4 / 7
どうしてそこまで
しおりを挟む騒動が収まったとはいえ、あのまま会場に私たちが居続けるのは他の夜会の参加者からすれば邪魔になると判断し、私とキレス様は控室の方へ移動することにしました。
「先ほどは助かりました。あのような対応をせずすぐに逃げてしまえばよかったのですが、そうしてもまだ追ってきそうな雰囲気でしたので」
会場を後にし、側仕えに急遽用意させた控室についたところで、キレス様に感謝を述べる。
今回の騒動のどのくらいがキレス様の仕込みだったのかはわかりませんが、助けられたことに変わりはありません。
それに今言ったように別の場所でコーリーに関係の修復を迫られていた可能性も十分ありますし、今回の件で彼に対して強くくぎを刺せたのは良い手でした。
「僕は君の婚約者として当然のことをしただけだ。それに君を他の者に取られるような状況にするつもりはないし、君に手を出すことがどれほどのことなのかを知らしめないといけないだろう」
「そこまでする必要は無いと思うのですが」
私の言葉を聞いてキレス様は私の体を抱き寄せてきました。
距離が近づいたことでキレス様の顔がよりはっきり見えるようになり、キレス様が使っている香水の香りがふわりと感じられ、私の心臓の鼓動が早くなったように感じました。
キレス様はとても見目麗しい方なのです。学院内でもその容姿にひかれて好意を持っている方も多くいると聞いています。その上勉学も武術も優れている素晴らしい方なのです。
侯爵家の子息という部分を除いても非常に素晴らしい方なのですが、そのような方がどうして私の婚約者になったのか、今でも本当に理解できていないのですよね。
「君が学園を卒業するまでは婚約しか出来ない。しかし、1年早く私は学園を卒業しなければならなんだ。私が近くに入れない間、君に余計な虫がつかないよう、あれくらいはさせてくれ」
そう言えばキレス様は最高学年なので今年度で学園を卒業することになっていましたね。そして私の卒業は来年度。1年程差があるのですよね。それでキレス様はその間、他の方が私に手を出させないようにと、あのようなことをしたということですか。
「わかりました。ですが、どうしてそこまで……」
「最初に言っただろう。君を手放したくないからだ。私は君に一目ぼれした。その時に絶対に君を手に入れたいと思ったんだ」
婚約者として初めて会った際にそう言われましたけれど、絶対にそれだけではない気がします。さすがに一目ぼれだけでここまで行動を起こせるとは思えません。
今回の件も普通の貴族であればあのような場では何もせず、後から抗議などをするものなのです。
だから、他にも理由があると思うのですが、私がキレス様と関わりだしたのは本当に最近からなのです。そのためキレス様の人となりは表面上のものしか知っていません。
もう少しキレス様のことを知らなくては、そう心に誓ったところでキレス様が私の体を抱きしめてきました。
「君はまだ私の事を疑っているのかもしれない」
「いえ、疑っている訳では」
私に対するキレス様の行動や好意は演技ではないと思っています。ですが、そこまで想ってもらえるだけの理由がわからなくて、今は嬉しさよりも困惑が勝ってしまうのです。
「いきなりこんなことを言われて、すぐに信用するような人は少ないから仕方がない。だけど、私が君の事を愛していることは本当だ。それだけは信用して欲しい。
ノエル、私は君のことが好きだ」
「っ!?」
最後の言葉だけ耳元で囁かれ、心臓が跳ね、身体が色を持ってゾワリと震えました。
こういったことをいきなりされると驚くのでやめて欲しいところですね。
キレス様が私の事を好いてくださっていることは十分にわかりますので、キレス様の気持ちをしっかりと受け止められるようにしなければなりませんね。
427
あなたにおすすめの小説
(完結)元お義姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれど・・・・・・(5話完結)
青空一夏
恋愛
私(エメリーン・リトラー侯爵令嬢)は義理のお姉様、マルガレータ様が大好きだった。彼女は4歳年上でお兄様とは同じ歳。二人はとても仲のいい夫婦だった。
けれどお兄様が病気であっけなく他界し、結婚期間わずか半年で子供もいなかったマルガレータ様は、実家ノット公爵家に戻られる。
マルガレータ様は実家に帰られる際、
「エメリーン、あなたを本当の妹のように思っているわ。この思いはずっと変わらない。あなたの幸せをずっと願っていましょう」と、おっしゃった。
信頼していたし、とても可愛がってくれた。私はマルガレータが本当に大好きだったの!!
でも、それは見事に裏切られて・・・・・・
ヒロインは、マルガレータ。シリアス。ざまぁはないかも。バッドエンド。バッドエンドはもやっとくる結末です。異世界ヨーロッパ風。現代的表現。ゆるふわ設定ご都合主義。時代考証ほとんどありません。
エメリーンの回も書いてダブルヒロインのはずでしたが、別作品として書いていきます。申し訳ありません。
元お姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれどーエメリーン編に続きます。
(完)イケメン侯爵嫡男様は、妹と間違えて私に告白したらしいー婚約解消ですか?嬉しいです!
