YouTuber犬『みたらし』の日常

雪月風花

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第358話 初心者なりに……

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 オレの名前は『みたらし』。
 三歳の柴犬だ。

 ――あ、いたいた! おじさん、ちょっと見て貰えませんか?

 オレとパパさんが庭で遊んでいると、向かいのお兄ちゃんが慌てて走って来た。
 お兄ちゃんは、その手にスマホを持っている。 
 何やら操作すると、スマホから動画が流れ出した。

 動画はただ街並みを撮っているだけだ。
 歩きながら景色を撮っているようで、たまにナレーション的にお兄ちゃんの声が入る。
 オレも横で見ていたが、何が面白いのかさっぱり分からない。

 ――まだ二本くらいしか撮ってないんですけど、誰も再生してくれないんです。何がいけないんでしょうか。
 ――え? んー、と言われても、キミが何を撮りたいかにもよるし……。見た感じ、この近所だよね? この動画。街の紹介をしたいの?
 ――まぁそんなところです。
 ――こんな田舎で撮るのならもうちょっと情報量が多い場所がいいかな。田舎道だけだと退屈になっちゃう。
 ――なるほど。

 お兄ちゃんが真面目な顔してメモを撮っている。
 
 ――とりあえず、これがボクの番組です。登録お願いします!
 ――あぁ、分かった。頑張ってね。

 頑張れ、お向かいさん家のお兄ちゃん。
 先はまだまだ長いぞ。
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