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第1話 次の街まで
第1-4話 剣士と
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○旅は道連れ、僕っ娘連れ
翌日、宿屋の前でその子と一緒になり、みんなで噴水の前に向かった。噴水の前で待っていると、商人が現れた。傭兵団の団長も一緒にいた。団長さんはあの子が一緒にいるのを見て眉間にしわを寄せている。
「2人は離れて待っていてくださいね。」
「確かに子どもは、会話に参加できんなあ。」
「今回はそういうことでよろしいですか?」
「そうなりますねえ」
「しようがなかろう」
「では、まいりましょう」
「はい。」
その子はまるで売られていく子牛のようにうなだれている。もっと胸を張ってほしいものですが。元々の性格が出たのか、傭兵団から離れることに寂しさを感じているのか。
「おうおう、あの男が、必死に頭を下げておる。やりおるのう。」
「あいつ、卑屈な対応は、得意そうよねえ。」
「過去に何があったのかのう。」
「記憶が戻ったら意外に奴隷だったりしてね。」
「ありそうじゃのう。奴隷の頭領ってところか」
「部下には優しくして、上からは怒られるタイプのようね。」
「はは、違いないのう」
「あ、戻ってきたわよ」
残された商人さんと傭兵団の団長、数人の傭兵達がそこにはいた。
「いいんですかい?」
「ああ、あの一行には世話になっていますからねえ」
「あれ、女ですが良かったんですかい」
「あの人達は、かなりやばい人達のような気がしますし、ここで面倒なことをすると、手ひどいやけどを負いそうですよきっと。それに私としてはこのまま良好な関係のままでいたいですからねえ」
「それでも別のところから横やりが入ったり、かっさらわれるのは、関係ねえでしょう」下卑た笑いをしながら日に焼けてあごひげを蓄えた男が言った。団長さんは、あからさまに嫌そうな顔をしている。
「はあ、なるほど、でも、やめておいた方が良いと思いますよ。私は忠告しましたからね。それと、この件で、あなたたちが返り討ちにあったとしても私は知りませんからね。」
「大丈夫でさあ。うまくやります。」
「まあ、どうしても諦められないならしょうがないですが、それでもその後どうするつもりなんですか?」
「その辺は、まあ、まかせてくだせえ。」
数人の団員は、そう言ってそこを去った。それをさらに止めようとする傭兵団の団長を商人さんは、止めている。何か言ったようであきらめたようだ。
今日行く予定だった商人組合の代表さんが、都合が悪くて明日に延期となり、時間ができたので、私たち4人は、賑わう商店街を歩いている。3人目の女の子の服を見立てなければならない。その子は、スカートに興奮しているのが見て取れる。しかし、なかなか見つからない。縫製に関しては、ほとんど各家庭で行っているらしく、頼んでも時間がかかりそうだ。だが、ちょっと良い仕立屋で余り物の服を調達したのだが、ショートカットの割にすごく似合っている。3人も女の子を連れて、しかも3人とも可愛いと来て、いやー目立つ目立つ。連れている私も合わせてじろじろ見られるので非常に気まずい。当の3人といえば、興奮してはしゃいでいるその子を抑えながらもそのうれしさが伝染してみんなハイテンションです。モーラさんとかわざと子どものふりをしてこれ買って~とかこっちに絡む、絡む。『いいかげんにしてください』と脳内で連絡しても、『いいではないか』とまったく気にしていない。夕方までそんな感じで続いていた。
商店も閉まり、薄暗くなった頃、数人の覆面をした物騒な人達が目の前に現れ、剣をつきつけてきて、路地に入れと促された。人通りもまばらになったとはいえ、騒ぎ立てて他の人に危害が及んでも申し訳ないので、そのまま移動する。そこには、小さな広場のようなところに到着しました。
「何の用ですか。覆面などして。ああ、強盗さんですか。残念ですが金目の物はここにはありませんよ」
「おまえはいらねえ、金も無さそうだしな。へへ、一人で良いと思ったが、3人とももらおうか」覆面の男達の一人がナイフをちらつかせながら、下卑た声で言った。他の数人も同じように笑っている。
「うちの娘達ですか?それはちょっと勘弁してください。全員器量よしなので、差し出すつもりはありませんよ。」
声と容姿に見覚えがある。ああ、傭兵団にいる人達ですね。すでに彼女は、彼らが誰かわかったようで悲しそうな顔をしていて、さらに少し震えている。
「なら、一人だけ、その娘をもらおうか」ナイフをその子に向けてその男は言った。その男とその子が視線を合わせる。その子は下を向いた。
「それも無理ですねえ、今朝、これから旅を一緒にすることにしたばかりで一番手放したくない子ですから」
「この人数を相手にそんな減らず口をたたけるとは良い度胸だ。もう一度だけ言うぜ、その娘達をよこせ」
「また、全員欲しいですか。強欲にも程があります。まあ、何人だろうと差し上げるつもりはありませんよ。」
「私が戦います。」その子が言った。少し手は震えているが意志は固そうだ。スカートの上に装着してた剣を握る。
「そうですか。あなたは、今後のためにその人と戦ってください。あとの人達は、私に任せてください。ただ、お願いですが、顔に傷を負ったりしないでくださいね。可愛い顔がだいなしになってしまいます。」
「おぬし、変な動揺させるな。おかげで赤面してあわあわしておるではないか」モーラがその子の様子を見ていった。確かに赤い顔をしている。本当は緊張を解きたかったのですが、逆効果でしたか。
「相手に対して、それくらいハンデあげても良いではないですか。」私は、自分を正当化してみました。いや、その場の雰囲気が和むと思って、逆効果でしたけどね。
「私はどうすれば、」
アンジーが心細げに言った。すでにオロオロして挙動不審に至っている。最近多いですね。もう少し慣れてほしいものです。
「わしのそばにこい」
あきらめたようにモーラが言う。モーラの後ろにアンジーが隠れる。いや、モーラの後ろに隠れてないし、見えてるし。それに姉妹逆ではありませんか。
「私もいっていいですか」すかさず私もかばってもらおうとする。
「ぬしは自衛できるじゃろうが。」私を押し返すモーラ。
「あーやっぱり?でも宿屋のおばさんからむやみに使うなって言われているんですよ。使っても良いのかな」少しおどけてみせる。
「旅先じゃ!それくらいよかろう!!」
「では、お言葉に甘えて。ではやりましょうか皆さん。」
私はそう言ってモーラとアンジーの前でぐっと拳を握りしめる。しかし、この茶番の間、相手は、待ってくれていたのですが、実際に待ってくれるものなんですねえ。
「おめえが育つのをずっと待っていたのに、横からかっさらわれるぐらいなら、ここで、おめえをやっちまうぜ。かまわねえよな」覆面の男は、舌舐めずりをして言った。
「え?それって私が女だって。」
