石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!

寿明結未(ことぶき・あゆみ)

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106 【オリタリウス監獄】と地脈の関係と、復興と、それからの未来と――。

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 帰宅後、陛下に呼ばれて一部壊れた王城に向かい、謁見の間にて鉄の国サカマル帝国がどうであったか等詳しく説明し、もう呪いの根源は無くなったことも話した。
 また、結界が張ってある鬼門と言うのが【オリタリウス監獄】と地脈が続いている故に――と言うと酷く納得された。
 どうやら余程の場所らしい。


「そうか、【オリタリウス監獄】と地脈が……それは甚大な障りがあったであろうな」
「故に女払いなどが横行していたのでしょうし……恐ろしいですなぁ」
「全くだな」
「そこまで恐ろしい場所なんですね」


 そう伝えると口籠り、「とても女性には教えられぬ恐ろしい場所でもある」と伝えられた。
 しかし――。


「その【オリタリウス監獄】ではそこだけの法律があるのだ。一つの国と思ってもいい」
「一つの国……」
「近くには規律の厳しいテリサバース教会があるが、そこに行きついた者達は例外なく死んでいくし、生まれた子は男女共に例外なく【オリタリウス監獄】で働く為の教育を施される。とても普通の頭の者達ではないのは確かだが、世界中で手に負えない罪を犯した者が行きつく先だ。そこでは平等に入った者は死ぬ運命だと言われている」
「死ぬ運命……」
「死体は埋葬されず凍える雪の中監獄から投げ捨てられ氷漬けにされる。その氷は永遠に溶けることはないらしい」
「そんな場所と地脈が繋がっているとなると……それは想像を絶する障りがありそうですね」
「うむ……。それを何とかしてくれたユリ殿には感謝しかないが、今後も鬼門は封じて貰えるようで安心した。鉄の国サカマル帝国は犠牲になったのだな……。支援をしてやらねば」
「そうですね」


 こうして岩田の仕事はさらに増え、鉱石類をドンドン作って貰って復興作業が続く鉄の国サカマル帝国への輸出が再開、断交も消え去った。
 更に木材ギルドの皆さんはセンジュ君が特許を取っている【速乾付与】を取り、伐採した木材を乾燥させ船に乗せて鉄の国サカマル帝国へ城を作る為に何度も大型の船で運び入れている事を知っている。
 また、到着したら直ぐ使えるようにと一人だけ木工ギルドの人が付いて行き、そこでも海の風などで湿気た木材を速乾して直ぐ使えるようにしてくれているらしい。
 建て替えるのは城だけで、タキちゃんが壊した城を建てる際の資料は残っていたらしく、それを元に城作りは進んでいる。

 乾燥した木材が届く為直ぐに工事は進むらしく、作業は素早く進んでいるらしい。
 また、国を疎かにして死んでいった者達は罪人として罪人用の墓に入れられたらしく、家族に関しては国が払うべき遺族年金等は一切払われる事は無かった。
 罪人だから当たり前なんだけど。

 新しい家臣や重鎮達を選び終える頃、小さな家で法律の改正も進められた。
「女払い」は撤廃し、「男尊女卑も禁止」とされ、呪いが解けたとしても残っている部分があっていけないと国全体にそれらは伝えられたという。


 ◇


 そんな鉄の国サカマル帝国は復興を進めつつ、私の住む宝石の国ダイヤ王国の王都ダリルシェイドもまた、復興が進められた。
 壊れた家屋は多く、それらの復興作業が進んでいき、元々空き家だった場所は何も立てずに新しく土地を買った者がそこに家を建てると言う仕組みにしたようだ。
 レンガ作りと室内は木材で作られた家は快適なのだが、出来上がるのも早い。

 また、工場地区に被害は出なかったようで、本当に壊されたのは住宅地だけだった。
 幸いガーネット一号店は壊されずに済み、お父様が一番安堵していた。
 アルメリアさんとの思い出が詰まった家だからこそ、不安が大きかったのだろう。

 その間に私は【除湿付与】を取得し、特許を取った。
 それで彫金で家に飾る銅像だけではなく、彫刻で作る像にも【除湿付与】を行い、それを友好の証として鉄の国サカマル帝国のロウさんとカヒさんに贈った。
 それが部屋にあるだけで部屋の湿度が適温になるのだ。
 過ごしやすい部屋で仕事をして欲しい、過ごして欲しいと思い贈ったのだが、とても喜ばれた。

 とはいえ、この除湿付与の効果は1年しか持たない為、一年後には買い替えが必要である事も伝えると、「定期的に購入したい」と言う声を貰い、これもまた定期収入になって行くのは言うまでもなく――。

 ダリルシェイドの復興が終わり、それから半年後にはサカマル帝国の城が出来上がり、改めてお礼を言うべくダイヤ王国にやってきたロウさんとカヒさんとは王城で会い、お礼を含め今後は国の発展の為と保護の為に色々な改革を進めていくことを宣言。
 ノシュマン王国もそれを支持し、無論ダイヤ王国もそれを支持した。
 その帰りになってやっとワイバーン部隊で捕まっていた兵士たちは船に乗ってサカマル帝国に帰る事が許され、彼らは数日後帰って行った。


