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テミスと2人、ひょんな依頼編
20.簡単な依頼
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怜央とテミスは学園での手続きを通して、クレアの依頼を引き受けた。
内容はとある紛争地帯で珍しいアイテムを鹵獲してこいとの依頼。
そのため2人はとある山の奥地、部族間の抗争が頻発する地帯へと赴き、今まさにその争いを目の当たりにしているところだった。
一方は犬人と猫人の獣人連合、他方はエルフ一族だ。
「うっわ腕が飛んで……うわ首もっ。怖っ」
怜央とテミスは茂みの中で両手に木の枝を持ち、潜みながら覗き見していた。
「楽しそうね……」
「……おい、馬鹿なことは考えるなよ」
参加したくてたまらないといった様子のテミスはうずうずしていた。
「弓槍刀の古典的武装の争いに、銃火器を持ち込んだらどうなるか、見たくないかしら? 私は見てみたいわ。――というかやりたい!」
目を輝かせるテミスにハンドサインで落ち着けと伝える怜央。
そんな時、暫く変わらなかった戦況に動きがあった。
「おい、なんか獣人側圧されてないか?」
「――そうね。何かあったのかしら」
陣形を保てなくなり、エルフに圧された連合は逃亡を図る者も出てきた。
1度崩れてしまえば立て直すのは容易でない。
エルフ側もその隙を逃さず猛追し、連合側の血で大地は染まる。
しばらく静観していたテミスもいよいよ我慢の限界が来たようで、突如大声を上げる。
「ああっ! もう我慢できないわ! ちょっと行ってくる!」
「はあ? テミスお前、いったいなにを――っていつの間にかAK持ってるし!」
怜央が再度テミスを見た時には両手の枝がAK47に変わっていた。
テミスは怜央の制止を聞かず、その場に立ち上がる。
「争いある場所に我あり! いざ行かせん神の国へと!」
「意味わからんこと言ってんじゃねえ!」
今にも突撃して戦場を掻き乱しそうなテミスを目の前にして、怜央も枝を放って必死に抑えるつけた。
「くっ、離しなさい怜央! 彼らに文明の利器を自慢しに行くだけよ!」
「お前の自慢に付き合わされるやつの気持ちを考えろ!」
ぎゃーぎゃーわめく2人に、最早隠れていた意味など無い。
服装も相まって森では逆に目立っていると言っても良いだろう。
その結果として、2人は背後から声をかけられた。
それは端的かつ鋭利に、一言だけ。
「動くな」
と。
声の主は先程戦場で見かけた者らとは違う。
兎人らしき獣人。
フェイスベールが特徴的な戦場に似つかわしくない優雅な服装。
しかしそれは、自らを闇に紛れさせる暗殺者の格好でもあった。
テミスと怜央はそれら5人に刃物を突きつけられている。
一見すると絶体絶命のようだが、2人の心中は平静を保っていた。
何故なら獣人に気づかれない手段で会話を続けていたからだ。
[あーあ、ほらね。どこかのサイコパスちゃんのせいだよこれ]
[あら、人のせいにする気? お姉さんそういうの良くないと思うわ]
2人は学園生のみに許された、パーティーメッセージという機能を使っていた。
それは指輪とスマホを介し、意思疎通を行う念話のようなハイテク技術である。
「こちらを向け。ゆっくりとだ」
獣人の指示に従い方向転換すると、2人はあることに気づいた。
彼女らが付けてた腕輪はお目当ての物だったのだ。
つまり、目の前の獣人一族が今回依頼された珍しい腕輪を造っている蓋然性があるということ。
[……作戦通りね!]
[たまたまだろ!]
言い争いから一転、偶然の賜物を自分の手柄の如く誇るテミスは怜央の方に顔を向け、ドヤ顔をしてきた。
[さあ、サクッと終わらせましょう]
テミスはそう言うと、なんの挙動も無しに彼ら5人の後頭部付近に黒い穴を発生させた。
それはテミスお得意の『武器庫』である。
その穴からは1つとして同じもののない刃物類が顔を覗かせた。
目の前の5人を消そうとしていることを察した怜央は慌てて止める。
[ストップストップ! 平和的にいこう!殺す必要はない!]
