落ちこぼれの魔獣狩り

織田遥季

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ブレンダムにて

さらばブレンダム

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 二週間後の晴れた日、レオン達はブレンダムの町を発つことにした。
 彼らの見送りには、市民の多くが集まった。
 レオンはやはり恥ずかしかったが、彼らの心情を汲んでありがたく受け取ることにした。

「もう少しゆっくりしていけばいいもんを。せっかちな奴らじゃ」

 町民を代表してドグマが一行の前に出る。

「十分ゆっくりしましたよ。ララの傷もほとんど治りましたし、宴なんかも開いてもらって本当によくしてもらいました」

「そうか。町を救ってもらった礼が少しだけ出来たならよかったわい」

 そう言ってドグマは復旧中の建物を見やる。
 ゴーレムによって破壊された日よりは幾らか町の風景が戻ってきていた。

「あれ? そういえばビーディーは?」

 リンネの言葉に、レオン達は辺りを見回す。

「……いないな」

「まったく。恩人が発つというのにあの馬鹿は……」

「誰が馬鹿だくそじじい!」

 人ごみの中から、ビーディーのどこか幼い声が響く。
 人の群れを割って出てきたビーディーは、自身の体よりも大きな荷物を背負っていた。

「……なに持ってきたの?」

 ララの率直な問いに、ビーディーは待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑う。

「あたしの全財産」

「それはつまり……」

 レオンはビーディーの意図をなんとなく察する。

「お前らと一緒に行くってこと。こんな山奥に籠ってるのもいいかげん飽きたしな。シンピともしばらく会ってねぇし……そうだ! お前らと一緒に冒険者やるってのも面白そうじゃねぇか!?」

 ビーディーの唐突な提案にレオン、そしてリンネは絶句。
 そして――

「ええええええええ!?」

 絶叫した。
 そんな二人の後ろで、ベルは楽しげに笑う。

「ははは……ノシュキルがまた賑やかになりそうですね」



「そんじゃあ気をつけていけよ」

「ああ。じじいも簡単にくたばんじゃ……そうだ。ギギルはどうしてる?」

 別れの間際。
 ビーディーの唐突な問いに、リンネとベルも耳を傾ける。
 超巨大ゴーレムの創造主であり術者の彼がどうなったのか、彼女達もやはり気になるようだ。

「ギギルならそうだな……あそこを見ろ」

 そう言ってドグマが指差したのは復旧中の建物群。
 よくよく目を凝らしてみると、復旧作業を行っているのは人ではないなにかだった。

「……なんだありゃ」

「ゴーレムじゃよ。ギギルが創ってんだ」

「は? あいつが?」

「ああ。うちの工房でほとんど寝ずに創り続けてる……あいつなりの償いなんだろうよ」

「そうか……おし。んじゃ、そろそろ行くか~!」

 ビーディーが両腕を掲げ、景気よく宣言する。

「……新しい旅の始まりだ」

 嬉しそうに笑うビーディーに、一行も頷く。
 経験豊富で可愛らしい、新しいパーティーメンバーにそれぞれが期待に胸を膨らませていた。

「行こう」

 レオンの言葉に、五人は一歩を踏み出す。
 新しい季節を告げる冷たい風がブレンダムの谷間に吹き抜けていった。
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