「ああ、わかっていたさ。もう少し大人になってからとみんな思っていたからな。」剣を右に左に持ち替えている。短剣じゃああるまいし、意味があるのだろうか。
「そ、そんな。」その子の剣先の震えがひどくなる。
「おまえだけさ、みんながだまされているって思っていたのはよ。」
「じゃあ、商人様も」
「ああ、知っていたさ。もっともおめえを手放したって事は、そこまでのことは考えていなかっただろうがなあ。」
「そんな・・・でも、良かった。全員じゃなかったんだ。」
「そんな事を考えていると殺してしまうぜ、ちゃんと刀を持てよ。」そう言いながらその男は、少しだけ回り込もうと立ち位置を変えていく。
「はは、」
「良かったじゃねえか、俺たちと来れば、正式な一員だ、晴れて女の仲間入りだ。」
「ここにいない方もいる方もみんな、鍛えてくれてありがとう。少し寂しいですが、これで憂いなくこの人達と一緒に行けます。」その子はそう言うと剣先の震えは止まり、その子の目には、炎が点った。
「行けると思うなよ。知ったからにはおめえは一緒俺たちの奴隷、いやおもちゃだ」
そうして、彼女の傭兵団との決別の戦いは始まった。
「さて、こちらも始めますか。彼女らの戦いを見ているのもなんですから。」
「手に武器も持たないおまえが何を言っているんだ、あ?」数人の男達は、そう言って私を囲むようにジリジリと近づいてくる。
「大丈夫ですよ、私にはこの拳があります。」そういって、ボクシングスタイル?みたいな感じで、両手の拳を前にあげて構える。もちろん両手で何かを握るように動かしている。
「は、大人数を相手に武器もなしで何をする気だ。」そう言ってその男は私に向かって走り込み、剣を振り下ろす。
「こうするんですよ」振り降ろされた剣を腕で受ける。腕は切れずに、剣を跳ね返した。
「おめえ何を。魔法か?」
「いえ、体を鍛えるとね、体が鋼のようになるんですよ。」そんなの嘘に決まっている。固めた空気を腕に巻いていただけだ。それに拳法は、たしなんでいないので反撃はできない。
それでも襲いかかる剣をかわして手を突き入れ、手で練り込んでいた空気の玉を手から離す。一瞬のうちに気玉が破裂し、相手の胸元がはじけ、吹き飛ぶ。
「うわ、なんだこりゃ。」
「おめえ何をした」
「破裂する小石ですよ、山で見つけて取っておいたのです」これも嘘。単に小石を混ぜた気玉だ。
「変な技を使うじゃないか。」
そういいつつも再びじわじわと近づいてくる。周囲の男達も徐々に距離を詰めてくる。
『やっぱり魔法使うしかないのかな』そう思っていると、
『右に飛ぶんじゃ』と、頭の中に響く声はモーラの声か。とっさに周りを囲んだ男達の隙に飛び込む。
「どあっ」「なんだ地面が揺れているのか。」「何が起きた」
地面が揺らぎ、男達が立っていられず這いつくばっている。こちらには地震とかないのだろうか、皆、這いつくばったまま一様におびえている。
「子ども!おまえ魔法使いか」
なんでも魔法使いのせいにして欲しくないけど、今回は魔法の類いだしねえ。
「わしか、わしはなにもしておらん、そこの男が何かして逃げたのじゃろうなあ。」
顔が恐いですよモーラさん。背中にオーラもしょってるし。モーラのオーラですか。
「ちぃ、こっちは無理だ逃げるぞ。」その男は、魔法使いと戦ったことがあるのか、逃げることを選んだ。ほかの者達も従って逃げようとしている。
「いいや、俺は、こいつを連れて帰る。」
彼女と対峙していた男は、体力に余裕はありそうだが、彼女に剣先がかわされ続けている。ただ、彼女も慣れないスカートを気にしていて、剣先をさばくのが手一杯で、相手に決定的な実力差を見せつけることができないでいる。
「無理だ、相手の男は魔法使いだ。やめておけ。」
「少なくともこいつに負けたままで逃げられるか」
「今の戦いでわかってきただろう、こいつは、俺たちより間違いなく強い。今まではうまく立ち回って実力を隠していたんだ。だからこのままだと最悪やられるぞ。」
「くそ、くそ、くそ、」
言われた男は、そう叫びながら強い力で、その子に剣をたたきつけ、彼女が体勢を崩され後ろへステップして距離を取ったときに、睨み付けてから、逃げていった。
その子の息があがっている。殺さないよう傷つけないようかわすというのは意外と難しいものなのですね。
「また来るかもしれんなあ。」
おびえたアンジーを脇に抱えながらモーラが来る。姉を脇に抱える小柄な妹ってすごい違和感があるなあ、体格的に逆でしょうそれ。
「そうですねえ。とっととこの町から出ますか。」
私は、そう言いました。基本的に私は軟弱なので、やばくなったらとっとと逃げます。ええそうします。
「それは、大丈夫ですよ。」
不意に聞き覚えのある声。今朝会ったばかりの商人さんと傭兵団の団長さんが建物の影から出てきた。
「見ていたなら助けてくださいよ」
「危なくなったら助けるつもりでしたよ。でも、必要なかったじゃないですか。」
あたりまえのように商人さんが言った。
「人が悪いですね。私たちの力を計ろうとしていましたね?」
「それもあります。あの馬車の走ってきた距離を考えれば、あまりにも傷がない。不思議に思って力を試したくなる気持ちもわかるでしょう」
「まあ、そういうことにしておきます。でも、彼女の身に起きた事はどう釈明しますか」
「私の監督不行き届きです。」団長さんがこう告げ、さらに続ける。
「でも、もしこれまでの間に襲われるような事が起きていたら、私が周囲を止めていたでしょう。彼女の戦闘力の高さは、失うにはもったいないので。」傭兵団の団長さんがそう言った。
「わかっていて放置していたと。」
「ええ、彼女が女性である事を隠したいのに無理にばらしても、お互い何も得しないでしょう。さらに彼女を特別扱いすれば他の男達の反感も買うことになりますし。まあ、あなたにとられるとは彼らは思っていなかったでしょうし、団長もこんな事態になるとは、思っていなかったようで、本当に想定外ですけどね。」
なぜか商人さんが団長の代わりに会話を続ける。お互い長い付き合いらしい。団長さんは頷いている。
「そうなのですか」
ちらりとアンジーとモーラを見る。うなずいているところを見ると嘘ではないらしい。
「たぶん、今後何かしでかすとしてもあの男だけですね、残りの者は、今回の事であきらめもついたでしょう。でもあの男が今後何かしたら、そればかりは残念ながら私にも止めようがない。」
それはそうだ。団長が構成員各個人を完璧に制御なんてできるわけはない。
「それでも、この町に滞在している間は、それはさせませんよ。それは間違いないです。安心してください。あなたから襲われたと苦情が来たので手を出すなと言っておきますので。ただし、私の目の届く範囲となりますが、それと街を出てからは注意してくださいね。」
商人さんは微笑みながら言う。いや、そんなことを言われましても。
「それなら、しばらく滞在しても大丈夫そうですね。」
