OVERKILL(オーバーキル) ~世界が変わろうと巻き込まれ体質は変わらない~

KAZUDONA

文字の大きさ
104 / 133
第五章 冒険者の高みへ・蠢き始める凶星達

99  敗戦・天界への帰還

しおりを挟む





 冥界神達に別れの挨拶をして、天界へと戻って来た。召喚獣達も一緒だ。

 みんなから距離を取って、背を向けてしゃがみ込む。ボロボロになった翼の生えた神衣、胸の中心に穿たれた穴。あの初戦よりは確実にレベルアップしていたはずだが、レベル差とはいえ手も足も出なかった。致命的な一撃でも奴には効果が感じられなかった。小手先のスキルなど関係なく槍一本で完全に負けた。このままじゃ、次に会ったときには必ず負ける……! くそっ!

「もっと強くなりてえええええええ!!!!!」

 エリシオンの空に向けて仰向けに倒れて叫ぶ。そんな様子から、みんながいつもの俺と違うと思ったのだろう。ぞろぞろと側にやってきた。

「やっぱりファーレ戦は大変だったんだね。でも私達は邪神達相手に必死だったんだよ。それよりも強大な敵に向かって行ったナギくんは凄いと思う。そういった悔しさも、いつもバネにしてきたことを私は知ってるから」

 右隣に座ったアヤの言葉が身に染みる。でもリーダーの俺がこの体たらくじゃ、みんなの戦力の底上げなんてまだまだ先だ。俺が先ずは強くならなければいけない。

「ありがとう。でも今のままじゃまだまだだ。もっと稽古して、もっと強くならなければ……」
「それは私達も同じことよ。あの堕天神を見ただけで、勝てないって本能が訴えかけて来たくらいだからねー」

 ユズリハも俺の左隣に寝そべる。パズズが集めた神格を取り込む前だろうな。アレがさらに凶悪な強さになったとは……。さすがに探知で気が付いてはいるだろうが……。

「兄貴、俺らも似たようなもんですよ。邪神共は何とか片付けたけど、まだどこかに潜んでいる奴らが世界中に居るハズっす。見つけて滅却しないといけないっスよね」
「あーあ、ヴァカな兄さんに気の利いた台詞を言われるとはねー。折角カーズを慰めてあげたかったのにー」
「うるせーな。男同士にしかわからないことだってあるんだよ」
「言ってくれるじゃないの……。アンタを消して一人っ子になってやるわ!」

 アジーンとチェトレがしょうもないケンカを始めようとしている。

「お前らケンカしたらばーちゃんのところに強制転移させるからなー」
「「うっ……! すいませんでした!!!」」

 どんだけ怖いんだよ、あのばーちゃん。

「しかし、カーズ様が完敗とは……。あの堕天神の大将は些か次元が違うようですね……。アリア様や他の神々も共闘していたというのに……」

 ディードがうむむ、と真面目な考察をし始めた。

「ディード、どの道今のままでは勝てません。神々の我らも本格的にレベルアップしなければならない。このまま神魔大戦じんまたいせんが起こってしまうと……、今度こそ本当に大世界は粉々になってしまうかも知れない。それだけは防がなければ……」

 アリアが物騒なことを言い始めた。俺が気を失っている内に何か起きたのか? それに知りたいことがある。上半身を起こし、神衣を解除する。

「おいアリア、神特異点しんとくいてんとは何だ? あの後もファーレが何かを言っていた気がするが、俺は意識を失った。奴は何を言っていたんだ?」
「私には詳しくはわかりません。ですがファーレは古参の神々ならみんな知っていると言っていました……。それならここ天界にいる神々みんなが何かしらを知っていることになります……」

 アリアがここにいる神々、ファーヌスやサーシャ、ティミス、フツマにレピオスを見る。天界に侵略して来た邪神はもういない。俺はどうやらまた厄介ごとに巻き込まれている様だし、聞かなくてはならないだろう。迷いを持ったまま剣を握る訳にはいかない。ゼニウスがいない今、長姉のファーヌスに聞くべきだろうか? そうして居並ぶ神々を視界に入れていた時だった。そのゼニウスが天界に転移で戻って来たのは。

「父上お帰りなさいませ」
「おお、留守をすまんなファーヌス。それにこの集団は……?」
「ええ、いい加減に話した方がいいかと……。それにルクス達も戻って来たようです」

 ヴンッ!!

