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最終話(*R18)
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ケーキはいったん冷蔵庫に入れて、まずは夕食を食べることにした。バジルソースとトマトのパスタにサラダ、お祝いのケーキは食後のデザートに。
「自分の誕生日なんてもう何年も祝ったことないよ。すっかり忘れてた」
「ごめんね先生、俺がちゃんと聞いて祝ってあげたらよかった。誕生日なんて一年に一回しかないのに」
「別に尚夏くんは悪くない。そもそも尚夏くんの誕生日だって祝ってなかったし、何月だっけ」
「七月。別に俺はガキの頃から祝うようなことなんてしてこなかったから平気だよ。母親にケーキも作ってもらったこともない子供だった」
「もう二十歳になってたんだ。じゃあ来年こそはお祝いしよう、ケーキ作ってあげるから。二十歳すぎたのならワインも飲めるね」
「先生、お酒飲めるの?」
「はは、弱いよ」
「ああ、なんかそんな感じする。別に無理しないでいいよ」
しばらく時間をかけてゆっくりとテレビを見ながらパスタをスプーンとフォークで食べていると、思いついたように鳴海は口を開く。食事を食べる手が止まった。
「ねえ尚夏くん。まだ一人暮らし、したい?」
かつて海晴に言われて思わず口をついた言葉だった。別に尚夏だって本気で言ったわけじゃない。鳴海の気持ちを確かめたくて思わず口をついて出てしまった言葉だった。
「いいんだよ、尚夏くんがやりたいと思うならこの家を出て行くことだって。僕は寂しいけれどさ、大事なのは君の人生だから。きっと僕は君より先にいなくなる。その時ずっと僕の世話をしていたせいでそれ以外の人生経験がないと、尚夏くんの人生はからっぽなものになってしまう」
「先生……離れたいなんて、思うわけないじゃん。俺はずっと先生と一緒にいたい。ここで毎日先生と一緒にいられることが俺の幸せなんだよ。例え少しでも離れたりしたらきっと後悔する。この世が終わるその瞬間まで、俺は先生とずっとともに生きたい。先生が何よりも大事なんだ」
「尚夏くん……」
***
食事が終わって、食器は尚夏が片づけた。二人でしばらくのんびりとして、そろそろケーキをと尚夏が立ち上がった時、鳴海がその手のひらをつかむ。
「先生?」
「尚夏くん、抱いて欲しい」
***
上半身の白い肌があらわになった鳴海と、尚夏は寒くないように毛布でくるまりながら肌を合わせる。ニットを着てあんなに暖かそうな格好をしていたのに、鳴海の肌は冷たかった。その肌を温めるように尚夏はぎゅっと包みこむように彼を抱きしめた。
「先生……」
「……ん、う」
くちびるを包むようにキスをする。柔らかなくちびるを含んで、歯列をなぞりながら舌をねじ込んだ。舌と舌を合わせて、お互いにからませたらなんだか気分が高まってくる。
毛布の中で彼の胸元に触れた。痩せた骨の感触のする薄い胸元、その骨格をなぞりながら、次第に手のひらは下半身に向かう。ぴくり、と鳴海が反応した。尚夏は黙ってキスを続ける。鳴海の下半身は熱く、すでに反応をしている。それは尚夏のものも同じで、いますぐに彼の中に入ってしまいたかった。しかし彼を傷つけないように、慎重に挿れるときはゆっくりと。でも、浮かび上がる衝動を抑えきれない。
指でそこをゆっくりとほぐすと肌は吸い付くように尚夏を求めた。夢の中にいるような鳴海の表情、少しずつ指の本数を増やして、限界まで広げた後尚夏は下半身をあてがう。そしてぐいっと勃ちあがったものを挿れていく。
「あっ、ン、ンンッ!」
「痛くない? 先生」
「も、もっと、奥まで来て……」
「すぐいくよ」
根元まで挿入してしまえば、鳴海は歯を噛みしめて耐えていた。震える肌、そっとその頬を撫でる。
「う、あ……尚夏くん……きつい……」
「力抜いて、すぐ動くから、大丈夫。気持ち良くしてあげるね」
水っぽい音を立てながら尚夏は腰を振り出した。肌と肌の触れ合う音が部屋の中で静かに響く。鳴海は音に合わせるようにびくびくと震えて、動く度に声をあげる。
「あっ、ん、ああッ……は、はぁ、はっ」
「せんせ、もっと奥まで」
「ああっ! しょうかくん……っ、あ、ああ……っ」
「はっ、はぁっ、先生入ってるよ、奥まで入ってるよ」
「もっと強くして、乱暴に挿れて……ッ」