 それから四年後――隣の国であった元シャース王国の復興作業が始まった。
 三年と言う土地を清める作業が終わったからだ。
 ノヴァ様は王になる事を約束し、苦しい生活にはなるだろうが国民となる者達を募った所、難民であったサカマル帝国の方々が付いて行くことを決意し、新たな人生を歩むことになったようだ。
 急ピッチで進むシャース王国の復興には他の三国も参加しての復興作業だった。
 その為、酷く時間が掛かる前にある程度が形となり、城は建設され、多くの箱庭師が自分たちの箱庭にて食料事情を考え畑を作り、国が管理する事となった。
 今後、ノヴァ様が王となり進んでいくシャース王国に幸あれと思いつつ、金鉱山の封印を最後に解いたのは新たなシャース王国が出来て一年後の事だった。



「これでやっと金も安定供給されるようになるかもしれないね」
「お得意様が無くなるのは残念ですが」
「いやいや、君からも買うよ? 金が値崩れしない程度にね?」
「それなら良かったです」


 今日も今日とて商業ギルドにてレイルさんと宝石や金を出して支払って貰い、楽しく仕事をしている。
 この五年の間に第一子の男の子に恵まれた私は、現在お腹に第二子が入っている。
 今も変わらずお爺ちゃん達に囲まれ、ドマは私の護衛でいてくれる。

 私のスキルである【石を出す程度の能力】を引き継いで生まれて来た第一子は跡継ぎとして今後も育って行くだろうし、彫金師でもあった為頑張って貰いたい。
 第二子はきっと付与師だろう。


「それにしても、君たちガーネットには驚いたね。【除湿付与】も『医療用付与』になるし【加湿付与】も『医療用付与』に認定された」
「ふふふ。今やガーネットと言えば医療の最先端とさえ言われてますからね」
「それに、製薬ギルドでも【雨乞いの涙】を作ってシャース王国に雨を定期的に降らせることが出来るようになっているし、サカマル帝国には【日差しの恵み】を作って只管雨が降り続けるサマル帝国に太陽の光を取り戻させた。一人で作るのが不可能だと言われていた伝説のアイテムだよ?」
「そこは、タキちゃんが居ますからね。成功率はとっても低いですが何となりました。今はお腹に子供がいるので無茶はしてませんよ」
「だろうね。君が無理をしたらドマやエンジュさん家族が大変そうだ」


 そう言ってクスクス笑い、その後支払いを済ませて貰い私たちは馬車に乗って帰る。
 この五年で私とエンジュさんの間に子供が生まれた事もそうだが、周囲も随分と変わったのだ。

 何とドマはラフィと付き合い始めた。
 これにはカシュールさんは驚いていたし、私も知らなかったのでビックリした。
 何処に惚れたのかと聞いてみた所、「とても元気がいいところですかね」と言って苦笑いしていたので、きっと恥ずかしくて言えないのだろう。

 無論、ミモザさんはセンジュ君と付き合っている。
 歳の差はあるけどセンジュ君も本気になったらしく、成人する18歳になったら即妻に貰う予定だそうだ。
 頑張って頂きたい。

 そのミモザさんとスギはそのまま彫刻師のスキルを上げ続け、現在はサカマル王国が大元の拠点となっている【彫刻師ギルド】のギルドマスターと副ギルドマスターとなっている。
 無論、我が家で請け負っていた一年に一度の『商売繁盛』等のお守りに関しては【彫刻師ギルド】が請け負う事になり、二人とドマから『安産祈願』を貰った私の出産はとても安産だった。
 産後も響かず子育てに集中できたのは有難い。
 ちなみにエンジュさんはとてもイクメンだった。
 五年、されど五年――色々な人生が動いて始まり今も続いて行く。


「ふふっ」
「どうしました姉様」
「私、ある意味幸せな人生ね。色々あったけど新しい家族には恵まれたし、人生とは不思議が一杯だわ」
「そうですね、俺も今の人生を昔は考えもつかなかったでしょう」
「これからも【医療用と言えばガーネット】をモットーに色々考えたいと思うわ。その前にまずは、第二子を産む!!」
「ええ、安産祈願は三つ貰ってますもんね」
「ユリの産む赤子は可愛いからのう~……最近は『お爺ちゃんと真なるお爺ちゃんはどっちか』と言うのをシンジュとしておるわ」
「あはは!」
「お爺ちゃんとお爺様でいいと思うけど……」
「ユリ、負けられぬ戦いがあるのじゃよ」


 そういうお爺ちゃんは小さいけど可愛い。
 私のお腹に抱き着いてそう語り、タキちゃんも岩田もお腹に身体を寄せている。
 第一子の時もそうだったが、皆お腹の子を大事にしてくれるし、生まれればどんなに痛い目に遭おうとも「可愛い」で済ませてくれる為安心している。

 私はきっと死ぬまでこの土地で生きて死んでいく。
 お爺ちゃん達は子供たちの誰かと契約をして行くのだろう。
 今日も宝石の国ダイヤ王国は日差しが強い……近いうちに来るであろう出産に備え、今は一号店に帰っている途中だ。


「次はどっちかしらね? 蹴りの強さから女の子っぽいけど」
「それはじゃな――」


 そう言って嬉しそうに語ったお爺ちゃんに、私たちは笑顔で微笑み、ハクは珍しく私の腹に頬を寄せて「我が守り通そうぞ」と口にしていた。
 この子はきっと、安全な人生になるだろう。
 ちなみに第一子はタキちゃんがとても気に入っている。


「ワシはあと二人産んで欲しいと思っておるぞ」
「ボクモ♪」
「頑張るわ!」


 こうして一号店に到着し、部屋でラフィに世話をして貰いながら私の一日は慌ただしい物から、出産まではゆったりとした時間を過ごすのは――言うまでもない。


 ――完――
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