「お? そっちは片付いたのか? サーシャ達」
「はー、やっと戻って来たのさー」
「あーキツかった! ってみんな揃ってんのかよ?」

 一気に人が増えた。取り敢えず話し合いができる場所に移りたい。ゼニウスに念話を飛ばすと、エリシオンのど真ん中に巨大なテーブルとふかふかなソファーの様な椅子が現れる。また出たよ、異次元倉庫ストレージすら開けなかったのに、また謎技術が出たよ! 気にしたら負けなのでドカッと座らせて貰う。そして、使われていない神器の天使達がテキパキと給仕をやってくれる。一瞬で目の前にご馳走とドリンクが並べられた。あー、もう意味不明過ぎて頭が痛てえわ。
 もういい、いい加減に話を聞かせて貰おう。意味不明なまま闘わされるのは気分が悪い。

「オッサン、神特異点しんとくいてんとは何だ? 俺は自分の意志で闘って来たと信じていた。でもどうやら違ったらしい。それだけはわかる。説明して貰おうか?」
「我が子カーズよ、いきなりオッサンに格下げは酷くないかのう……」
「自業自得でしょう。私もそう言ってやりたいですよ、クソジジイ」
「アリアまで……!? まあ黙っていたのは悪かった。それは素直に謝罪しよう」
「で、ジジイは若いという理由で私にまで内緒で何をさせたかったんですか?」
「最初から知っておけば対処できたことはたくさんある。知らなかったせいで後手に回った、冥星の四巨頭は少なくとも救えた。なんでオッサンは黙ってたんだよ」
「其方らに余計な負担を掛けたくなかったんじゃよ。そして若いアリアには人間の感情や在り方、柔軟性を学んで欲しかった。カーズに同行する様にしたのは余だからのう。そして5,000年の因果を乗り越えたカーズはやはり普通ではなかったしのう」
「どう普通じゃないって言うのよ? それにカーズの事情なら私達にも関わる問題よ。オジサンは私達に何を望んでいるの?」

 うーん、さすがユズリハ。言う時はズバズバ言う。

「パズズ戦でも見えたであろう。あの異常なまでの感情に何かの切っ掛けがあれば直ちに覚醒するその底の見えない力。余達神々には持ちえない力なのじゃよ。ファーレと言う勝ち目の見えない相手にも勇敢に立ち向かう、人間の未知の力に余達は賭けてみることにしたのじゃよ。次に訪れるかも知れぬ神魔大戦じんまたいせんで神々の切り札となって欲しくてな……。これまでの成長に、心の在り方を見てそう決めたのじゃ。神々の会議によってな。そこでカーズは且つてない特異点、神々の未来を担う神特異点しんとくいてんとされたのじゃよ」
「ほうほう、それに私が呼ばれなかったのはどういう要件か説明して貰おうか、クソジジイ」

 アリアのキャラが崩壊しかけている。これはかなりキレてるな。

「会議で勝手に決めて貰ったところ悪いが、俺は利用されるのが大っ嫌いなんだよ。それくらいはわかってたはずだよな? オッサン。それを俺が『はい、そうですか』と飲むと思ってるのか? 今迄の俺の行動とその理念を見れば、そんなのを軽々しく飲めるはずがないだろ? 更にそれは神々の問題だろ? ならアンタらがどうにかするべきだ。ただの人間の俺達に大世界の行く末を左右する様な重責を押し付けないでくれ。俺なんかじゃ役不足だ。ファーレ相手にすら手も足も出なかったんだからな」
「そう言えば……、ファーレは『7色』が地球にいるかも知れないという、カーズの読みは正しいと言っていました。それに関しての調査は終わったということで宜しいのですか? ゼニウス様」

