俺は猫であり父である

佐倉さつき

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第4章 娘は大人の階段を上り中?

新しい日常

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「いってきまーす」
「燃えるゴミ、よろしくね。」
「はーい。」

中学一年生になった明莉が元気に家を出ていく。
中学校では、バスケットボール部に入部し、朝練習のために家を早く出ていく。
放課後も部活があるため、帰ってくるのは夕方だ。
妻も、明莉が中学生になってから遅くまで仕事をする日が増えた。
そのため家に帰ってくるのは明莉の方が早い。
明莉は、小学校三年生までは学童保育に通っていたが、四年生からは放課後は家にまっすぐ帰宅し、鍵を開けて入るという生活をしていたので、家で妻を待つことには慣れているのだが。
二人とも帰宅時間が遅くなっているため、俺は家で一人でいる時間が長くなり寂しい。

朝も時々、妻は早く出勤することがある。
今春から責任のある立場や仕事を任されるようになったらしい。
明莉の中学入学に際しては、制服や学用品、部活で使うバスケットシューズなど、大きな出費が続いた。
高校や大学への進学を考えると、今後も大きな出費が続くだろう。
明莉が学費で困ったり、夢を諦めたりすることのないように、妻は懸命に頑張っているようだ。
オーバーワークで疲れ果てて、ダイニングチェアーやソファーで寝てしまう妻の姿を見るたびに俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

明莉も頑張っている妻の姿を見ているからか、ゴミ出しや食器の片付けなど、家事を手伝うことが多くなってきた。
妻の帰りが遅いので、冷凍食品やレトルト食品を活用しながらではあるが、夕食も作るようになった。
そして明莉も慣れない新生活に疲れているのだろう、ソファーで寝てしまうこともある。



「ニャー。(明莉、起きて。)」
「ニャー。(お風呂に入りなよ。)」
自分で用意した夕食を食べ、ソファーに座ってテレビを見ているうちに眠ってしまった明莉。
俺は、疲れているのだろうと三十分くらい寝かせたままにしていた。
そろそろいいだろうと思い、明莉の枕元で声をかけて(鳴いて)いる。
「もう、うるさいなあ・・・何?」
明莉が渋々目を開ける。
「ニャー。(ごめん、疲れているのはわかるけど、そろそろ起きた方がいいよ。)」
俺がもう一度鳴くと、明莉がゆっくりと体を起こした。

ガチャ。
「ただいまー。」
その時、玄関から妻の声がした。
「おかえり。」
「ニャー。(おかえり。)」
「フフ、あいかわらず仲良しね。」
リビングに入ってきた妻は疲れた顔をしていたが、俺と明莉がソファーに並んで座っている様子をみて笑顔になった。
「ご飯、できてるよ。私は、お風呂に入るね。」
「遅くなってごめんね。いつも、ありがとう。」

今春からは、この光景が日常となってきた。
俺にできることは、明莉に声をかけることだけだ。
切なさと申し訳なさでいっぱいだけど、二人を心から応援し、見守っていきたいと思う。
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