落ちこぼれの魔獣狩り

織田遥季

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はじめての依頼

会敵――リンネ&ララside――

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 分断後、リンネとララは来た道を真っ直ぐ戻っていた。

「レオン達、逆方向に分断されたけど大丈夫かな?」

「大丈夫よ。きっと道を探して戻ってくるわ……あいつを信じる」

 そういうものの、リンネは焦っていた。
 ララと自分、レオンとシュンラン、恐らくは最悪の組み合わせだ。
 レオンといなければララは覚醒できないし、レオンが『狂戦士化バーサーク』を発動すればシュンランのカバーはできない。

「とにかく今は入り口に戻って……!」

 二人が足を止め、戦闘態勢に入る。
 獣型アンデッドが茂みから現れたからだ。
 数は三体。
 リンネだけで相手するには少し時間がかかりそうだ。

「……ララ、今の状態でも戦える?」

「どうかな……まったくやれないわけじゃないとは思うけど」

「なら一体足止めしてて。残りは……私が殺る!」

 リンネが剣を抜かず相手に突進する。
 それに対し、獣型アンデッドもリンネに飛びかかった。

「『座標転移ポイント・ワープ』!」

 鞘に納められていたはずの剣がリンネの手に握られる。
 飛びついて来たアンデッドの無防備な腹に、剣が深々と突き刺さった。

「はああああああああ!」

 そのまま剣を捨て、リンネが次の敵に接近。
 次の攻撃はもう決まっていた。

「『座標転移ポイント・ワープ』!!!」

 アンデッドの腹に突き刺さっていた剣がまたもリンネの手元に瞬間移動する。
 大きく裂けたアンデッドの口はリンネの手によって更に切り裂かれた。

「よし、これで……!」

 致命傷となる一撃を与え、リンネが勝利を確信する。
 しかし、振り向けば二体のアンデッドはまだ動いていた。

「……! なんで……!」

「くそっ! リンネ、こいつ全然倒れないよ!」

 見ればララは一体のアンデッドと戦っていた。
 ララが圧倒しているようにみえるが、アンデッドが倒れる様子はない。

「腹や口を裂いても死なないなら……ララ、足を狙いなさい! 足を潰せばさすがに動けなくなるはずよ!」

「わかった!」

 ララの攻撃がアンデッドの脚部に集中する。
 この調子で攻撃を続ければ魔獣は立ち上がることも難しくなるだろう。

「それじゃあ私も……やりますかっと!」

 リンネが駆け出すと同時に剣を投げ、アンデッド達の注意を惹く。

「『座標転移ポイント・ワープ』」

 リンネが本日三回目の『座標転移ポイント・ワープ』を行い、高く上がった剣を手元に転移させる。
 敵二体はもう目の前だ。

「喰らいなさい」

 その言葉と共に、アンデッド達が崩れ落ちる。
 脚部を切り刻まれたのだ。

「ふぅ……ララ、こっちは終わったわよ」

「私も今ちょうど終わったとこ……変身してないとやっぱりきついね」

 やはり変身前のララは身体能力こそ高いものの、強力な戦闘能力はないようだ。

「お疲れ様。それじゃあ行くわよ。これ以上魔獣が来る前に森を出ないと」

「そうだね、行こう」

 そう言って二人は、疲労の残ったままで駆け出した。
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