「そんなことしたら先生が壊れちゃうよ、でも、欲しいの?」
「欲しい……っ、尚夏くんのが、欲しい」
尚夏は鳴海の最奥を突くように強く腰を振った。鳴海はひときわ大きな声をあげて、その感触を味わっている。肌はさらに音を立ててぶるぶると震える身体、もう達する寸前だ。
「あン……! ひっひあ、ああ……っ、しょうか、くん、もう」
「俺ももうでる……ッ、動くよ、もっと」
「ああ、あ、もうがまんできな……ッ」
「先生、せんせ……!」
「うあッ、ああ!」
鳴海が絶頂を迎えて同時に尚夏のものからはどばっと音を立てるように熱いものが放出された。びくびくと尚夏の背中が震える。強く動いていた腰はゆっくりと力を失って、そのまま動きが小さくなる。二人はぐったりとして、そのまま抱き合って荒い呼吸をただ繰り返していた。鳴海の下半身がとろとろとした白濁液で汚れている。
「……尚夏くんの、想いが僕の中であふれてる」
「好きだって想いを込めたから。愛してるよ、先生のこと全てを愛してる」
「僕も好きだよ。尚夏くんが誰よりも大切だ、多分、自分のことよりも」
***
「ごめん、ほんと、ごめん……尚夏くん」
「別にいいよ、なんとなく駄目かなって思ってたし」
入浴して汗を洗い流し冷蔵庫にあったケーキを食べることにした。しかし結局鳴海は予想通りケーキを食べられなかった。それでも半分までは頑張って口にしたのだが、もう限界だと。小さなショートケーキとは言え大量の生クリームは無理だったようだ。
「ほら、いちごは大丈夫でしょ? 食べて見なよ、甘いから」
「うん、いただきます……」
残ったケーキは全て尚夏が食べた。いいのだ、お祝いは一応出来たから。来年は鳴海が食べられるケーキにしよう。いっそのことデコレーションされたフルーツゼリーなどなら、いけるのかもしれない。
もうすぐ時刻は十二時を過ぎる。誕生日の魔法がとけてまた新しい一年の始まりだ。今年もともに過ごせたらいいと思う。そして来年も再来年もこれからもずっと一緒に。尚夏はじっと正面から鳴海を見つめてその頬を両手で包む。先程まであんなに熱く汗ばんでいたのに、風呂上がりの肌はすっかり冷えてしまっている。
「誕生日おめでとう、先生。今年もよろしく」
「ありがとう尚夏くん。こちらこそ、よろしく……」
そしてまた新たにこれからの人生を歩んで行くのだ。その時は、いつも二人で。
(終わり)
「自分の誕生日なんてもう何年も祝ったことないよ。すっかり忘れてた」
「ごめんね先生、俺がちゃんと聞いて祝ってあげたらよかった。誕生日なんて一年に一回しかないのに」
「別に尚夏くんは悪くない。そもそも尚夏くんの誕生日だって祝ってなかったし、何月だっけ」
「七月。別に俺はガキの頃から祝うようなことなんてしてこなかったから平気だよ。母親にケーキも作ってもらったこともない子供だった」
「もう二十歳になってたんだ。じゃあ来年こそはお祝いしよう、ケーキ作ってあげるから。二十歳すぎたのならワインも飲めるね」
「先生、お酒飲めるの?」
「はは、弱いよ」
「ああ、なんかそんな感じする。別に無理しないでいいよ」
しばらく時間をかけてゆっくりとテレビを見ながらパスタをスプーンとフォークで食べていると、思いついたように鳴海は口を開く。食事を食べる手が止まった。
「ねえ尚夏くん。まだ一人暮らし、したい?」
かつて海晴に言われて思わず口をついた言葉だった。別に尚夏だって本気で言ったわけじゃない。鳴海の気持ちを確かめたくて思わず口をついて出てしまった言葉だった。
「いいんだよ、尚夏くんがやりたいと思うならこの家を出て行くことだって。僕は寂しいけれどさ、大事なのは君の人生だから。きっと僕は君より先にいなくなる。その時ずっと僕の世話をしていたせいでそれ以外の人生経験がないと、尚夏くんの人生はからっぽなものになってしまう」
「先生……離れたいなんて、思うわけないじゃん。俺はずっと先生と一緒にいたい。ここで毎日先生と一緒にいられることが俺の幸せなんだよ。例え少しでも離れたりしたらきっと後悔する。この世が終わるその瞬間まで、俺は先生とずっとともに生きたい。先生が何よりも大事なんだ」
「尚夏くん……」
***
食事が終わって、食器は尚夏が片づけた。二人でしばらくのんびりとして、そろそろケーキをと尚夏が立ち上がった時、鳴海がその手のひらをつかむ。
「先生?」
「尚夏くん、抱いて欲しい」
***
上半身の白い肌があらわになった鳴海と、尚夏は寒くないように毛布でくるまりながら肌を合わせる。ニットを着てあんなに暖かそうな格好をしていたのに、鳴海の肌は冷たかった。その肌を温めるように尚夏はぎゅっと包みこむように彼を抱きしめた。
「先生……」
「……ん、う」
くちびるを包むようにキスをする。柔らかなくちびるを含んで、歯列をなぞりながら舌をねじ込んだ。舌と舌を合わせて、お互いにからませたらなんだか気分が高まってくる。
毛布の中で彼の胸元に触れた。痩せた骨の感触のする薄い胸元、その骨格をなぞりながら、次第に手のひらは下半身に向かう。ぴくり、と鳴海が反応した。尚夏は黙ってキスを続ける。鳴海の下半身は熱く、すでに反応をしている。それは尚夏のものも同じで、いますぐに彼の中に入ってしまいたかった。しかし彼を傷つけないように、慎重に挿れるときはゆっくりと。でも、浮かび上がる衝動を抑えきれない。
指でそこをゆっくりとほぐすと肌は吸い付くように尚夏を求めた。夢の中にいるような鳴海の表情、少しずつ指の本数を増やして、限界まで広げた後尚夏は下半身をあてがう。そしてぐいっと勃ちあがったものを挿れていく。
「あっ、ン、ンンッ!」
「痛くない? 先生」
「も、もっと、奥まで来て……」
「すぐいくよ」
根元まで挿入してしまえば、鳴海は歯を噛みしめて耐えていた。震える肌、そっとその頬を撫でる。
「う、あ……尚夏くん……きつい……」
「力抜いて、すぐ動くから、大丈夫。気持ち良くしてあげるね」
水っぽい音を立てながら尚夏は腰を振り出した。肌と肌の触れ合う音が部屋の中で静かに響く。鳴海は音に合わせるようにびくびくと震えて、動く度に声をあげる。
「あっ、ん、ああッ……は、はぁ、はっ」
「せんせ、もっと奥まで」
「ああっ! しょうかくん……っ、あ、ああ……っ」
「はっ、はぁっ、先生入ってるよ、奥まで入ってるよ」
「もっと強くして、乱暴に挿れて……ッ」
「そんなことしたら先生が壊れちゃうよ、でも、欲しいの?」
「欲しい……っ、尚夏くんのが、欲しい」
尚夏は鳴海の最奥を突くように強く腰を振った。鳴海はひときわ大きな声をあげて、その感触を味わっている。肌はさらに音を立ててぶるぶると震える身体、もう達する寸前だ。
「あン……! ひっひあ、ああ……っ、しょうか、くん、もう」
「俺ももうでる……ッ、動くよ、もっと」
「ああ、あ、もうがまんできな……ッ」
「先生、せんせ……!」
「うあッ、ああ!」
鳴海が絶頂を迎えて同時に尚夏のものからはどばっと音を立てるように熱いものが放出された。びくびくと尚夏の背中が震える。強く動いていた腰はゆっくりと力を失って、そのまま動きが小さくなる。二人はぐったりとして、そのまま抱き合って荒い呼吸をただ繰り返していた。鳴海の下半身がとろとろとした白濁液で汚れている。
「……尚夏くんの、想いが僕の中であふれてる」
「好きだって想いを込めたから。愛してるよ、先生のこと全てを愛してる」
「僕も好きだよ。尚夏くんが誰よりも大切だ、多分、自分のことよりも」
***
「ごめん、ほんと、ごめん……尚夏くん」
「別にいいよ、なんとなく駄目かなって思ってたし」
入浴して汗を洗い流し冷蔵庫にあったケーキを食べることにした。しかし結局鳴海は予想通りケーキを食べられなかった。それでも半分までは頑張って口にしたのだが、もう限界だと。小さなショートケーキとは言え大量の生クリームは無理だったようだ。
「ほら、いちごは大丈夫でしょ? 食べて見なよ、甘いから」
「うん、いただきます……」
残ったケーキは全て尚夏が食べた。いいのだ、お祝いは一応出来たから。来年は鳴海が食べられるケーキにしよう。いっそのことデコレーションされたフルーツゼリーなどなら、いけるのかもしれない。
もうすぐ時刻は十二時を過ぎる。誕生日の魔法がとけてまた新しい一年の始まりだ。今年もともに過ごせたらいいと思う。そして来年も再来年もこれからもずっと一緒に。尚夏はじっと正面から鳴海を見つめてその頬を両手で包む。先程まであんなに熱く汗ばんでいたのに、風呂上がりの肌はすっかり冷えてしまっている。
「誕生日おめでとう、先生。今年もよろしく」
「ありがとう尚夏くん。こちらこそ、よろしく……」
そしてまた新たにこれからの人生を歩んで行くのだ。その時は、いつも二人で。
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