そうして、この騒動は終わったようです。よかった何も起きなくて。
商人さんと明日の時間の再確認をしていました。傍らでは傭兵団の団長がユーリに袋を渡している。
「別れの挨拶がまだだったな、これまでありがとう。これは少ないが餞別だ。持って行け。」団長がずしりと重い袋を渡した。中は金貨なのだろう。ユーリが中を開けてびっくりしている。
「こんなにですか?もらえません。私を黙って使ってくれただけでも感謝しているのに。」
「おまえが、自分の手柄を他の男達にとられても黙っていたのを知らない訳ではないのだよ。それも一度だけではない、かなりの褒美を他の男達に取られているだろう、これは、それのほんの一部だ。かばってやれなくてすまなかった。」
「そのことを知っていてくれたんですね。」
「ああ、それをその場でおまえの手柄にしてしまえば、男達がそれをとがめて、おまえに危害が及ぶかもしれなかったからな。だからと言ってそれをおまえに言ってしまえば、それを聞いていた者が、何をするかわからなかったというのもある。だから、すまない。」団長はその子に頭を下げる。
「はい、あ・・りがぁ・・えっく」頭を下げ、泣き出した。手で涙を拭っている。拭っても拭っても涙は止まらない。
「おいおい騎士たる者、泣いてはいかんぞ。おじいさんが怒るぞ。」
「うえ~ん」
「おじいさん?」はたで聞いていた私は、そう言ってしまう。
「ああ、知り合いでな。孫娘をよろしくと言われていたんだよ。ただし、男として預けるから、黙っていてくれとね。」
「なるほど」それで私たちが彼女に近づいているのを見ていたんですね。
「でも、今度は、あなたの元で働くことになりますね、これからよろしく頼みます。」そう言って団長さんから頭を下げられた。
「ああ、はい。よろしくします。」こちらも頭を下げる。
「お父さん頼りな~い。」
「ちょっとモーラ、父さんに言い過ぎでしょ。」
「えー、おとなしいふりをするの飽きたー」
「はははは、そちらも訳ありのようですね。さきほどの戦いを見ておりましたが、何やら妙な技をお使いでしたが、魔法を使われるのですか?」
「全部お父さんが、やったことでーす。」
「やはりそうですか。妙な体術以外にも魔法まで使われるとは、」
「ああ、たまにしかできないですけどね、手品みたいな・・・いや、まやかしみたいなものです。」
ええい、ごまかしてやる。
「おもしろそうですね。」
「はい、たぶん。」そう言って袖をすっとたくしあげて動かして見せる。
「こうやって腕が短い間合いで急に袖を引くとほら」
「おお、腕が伸びたように見える。」
「これを相手の胸元で相手の視界ギリギリで行うと」
「おお、腕が伸びたように見える。」
「そうなんですよ、めくらましです。」
まあ、腕の位置が変わるわけではないので届いていないんですが。妙に納得されてしまいました。
「さて、ユリアン、これからは、この方達と一緒に行くのだね」
「はい、」
「お互いしばらくはこの町にいるのだから、食事でもしながら話をしたいのだが、どうだろうか。」
「ええ、ぜひ」
「君は、ユリアンというのか。」
「はい、ユリアン・(ノエル・)フェルバーンと言います。」
「そうか、じゃあユーリだね。これからよろし・・・」
私は、思わず自分の口を手で塞ぐ。まさか隷属の魔法が・・・ああ、大丈夫だった。アンジーがモーラの耳を塞いでいる。それを嫌がり逃れようとするモーラ
「なんじゃ、せっかく面白い事になりそうだったのになぜ邪魔をする。」
「私たちのような者が何人も出てはたまりません。」
「くそー、この世界の人間にも効果があるのか試したかったのに。」
「そんなあなたの楽しみのために一人の真面目な少女の一生を左右させてたまるものですか。」
「うむ、まあ、あやつが解除できるのじゃから、一度隷属しても問題なかろう。」
「だから解呪できるとは限りませんよ。」
「わかるのか、」
「いえ、嫌な予感がしただけです。」
「なるほど。それは、賢明な判断かもしれんな」
ユーリは、突然、片膝をついて私の前に跪き、そして顔を上げて、こう言った。
「僕、いえ私、ユリアン・ノエル・フェルバーンは、あなたの剣として、あなたに忠誠を誓います。」
その勢いにのまれ、私はこう言ってしまった。
「ありがとうユリアン・ノエル・フェルバーン、うれしく思います。」
そして、私はついついユリアンの頭をなでる。するとユリアンがほんのり光り出す。あれ?見覚えが。
「おぬしどんだけ高位の魔法使いなんじゃ。普通この程度の会話で隷属せんぞ。」
「まあ、もう一人変な竜がそばに、そして神の使いの私がいますから当然かもしれませんねえ。」
と、あきれ顔でうそぶくアンジー。
「ああ、めんどくさいのう」
「ですね。解呪も簡単だといいんですが」
「やってみい、」
「あなたユーリの、隷属の契約を解きます・・・ユーリは、私の言葉に従わなくても良いです。」
いろいろ言い方を変えて何回か言ってみたが、変化はない。
「あれ?」
「残念ですが、そう言われても従います。あなたを守る騎士として。」
「そうか、こやつの強い意志が魔法の効果を加速して隷属まで導いて、今は邪魔をしているのか」
「どうにもなりませんね。これは。本人の意志ですからねえ。」
アンジーも投げ出しましたよ。とほほな展開です。
「でも良いのですか?これから仲違いをすることだってありますよ。」
「私は、ついていきます。たぶんこれからずっと。でも、あるじ様が別れると言われる時が来るならその時までは、」そう言ってユーリは、私を見上げてじっと見ます。ああ、下からすがる子犬のような目で見ないでください。そう言う目に弱いんですから。
部外者2人がそれを冷ややかに見ているのも忘れて大騒ぎです。
そして、ユーリを立たせ、宿屋に戻っていく。ユーリは朝のうちに私物を入れた箱を馬車に入れていたので、そのまま宿屋に戻りました。宿屋の主人は、私が部屋を用意してほしいというと、私を見もしないで、「おまえに貸してやる部屋はねえ。」そう言いました。
さて、同じ宿屋に連泊なので、裏手の水浴び場に夜遅くに移動します。今回は、水浴び場の横の木陰にモーラに小さい堀を作ってもらって水を入れます。今回は、分子の原理を思い出したので、直接的に水分子を動かしてみました。水分子の運動がお湯なんだから。やり過ぎると沸騰しすぎますけど。
とりあえず微妙な調整までできないのでやや熱いお湯に入る事になります、それでもピリピリとする肌のしびれが心地よいです。
「ふー」
「極楽じゃのう」
「そうですねー」
「私もいいんですか?」
「それは、もちろん。」
「というか、裸で・・・」
「気にするな。以前言ったようにこいつのストライクゾーンは、ユーリよりもう少し高い」
「というか、胸じゃないの?」
「ん、ああそういうことか。まあ、襲われることはないし、こやつは恥ずかしくて見られないじゃろうからなあ。」
「わかりました。覚悟して入ります。」別に覚悟しなくてもいいのですが。
