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序章「影」
「影」
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暗く、手の先がやっと見えるほどの部屋、、、。
その部屋がある屋敷は長い間人が住んでいなかった。その屋敷に住むと間違いなく誰かが死んでしまうからだ。
その屋敷でも最奥にある、封じられた部屋で全ての話は始まった。
ドクン…ドクン…
自分の指すらはっきり見えない暗い暗い部屋の中に何かの鼓動が響いている。
この鼓動こそ、この部屋が封じられた部屋と呼ばれる所以だ。
その中を一つ、歩く人影があった。
その人間は酷く怯えているようだ。それもそうだろう、暗い部屋の中に誰のものかわからない鼓動が響いているのだから…。なぜここに来たのかさえ疑問である。
しかし、人間は一人でここに来た。その行動がその人間に悲劇をもたらすとも知らずに。
話を人間に戻そう。
人間は酷く怯えていた。
その人間とは別に部屋の隅で蠢く「影」があった。
「影」は人間を感覚で人間の存在を察知すると動き始めた。
その動き方は蛇のように地面を這いずっている。
ズルリ…ズルリ…
「影」の動く音が微かに響く。
その間にも鼓動の音は響いている。
ドクン…ドクン…
ズルリ…ズルリ…
二つの音が重なり、不協和音を奏で始める。
「影」が人間まで残り一メートルのところで、人間は「影」の存在に気がつく。
しかし、その頃には手遅れである…。
「影」は人間に気づかれたことを感覚で察知し、一気に喰らいついた。
その一撃で人間は絶命した。
しばらく何も動かなかった。「影」も人間も…。
しかし、「影」がまた元の部屋の片隅に戻ろうとすると、人間の腹の中で動くものを察知した。
「影」は再び飛びかかる。
しかし、次の瞬間、眩い光が部屋を照らし、その光に「影」は取り込まれた。
再びの静寂…。
しばらくすると、人間の腹から何かが立ち上がった。そのものの高さはちょうど赤子の大きさ。人間の腹から産まれ出たのだから、このものも人間であろう。
しかし、ならば何故立つことができるのか。その上、自分の足で歩き始めた。
目的もないまま…。
そうして赤子が部屋の外に出ると再び部屋には静寂が訪れた。
この赤子の名は「アル」。
後に彼が何をするのか、まだ誰も知らないままであった。
全ては神の望むままに………。
「朝」に続く…
その部屋がある屋敷は長い間人が住んでいなかった。その屋敷に住むと間違いなく誰かが死んでしまうからだ。
その屋敷でも最奥にある、封じられた部屋で全ての話は始まった。
ドクン…ドクン…
自分の指すらはっきり見えない暗い暗い部屋の中に何かの鼓動が響いている。
この鼓動こそ、この部屋が封じられた部屋と呼ばれる所以だ。
その中を一つ、歩く人影があった。
その人間は酷く怯えているようだ。それもそうだろう、暗い部屋の中に誰のものかわからない鼓動が響いているのだから…。なぜここに来たのかさえ疑問である。
しかし、人間は一人でここに来た。その行動がその人間に悲劇をもたらすとも知らずに。
話を人間に戻そう。
人間は酷く怯えていた。
その人間とは別に部屋の隅で蠢く「影」があった。
「影」は人間を感覚で人間の存在を察知すると動き始めた。
その動き方は蛇のように地面を這いずっている。
ズルリ…ズルリ…
「影」の動く音が微かに響く。
その間にも鼓動の音は響いている。
ドクン…ドクン…
ズルリ…ズルリ…
二つの音が重なり、不協和音を奏で始める。
「影」が人間まで残り一メートルのところで、人間は「影」の存在に気がつく。
しかし、その頃には手遅れである…。
「影」は人間に気づかれたことを感覚で察知し、一気に喰らいついた。
その一撃で人間は絶命した。
しばらく何も動かなかった。「影」も人間も…。
しかし、「影」がまた元の部屋の片隅に戻ろうとすると、人間の腹の中で動くものを察知した。
「影」は再び飛びかかる。
しかし、次の瞬間、眩い光が部屋を照らし、その光に「影」は取り込まれた。
再びの静寂…。
しばらくすると、人間の腹から何かが立ち上がった。そのものの高さはちょうど赤子の大きさ。人間の腹から産まれ出たのだから、このものも人間であろう。
しかし、ならば何故立つことができるのか。その上、自分の足で歩き始めた。
目的もないまま…。
そうして赤子が部屋の外に出ると再び部屋には静寂が訪れた。
この赤子の名は「アル」。
後に彼が何をするのか、まだ誰も知らないままであった。
全ては神の望むままに………。
「朝」に続く…
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