落ちこぼれの魔獣狩り

織田遥季

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王と忠誠

修行〈その2〉

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「えっ! じゃあ二人は修行してるんですか!?」

 ビーディーにしごかれるベルやブツブツ言い続けるリンネを傍目に、レオン、ララ、シンピは家の前で話をしていた。

「ああ。なにがあったのかは知らないが、より力をつけたいらしい……それで、お前たちはどうする? リンネが修行をしている間、二人でクエストをこなしていくのもありだとは思うが」

 レオンとララは顔を見合わせる。
 二人の答えはもう決まっていた。

「もちろん、俺たちも修行します!」

「〈魔獣王〉で本当に強くなったのか試したいから、やる」

 やる気満々といった様子の二人に、シンピは「そうか」と返して続ける。

「ならまずは模擬戦闘からだな。ビーディー! 少し来い」

「あ?」



 家の前の開けた土地。
 ベルとリンネの見守る中、レオンとララ、そしてシンピとビーディーの二組は向かい合っていた。

「と、いうことで。やるぞ。レオン、ララ」

「え? これ戦うんですか?」

「ああ。もちろん模擬戦闘だから殺さない程度にな……ああ、お前らは殺す気で来ても構わんぞ?」

 シンピの小馬鹿にしたような発言に、ララの眼つきが鋭いものに変わる。

「……あんまり舐めないでよ」

 気迫満々なララの様子をさらにおちょくるのはビーディー。
 ヘラヘラした態度を全面に出して右手で煽る。

「舐めてるに決まってんだろーがクソガキども……かかってこいよぉ!」

「レオン!」

「ああ。後悔させてやるぞララ! 『勝て』!」

 ララの要求にレオンが応えると、その全身から赤いオーラが血のように噴出し、まとわりつく。
 そして長く伸びる髪も、爪も、目までもがオーラと同じ赤に染まった。

「……おいおい。んだよこれ」

 ビーディーが驚愕の声を上げる。
 それもその筈。
 彼女たちの目の前に現れたのは、ブレンダムで見た姿とは全くもって異なる、赤の怪物だったのだ。

「……行くよ」

 静かに呟き、ララは地面を

「ッ!」

 ビーディーが咄嗟に腕でガードを組む。
 が、凄まじい速度で放たれたララの蹴りを完全に受け止めることは敵わず、ビーディーは遥か後方へと吹き飛ばされた。

「次」

 ララの視線がシンピへと移る。
 そしてビーディー同様に吹き飛ばさんと拳を振り上げたその瞬間――

「――『転移ザ・ワープ』」

 シンピの身体がその場から消えた。
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