「みなさん何を納得しているのですか?私の趣味嗜好を勝手に詮索しないでください。まあ、たぶん皆さんの体型では私は何も感じませんので、大丈夫ですが、マナーとして最低限、胸とその下の方は隠してくださいね。」
いや、本当はあまり大丈夫じゃないんですが。あまりにもロリばばあが開けっぴろげで目のやり場に困るんですよ。
「誰がロリばばあじゃ。」あ、声に出した。ユーリが首をかしげていますよ。
「とりあえず、静かに入浴しませんか?」
涼しげにアンジーが言った。あなたもけっこう大胆ですよね、よね。どちらかといえば、チラリズムを意識して挑発しているのはアンジーの方ですよね、よね。大事なことなので2回言いました。
「まあ、多少はね、誘っておきますよ。」
また、ユーリに聞こえないところで。ええ、そういうことをするなら。えい
「いだだだだだ。やめてそれやめて。まじ拷問。」
アンジーだけではなくモーラも頭を抱えている。おお、2人ともに効くのか。
「ならば、のぞかない何もしない。」
最後まで、ユーリの頭の周りにははてなマークが飛び交っていたように見えました。
「さて、先ほどの路地で行った食前の準備運動ではっきり魔法使いだとわかったであろう。」
「あ、そうだったんですか。てっきりなんかの体術の達人かと思っていました。」
「なんじゃ、あの妄言信じたのか」
「はい」
「あの2人は感づいておったぞ。」
「そうですか?」話に割って入る私
「まあ、そうじゃろう、わしでもあんな与太話そうそう信じんわ」
「ああいうのを大人の対応というのですねえ。でも、その後の隷属の件も理解していたのでしょうか」
「うすうすな、我々が常識の埒外にいることはわかったじゃろう」
「そういう意図だったんですね。あれは」
「まあ、予想外に耳を塞がれたり、予想外にユーリが従順だっただけじゃ。まあ結果オーライだがのう」
「はいはい、手のひらの上で踊らされておきます。」
私は頭を抱える。ええ、ちょっとユーリの裸が目に焼き付いていますのでそれを思い出す、もとい振り払うのに一生懸命です。
「にしてもうかつすぎるぞ。旅をするからそのような戦いを想定して体を鍛えておけというたのに。まあ、あの短期間じゃ無理だったじゃろうが」
「良くおわかりで」
「そこで折れるな」
「あー良いお湯ですねえ。心が洗われる。」
「あ、石けん忘れた。」
「アンジーほれ」
「あ、ありがとー、これからユーリをね洗うのよ。でも、これだけ汚くても良い匂いって女の子っていいわねえ」
「なに手をわきわきさせておるのじゃ、やめんか」
「何をするのですか。って、ああんやめてください。」
「こら、湯船の中で石けんを使うな。」
「ここ洗い場ないし。」
「湯上がりが石けんだらけになるぞ」
「大丈夫よ、そいつがお湯入れ替えられるはずだから。ね。」
「はいはい。」私は、アンジー達が一通り騒いでから、泡風呂を普通のお湯に入れ替える。お湯を入れ替えるというか、浸透圧で石けん成分を外に排出したのですけどね。
「なるほどのう、おぬしの魔法は攻撃とかには向かぬが日常生活には便利な能力よのう。」
「はー」疲れたようにユーリがため息をつく。
「3回目の入浴とはいえ慣れぬからのぼせたかのう」
「今日一日いろいろあったから疲れたんじゃない」
「早めに上がると良いよ。でも湯冷めするから早めに着替えてね」
「皆さん、変な人もとい、かわった人なんですね。」
「言い換えんでもよいわ。どう違うんじゃそれ」
「ユーリあまり考えすぎないでね、こういう運命だったとあきらめて」私は諭すように話します。
「なんでおぬしがそういう否定的な事を。」
「だって、そうじゃないですか。実は守られていたのに、私たちが変えてしまったんですよ。」
「そう思うかも知れないが、あのままじゃったらこの子は、あやつらの慰みものになっていたかもしれんのだぞ。」
「はい、その点は感謝しています。これまでも襲われている商隊を助けた時などにすでにそのような状態の女の子を見て、私たちも盗賊に負けていたらこうなっていたかも知れない。そう思う事もありましたので。」
「おぬしは男として殺されていたじゃろうがな。」
「でも、盗賊に負けたときのことを考えるとその覚悟もありました。ただ、仲間にそうされるのは、やはりつらいです。そういう目で見られていたというのも。」
「まあ、男なんてそんなもんじゃからのう」
「そうなの?」アンジーが私を挑発的な目をしながら見る。
「そうらしいですねえ」私は否定しませんよ。聖人君子ではありませんから。
「だから、一度そう思ってしまったので、もうあの中にはいられなくなったんです。さらに知られてしまったことがわかってしまった今となっては、これからは、もう一緒にはいられない。」
「まあなあ。」
「襲ってきたのは仲間のうちの数人だけじゃろう、気にするな。」
「はい。」
「さて出ますよ。結界張ってあるので誰も来ませんが、そろそろ騒ぎになりそうですので、お先に出ます。」私も本当にのぼせてきた。
「結界は時限式か?」モーラの声に私は背中で手を上げてそこを出る。
出たと言っても服を着て宿泊している部屋に戻れば、3人と相部屋だ。
3人は一緒に戻ってくる。さすがに浴衣姿ではない。浴衣って?ああ、そうか日本の着物だ。脱がしたはいいが、着付けできないと大変な事になるお洋服ですね。思い出しました。
4人で2つのベッドをつなげている。みんなベッドに座っていてどう寝るか考えているようだ。
「明日も大変そうじゃのう。」
「そうなんですか?」
「そうよ、ここで薬草を売るために組合へ行くのだけれど、店に卸すのにいくらぐらい出せといわれるのかしら。」
「良心的な額を希望しますが、無理かも知れませんねえ。」
「その時はその時じゃろう。」
「確か、仕事をするのに登録も必要なはずです。」
「なるほど、何かと物入りだのう。」
「早く寝ましょう」
「そうだね・・ってなぜ私の隣にモーラが、あれ?アンジーが反対側にって、私は磔状態ですか?」
「ああ、お主は意外に体温が高いでな、ぬくいのじゃ。あと魔力補充じゃ。」
「だからって私の安眠を奪わないでください。」
「じゃあ僕も失礼します。」
「ユーリ、おぬしの入る隙はないぞ、両側はわしらで埋まっておる。」
「何をしているのですか」
「真ん中はあいているかなって」そう言って足元の毛布をめくって中に入ってくる。いや、胸の上で眠られたら私が寝られません。胸にあたるひかえめでやわらかな感触がちょっとやばいですね。
「急に積極的だのう」
「そうね、どうしたのかしら」
「ふっきれました。それとおじいちゃんの胸で寝た事を思い出しまして」
「私はおじいちゃんですか。とほほ」
「よかったのう、男に見られなくて」
「そうね、おじいちゃん」
「あ、ユーリもう寝てる。」
「寝付きがいいのう」
「私は眠れないですよ。」
そうしてその日の夜は更けていきました。
第2章へ続く
翌日、宿屋の前でその子と一緒になり、みんなで噴水の前に向かった。噴水の前で待っていると、商人が現れた。傭兵団の団長も一緒にいた。団長さんはあの子が一緒にいるのを見て眉間にしわを寄せている。
