落ちこぼれの魔獣狩り

織田遥季

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魔龍動乱

叫び

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「喰らえやっ!」

 ビーディーが大振りの拳を振るう。
 もう一人のレオンはそれを躱しカウンターを打ち込まんとするが、自分目掛けて向かってくる右足に気づき急いでバックステップを踏んだ。

「ちっ。まだまだ冷静じゃねぇかおい」

「それはこっちの台詞だ。決着のつかない勝負に辟易して、そろそろ隙の大きい一撃が来ると踏んでいたんだが……その思考が逆手に取られるとは」

「ハッ! これでも元特級冒険者だぜ? その程度当然だっつの」

 如何にも自信満々といった表情でビーディーが答える。
 その発言の中に、他の仲間への心配というものは微塵も感じられなかった。

――まあ、魔龍が殺されたのは分かっているんだがな

「……流石だな」

「まーな」

 レオンが拳を強く握り締める。

「それじゃああんたに敬意を表して……もう一つ、ギアを上げる」

 そう言うと、レオンの纏っていた赤黒いオーラが倍程度に増幅した。

「殺すつもりでいく」

 それを見て、ビーディーは闘志剝き出しの笑顔を浮かべて見せた。

「殺れるもんなら殺ってみろや……〈魔獣王〉さんよぉ!」

 まさに一触即発。
 極限の緊張状態にある状況下で一つの呪文が二人の間に割って入った。

「『転移ザ・ワープ』!」

 突如としてレオンの目の前にリンネが現れる。
 激闘に決着をつけるべく集中していたビーディーとレオンは完全に不意を突かれた形となった。

「しまっ……!」

 レオンの体に痛みが走る。
 しかしそれは斬撃の痛みではなく――

「――は?」

 痺れるような若干の痛みがレオンの頬に残る。
 現れたリンネが放ったのは剣による斬撃ではなく、何の変哲もないただの平手打ちであった。

「この馬鹿……! 目ぇ覚ましなさいよ!」

 あまりにも虚を突かれ動かないレオンに、リンネは悲鳴にも似た訴えを浴びせかける。
 その蒼い瞳は涙で満たされ潤んでいた。

「あんたが寝てるせいでララが苦しんでんのよ……! 勝手やって身体乗っ取られてんじゃないわよ!」

「この女……!」

 状況を飲み込んだもう一人のレオンが鬱陶しいリンネを睨みつけ、取り除かんと手を伸ばす。

「リンネ! あぶねぇ!」

 それに気づいたビーディーが慌てて駆け出す。
 しかし、間に合う程に至近距離でもない。

「クソっ……!」

「早く……目を覚ませって言ってんのよ馬鹿レオン!!!」

 リンネが叫ぶ。
 その時、リンネの首に向かって伸ばされていたレオンの手が止まった。
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