[……甘いわね。そんなこと言ってるとこっちが殺されるわよ?]
[いいから! 殺さずに済むならそっちの方がいいに決まってる!]
テミスはうんざりとも呆れともとれる表情をするが、剣を引っ込めてはくれた。
目の前の5人は2人の身体をまさぐるとAK47、ベネリM4、スマホなどを没収した。
彼女らはそれらの武器、アイテムを見るのは始めてといった様子で色々弄り始めた。
「おい貴様、これは何だ。どのような用途に使う物だ」
テミスからAKを没収した女は説明を求めた。
自分の物を無遠慮に弄られるのが気に入らなかったようで、テミスは不機嫌になり意地悪をした。
「ああ。それわね、先端の穴を覗き込みながら真ん中らへんの突起を動かすと、近くて遠い所に転移できる、素晴らしいアイテムなの。実際にやってみたらどうかしら?」
女は不思議に思うも好奇心がそうさせたのか、テミスの言われた通りにしようとした。
勿論怜央はその真意に気づく。
「あちょっと、それは――!」
止める間も無く引き金が押されてしまい、破裂音を響かせながら金属の塊が飛び出す。
本来なら彼女は死んでいた。
しかし忠告が間に合わないと踏んだ怜央が魔力統制で彼女を覆ったことにより、一命を取り留めた。
「きゃっ!」
という見た目に反して可愛い声を挙げた彼女は、銃弾による衝撃で尻もちをついた。
周りの女達もその銃声に思わず身を縮ませ耳を抑えた。
「おい! なんだ今のは!」
1人が剣を振りかざし問い詰めようとしたが、リーダーらしき女が止めた。
「今ので位置がバレたかもしれない。引き揚げるぞ」
「……! こいつらはどうしますか?」
「連れていく。持ち物について聞きたいこともあるし何より――こいつは人間の男だ」
リーダーは剣で怜央を指し示す。
周りの女が指示を理解すると、テミスと怜央に布を被せ、後ろ手に縛った。
その後しばらく引っ張られ、何処かへと連行されたのだった。
内容はとある紛争地帯で珍しいアイテムを鹵獲してこいとの依頼。
そのため2人はとある山の奥地、部族間の抗争が頻発する地帯へと赴き、今まさにその争いを目の当たりにしているところだった。
一方は犬人と猫人の獣人連合、他方はエルフ一族だ。
「うっわ腕が飛んで……うわ首もっ。怖っ」
怜央とテミスは茂みの中で両手に木の枝を持ち、潜みながら覗き見していた。
「楽しそうね……」
「……おい、馬鹿なことは考えるなよ」
参加したくてたまらないといった様子のテミスはうずうずしていた。
「弓槍刀の古典的武装の争いに、銃火器を持ち込んだらどうなるか、見たくないかしら? 私は見てみたいわ。――というかやりたい!」
目を輝かせるテミスにハンドサインで落ち着けと伝える怜央。
そんな時、暫く変わらなかった戦況に動きがあった。
「おい、なんか獣人側圧されてないか?」
「――そうね。何かあったのかしら」
陣形を保てなくなり、エルフに圧された連合は逃亡を図る者も出てきた。
1度崩れてしまえば立て直すのは容易でない。
エルフ側もその隙を逃さず猛追し、連合側の血で大地は染まる。
しばらく静観していたテミスもいよいよ我慢の限界が来たようで、突如大声を上げる。
「ああっ! もう我慢できないわ! ちょっと行ってくる!」
「はあ? テミスお前、いったいなにを――っていつの間にかAK持ってるし!」
怜央が再度テミスを見た時には両手の枝がAK47に変わっていた。
テミスは怜央の制止を聞かず、その場に立ち上がる。
「争いある場所に我あり! いざ行かせん神の国へと!」
「意味わからんこと言ってんじゃねえ!」
今にも突撃して戦場を掻き乱しそうなテミスを目の前にして、怜央も枝を放って必死に抑えるつけた。
「くっ、離しなさい怜央! 彼らに文明の利器を自慢しに行くだけよ!」