「2人は離れて待っていてくださいね。」
「確かに子どもは、会話に参加できんなあ。」
「今回はそういうことでよろしいですか?」
「そうなりますねえ」
「しようがなかろう」
「では、まいりましょう」
「はい。」
その子はまるで売られていく子牛のようにうなだれている。もっと胸を張ってほしいものですが。元々の性格が出たのか、傭兵団から離れることに寂しさを感じているのか。
「おうおう、あの男が、必死に頭を下げておる。やりおるのう。」
「あいつ、卑屈な対応は、得意そうよねえ。」
「過去に何があったのかのう。」
「記憶が戻ったら意外に奴隷だったりしてね。」
「ありそうじゃのう。奴隷の頭領ってところか」
「部下には優しくして、上からは怒られるタイプのようね。」
「はは、違いないのう」
「あ、戻ってきたわよ」
残された商人さんと傭兵団の団長、数人の傭兵達がそこにはいた。
「いいんですかい?」
「ああ、あの一行には世話になっていますからねえ」
「あれ、女ですが良かったんですかい」
「あの人達は、かなりやばい人達のような気がしますし、ここで面倒なことをすると、手ひどいやけどを負いそうですよきっと。それに私としてはこのまま良好な関係のままでいたいですからねえ」
「それでも別のところから横やりが入ったり、かっさらわれるのは、関係ねえでしょう」下卑た笑いをしながら日に焼けてあごひげを蓄えた男が言った。団長さんは、あからさまに嫌そうな顔をしている。
「はあ、なるほど、でも、やめておいた方が良いと思いますよ。私は忠告しましたからね。それと、この件で、あなたたちが返り討ちにあったとしても私は知りませんからね。」
「大丈夫でさあ。うまくやります。」
「まあ、どうしても諦められないならしょうがないですが、それでもその後どうするつもりなんですか?」
「その辺は、まあ、まかせてくだせえ。」
数人の団員は、そう言ってそこを去った。それをさらに止めようとする傭兵団の団長を商人さんは、止めている。何か言ったようであきらめたようだ。
今日行く予定だった商人組合の代表さんが、都合が悪くて明日に延期となり、時間ができたので、私たち4人は、賑わう商店街を歩いている。3人目の女の子の服を見立てなければならない。その子は、スカートに興奮しているのが見て取れる。しかし、なかなか見つからない。縫製に関しては、ほとんど各家庭で行っているらしく、頼んでも時間がかかりそうだ。だが、ちょっと良い仕立屋で余り物の服を調達したのだが、ショートカットの割にすごく似合っている。3人も女の子を連れて、しかも3人とも可愛いと来て、いやー目立つ目立つ。連れている私も合わせてじろじろ見られるので非常に気まずい。当の3人といえば、興奮してはしゃいでいるその子を抑えながらもそのうれしさが伝染してみんなハイテンションです。モーラさんとかわざと子どものふりをしてこれ買って~とかこっちに絡む、絡む。『いいかげんにしてください』と脳内で連絡しても、『いいではないか』とまったく気にしていない。夕方までそんな感じで続いていた。
商店も閉まり、薄暗くなった頃、数人の覆面をした物騒な人達が目の前に現れ、剣をつきつけてきて、路地に入れと促された。人通りもまばらになったとはいえ、騒ぎ立てて他の人に危害が及んでも申し訳ないので、そのまま移動する。そこには、小さな広場のようなところに到着しました。
「何の用ですか。覆面などして。ああ、強盗さんですか。残念ですが金目の物はここにはありませんよ」
「おまえはいらねえ、金も無さそうだしな。へへ、一人で良いと思ったが、3人とももらおうか」覆面の男達の一人がナイフをちらつかせながら、下卑た声で言った。他の数人も同じように笑っている。
「うちの娘達ですか?それはちょっと勘弁してください。全員器量よしなので、差し出すつもりはありませんよ。」
声と容姿に見覚えがある。ああ、傭兵団にいる人達ですね。すでに彼女は、彼らが誰かわかったようで悲しそうな顔をしていて、さらに少し震えている。
「なら、一人だけ、その娘をもらおうか」ナイフをその子に向けてその男は言った。その男とその子が視線を合わせる。その子は下を向いた。
「それも無理ですねえ、今朝、これから旅を一緒にすることにしたばかりで一番手放したくない子ですから」
「この人数を相手にそんな減らず口をたたけるとは良い度胸だ。もう一度だけ言うぜ、その娘達をよこせ」
「また、全員欲しいですか。強欲にも程があります。まあ、何人だろうと差し上げるつもりはありませんよ。」
「私が戦います。」その子が言った。少し手は震えているが意志は固そうだ。スカートの上に装着してた剣を握る。
「そうですか。あなたは、今後のためにその人と戦ってください。あとの人達は、私に任せてください。ただ、お願いですが、顔に傷を負ったりしないでくださいね。可愛い顔がだいなしになってしまいます。」
「おぬし、変な動揺させるな。おかげで赤面してあわあわしておるではないか」モーラがその子の様子を見ていった。確かに赤い顔をしている。本当は緊張を解きたかったのですが、逆効果でしたか。
「相手に対して、それくらいハンデあげても良いではないですか。」私は、自分を正当化してみました。いや、その場の雰囲気が和むと思って、逆効果でしたけどね。
「私はどうすれば、」
アンジーが心細げに言った。すでにオロオロして挙動不審に至っている。最近多いですね。もう少し慣れてほしいものです。
「わしのそばにこい」
あきらめたようにモーラが言う。モーラの後ろにアンジーが隠れる。いや、モーラの後ろに隠れてないし、見えてるし。それに姉妹逆ではありませんか。
「私もいっていいですか」すかさず私もかばってもらおうとする。
「ぬしは自衛できるじゃろうが。」私を押し返すモーラ。
「あーやっぱり?でも宿屋のおばさんからむやみに使うなって言われているんですよ。使っても良いのかな」少しおどけてみせる。
「旅先じゃ!それくらいよかろう!!」
「では、お言葉に甘えて。ではやりましょうか皆さん。」
私はそう言ってモーラとアンジーの前でぐっと拳を握りしめる。しかし、この茶番の間、相手は、待ってくれていたのですが、実際に待ってくれるものなんですねえ。
「おめえが育つのをずっと待っていたのに、横からかっさらわれるぐらいなら、ここで、おめえをやっちまうぜ。かまわねえよな」覆面の男は、舌舐めずりをして言った。
「え?それって私が女だって。」
「ああ、わかっていたさ。もう少し大人になってからとみんな思っていたからな。」剣を右に左に持ち替えている。短剣じゃああるまいし、意味があるのだろうか。
「そ、そんな。」その子の剣先の震えがひどくなる。
「おまえだけさ、みんながだまされているって思っていたのはよ。」
「じゃあ、商人様も」
「ああ、知っていたさ。もっともおめえを手放したって事は、そこまでのことは考えていなかっただろうがなあ。」
「そんな・・・でも、良かった。全員じゃなかったんだ。」
「そんな事を考えていると殺してしまうぜ、ちゃんと刀を持てよ。」そう言いながらその男は、少しだけ回り込もうと立ち位置を変えていく。
「はは、」
「良かったじゃねえか、俺たちと来れば、正式な一員だ、晴れて女の仲間入りだ。」
「ここにいない方もいる方もみんな、鍛えてくれてありがとう。少し寂しいですが、これで憂いなくこの人達と一緒に行けます。」その子はそう言うと剣先の震えは止まり、その子の目には、炎が点った。
「行けると思うなよ。知ったからにはおめえは一緒俺たちの奴隷、いやおもちゃだ」
そうして、彼女の傭兵団との決別の戦いは始まった。
「さて、こちらも始めますか。彼女らの戦いを見ているのもなんですから。」
「手に武器も持たないおまえが何を言っているんだ、あ?」数人の男達は、そう言って私を囲むようにジリジリと近づいてくる。
「大丈夫ですよ、私にはこの拳があります。」そういって、ボクシングスタイル?みたいな感じで、両手の拳を前にあげて構える。もちろん両手で何かを握るように動かしている。
「は、大人数を相手に武器もなしで何をする気だ。」そう言ってその男は私に向かって走り込み、剣を振り下ろす。
「こうするんですよ」振り降ろされた剣を腕で受ける。腕は切れずに、剣を跳ね返した。
「おめえ何を。魔法か?」
「いえ、体を鍛えるとね、体が鋼のようになるんですよ。」そんなの嘘に決まっている。固めた空気を腕に巻いていただけだ。それに拳法は、たしなんでいないので反撃はできない。
それでも襲いかかる剣をかわして手を突き入れ、手で練り込んでいた空気の玉を手から離す。一瞬のうちに気玉が破裂し、相手の胸元がはじけ、吹き飛ぶ。
「うわ、なんだこりゃ。」
「おめえ何をした」
「破裂する小石ですよ、山で見つけて取っておいたのです」これも嘘。単に小石を混ぜた気玉だ。
「変な技を使うじゃないか。」
そういいつつも再びじわじわと近づいてくる。周囲の男達も徐々に距離を詰めてくる。
『やっぱり魔法使うしかないのかな』そう思っていると、
『右に飛ぶんじゃ』と、頭の中に響く声はモーラの声か。とっさに周りを囲んだ男達の隙に飛び込む。
「どあっ」「なんだ地面が揺れているのか。」「何が起きた」
地面が揺らぎ、男達が立っていられず這いつくばっている。こちらには地震とかないのだろうか、皆、這いつくばったまま一様におびえている。
「子ども!おまえ魔法使いか」
なんでも魔法使いのせいにして欲しくないけど、今回は魔法の類いだしねえ。
「わしか、わしはなにもしておらん、そこの男が何かして逃げたのじゃろうなあ。」
顔が恐いですよモーラさん。背中にオーラもしょってるし。モーラのオーラですか。
「ちぃ、こっちは無理だ逃げるぞ。」その男は、魔法使いと戦ったことがあるのか、逃げることを選んだ。ほかの者達も従って逃げようとしている。
「いいや、俺は、こいつを連れて帰る。」
彼女と対峙していた男は、体力に余裕はありそうだが、彼女に剣先がかわされ続けている。ただ、彼女も慣れないスカートを気にしていて、剣先をさばくのが手一杯で、相手に決定的な実力差を見せつけることができないでいる。
「無理だ、相手の男は魔法使いだ。やめておけ。」
「少なくともこいつに負けたままで逃げられるか」
「今の戦いでわかってきただろう、こいつは、俺たちより間違いなく強い。今まではうまく立ち回って実力を隠していたんだ。だからこのままだと最悪やられるぞ。」
「くそ、くそ、くそ、」
言われた男は、そう叫びながら強い力で、その子に剣をたたきつけ、彼女が体勢を崩され後ろへステップして距離を取ったときに、睨み付けてから、逃げていった。
その子の息があがっている。殺さないよう傷つけないようかわすというのは意外と難しいものなのですね。
「また来るかもしれんなあ。」
おびえたアンジーを脇に抱えながらモーラが来る。姉を脇に抱える小柄な妹ってすごい違和感があるなあ、体格的に逆でしょうそれ。
「そうですねえ。とっととこの町から出ますか。」
私は、そう言いました。基本的に私は軟弱なので、やばくなったらとっとと逃げます。ええそうします。
「それは、大丈夫ですよ。」
不意に聞き覚えのある声。今朝会ったばかりの商人さんと傭兵団の団長さんが建物の影から出てきた。
「見ていたなら助けてくださいよ」
「危なくなったら助けるつもりでしたよ。でも、必要なかったじゃないですか。」
あたりまえのように商人さんが言った。
「人が悪いですね。私たちの力を計ろうとしていましたね?」
「それもあります。あの馬車の走ってきた距離を考えれば、あまりにも傷がない。不思議に思って力を試したくなる気持ちもわかるでしょう」
「まあ、そういうことにしておきます。でも、彼女の身に起きた事はどう釈明しますか」
「私の監督不行き届きです。」団長さんがこう告げ、さらに続ける。
「でも、もしこれまでの間に襲われるような事が起きていたら、私が周囲を止めていたでしょう。彼女の戦闘力の高さは、失うにはもったいないので。」傭兵団の団長さんがそう言った。
「わかっていて放置していたと。」
「ええ、彼女が女性である事を隠したいのに無理にばらしても、お互い何も得しないでしょう。さらに彼女を特別扱いすれば他の男達の反感も買うことになりますし。まあ、あなたにとられるとは彼らは思っていなかったでしょうし、団長もこんな事態になるとは、思っていなかったようで、本当に想定外ですけどね。」
なぜか商人さんが団長の代わりに会話を続ける。お互い長い付き合いらしい。団長さんは頷いている。
「そうなのですか」
ちらりとアンジーとモーラを見る。うなずいているところを見ると嘘ではないらしい。
「たぶん、今後何かしでかすとしてもあの男だけですね、残りの者は、今回の事であきらめもついたでしょう。でもあの男が今後何かしたら、そればかりは残念ながら私にも止めようがない。」
それはそうだ。団長が構成員各個人を完璧に制御なんてできるわけはない。
「それでも、この町に滞在している間は、それはさせませんよ。それは間違いないです。安心してください。あなたから襲われたと苦情が来たので手を出すなと言っておきますので。ただし、私の目の届く範囲となりますが、それと街を出てからは注意してくださいね。」
商人さんは微笑みながら言う。いや、そんなことを言われましても。
「それなら、しばらく滞在しても大丈夫そうですね。」
そうして、この騒動は終わったようです。よかった何も起きなくて。
商人さんと明日の時間の再確認をしていました。傍らでは傭兵団の団長がユーリに袋を渡している。
「別れの挨拶がまだだったな、これまでありがとう。これは少ないが餞別だ。持って行け。」団長がずしりと重い袋を渡した。中は金貨なのだろう。ユーリが中を開けてびっくりしている。
「こんなにですか?もらえません。私を黙って使ってくれただけでも感謝しているのに。」