 サーシャがそんなことを口にした。そいつは初耳だな。俺が気を失っている間にそんなことを口走りやがったのか、ファーレの野郎は……。

「うむ、一通りの面会は済ませて来た。幸い荒事にはならなかったが……、違和感は大きかったのう。あの場で正体を明かす訳にはいかなかったのだろう。彼方にも何かしらの理由があるように思える。『7色』全員でかかれば、余に致命傷を負わせることもできたであろうに……。派遣した古参の七人の神々の気配は何処にもなかった。恐らく消されているのであろうな。あの星の様に人口が過密な場所で闘えば人的被害は計り知れぬ。如何にして荒廃した大世界の一部か、亜空間に引き摺り出すかが問題であろうな……」

 ほう、やはり俺の考察は当たっていたのか。未だ正体を明かさないのは他の魔神と同様、何かしら力を失っているからだろう。そうでなければ天界の大将首を易々と逃がすはずがない。地球の宗教を利用して傷を癒している。恐らくそんなところだろう。そこまでして何故神魔大戦を起こそうとしているんだ?

「それとファーレは『大いなる意思』に飲まれるとも、『我々神々』とも言っていましたわ。そしてカーズのことを『我らの希望』だとも……。ファーレはひょっとして表向きには裏切った振りをして、魔神の動向を探っているのではないのでしょうか? 私も刑罰途中でしたからその会議には出席してはおりませんけども」

 ティミスも口を開く。確かにこれまでの証言から、ファーレがそういうことをやっていてもおかしくはないとは思える。でも、それが本当なら迫真の演技だ。そこまでして裏切者に見せかけなければいけなかったのか? だが……

「それが本当なら、奴が裏切ったと見せかけて魔神側の情報を得るという行為は危険過ぎる。たった一人でできることじゃない。バアルゼビュートにアーシェタボロスは真実の隠蔽の為、魔拳か何かで恐らく本気で裏切ったのだろうが、ファーレの行動には疑問が残る。冥界でアリア達を叩きのめしていながら、致死的な攻撃痕は残されていなかった。あの状態なら五人共、俺も含めて簡単に消し去れたはず。それにあの槍スキルはどう考えても手加減されていた。その気なら俺をアリアごと貫通する威力のものを放てたはずだ……。単刀直入に言うぞ、ゼニウスのオッサンはファーレと繋がっているんだろ……? そうでなければ辻褄が合わないことが多い」

 俺の一言にエリシオンの空気が凍り付く。もし本当なら、これまで俺達がやらされて来たことは二人の神々による茶番だ。良く言えばファーレと悪意を持つ二神を敢えて裏切らせて、俺達に無理矢理成長の機会を与えたと言える。ナギストリアも俺の代わりに神魔大戦に放り込もうとしたのかも知れないが、アイツはあの時負の感情に完全に支配されて暴走していたため失敗し、ファーレの戦力アップの為、邪神の神格回収に使い潰された。その後のファーレの『7色』に対する証言と、そこにゼニウスが向かって無傷で帰って来たということ。この二人がどこか念話とかで繋がっているとしか思えない。……胸糞悪い。

「ハッハッハ、さすがじゃのう。其方の洞察力は。ギリギリまで隠していたかったが、ファーレめ、余計なことを口走りおって……。いやまあ実に天晴れな洞察力に状況把握能力よな」
「父上、まさかそこまでとは俺も思っていなかったぞ……!」
「うむ、我らとてファーレらが裏切ったとしか、それに対抗すべき神特異点を育てたいとしか知らぬ!」
「ゼニウス様、これは大神としての権力の執行とは言えども明らかに度を超しています。そうまでして彼らの、人族の力が必須だとは思えません!」

 ファーヌスにフツマ、レピオスが声を荒げる。神々にも事情があるだろう。それに神魔大戦に俺達が神格者だとしても巻き込むべきではないという強い意志が感じられる。この人達は良い意味で真の神だな。

「おっと、俺もアリア同様知らされていなかった側だ。寝耳に水だが、カーズの特異点としての力は、統率力を見ても貴重な戦力だ。だが俺の弟子のエリックも含め、こいつらは神格者だが普通の人族。サーシャにとってのユズリハやティミスのアガシャもそうだろう。イヴァも魔神の呪縛から解放された今、神々の争いに巻き込ませるわけにはいかねえよ。それにオヤジ、俺にも知らせなかったのはどういう了見だ……? 場合によっちゃアンタでも容赦はしねえぞ……!」
「アンタが短気だからでしょ。脳筋のアンタが上手く立ち回れるとは思えないしね」

