落ちこぼれの魔獣狩り

織田遥季

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王と忠誠

老龍

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 次の日、レオンとララは〈魔龍〉のもとへと行くべく食堂に集まっていた。

「それじゃあ行くぞ準備はいいか」

 シンピの確認に二人は頷く。
 レオンは、リンネとベルの姿が見えないことが少し気にかかったが、シンピに聞くと「気にするな」とだけ言われたのであまり詮索はしないことにした。

「んじゃ、ドラクルによろしく伝えといてくれや~」

 そう言って酒を煽るビーディーに苦笑で返すと、シンピの呪文が聞こえてきて視界が一瞬にして森の中へと切り替わった。

「こんなに一瞬で飛ぶんだ……びっくりした」

「俺もまともに意識がある時に飛んだのは初めてだから新鮮だな」

 なんて感想を言い合うレオンとララをよそに、シンピは辺りを見回す。
 そしてその視線は、ある木々の隙間で止まった。

「あっちか……」

「師匠、どうかしましたか?」

 レオンが訊くと、シンピは件の方角を指差した。

「この方向に進めばドラクルがいる……行って来い。しばらくしたらまた迎えに来る」

「え、一緒にシンピは来ないの?」

「ああ。〈魔獣王〉について知るのはお前らだけでいい……じゃあ、また後でな。『帰還転移リ・ワープ』」

 呪文を唱えると、シンピの姿がその場から消える。
 レオンとララは二人、どことも知れない森の中に取り残されてしまった。

「行っちゃった……」

「師匠のことだからなにか理由があって行動してるんだろうけど、いつも説明が抜けてるんだよなあ……仕方ない。ララ、師匠が言ってた方に行こう」

 そう決めて二人が茂みをかき分け進むと、案外すぐに目的地へと辿り着いた。

「ここは……」

 穏やかな風が吹く森の中心に高くそびえ立つ巨大な樹木。
 そして、その根元には大きな、岩よりも大きな黒の龍がうずくまっていた。
 龍はその瞳をゆっくりと開き、二人の姿を視認する。
 あまりの威圧感に、ララは咄嗟にレオンを庇うようにして前に出た。

「そう殺気立つな……そろそろ来る頃だと思っていたぞ。我が主の嫡子よ」

 その声は〈魔龍〉らしく恐ろしい見た目とは裏腹に、気のいい老人のような暖かさを孕んでいた。

「……あなたがドラクルさん、ですか?」

「如何にも。〈魔獣王〉について知りたいのだろう」

 まだ何も言っていないにも関わらずレオン達の用件を言い当ててみせたドラクルに、レオン達は驚きを覚える。

「どうしてそれを……?」

「あの魔女が儂に頼るということはそういうことだ。奴はやけに儂の身を案じておるからな……なるべく負担をかけまいとしてくれる」

 魔女というのはシンピのことだろう。

「まったく……主を失った儂に情けなどいらんというのに」

 ドラクルは小さくぼやく。
 その細い瞳に映るレオンに、在りし日の主の姿を重ねて。

「それで、そちらの魔人は契約者か?」

「契約者?」

 ララが問い返すと、ドラクルはどこか嬉しそうに目を細める。

「そうかそうか、それも説明せんといかんな……さて、なにから話そうか」
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