「おまえが、自分の手柄を他の男達にとられても黙っていたのを知らない訳ではないのだよ。それも一度だけではない、かなりの褒美を他の男達に取られているだろう、これは、それのほんの一部だ。かばってやれなくてすまなかった。」
「そのことを知っていてくれたんですね。」
「ああ、それをその場でおまえの手柄にしてしまえば、男達がそれをとがめて、おまえに危害が及ぶかもしれなかったからな。だからと言ってそれをおまえに言ってしまえば、それを聞いていた者が、何をするかわからなかったというのもある。だから、すまない。」団長はその子に頭を下げる。
「はい、あ・・りがぁ・・えっく」頭を下げ、泣き出した。手で涙を拭っている。拭っても拭っても涙は止まらない。
「おいおい騎士たる者、泣いてはいかんぞ。おじいさんが怒るぞ。」
「うえ~ん」
「おじいさん?」はたで聞いていた私は、そう言ってしまう。
「ああ、知り合いでな。孫娘をよろしくと言われていたんだよ。ただし、男として預けるから、黙っていてくれとね。」
「なるほど」それで私たちが彼女に近づいているのを見ていたんですね。
「でも、今度は、あなたの元で働くことになりますね、これからよろしく頼みます。」そう言って団長さんから頭を下げられた。
「ああ、はい。よろしくします。」こちらも頭を下げる。
「お父さん頼りな~い。」
「ちょっとモーラ、父さんに言い過ぎでしょ。」
「えー、おとなしいふりをするの飽きたー」
「はははは、そちらも訳ありのようですね。さきほどの戦いを見ておりましたが、何やら妙な技をお使いでしたが、魔法を使われるのですか?」
「全部お父さんが、やったことでーす。」
「やはりそうですか。妙な体術以外にも魔法まで使われるとは、」
「ああ、たまにしかできないですけどね、手品みたいな・・・いや、まやかしみたいなものです。」
ええい、ごまかしてやる。
「おもしろそうですね。」
「はい、たぶん。」そう言って袖をすっとたくしあげて動かして見せる。
「こうやって腕が短い間合いで急に袖を引くとほら」
「おお、腕が伸びたように見える。」
「これを相手の胸元で相手の視界ギリギリで行うと」
「おお、腕が伸びたように見える。」
「そうなんですよ、めくらましです。」
まあ、腕の位置が変わるわけではないので届いていないんですが。妙に納得されてしまいました。
「さて、ユリアン、これからは、この方達と一緒に行くのだね」
「はい、」
「お互いしばらくはこの町にいるのだから、食事でもしながら話をしたいのだが、どうだろうか。」
「ええ、ぜひ」
「君は、ユリアンというのか。」
「はい、ユリアン・(ノエル・)フェルバーンと言います。」
「そうか、じゃあユーリだね。これからよろし・・・」
私は、思わず自分の口を手で塞ぐ。まさか隷属の魔法が・・・ああ、大丈夫だった。アンジーがモーラの耳を塞いでいる。それを嫌がり逃れようとするモーラ
「なんじゃ、せっかく面白い事になりそうだったのになぜ邪魔をする。」
「私たちのような者が何人も出てはたまりません。」
「くそー、この世界の人間にも効果があるのか試したかったのに。」
「そんなあなたの楽しみのために一人の真面目な少女の一生を左右させてたまるものですか。」
「うむ、まあ、あやつが解除できるのじゃから、一度隷属しても問題なかろう。」
「だから解呪できるとは限りませんよ。」
「わかるのか、」
「いえ、嫌な予感がしただけです。」
「なるほど。それは、賢明な判断かもしれんな」
ユーリは、突然、片膝をついて私の前に跪き、そして顔を上げて、こう言った。
「僕、いえ私、ユリアン・ノエル・フェルバーンは、あなたの剣として、あなたに忠誠を誓います。」
その勢いにのまれ、私はこう言ってしまった。
「ありがとうユリアン・ノエル・フェルバーン、うれしく思います。」
そして、私はついついユリアンの頭をなでる。するとユリアンがほんのり光り出す。あれ?見覚えが。
「おぬしどんだけ高位の魔法使いなんじゃ。普通この程度の会話で隷属せんぞ。」
「まあ、もう一人変な竜がそばに、そして神の使いの私がいますから当然かもしれませんねえ。」
と、あきれ顔でうそぶくアンジー。
「ああ、めんどくさいのう」
「ですね。解呪も簡単だといいんですが」
「やってみい、」
「あなたユーリの、隷属の契約を解きます・・・ユーリは、私の言葉に従わなくても良いです。」
いろいろ言い方を変えて何回か言ってみたが、変化はない。
「あれ?」
「残念ですが、そう言われても従います。あなたを守る騎士として。」
「そうか、こやつの強い意志が魔法の効果を加速して隷属まで導いて、今は邪魔をしているのか」
「どうにもなりませんね。これは。本人の意志ですからねえ。」
アンジーも投げ出しましたよ。とほほな展開です。
「でも良いのですか?これから仲違いをすることだってありますよ。」
「私は、ついていきます。たぶんこれからずっと。でも、あるじ様が別れると言われる時が来るならその時までは、」そう言ってユーリは、私を見上げてじっと見ます。ああ、下からすがる子犬のような目で見ないでください。そう言う目に弱いんですから。
部外者2人がそれを冷ややかに見ているのも忘れて大騒ぎです。
そして、ユーリを立たせ、宿屋に戻っていく。ユーリは朝のうちに私物を入れた箱を馬車に入れていたので、そのまま宿屋に戻りました。宿屋の主人は、私が部屋を用意してほしいというと、私を見もしないで、「おまえに貸してやる部屋はねえ。」そう言いました。
さて、同じ宿屋に連泊なので、裏手の水浴び場に夜遅くに移動します。今回は、水浴び場の横の木陰にモーラに小さい堀を作ってもらって水を入れます。今回は、分子の原理を思い出したので、直接的に水分子を動かしてみました。水分子の運動がお湯なんだから。やり過ぎると沸騰しすぎますけど。
とりあえず微妙な調整までできないのでやや熱いお湯に入る事になります、それでもピリピリとする肌のしびれが心地よいです。
「ふー」
「極楽じゃのう」
「そうですねー」
「私もいいんですか?」
「それは、もちろん。」
「というか、裸で・・・」
「気にするな。以前言ったようにこいつのストライクゾーンは、ユーリよりもう少し高い」
「というか、胸じゃないの?」
「ん、ああそういうことか。まあ、襲われることはないし、こやつは恥ずかしくて見られないじゃろうからなあ。」
「わかりました。覚悟して入ります。」別に覚悟しなくてもいいのですが。
「みなさん何を納得しているのですか?私の趣味嗜好を勝手に詮索しないでください。まあ、たぶん皆さんの体型では私は何も感じませんので、大丈夫ですが、マナーとして最低限、胸とその下の方は隠してくださいね。」
いや、本当はあまり大丈夫じゃないんですが。あまりにもロリばばあが開けっぴろげで目のやり場に困るんですよ。
「誰がロリばばあじゃ。」あ、声に出した。ユーリが首をかしげていますよ。
「とりあえず、静かに入浴しませんか?」