「お前の自慢に付き合わされるやつの気持ちを考えろ!」
ぎゃーぎゃーわめく2人に、最早隠れていた意味など無い。
服装も相まって森では逆に目立っていると言っても良いだろう。
その結果として、2人は背後から声をかけられた。
それは端的かつ鋭利に、一言だけ。
「動くな」
と。
声の主は先程戦場で見かけた者らとは違う。
兎人らしき獣人。
フェイスベールが特徴的な戦場に似つかわしくない優雅な服装。
しかしそれは、自らを闇に紛れさせる暗殺者の格好でもあった。
テミスと怜央はそれら5人に刃物を突きつけられている。
一見すると絶体絶命のようだが、2人の心中は平静を保っていた。
何故なら獣人に気づかれない手段で会話を続けていたからだ。
[あーあ、ほらね。どこかのサイコパスちゃんのせいだよこれ]
[あら、人のせいにする気? お姉さんそういうの良くないと思うわ]
2人は学園生のみに許された、パーティーメッセージという機能を使っていた。
それは指輪とスマホを介し、意思疎通を行う念話のようなハイテク技術である。
「こちらを向け。ゆっくりとだ」
獣人の指示に従い方向転換すると、2人はあることに気づいた。
彼女らが付けてた腕輪はお目当ての物だったのだ。
つまり、目の前の獣人一族が今回依頼された珍しい腕輪を造っている蓋然性があるということ。
[……作戦通りね!]
[たまたまだろ!]
言い争いから一転、偶然の賜物を自分の手柄の如く誇るテミスは怜央の方に顔を向け、ドヤ顔をしてきた。
[さあ、サクッと終わらせましょう]
テミスはそう言うと、なんの挙動も無しに彼ら5人の後頭部付近に黒い穴を発生させた。
それはテミスお得意の『武器庫』である。
その穴からは1つとして同じもののない刃物類が顔を覗かせた。
目の前の5人を消そうとしていることを察した怜央は慌てて止める。
[ストップストップ! 平和的にいこう!殺す必要はない!]
[……甘いわね。そんなこと言ってるとこっちが殺されるわよ?]
[いいから! 殺さずに済むならそっちの方がいいに決まってる!]
テミスはうんざりとも呆れともとれる表情をするが、剣を引っ込めてはくれた。
目の前の5人は2人の身体をまさぐるとAK47、ベネリM4、スマホなどを没収した。
彼女らはそれらの武器、アイテムを見るのは始めてといった様子で色々弄り始めた。
「おい貴様、これは何だ。どのような用途に使う物だ」
テミスからAKを没収した女は説明を求めた。
自分の物を無遠慮に弄られるのが気に入らなかったようで、テミスは不機嫌になり意地悪をした。
「ああ。それわね、先端の穴を覗き込みながら真ん中らへんの突起を動かすと、近くて遠い所に転移できる、素晴らしいアイテムなの。実際にやってみたらどうかしら?」
女は不思議に思うも好奇心がそうさせたのか、テミスの言われた通りにしようとした。
勿論怜央はその真意に気づく。
「あちょっと、それは――!」
止める間も無く引き金が押されてしまい、破裂音を響かせながら金属の塊が飛び出す。
本来なら彼女は死んでいた。
しかし忠告が間に合わないと踏んだ怜央が魔力統制で彼女を覆ったことにより、一命を取り留めた。
「きゃっ!」
という見た目に反して可愛い声を挙げた彼女は、銃弾による衝撃で尻もちをついた。
周りの女達もその銃声に思わず身を縮ませ耳を抑えた。
「おい! なんだ今のは!」
1人が剣を振りかざし問い詰めようとしたが、リーダーらしき女が止めた。
「今ので位置がバレたかもしれない。引き揚げるぞ」
「……! こいつらはどうしますか?」
「連れていく。持ち物について聞きたいこともあるし何より――こいつは人間の男だ」
リーダーは剣で怜央を指し示す。
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