少年と蛇影

第ニ章「力の呼び声」

「林」

アルはレイナの家に連れて行かれた。
レイナの家は綺麗でそんなに大きくない。しかし何かの威厳を感じるような気がした。
アルは家の中には入入れさせてもらえなかったが、しかし玄関口はレイナの肩越しに見えた。
非常に綺麗に掃除されていた。靴は綺麗に並べられ、下駄箱の上の花瓶には花が飾られていた。
アルは花に詳しくないので、花の名前はわからなかった。
玄関が閉まり数分すると再び扉が開いた。レイナが出てきたのだ。
「さあ、始めるましょう。
まずは林にいくわよ！」
そう言って歩き出した。
アルは面食らって少し立ち尽くしていたが、すぐにレイナを追いかけ始めた。
レイナの言う林とは、この街の外側と接する、魔物などが出ない安全な林だ。そこは郊外であるので、人は滅多にやってこない。レイナの選択は正解だろうとアルは思った。
クラスのカースト上位の女子がアルのような落ちこぼれと一緒にいるのを見たら、どんな噂が立つのか、アルは考えただけでも恐ろしかった。

「着いたわよ。」
道中、アルとレイナは一言も話さなかった。アルはその方が気楽だった。
アルが前を見やると鬱蒼としげる松の林が見えた。その光景は人を近づけない圧力を持っていた。
しかし当然魔物はいない訳で、安全は保証されているようなものだ。
アル達は臆することなく林に入っていった。
数分歩くと、少し開けた空き地にでた。
この空き地のようなところは街を囲む林に所々に点在しており、街の住人からはアースロックと呼ばれている。由来をアルは知らなかった。
「着いたわよ。」
レイナの声が聞こえたので、アルはレイナの方を向いた。レイナはアルをここで練習させるつもりらしい。
「何をするの？」
アルはそうレイナに問うた。
「まずは今日の魔術基礎でやったことをやってみて。」
アルはその答えに頷くと息を吸い、手を前に突き出した。
標的は目の前の小石だ。
（まずは手に魔力を集める…）
レイナはアルの手元を見ていた。
アルは構わず続ける。
（魔力を集めたら、次は呪文で魔力をまとめる！）
「フロートスラント！」
しかし、小石は一ミリも動かなかった…。
アルは分かっていたことではあるが、落胆した。
（やっぱり…。僕は落ちこぼれなんだ…。）
するとレイナが、
「アル君、魔力あるの？
眼に魔力を集中させて君の手を見たけど、魔力が一欠片もなかったよ？」
アルは、しかし平静であった。
何故なら、落ちこぼれならば魔力がないのは当然であり、術の要点を抑えても術が発動しない理由にもなるからだ。
「少し頭を貸して。
確認するから。」
アルはそれを聞いて拒否した。
「随分昔に同じように僕の頭に手をあてて僕の潜在魔力を確かめようとした人がいるんだけど、その人は魔力を手に流し込んで確認した瞬間、意識を失ったんだ。
多分危ないからやめた方がいい。
と言うか僕が不安だからダメ。」
レイナが大丈夫と言いそうなので最後の言葉を付け加えておいて、
「次はレイナがやってみてよ。」
アルはレイナに手本を催促した。
「いいわよ、よくみててね。」
レイナはアルと同じことをした。
アルの前の小石は宙に浮いた。
（なんで魔力がないんだろう。いや、ないんじゃなくて魔力を使えてないだけなのか？）
アルがそう考えた理由。それは、ルミナス魔術学校が魔力のある者の受講しか認めないからだ。
「もう一回やるわね。」
そう言ってレイナは同じことを繰り返しやってくれた。

「はぁ…はぁ…」
二人とも息が上がっていた。
既に夕方である。二人とも同じことを続けたのだ。
「そろそろ…帰ろうか。」
「そうね…。」
「今日はありがとう。」
そうしてアル達は帰路についた…。

アルはレイナの家に連れて行かれた。
レイナの家は綺麗でそんなに大きくない。しかし何かの威厳を感じるような気がした。
アルは家の中には入入れさせてもらえなかったが、しかし玄関口はレイナの肩越しに見えた。
非常に綺麗に掃除されていた。靴は綺麗に並べられ、下駄箱の上の花瓶には花が飾られていた。
アルは花に詳しくないので、花の名前はわからなかった。
玄関が閉まり数分すると再び扉が開いた。レイナが出てきたのだ。
「さあ、始めるましょう。
まずは林にいくわよ！」
そう言って歩き出した。
アルは面食らって少し立ち尽くしていたが、すぐにレイナを追いかけ始めた。
レイナの言う林とは、この街の外側と接する、魔物などが出ない安全な林だ。そこは郊外であるので、人は滅多にやってこない。レイナの選択は正解だろうとアルは思った。
クラスのカースト上位の女子がアルのような落ちこぼれと一緒にいるのを見たら、どんな噂が立つのか、アルは考えただけでも恐ろしかった。

「着いたわよ。」
道中、アルとレイナは一言も話さなかった。アルはその方が気楽だった。
アルが前を見やると鬱蒼としげる松の林が見えた。その光景は人を近づけない圧力を持っていた。
しかし当然魔物はいない訳で、安全は保証されているようなものだ。
アル達は臆することなく林に入っていった。
数分歩くと、少し開けた空き地にでた。
この空き地のようなところは街を囲む林に所々に点在しており、街の住人からはアースロックと呼ばれている。由来をアルは知らなかった。
「着いたわよ。」
レイナの声が聞こえたので、アルはレイナの方を向いた。レイナはアルをここで練習させるつもりらしい。
「何をするの？」
アルはそうレイナに問うた。
「まずは今日の魔術基礎でやったことをやってみて。」
アルはその答えに頷くと息を吸い、手を前に突き出した。
標的は目の前の小石だ。
（まずは手に魔力を集める…）
レイナはアルの手元を見ていた。
アルは構わず続ける。
（魔力を集めたら、次は呪文で魔力をまとめる！）
「フロートスラント！」
しかし、小石は一ミリも動かなかった…。
アルは分かっていたことではあるが、落胆した。
（やっぱり…。僕は落ちこぼれなんだ…。）
するとレイナが、
「アル君、魔力あるの？
眼に魔力を集中させて君の手を見たけど、魔力が一欠片もなかったよ？」
アルは、しかし平静であった。
何故なら、落ちこぼれならば魔力がないのは当然であり、術の要点を抑えても術が発動しない理由にもなるからだ。
「少し頭を貸して。
確認するから。」
アルはそれを聞いて拒否した。
「随分昔に同じように僕の頭に手をあてて僕の潜在魔力を確かめようとした人がいるんだけど、その人は魔力を手に流し込んで確認した瞬間、意識を失ったんだ。
多分危ないからやめた方がいい。
と言うか僕が不安だからダメ。」
レイナが大丈夫と言いそうなので最後の言葉を付け加えておいて、
「次はレイナがやってみてよ。」
アルはレイナに手本を催促した。
「いいわよ、よくみててね。」
レイナはアルと同じことをした。
アルの前の小石は宙に浮いた。
（なんで魔力がないんだろう。いや、ないんじゃなくて魔力を使えてないだけなのか？）
アルがそう考えた理由。それは、ルミナス魔術学校が魔力のある者の受講しか認めないからだ。
「もう一回やるわね。」
そう言ってレイナは同じことを繰り返しやってくれた。

「はぁ…はぁ…」
二人とも息が上がっていた。
既に夕方である。二人とも同じことを続けたのだ。
「そろそろ…帰ろうか。」
「そうね…。」
「今日はありがとう。」
そうしてアル達は帰路についた…。