ギャルっ娘パラダイス♪ 〜女子高教師から勇者に転生したオレに美人で極上ボディのギャルたちを連れてハーレム旅をしろだと? よろこんで!〜

雪月風花

文字の大きさ
50 / 80

第50話 城塞都市オーバル

しおりを挟む
 遥か千年の昔。

 魔王を退治した勇者カノージンは、アストラーゼ中央大陸において、古代カリクトゥス王国をおこした。

 魔王討伐に同行した三人の聖女との間にそれぞれ一人ずつ娘をもうけたカノージンは、やがて三人の娘たちが成長すると、それぞれ大カリクトゥス王国内の三つの地方――カルナックス・オーバル・ネクスフェリアにつかわし、そこを治める領主の妻とした。

 なにせ千年も前の話ゆえ、当時散在した国々の多くがすでに滅びてしまっているのだが、娘たちの嫁いだ三国は、三聖女が各々おのおのの娘にほどこした強力な護りのせいか、今なお残っている。
 
 娘たちはとつぐとき、勇者カノージンより次代の勇者へと託された宝箱を持っていったというが、それは誰にも――当の娘たちにさえ開けることができず、今なお各々の王国の奥深く眠っているという――。

 ◇◆◇◆◇ 

 オーバル王国の城下町オーバルシアに着いたオレたちが商人や一般人たちに混じって城門を潜ると、そこに白い鎧を着た十人ほどの騎士たちが待ち構えていた。
 なぜだか全員抜き身の剣を片手に臨戦態勢を取っている。
 
 道を行き交う人々が、剣呑けんのんな雰囲気を感じて、そそくさとその場を通りすぎていく。
 いやーな予感を抱えつつも知らんぷりして通りすぎようとしたオレに、案の定、鋭い声が飛んだ。

「そこの冒険者、停まれ!!」

 真っ赤なマントをつけたリーダーとおぼしき騎士が、明確にオレに向かって声をかけた。
 やっぱりだ。

 実は跳ね橋を渡るところから視線を感じていた。
 怪しい旅行者に片っぱしから声をかけるというより、そのものズバリ、勇者・藤ヶ谷徹平ふじがやてっぺいに狙いを定めている雰囲気がしたのだ。

 だが、この国に戦いを挑みにきたわけでもないオレが、なぜ正規兵に敵意を向けられなければならない? 勇者の存在を邪魔だと思う一派でもいるのか?

 三人娘が不安気な表情で、オレの後ろにパルフェを寄せてくる。
 念のため尋ねてみる。

「オレが何者か分かった上で声をかけたんだろうな」
「もちろん知っている。貴様は魔族だ。しかも魔王直下の七霊帝の一人だろう? 人間に化けたところで無駄だ!」
「ま、魔族だぁ!? おいおい……」

 よりにもよって魔族と間違えられているだと? 確かに髪は魔族と同じ黒だが、この世界の人はオーラを見れば異世界人特有の揺らぎを明確に感じられるんだろう? それなのになぜ魔族なんぞと間違える?

 オレはそこで妙な違和感を覚えた。
 何だ? 何かが変だ。でもどこが?
 騎士たちの様子を細部までじっくり観察してみて、やっと気がついた。
 瞳の色だ。コイツら一人残らず魔族同様、目が赤い。まさか、操られているのか?
 ユリーシャもそれに気づいたようで、オレのすぐ後ろで息を飲む音がする。

「センセ、ちょっとだけ時間を稼いで」

 オレの後ろでひと言つぶやいたユリーシャは、錫杖しゃくじょうを握るとすぐさま呪文詠唱に入った。
 だが、騎士はこちらの動きを見逃さなかった。
 
「奴の仲間が魔法を使うぞ! 取り押さえろ! 皆、一斉にかかれぇぇぇ!!」

 号令と共に、兵士たちがオレたちに向かって駆けてくる。

「突っ込むぞ! フィオナ、フォローを頼む。リーサはユリーシャを守れ! 三人とも決して敵を殺すなよ!!」
「護衛しつつの戦闘で、しかも不殺? 難しいことを言ってくれるね、旦那さま」

 リーサが苦笑をしつつ剣を抜く。
 どちらにしても敵の狙いはオレだ。オレ以外、敵は目もくれないだろうよ。
 オレもずんだから飛び降りると、指揮官に向かって走った。

「しゃらくさい!!」
「でりゃあ!!」

 ガキィィィィン! カキャァァァァアアン!!