 まあティミスの言う通りだろう。ルクスは無駄に熱いからな。思わず口走っても不思議じゃない。痛いところを突かれて、歯ぎしりする様に黙り込むルクス。

「で、どうしてこんな回りくどいことをしてんだよ、オッサン」
「今現在『大いなる意思』が魔神側に接触しているということを、はぐれ魔神から耳にしたのでな。真偽を確かめる必要があったのだ。其奴は最早下らない争いに身を置きたくないと言うのでな、神格を浄化した後、神として自らの神域で眠りに着いておる。あれだけ全く姿を現さなかった『大いなる意思』が、今度は、いや前回の大戦以降は魔神側に現れたらしい。且つてはあれを神にのみ与えられる神託とさえ思っていたが……」
「結局は双方に争いを促して大破壊オーヴァードライヴを生み出す切っ掛けとなった存在ってことだろ? 創作なんかじゃよくある設定だ。争う陣営同士を暇潰しと遊戯の様に眺めると言った悪神の様な存在って奴だ。だがタチが悪いのはそいつが神自身を生み出した存在であり、誰もその姿を見たことがないってことだ。そして俺が気になっていることが一つある……」

 みんなが俺の方を向く。両手を口元で握って、静かに話し始める。

「神々は簡単に堕天してしまう。邪神は加護も神器も奪われて異形に変えられているから大した脅威にはならないが、数が多い上に元は神だ。でも堕天神は魔神衣ディアーボリスに魔神器まで操ることができる。先程の自首した様な魔神ならいいが、魔神は幾らでも悪の神格をばら撒いて仲間を増やせるんだろう? 神格を渡した相手が死のうが生きようが知ったこっちゃないはずだ。それに自力で神にはなれないし、なる気もない。天界の神々は幾らでも堕天できる。どう考えてもフェアじゃない。大虐殺では大量の神が邪神とされているというのに、補充が間に合っていない。天界は常に人手不足な上に闘いに長けた神々ばかりじゃない。数的不利は圧倒的だ。『神格譲渡』はエリックやユズリハみたいな余程の心の強さを持つ者にしか耐えられない。それに……、迂闊に善悪どちらにも染まり切らない人族に神格をばら撒くのはリスクが大き過ぎる。この戦力差は且つてはなかったんだろうがな。今回はどうするつもりなんだよ、オッサン?」

 しばし逡巡していたゼニウスが口を開いた。

「うむ、その通りじゃ。ぐぅの音も出んわい。ハッハッハ!!!」

 全員から溜息に呆れた声が上がる。ダメだこいつ……、今攻め込まれたら一発でアウトじゃねーか。

「だったらどうするんですか!? クソジジイ!!!」

 おーおー、アリアは完全にクソジジイで通す気だな。それにしても杜撰だ。ファーレが如何に無敵の強さを誇っていようが数の暴力の前にはどうしようもない。それに大世界中に、ニルヴァーナには大迷宮から解き放たれた魔神が少なくとも八体。こいつらは絶対に何とかしなければならない。

「ファーレが情報を持ち帰るにしても時間が掛かる。だが、対峙したときは演技と分かっていながら合わせないとならない。ウチには大根役者しかいねーぞ」
「ハハハッ! 全くだなー!」

 バシバシと俺の背中を叩いて来るが、お前のことだよエリック。

「龍の奥義で涼し気にやり過ごしてやりますよ!」

 お前も同じ臭いがするぞ、アジーン。何だその奥義は?

「まあいいさ、俺はまだ全面的に協力する気にはならない。悪を演じるにしても、大奥義書の知識を遊びで持ち出して人々の平穏を滅茶苦茶にしたアイツを、俺は簡単に容認できない。敵に見せかける演技だとしてもだ。後は、俺達を欺いた落とし前をつけて貰うぜ、オッサン」





 席を立ち、離れた場所に移動する。幸い食卓には強固な結界が張ってある。拳で容赦なくいかせて貰うからな!

「やれやれ……、余としては息子である其方と闘うのは気が引けるのだがのう。仕方ない。これを贖罪とさせて貰おうか」





「カーズ様も熱くなるのは早いんですよねー……。でも大神との手合わせは見ものです。学習させて頂きます」
「ディードは冷静で勤勉だね。ホント、あの激情的な性格は治らないんだよねえ」
「前世からのアヤ様の苦労がしのばれますね……」




「燃えろ、爆発しろ、俺の心の神格よ! 輝き溢れろ、俺の神気よ!!!」

 翼が生え、進化した神衣が全身に装着される。小技は無駄だ、涼し気に仁王立ちをしているゼニウスに渾身の一撃をぶち込むのみ!

「アストラリア流格闘術・リミット・ブレイク限界突破!」 

 ドゴオオオオオ!!!

「ああー! もうリミット・ブレイク限界突破を使いこなしてるのさー!」

 俺の身体から神気と闘気の渦が立ち昇る。そう、これはイヴァのスキルを俺なりにアレンジしたものだ。頭髪が銀色へと変化する。だが制限を解除することで男性体を上手く保てなくなるのが欠点なんだよな。ビースト・モード猛獣形態は獣人族でなければ使いこなせないらしいから諦めた。ならばこれで一撃を放つ!

 ドンッ!!!

内気破砕神掌功ないきはさいしんしょうこう!!!」

 隙だらけの胸元に掌底を撃ち込む!

 パアーン!!!

「なっ!?」

 後方に弾かれた?! 鑑定、とんでもなく分厚い神気と魔力に闘気の鎧装がいそうが体を纏っている。神衣を纏ってもいないってのに、今の俺では肉体に傷一つ付けれられない程の濃密な鎧装だ!

「気が済んだかのう? まだまだ若い者には負けんよ。では余の技をその身で味わってみるとよかろう。ゆくぞカーズ! これが大神の力よ! ゴッド・ノヴァ神星破壊撃!!!」

 ゼニウスが右掌を上に向け、グイッと上に腕ごと動かしただけだった。

 ドゴアアアアア!!!

「嘘だろ?! 大地をひっくり返すとは! うああああああ!!!」

 ドオオオオオオオオオン!!!

「やれやれ、手間がかかる息子じゃわい」

 ゼニウスの念動力サイコキネシスの様な力で地面の底から救い出された。神衣も粉々だ、エゲつなさ過ぎるだろあんなの……! 回復魔法で回復されたが、立て続けに二連敗だ。心が折れるぜ。食卓にすごすごと戻る。

「つーかさあ、そんなに強いのに俺らの力が必要だとは思えないんだけど」
「だよなあ、俺も戦慄が走ったぜ」
「私達じゃ足を引っ張るだけな気がするわね」

 エリユズは俺に賛成の様だ。

「だが、余達は神、其方ら人族の自由奔放な発想力に、あのナギストリアが見せたような心の力という点ではどうやっても及ばんのだよ。それが其方達が必要な理由。そして驚異的な成長速度。余達神々には持ちえない物ばかりなのだよ。『大いなる意思』も所詮は一種の神の様なものだと思っている。人族の意外性にはついては来れまい」

 机上の空論だ。その神にすら手も足も出ない俺達に何ができると言うんだ?

「事情はわかったよオッサン。暫く考えさせて貰う。ルクスにサーシャ、それにティミスはエリック達の修行もある。一緒に来て貰うからな。そしてフツマとレピオスには俺も剣技と魔法を習いたい。アリアは地上でアヤ達を鍛えてやってくれ。屋敷にはもう呪縛から解き放たれたナギストリアにアガーシヤ、娘のナディアもいる。イヴァ、ルティにぶちは遊んでやれ。そして彼らの気が済むまではのんびりさせてやってくれ。母さんには念話を送っておく」

 フツマとレピオスに頭を下げて、これから稽古をつけて貰うことにした。エリック達の創造武器を神器に鍛えて貰い、アリア達が去った天界で、俺はそこにいる神々、ファーヌスやゼニウスにも稽古をつけて貰うことにした。




 もう二度と負けるのはゴメンだ。





しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

処理中です...