弱小魔術師はシンデレラになれるのか

桜羽根ねね

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①弱小魔術師、憤慨する

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 生まれてこの方19年。

 魔術師の家系に生まれたにも関わらず、魔術はへっぽこ、その上貧乏。だけど、馬鹿にされつつもそれなりに幸せな毎日を送ってきた。両親を幼い頃に亡くした僕を育ててくれた祖父と祖母。笑顔で物騒な発言はするものの根は良い奴……だと信じたい昔からの友人。そんな人達に囲まれて過ごす毎日は、平凡ながらも充実したものだった。

 ……そう、過去形だ。

 今僕は、雲の上の存在でもあり天地がひっくり返っても足を踏みいることがないと思っていた──王宮の中にいた。
 夢のまた夢である王宮専属魔術師……ではなく、下働きの給仕として。


「おーい、リーベル。次これ運べだって~」
「………………分かったけど、お前も手伝えよばか」

 僕と同じ給仕服に身を包んでからからと笑う友人、セドリック。僕がここにいる原因を作った元凶だ。
 僕は何も悪いことはしていないというのに、こいつの道連れにされてただ働きをするハメになった……と思い出しただけで腹が立ってくる。

 厨房のカウンターに置かれた豪華すぎて眩暈がする料理の数々を、銀色に煌めくワゴンに乗せていく。本当に解せない。僕は一流の魔導師を目指すため、今この時も猛勉強しているはずなんだ、しなければいけないんだ。

 こんな所……というかこんな場違いすぎる所で給仕なんてしている暇はないんだ……!

 ……と、怒鳴ったところで、セドリックは悪気のない笑顔で中身のない謝罪を愉しげに連呼するに決まっている。くそ、なんでこんな奴と友人なんだ。昔の自分を呪いたくなる。

「じゃあ僕は行ってくるけど……、サボるなよ」
「わかってるって~。あっ、ゼフラ、それすっげー美味そう!食って良い?」
「注意した傍からサボるな摘み食いすんな働けっ!!」

 叫ぶように吐き捨てて、ガラガラとワゴンを押していく。背後からどこのバカップルだと罵りたくなる声が聞こえてきた。もうほんと、爆発しろ。
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