 激しい剣戟けんげきの音が鳴り響く。
 人々が我先にと逃げ出す中、オレと騎士たちとの間で戦闘が開始された。

 だが、この騎士たちは戦闘に際して騎士道精神などこれっぽっちも考えていないようで、連携しつつ左右からも襲いかかってきた。
 対応すべく、即座にブーストモードに入る。

「おいおい、正々堂々って言葉を知らないのか!? 三対一とか、勝ったもの勝ちかよ!!」

 真っ直ぐで剛直な太刀筋が、四方八方からオレを襲う。
 一国の正規兵用として採用される剣術だけあって、所作しょさに無駄がなく、確実にオレの命をりにきている。 
 オレの自己流剣術と違う。

 そんなのを相手にするってのに、オレは敵を殺すことができない。なぜならコイツらは何者かに操られているから。あっはっは! ……クソっ。なんてが悪いんだ!!

 バシュっ!! ドカァァァァンン!!

 オレの背後に回り込もうとした騎士が、フィオナの火焔弾で派手に吹っ飛んだ。

「助かったぜ、フィオナ!」

 フィオナがオレに向かって可愛くウィンクする。
 うーん、その笑顔、破壊力抜群!

 こうしてオレは、入れ代わり立ち代わり代わる代わる襲いかかってくる正規兵と剣を交えた。
 いやいや、剣術の腕だけで言うなら騎士団の方が圧倒的に上だ。
 今までの戦闘経験と、ブーストモードによる攻撃・防御・速力の大幅強化で何とかしのいでいるが、それがなければ一合目で首をねられている。

 とはいえこのまま戦っていたってらちが明かねぇ。どうにかしてこの場から逃げる算段を考えないと!!

 ドドッドドドドドドドド!!!!!!!

 そのとき、城の方から馬に乗った更なる軍勢が押し寄せてきた。
 その数、ざっと五十騎。

「旦那さま! 援軍がきたよ!!」
 
 リーサが慌てて叫ぶ。
 援軍? どっちの??

「勇者どの! ご無事か!!」 
「オレたちへの援軍!? マジか!!」

 新たな騎士たちが馬を飛び降りると、剣を抜きながら戦闘現場に乱入してきた。
 これまた真っ赤なマントを羽織った老齢の騎士が、オレたちを襲った騎士たちに斬りかかる。
 いやいや、駄目だろう!?

「ちょぉぉぉぉぉぉ!! 待て待て! この人たちは操られているだけだ! だいたいあんたら、元々は味方だろうが! 同僚だろうが! 絶対に殺しちゃ駄目だ!!」
「し、しかし剣を持つ相手に殺すなと言われても!!」

 ガキャアァァァアン!! カキャァァアン!!

 オレはブーストモードで間に入りつつ双方の剣を止めて回った。
 とはいえ止めきれるものでもないので、リーダーを始め、両軍とも多少の切り傷が発生している。
 多少傷を負ってでも、死人さえ出なければ!

 その時だ。
 トランスが解けたユリーシャが金色の錫杖しゃくじょうを高く掲げると、勢いよく石突いしづきを地面に突き立てた。

 シャリーーン!!

悪夢からの目覚めエクスペリギシミニア ビズィオノクターナ!!」

 途端に、ユリーシャの錫杖の天辺てっぺんに飾られた日輪から、まばゆい光が放たれた。
 魔法の素養のないオレにも感じ取れるほどの暖かな波動が一斉に広がる。
 途端に騎士たちが、前後不覚におちいってその場で昏倒こんとうする。

「術が解けたぞ! もう大丈夫だ。解放してやってくれ!」
「分かりました、勇者どの。おいお前たち! 戦闘は中止だ! 剣を引け!!」

 老隊長の命令を受けた援軍の騎士たちが、先の騎士たちの鎧を脱がせ、次々とその場に横たえさせる。

「よくやったな、ユリーシャ。……と言いたいが、おい、目覚めてねぇぞ?」
「大丈夫、術は解けているよ。身体に行き渡った魔素を無理矢理散らしたから、神経まで痺れちゃってて動けないだけ。そのうち動けるようになるよ」
「そんなもんか……。何はともあれありがとう、ユリーシャ。フィオナもリーサも良くやってくれた。ご苦労さま!」
 
 オレに褒められて、三人娘がそろって嬉しそうな顔をする。
 そこへ、援軍の騎士団を率いていた老騎士が近寄ってきた。
 彼もこの混戦で腕に軽い切り傷を負ったらしく、二の腕に巻いた包帯が血で赤くにじんでいる。

「勇者どの、ありがとうございます。お陰で怪我こそ負ったものの、一人も死人を出さずに済みました。さすがですな。何はともあれ、城へいらしてくだされ。そこで陛下がお待ちです」
「なぁ。……操られているのはソイツらだけかい?」
「それも含めて、陛下からお話があるでしょう。さ、急ぎましょう」

 オレたちは再びパルフェにまたがると、今度は騎士団にエスコートされつつオーバル城へと入城することとなったのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...