The.RESEARCH ~呪縛~

稲葉 兎衣

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【零】

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平凡な時を生きている。

何かを背負っているかのように身体が重いが、安心で安全で何も起こらない。

これが、平和というものか…。
目に映るもの全てがスローモーションに流れているかのようだ。

陽が地球を照らしている時は目視できる霊も少ない。

即ち気を遣う必要性も少ない。

ずっと太陽が登っていたらもっと穏便に生きていられるのに…。

【ソウタ】は自宅のベランダに黄昏れ、外の景色を眺めていた。


インターフォンが鳴った。


父は海外出張中、
母は介護施設で勤務中の為、

弟の【カオル】が、玄関に行き客を向かいに出た。

「ぁ、久しぶり…カオルくん。」
「…ユメコ先輩。」
ユメコはあの日の事件以来、まるであの時に霊に取り憑かれたのでは?と疑いたくなるほど人が変わりお淑やかな性格へと急変した。

「珍しいね。どうしたの?」
ユメコの存在に気づいたソウタが玄関へやって来て、家の中へと迎え入れる。白いワンピースを着たヒールを脱ぐ時もきちんとしゃがみ揃えて置いた。

カオルは、ユメコから何か邪悪な気を感じるのが急に頭痛に襲われる。ソウタは、カオルの体調に気遣うようにリビングの椅子を引いて弟を座らせると青い硝子コップに水を入れて渡した。

「ありがとう…お兄ちゃん。」
兄は優しく微笑むと、ユメコに問いかける。

「何を持ってきたの?」
ユメコは、ブランド物のカバンの中からあの悲劇が起きたあの学舎がまだ中学校として利用されていた頃の古びた写真を二人に見せた。

二人はその写真を見ると息が詰まりそうになる。それほど邪気と悲しみに包まれていた。

「これ、音楽室の中の倉庫にあったファイルに挟まれてたの。ソウタくんなら何か分かるんじゃないかって、。」
ソウタは目を逸らした。(もう関わりたくない)と言うのが本音でもあった。だが、それよりも弟のカオルを巻き込む事になる事を避けたかった。

「俺は、確かに強い霊感がある。
だけど霊を認識したり霊と意志を疎通したり
する事が得意で、物に込められた遺恨を読み取る事とかは難しいかな。」
ソウタは、真実を並べてユメコの申し出を断って見せたのだが、

「お兄ちゃん、、僕ならできるよ。」
弟のカオルが自ら名乗りユメコがテーブルに出した写真に触れようとした。咄嗟に兄は弟の手を止めて目を合わせる。

「やめろ、カオル。また辛い思いをするだけだ。分かるよね。」
「…でも、すごい悲しい遺恨が感じられる。見て見ぬふりをしたら遺恨残した霊も報われないし、犠牲者が出ちゃうかもしれない。」
カオルのその言葉を聞いたソウタは、弟の手を離した。すると、弟はユメコの出した写真に触れると頭の中に当時のビジョンが流れ込んでくるのか甚いな表情をし少々の汗を前額ひたいから流した。

「なに……これ、。」
そして、涙を零した。

「何が見えてるの?」
「ユメコ、まだ。」
直ぐにでも気になって仕方がないユメコを兄が邪魔にならないように止める。


【……見えたよ。全部。】
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感想 1

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