プロミネンス【旅立ちの章】

笹原うずら

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しがないアマガエルの僕

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「あー、やっと本隊に帰ってこれた。妙にアツいやつが来てくれて助かったぜ。あ、ゲッコウ隊長」
「ん? ああ、アマガか? なんの用だよ?」
「違いますよ。僕は弟のアマゲです。ちなみにアマガとウガイ隊長は敵に捕まっちゃいました。もうほんと大変だったんですから。カニバル軍に厄介なやつが入ったかもしれないっすよ」

 おどけた様子で淡々と答える、先刻のアマガエルの左側、アマゲ。そして、そんな彼と今話しているのは、レプタリア軍最強と言われる、ヤモリの獣人、ゲッコウだ。

「おい、ほんとかよ! アマグ! そいつがウガイとアマガを倒したのか? どんなやつだったんだ?」
「そうそう雨には傘がつきものって、やかましいなぁ。今アマガのことは言えてましたよね? なんの獣人かわからなかったけど中々の実力を持った剣士でした。あれは、ゲッコウ隊長も苦戦するかもなぁ」

 ゲッコウ隊長とのくだらないやり取りの中で、アマゲは、とある違和感を覚える。あれ、なんかもう一個ぐらい報告しなきゃいけないことがあったような。

「は、馬鹿言うなよアマゴ。このレプタリア軍最強の俺様がそんな正体もよくわからん男に負けるわけないだろう。この俺様と渡り合えるやつなんて、カニバル軍にはシェドぐらいのもんだ」
「いや、ヤマメによく似た魚にアマゴっているけども。わざとですよね? えっと、あと、なんか隊長に言わなきゃいけないことあったんだけどなぁ」

 必死でグレイトレイクでの会話を思い出すアマゲ。ふと、彼の目に、爬虫類であるゲッコウの鱗が飛び込んでくる。そして彼は、自分の言いたいことがなんだったのか思い出す。

「あそうだ、思い出した! もう一つ隊長にいわなきゃいけないことがあったんですよ!」
「そのニュース以外にもまだ言うことあんのかよ? アマギ。次は一体なんだ?」

「いや、とある演歌歌手に超えられちゃいますよ。はいもう俺の反応楽しんでますね。真面目にやったら絶対ガ行コンプリートしないですもん。えっと、最近、この部隊入ることを志願して、結局辞めていった蛇の獣人いましたよね、そいつの話なんですけど」
「あ? いた気がするし、お前の話は聞くんだけどな。それよりもさ、アマゲ。俺お前に言いたいことあるんだけど」

「あ、このくだりも飽きたみたいっすね。なんすか?」
「なんかお前だけ、違う世界からやってきてね?」
「そんなことしがないアマガエルの僕に聞かないでください」


 こうしてレプタリアもカニバルも、来たる戦いに向けての準備を始める。そしてサンもまた、この数日の間に何度もカニバル軍の訓練に参加し、軍の仲間と交流を深めていった。そして、カニバル軍の南の峠奪還作戦は決行された。
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