青空一夏
恋愛
私は学園でも女生徒に憧れられているアール・シュトン候爵嫡男様に告白されました。
図書館でいきなり『愛している』と言われた私ですが、妹と勘違いされたようです?
全5話。ゆるふわ。
殿下から「華のない女」と婚約破棄されましたが、王国の食糧庫を支えていたのは、実は私です
水上
恋愛
【全11話完結】
見た目重視の王太子に婚約破棄された公爵令嬢ルシア。
だが彼女は、高度な保存食技術で王国の兵站を支える人物だった。
そんな彼女を拾ったのは、強面の辺境伯グレン。
「俺は装飾品より、屋台骨を愛する」と実力を認められたルシアは、泥臭い川魚を売れる商品に変え、害獣を絶品ソーセージへと変えていく!
一方、ルシアを失った王宮は食糧難と火災で破滅の道へ……。
婚約破棄ですか?構いませんわ。ですがその契約、すべて我が家のものです
ふわふわ
恋愛
王太子ユリウスは、王立学園の卒業舞踏会で突然宣言した。
「カリスタ・ヴァレリオンとの婚約を破棄する!」
隣には涙を流す義妹ルミレア。
彼女は「姉に虐げられてきた可哀想な令嬢」を演じ、王太子はそれを信じてしまう。
だが――王太子は知らなかった。
ヴァレリオン公爵家が
王国銀行の資金、港湾会社の株式、商人組合の信用保証――
王国経済の中枢を支える契約のほとんどを握っていたことを。
婚約破棄と同時に、カリスタは静かに言った。
「では契約を終了いたします」
その瞬間、王国の歯車は止まり始める。
港は停止。
銀行は資金不足。
商人は取引停止。
そしてついに――
王宮大広間で王太子の公開断罪が始まる。
「私は悪くない!」
「騙されたんだ!」
見苦しく喚き暴れる王太子は、衛兵に取り押さえられ、床を引きずられるようにして連行されていく。
王太子、義妹、義父母。
すべてが破滅したとき、カリスタはただ静かに告げる。
「契約は終わりました」
(完)お姉様、婚約者を取り替えて?ーあんなガリガリの幽霊みたいな男は嫌です(全10話)
青空一夏
恋愛
妹は人のものが常に羨ましく盗りたいタイプ。今回は婚約者で理由は、
「私の婚約者は幽霊みたいに青ざめた顔のガリガリのゾンビみたい! あんな人は嫌よ! いくら領地経営の手腕があって大金持ちでも絶対にいや!」
だそうだ。
一方、私の婚約者は大金持ちではないが、なかなかの美男子だった。
「あのガリガリゾンビよりお姉様の婚約者のほうが私にぴったりよ! 美男美女は大昔から皆に祝福されるのよ?」と言う妹。
両親は妹に甘く私に、
「お姉ちゃんなのだから、交換してあげなさい」と言った。
私の婚約者は「可愛い妹のほうが嬉しい」と言った。妹は私より綺麗で可愛い。
私は言われるまま妹の婚約者に嫁いだ。彼には秘密があって……
魔法ありの世界で魔女様が最初だけ出演します。
⸜🌻⸝姉の夫を羨ましがり、悪巧みをしかけようとする妹の自業自得を描いた物語。とことん、性格の悪い妹に胸くそ注意です。ざまぁ要素ありですが、残酷ではありません。
タグはあとから追加するかもしれません。
追放された地味令嬢、実は王国唯一の“魔力翻訳者”でした 〜役立たずと言われましたが、もう契約は終了です〜
あめとおと
恋愛
王太子から「魔法が何も起こらない役立たず」と断罪され、婚約破棄された伯爵令嬢リリア。
追放された彼女の能力は――
魔法の“意味”を読み解き、術式そのものを理解する力《魔力翻訳》。
辺境の魔導研究所でその才能を見出された彼女は、
三百年解読不能だった古代魔法を次々と再生させていく。
一方、彼女を失った王都では魔法事故が連鎖。
国家結界すら崩壊寸前に――。
「戻ってきてほしい」
そう告げられても、もう遅い。
私を必要としてくれる場所は、
すでに別にあるのだから。
これは、役立たずと呼ばれた令嬢が
本当の居場所と理解者を見つける物語。
学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜
織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。
侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。
学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。
婚約破棄されたので、隠していた聖女の力で聖樹を咲かせてみました
Megumi
恋愛
偽聖女と蔑まれ、婚約破棄されたイザベラ。
「お前は地味で、暗くて、何の取り柄もない」
元婚約者である王子はそう言い放った。
十年間、寡黙な令嬢を演じ続けた彼女。
その沈黙には、理由があった。
その夜、王都を照らす奇跡の光。
枯れた聖樹が満開に咲き誇り、人々は囁いた。
「真の聖女が目覚めた」と——
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる