦となる為の家よ」
「本当私貧乏くじ引いたと思うわ……」
「うふふ、御愁傷様。先生は私のものよ」
「はぁ、もういいわ。おめでとうカナエ」
「ありがとう水野」
その後俺達は二人の家に戻り、お茶を飲んでから片付けをして少し遅めの睡眠となった。
明日はラスカール王国の拠点から水野を連れて商業ギルドに行き、治療院を作る為の土地を買わねばならない。
まだまだ忙しい日が続きそうだ――。
「いつも通り過ごしていいの?」
「ああ、いつも通りでいい。このことは暫くは四人だけの秘密だ。」
「「はい」」
こうして俺達はノスタルミア王国の拠点に戻り、「産直市場は明日から本番だが軌道に乗れば別の支援も考えている為、暫くまだラスカール王国にいる」と告げると皆頷いていた。
次は孤児院を見て回らねば。
孤児院ならばストレリチアからの『支援』として支給できる物が増える。
もっと動いて国王の目と……敵の目が俺の方を見た時が、動く時だろう。
シュウとナノを狙っているのなら間違いなく俺に目が行くはずだ。
刀は使いたくないが、いざという時は使う事になるだろう。
カナエを守れればいいが……。
「アツシさん、シュウとナノに目が行かないように派手に動くつもりでしょ?」
夕飯を二人の家で食べている時、カナエに痛い所を突かれた。
実際そうしようとしていたし、どうすればカナエを守れるか考えていたからだ。
「カナエ」
「でも事実でしょ?」
「ああ、事実だ。全く、まともに仕事も出来ないな」
「その上で、どうやって私を守ろうと思っているかまでは想像付いたわ」
「すまん。俺と一緒に居れば危険に巻き込まれる可能性はとても高い」
「それでいいわ。足手まといにならないようにはするし、いざという時は魔道具でシューンとね」
「全く豪胆な」
「嫌でも豪胆になりますよ。私だってシュウとナノを守りたい。敵の目をシュウとナノではなく、先ずこっちに向かせたい」
「その為に、まずはラスカール王国で派手に動かないといけない。元オスカール王国とやり合おうってしていた国だ。まだ奴らの目はラスカール王国にある」
「それであれだけ大きい産直市場を作ったのね? 狙いは『ストレリチア村のアツシ』と狙いを定めさせるために」
「それもあるな。ダングル王国は今民が飢えていると聞く。そこに国を逃げ出した獣人を纏めている人間が居て、その上作物も何もかも充実させている俺が居れば、ダングル王国はまず俺に興味を持つ筈だ」
「……危険なのは分かっているわよね?」
「ああ。だがもう止められない」
だからこそカナエをどうしたらいいか迷っていたというのに……。
俺一人狙われるならまだしも、カナエは俺の婚約者だ。
戦うスキルもないカナエが捕まるのは不味い。
「そう怯えなくて大丈夫よ」
「そうか?」
「だって、私も魔道具持ってるもの」
「は?」
「私も売り上げが凄い伸びて、ドンドンスキルポイント入ってきて、転移の腕輪取れる状態なの」
「それは……知らなかったな。何時だ?」
「高級楽器屋でぼろ儲けした時」
「あ――……」
確かに楽器は一つ一つがべらぼうに高い。
そりゃレベルが上がるのも頷ける。
するとカナエはスキルボードを取り出し、ボタンをポチッと押すと掌に指輪が出て来た。
小指に付ける小さなリングだ。
「これが私の転移する為の魔道具」
「俺のとは随分と違うな」
「小指に嵌められるサイズみたい。これならアクセサリーとして見られるし問題は無いと思うわ。女性なら指輪くらいするし」
「確かに」
「ってことで、危なくなったら私は転移で何処にでも逃げられるの。場合によっては私が兵士や仲間を連れてくることも可能になるって事」
「はぁ――……凄く悩んでたんだぞ?」
「知ってる。でも何時も肩を抱いて移動してくれるのが嬉しいから今まで取らなかったの。話す勇気もなくて。これで私も転移は出来るようになったけど、転移はアツシさんだけしか出来ないって思わせておいた方がいいわ。」
「今言ってくれて良かった……もし危険が迫ったらカナエは逃げてくれ」
「ええ、それで助けを呼ぶわ」
「良かった……俺一人で大事なカナエを守れるか不安で押しつぶされそうだった」
「ごめんね?」
「いや、だがホッとした。これで派手に動ける」
そう言って背筋を伸ばして珈琲を飲むと、これからの事を考える。
ラスカール王国の農業ギルドに関しては何とかなった。
ボルドーナ商会があるから塩や砂糖に関する事は一切しなくていいのは有難い。
俺がすべき事は、国民が如何に幸せになれるかの問題だ。
産直市場に銭湯二つ、後一つ手に入れられる何かがあれば問題ないんだが。
それこそ治療院とかな。
薬はそれなりにあるし、あちらの世界の薬は異世界では物凄く効き目が良い。
となると――。そう考えた時に、ラスカール王国の拠点のドアを叩く感覚がした。
「アツシさん?」
「ラスカール王国の拠点のドアをノックする人が居る。ちょっと行ってくるか」
「私も行くわ」
こうして二人でラスカール王国の拠点へと向かい、ノックするドアに声を掛けつつドアを開けた。
するとそこにいたのは――水野だった。
「水野!?」
「やっぱり生きてたのか!」
「先生……カナエ……本当にごめんなさいっ!!」
「こいつが魔物に襲われてる時に助けた冒険者のロゼだ。Aランク冒険者をしている」