涼しげにアンジーが言った。あなたもけっこう大胆ですよね、よね。どちらかといえば、チラリズムを意識して挑発しているのはアンジーの方ですよね、よね。大事なことなので2回言いました。
「まあ、多少はね、誘っておきますよ。」
また、ユーリに聞こえないところで。ええ、そういうことをするなら。えい
「いだだだだだ。やめてそれやめて。まじ拷問。」
アンジーだけではなくモーラも頭を抱えている。おお、2人ともに効くのか。
「ならば、のぞかない何もしない。」
最後まで、ユーリの頭の周りにははてなマークが飛び交っていたように見えました。
「さて、先ほどの路地で行った食前の準備運動ではっきり魔法使いだとわかったであろう。」
「あ、そうだったんですか。てっきりなんかの体術の達人かと思っていました。」
「なんじゃ、あの妄言信じたのか」
「はい」
「あの2人は感づいておったぞ。」
「そうですか?」話に割って入る私
「まあ、そうじゃろう、わしでもあんな与太話そうそう信じんわ」
「ああいうのを大人の対応というのですねえ。でも、その後の隷属の件も理解していたのでしょうか」
「うすうすな、我々が常識の埒外にいることはわかったじゃろう」
「そういう意図だったんですね。あれは」
「まあ、予想外に耳を塞がれたり、予想外にユーリが従順だっただけじゃ。まあ結果オーライだがのう」
「はいはい、手のひらの上で踊らされておきます。」
私は頭を抱える。ええ、ちょっとユーリの裸が目に焼き付いていますのでそれを思い出す、もとい振り払うのに一生懸命です。
「にしてもうかつすぎるぞ。旅をするからそのような戦いを想定して体を鍛えておけというたのに。まあ、あの短期間じゃ無理だったじゃろうが」
「良くおわかりで」
「そこで折れるな」
「あー良いお湯ですねえ。心が洗われる。」
「あ、石けん忘れた。」
「アンジーほれ」
「あ、ありがとー、これからユーリをね洗うのよ。でも、これだけ汚くても良い匂いって女の子っていいわねえ」
「なに手をわきわきさせておるのじゃ、やめんか」
「何をするのですか。って、ああんやめてください。」
「こら、湯船の中で石けんを使うな。」
「ここ洗い場ないし。」
「湯上がりが石けんだらけになるぞ」
「大丈夫よ、そいつがお湯入れ替えられるはずだから。ね。」
「はいはい。」私は、アンジー達が一通り騒いでから、泡風呂を普通のお湯に入れ替える。お湯を入れ替えるというか、浸透圧で石けん成分を外に排出したのですけどね。
「なるほどのう、おぬしの魔法は攻撃とかには向かぬが日常生活には便利な能力よのう。」
「はー」疲れたようにユーリがため息をつく。
「3回目の入浴とはいえ慣れぬからのぼせたかのう」
「今日一日いろいろあったから疲れたんじゃない」
「早めに上がると良いよ。でも湯冷めするから早めに着替えてね」
「皆さん、変な人もとい、かわった人なんですね。」
「言い換えんでもよいわ。どう違うんじゃそれ」
「ユーリあまり考えすぎないでね、こういう運命だったとあきらめて」私は諭すように話します。
「なんでおぬしがそういう否定的な事を。」
「だって、そうじゃないですか。実は守られていたのに、私たちが変えてしまったんですよ。」
「そう思うかも知れないが、あのままじゃったらこの子は、あやつらの慰みものになっていたかもしれんのだぞ。」
「はい、その点は感謝しています。これまでも襲われている商隊を助けた時などにすでにそのような状態の女の子を見て、私たちも盗賊に負けていたらこうなっていたかも知れない。そう思う事もありましたので。」
「おぬしは男として殺されていたじゃろうがな。」
「でも、盗賊に負けたときのことを考えるとその覚悟もありました。ただ、仲間にそうされるのは、やはりつらいです。そういう目で見られていたというのも。」
「まあ、男なんてそんなもんじゃからのう」
「そうなの?」アンジーが私を挑発的な目をしながら見る。
「そうらしいですねえ」私は否定しませんよ。聖人君子ではありませんから。
「だから、一度そう思ってしまったので、もうあの中にはいられなくなったんです。さらに知られてしまったことがわかってしまった今となっては、これからは、もう一緒にはいられない。」
「まあなあ。」
「襲ってきたのは仲間のうちの数人だけじゃろう、気にするな。」
「はい。」
「さて出ますよ。結界張ってあるので誰も来ませんが、そろそろ騒ぎになりそうですので、お先に出ます。」私も本当にのぼせてきた。
「結界は時限式か?」モーラの声に私は背中で手を上げてそこを出る。
出たと言っても服を着て宿泊している部屋に戻れば、3人と相部屋だ。
3人は一緒に戻ってくる。さすがに浴衣姿ではない。浴衣って?ああ、そうか日本の着物だ。脱がしたはいいが、着付けできないと大変な事になるお洋服ですね。思い出しました。
4人で2つのベッドをつなげている。みんなベッドに座っていてどう寝るか考えているようだ。
「明日も大変そうじゃのう。」
「そうなんですか?」
「そうよ、ここで薬草を売るために組合へ行くのだけれど、店に卸すのにいくらぐらい出せといわれるのかしら。」
「良心的な額を希望しますが、無理かも知れませんねえ。」
「その時はその時じゃろう。」
「確か、仕事をするのに登録も必要なはずです。」
「なるほど、何かと物入りだのう。」
「早く寝ましょう」
「そうだね・・ってなぜ私の隣にモーラが、あれ?アンジーが反対側にって、私は磔状態ですか?」
「ああ、お主は意外に体温が高いでな、ぬくいのじゃ。あと魔力補充じゃ。」
「だからって私の安眠を奪わないでください。」
「じゃあ僕も失礼します。」
「ユーリ、おぬしの入る隙はないぞ、両側はわしらで埋まっておる。」
「何をしているのですか」
「真ん中はあいているかなって」そう言って足元の毛布をめくって中に入ってくる。いや、胸の上で眠られたら私が寝られません。胸にあたるひかえめでやわらかな感触がちょっとやばいですね。
「急に積極的だのう」
「そうね、どうしたのかしら」
「ふっきれました。それとおじいちゃんの胸で寝た事を思い出しまして」
「私はおじいちゃんですか。とほほ」
「よかったのう、男に見られなくて」
「そうね、おじいちゃん」
「あ、ユーリもう寝てる。」
「寝付きがいいのう」
「私は眠れないですよ。」
そうしてその日の夜は更けていきました。
第2章へ続く
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そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。
旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。
☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。
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