俺は猫であり父である

佐倉さつき

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第4章 娘は大人の階段を上り中?

初めての定期テスト

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ここ数日、明莉の帰りが早い。
明莉が通っている中学校では、定期テストの一週間前から定期テストが終わるまでの間は、部活動は休みになるらしい。
初めての定期テストである中間テストが目前に迫っている。
・・・が、明莉はソファーに寝転がって漫画を読んでいる。

「あっ、もう暗くなっちゃった・・・。」
部屋が暗くなり漫画が読みにくくなったところで、ようやく起き上がった。
「そろそろご飯、作らなきゃ。」
慌ててキッチンへ向かう。
夕食を作り食べ終わった後は、再びソファーに逆戻り。
漫画を読みながらテレビを見ている。
・・・いつになったら勉強をするのだろう?

ガチャ。
「ただいま。」
妻が帰ってきた。
「ご飯、できてるよ。」
「テスト期間なのに、ごめんね。いつも、ありがとう。」
・・・いやいや、テスト期間なのに、全然勉強してないから。



「明莉、今は休憩中?」
「うん。」
明莉は普通に返事をして、漫画とテレビを見ている。
・・・いやいや、帰ってきて休憩ばっかりだから。
明莉が休憩の他にしたことといえば、夕食を作って食べたことだけだ。

「休憩したくなる気持ちもわかるけど、勉強も頑張ってね。」
「えー、部活が休みの時しか、ゆっくり漫画を読んだり、テレビを見たりできないじゃん。」
・・・漫画を読んだり、テレビを見たりするための休みじゃないから。
「あのね明莉、今勉強しないと大変なことになるわよ。」
呆れた顔で、妻が言う。
「テストが終わったら、また毎日部活があるの。ゆっくりできるのは、今しかないの!」
「漫画だったら、休みの日も読んでるじゃない。」
「休みの日も部活があるの!それにテレビは今しか見れないの!」
「テレビは録画すればいいでしょう。」
「もう、いい!」
明莉がキレて、リビングを出ていった。

残された妻は、ダイニングチェアーに座り込んだまま、ため息をついている。
「ニャー。(大丈夫?)」
「あら、オト、なぐさめてくれるの?やさしいのね。」
「ニャー。(何もできなくて、ごめんね。)」
きっと妻は、どうやったら明莉に伝わるのか、伝え方に悩んでいることだろう。
どう考えても、明莉が悪いように思うのだが・・・
明莉には、明莉の言い分があるのだろうか。



「ニャー。」
俺は階段を上り、明莉の部屋の前で声をかけた。
「・・・ん、オト?」
ドアが開いたので、俺は部屋の中に入った。
ドアを閉めた明莉は、ベッドに寝転び、漫画を読んでいる。
・・・何も反省していない‼
俺はベッドにとびのり、明莉が読んでいる漫画の上に寝そべった。
「もう、なんでオトまで邪魔するのよ‼」
・・・だって、勉強してほしいから。

「もう邪魔‼」
俺は明莉に抱えられ、部屋の外に追い出されてしまった。
「ニャー。(勉強しろよ。)」
「あー、もう、うるさい。」
明莉の部屋のドアが開くことはなかった。

妻や俺の気持ちが伝わりますように・・・。
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