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王と忠誠
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森に一人。
リンネはほど近い場所にある巨木の根本を睨み付けるように見やる。
イメージするのは視線の先に立つ自分自身。
「転移!」
その鈴のような声で高らかに唱えられた呪文は発動することなく、木々の隙間を吹き抜ける風に連れ去られる。
もう何度めかも分からない失敗にリンネは大きく肩を落とした。
「また駄目か~」
リンネ自身しぶとさに自信はある方だが、こうも失敗続きだと流石に精神的に来るものがある。
失敗の原因も不明瞭な魔法の世界だとダメージもなおさらだ。
「やっぱり、適性ないのかなぁ……」
「リンネ」
その時、背後から唐突に声がかかる。
リンネが振り向くと、そこには同じように魔法習得で苦戦を強いられているレオンの姿があった。
「レオン。お疲れ様。どう? そっちは……習得できそう?」
「まずは『爆裂』からってことになったんだけど……これがなかなか。『狂戦士化』の時はそんなに時間かかんなかったんだけどな」
「それは『狂戦士化』がそこまで難しい魔法じゃないのと、多分レオンに合ってたのね。普通、魔法の習得はなかなかに時間のかかるものよ」
「そういうもんか。それで、リンネは?」
尋ね返されて、リンネは首を横に振ってみせる。
「全然駄目。できる予感すらしないわよ」
「そうか……上手くいかないもんだな」
「そういうこと。それで、あんた何しに来たの? まさかそんな話する為に来たわけじゃないでしょ?」
リンネが訊くと、レオンはハッと思い出したように話し始める。
「そうそう。なんかギルドのお偉いさんがわざわざ来てるみたいでさ。なんか師匠がリンネを呼んで来いって」
「師匠が……? なにかしら」
「さあ。それはなにも聞いてないけど……とりあえず行ってみよう」
「失礼します。師匠、リンネ連れてきましたよ」
レオンがそう言って部屋に入ると、そこにはどこか居心地悪そうなビーディーやベル含め、全員が集まっていた。
ただ一人、真っ白な髪の見慣れない青年が座っているのがリンネは気になった。
ギルドのお偉いさんにしては若すぎるように思えたのだ。
シンピはいつも通りの無表情でレオン達を見やる。
「来たか。二人とも座ってくれ」
「……失礼します」
二人は促されるまま椅子につく。
すると、シンピが白髪の青年に対しかしこまった口調で話し始める。
「こちらはレオンとリンネ……私の弟子の二人です」
紹介に合わせて、レオンとリンネは軽くお辞儀をする。
すると、白髪の青年は大層人のよさそうな笑顔を浮かべて見せた。
「へえ、彼らが件の! それでは、彼が〈魔獣王〉のレオン君だね?」
その言葉にレオンは驚き、思わず席から立ち上がる。
「あんた、どこでそれをッ……!」
「レオン」
嗜めるようなシンピの声に、レオンは言葉をグッと飲み込みつつ腰を下ろした。
「あはは。安心してくれレオン君。僕は君の敵じゃない……むしろ、僕たちギルドは君といい関係を築きたいと考えているんだ」
そこまで話すと、青年は何かに気づいて「ああ」と呟いた。
「そういえば自己紹介がまだだったね。僕はシタン。連邦ギルドのギルド長で……今日は、君たちに依頼があって来た」
リンネはほど近い場所にある巨木の根本を睨み付けるように見やる。
イメージするのは視線の先に立つ自分自身。
「転移!」
その鈴のような声で高らかに唱えられた呪文は発動することなく、木々の隙間を吹き抜ける風に連れ去られる。
もう何度めかも分からない失敗にリンネは大きく肩を落とした。
「また駄目か~」
リンネ自身しぶとさに自信はある方だが、こうも失敗続きだと流石に精神的に来るものがある。
失敗の原因も不明瞭な魔法の世界だとダメージもなおさらだ。
「やっぱり、適性ないのかなぁ……」
「リンネ」
その時、背後から唐突に声がかかる。
リンネが振り向くと、そこには同じように魔法習得で苦戦を強いられているレオンの姿があった。
「レオン。お疲れ様。どう? そっちは……習得できそう?」
「まずは『爆裂』からってことになったんだけど……これがなかなか。『狂戦士化』の時はそんなに時間かかんなかったんだけどな」
「それは『狂戦士化』がそこまで難しい魔法じゃないのと、多分レオンに合ってたのね。普通、魔法の習得はなかなかに時間のかかるものよ」
「そういうもんか。それで、リンネは?」
尋ね返されて、リンネは首を横に振ってみせる。
「全然駄目。できる予感すらしないわよ」
「そうか……上手くいかないもんだな」
「そういうこと。それで、あんた何しに来たの? まさかそんな話する為に来たわけじゃないでしょ?」
リンネが訊くと、レオンはハッと思い出したように話し始める。
「そうそう。なんかギルドのお偉いさんがわざわざ来てるみたいでさ。なんか師匠がリンネを呼んで来いって」
「師匠が……? なにかしら」
「さあ。それはなにも聞いてないけど……とりあえず行ってみよう」
「失礼します。師匠、リンネ連れてきましたよ」
レオンがそう言って部屋に入ると、そこにはどこか居心地悪そうなビーディーやベル含め、全員が集まっていた。
ただ一人、真っ白な髪の見慣れない青年が座っているのがリンネは気になった。
ギルドのお偉いさんにしては若すぎるように思えたのだ。
シンピはいつも通りの無表情でレオン達を見やる。
「来たか。二人とも座ってくれ」
「……失礼します」
二人は促されるまま椅子につく。
すると、シンピが白髪の青年に対しかしこまった口調で話し始める。
「こちらはレオンとリンネ……私の弟子の二人です」
紹介に合わせて、レオンとリンネは軽くお辞儀をする。
すると、白髪の青年は大層人のよさそうな笑顔を浮かべて見せた。
「へえ、彼らが件の! それでは、彼が〈魔獣王〉のレオン君だね?」
その言葉にレオンは驚き、思わず席から立ち上がる。
「あんた、どこでそれをッ……!」
「レオン」
嗜めるようなシンピの声に、レオンは言葉をグッと飲み込みつつ腰を下ろした。
「あはは。安心してくれレオン君。僕は君の敵じゃない……むしろ、僕たちギルドは君といい関係を築きたいと考えているんだ」
そこまで話すと、青年は何かに気づいて「ああ」と呟いた。
「そういえば自己紹介がまだだったね。僕はシタン。連邦ギルドのギルド長で……今日は、君たちに依頼があって来た」
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