「ストレリチアのアツシです。こっちは婚約者のカナエだ。」
「水野は何度も『ノスタルミア王国の首都、ミスアーナにいる先生に謝罪しに行かないと』って言って聞かなかったんだが、たまたま此処がその先生の拠点の一つだと言い出してな」
「そうだったのか……だが水野。お前はノスタルミア王国の拠点には入れないぞ」
「分かってます……私のしたことは絶対許されないもの。でも、死にそうになってやっとわかったわ。私は本当に愚か者だったって」
「……そうか」
「先生、中に入れて上げたら? ここはラスカール王国の拠点でしょ?」
そう声を掛けてきたのは水野を追い出したカナエだった。
その言葉に水野はカナエに只管謝罪し、カナエも溜息を吐いてから「次は無いからね」と言って拠点に入れることが出来た。
ロゼは「話しが終わったらアイテムを使う様に言ってある」と言って帰り、俺達は久しぶりに三人で会話することになった。
あの後水野は王太子たちと帰国途中、トイレに行きたくなり外に出た所で魔物に襲われたらしく、見張りの女性は死んでいたという。
死んだ女性が水野と同じ背格好で髪色も同じだったこと、服は本来はデザインが違ったが魔物にボロボロにされていたことから、王太子たちは水野が死んだと思い込んだらしい。
水野が魔物に対し直ぐに戦う態勢に入った途端、助けてくれたのが先ほどの男性、ロゼだったという。
その後、オスカール王国が終わるその時までロゼたちに助けられて身を潜めて生き延び、何とかノスタルミア王国の俺の元に行って謝罪したいと思っていたらしい。そんな時に俺達がラスカール王国に来て、目立つホテル式の拠点を作り、水野は此処を見つけて絶対俺が関係しているとドアを叩いたらしい。
「お願い先生。私にも罪滅ぼしをさせて。今度こそ真面目に働くわ」
「でも危険よ? それでもいいの?」
「危険って、ストレリチアは狙われているの?」
「これから狙われに行くんだ」
「は?」
「ちょっと訳アリでな」
「それでもいいわ。どうせ死んだかもしれない命だもの。出来る事は何でもする」
「そうか、なら俺が雇おう」
「先生!?」
「丁度治療院を作りたいと思っていた所なんだ。カナエの薬局があれば治療院は作れる」
「あ――なるほど、確かに」
「ストレリチアから出張で暫く治療院を開くという事にするんだ。薬も出すし、水野は回復魔法が使えたな?」
「ええ、得意よ」
「回復魔法を使って怪我人を治したり、病人は難しいだろうから薬を売る」
「なるほどね……。その程度だったら何とかなりそうね。ただ派遣社員って事になるのね」
「ああ、この国は冒険者も多い。治療院があれば随分と違う」
「その為の拠点を作るのね」
「そう言う事。兵舎に近い所に治療院を作る。水野はそこでストレリチアからの出張治療院の先生として働いて貰う」
「良いわ。私の家実は病院だったの。私も看護婦目指してたし色々勉強はしてたわ」
「なら心強いな」
「お医者さんは目指さなかったのね」
「頭が足りなかったのよ」
そう言って膨れる水野にカナエは笑いつつ「憎まれ口をたたくのは変わらないな」と何処か安心したように口にしていた。
「なら水野はこれからどうする? ロゼたちの元に戻って一緒に生活するのか、拠点で生活するのか」
「実は、ロゼたちの家が老朽化していて住む場所を探してるんだけど、此処は貸して貰えないわよね」
「此処は難しいな。だがある意味Aランク冒険者の住んでいる拠点となると、流石に水野に手を出しにくいか」
「安全対策ね」
「全員泊まれるかは分からないが、この場所を貸すことは可能だ。水野を守ってくれると言うのなら月々一人金貨20枚で貸そう」
「ありがたいわ。ロゼに話してくる。直ぐ戻るわ」
そう言うと水野はロゼから貰ったという魔道具を手にし、掌で何かを描くと起動し消えて行った。
その後暫くしてロゼを含む数名の冒険者と水野がやってきて、此処を貸して貰えるという話に飛びつき、是非にと言う事になった。
家賃を安くする代わり、水野の護衛を一人お願いしたい事を言うと、必ず冒険に出た時一人は残るらしく、その人が水野を守る護衛となる事が決まった。
「じゃあ俺は大家さんになるって事だな」
「そうね。度々使わせて貰う事になるけど気にしないでね」
「ああ、元々は君たちの拠点だったのを間借りする形なんだ。気にしない」
「あと、掃除はちゃんとしてね? 汚いのは嫌よ」
「うっす!」
こうして、この拠点はラスカール王国に行く為だけの拠点となり、ロゼさんを含む皆さんに貸すことが決定した。
無論、扉を使えるのは俺とカナエだけだが。
「使い方は水野から聞いてくれ。俺達は自分たちの家に帰る」
「自分達のってまさか」
「夫婦となる為の家よ」
「本当私貧乏くじ引いたと思うわ……」
「うふふ、御愁傷様。先生は私のものよ」
「はぁ、もういいわ。おめでとうカナエ」
「ありがとう水野」
その後俺達は二人の家に戻り、お茶を飲んでから片付けをして少し遅めの睡眠となった。
明日はラスカール王国の拠点から水野を連れて商業ギルドに行き、治療院を作る為の土地を買わねばならない。
まだまだ忙しい日が続きそうだ――。
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